- 著者
-
三宅 義明
- 出版者
- 日本食生活学会
- 雑誌
- 日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.2, pp.71-78, 2015 (Released:2015-10-30)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
-
4
4
国内地域特産である10種類の香酸カンキツ果実のレモン,新姫,ゲンコウ,ユウコウ,カボス,スダチ,ユコウ,ユズ,長門ユズキチ,ヘベスに含まれるフラボノイドの特徴を調べた。各果実の全果と果汁について,11種類のフラボノイドのエリオシトリン,ネオエリオシトリン,ナリルチン,ナリンジン,へスぺリジン,ネオへスぺリジン,ジオスミン,ジジミン,ポンシリン,ノビレチン,タンジェレチンをHPLCにて定量した。香酸カンキツの全果フラボノイド量は多変量解析の主成分分析を行い,各カンキツのフラボノイド組成の特徴を調べた。その結果,主成分分析によりレモンと新姫のそれぞれは他のカンキツとは異なるフラボノイド組成を有していることが示された。HPLC分析により,他のカンキツと比較してレモンはエリオシトリンとジオスミンを,新姫はヘスペリジン,ジジミン,ノビレチンを多く含有していた。主成分分析により,これら成分はそれぞれカンキツの特徴的なフラボノイドであることが示された。さらに香酸カンキツの全果フラボノイド画分の抗酸化性をDPPHラジカル捕捉活性測定より調べた。新姫,レモン,スダチに高い活性が認められた。各香酸カンキツ果実の10種のフラボノイド総量と各香酸カンキツの抗酸化活性には正の相関関係(R=0.772)がみられた。さらに,各香酸カンキツのエリオシトリン,ネオエリオシトリン,ヘスペリジン,ネオヘスペリジンの合計量と各香酸カンキツの抗酸化活性には高い相関(R=0.899)がみられた。