著者
安村 仁志
出版者
中京大学
雑誌
中京大学教養論叢 (ISSN:02867982)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.747-789, 1984-12-20
著者
桑村 栄治
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学文学部紀要. 国際文化学科編 (ISSN:09188983)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.83-122, 2003-03

本稿は、朝鮮一五世紀後半の成宗代に時期を限定し、朝鮮国王が毎年正朝と冬至に王宮の正殿にて実施した対明遥拝儀礼(望闕礼)の実態を整理・分析したものである。永世遵守の基本法典である『経国大典』には「正至・聖節・千秋節に殿下は王世子以下を率いて望闕礼を行う」と定めるが、国喪期間、国王の病気、そして雨雪など悪天候の場合、朝鮮国王はやむをえず望闕礼の実施を停止した。しかし、世宗代の晩年期と世祖代の一時期のように、王世子または文武百官がこれを代行することはない。望闕礼の停止と代行に関する規定が『経国大典』はもちろん、国家儀礼のテキストである『国朝五礼儀』にも存在しないのは、朝鮮国王と儒者官僚が望闕礼の実施を王朝国家における当然の国事行為と考えていたからである。正朝・冬至の儀礼空間は朝鮮国王の美徳と権威を内外に誇示する格好の場となり、望闕礼終了後の朝賀礼と会礼宴には、受職女真人をけじめ日本・琉球からもさまざまな通交者が参席して華を添えた。これら「朝貢分子」の代表格が朝鮮の藩屏を自称する対馬宗氏である。朝鮮政府が野人を厚遇した背景には辺境の防備という現実的な軍事問題があり、倭寇対策として倭人を撫接する外交政策と相通ずる。成宗は一五世紀朝鮮の歴代国王のうち、もっとも忠実に望闕礼を実施した国王であった。朝鮮国王はみずからが帝都北京に赴いて大明皇帝に拝謁することに代え、王都漢城から王世子・文武百官とともに遠く明帝を遥拝した。望闕礼は朝鮮国王にとっては対明外交儀礼であり、君臣間の儀礼的関係を百官の前で示す装置としても機能していたのである。
著者
清野 武治
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.24-29, 1970-03-01 (Released:2012-11-27)
参考文献数
7
著者
松野 哲哉 河本 大地 馬 鵬飛
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
no.5, pp.175-184, 2019-03-31

本稿は、1960年代の山間地域における「へき地教育」について、奈良県吉野郡十津川村の大字出谷の事例を中心とした調査により、現代的評価をおこなうことを目的とする。玉井(2016)の挙げるへき地小規模校教育の良さを指標とした。本稿で調査した旧十津川村立出谷小学校は、標高約600mの山頂部に位置し、児童は毎日長い時間をかけて山道を上り下りして通学していた。また栄養状態が悪く、学習面のみならず、環境の面でも「遅れた」状態であった。しかし、児童の自然体験は豊かだった。また、授業以外にも教員と子ども、および子ども同士の信頼関係が深いことを示す出来事が多数みられた。例えば、学校で使うための木炭づくりや、水の確保、通学路の整備などである。子どもたちはその生活を通して、リーダーシップや社会性を身につけた。こうした教育を実施するにあたり、保護者のみならず地域社会全体が学校に対し、非常に好意的、協力的であったことがわかる。これにより、教員は一層子どもと向き合う時間を確保でき、深い信頼関係を構築することができたと考えられる。
著者
井上 智博
出版者
大阪府文化財センター
雑誌
大阪文化財研究
巻号頁・発行日
no.47, pp.35-48, 2015-12
著者
森本 浩行 西形 達明 西田 一彦 玉野 富雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.806, pp.45-54, 2005-12-21
参考文献数
15
被引用文献数
1

城郭石垣は, 個々の石垣石の大きさや加工の状態, 基本勾配や反りの量などの違いによって様々な断面形状を形成しており, 同じ形状のものは存在しない. これら石垣形状に影響を与える各種要因を考慮した石垣構築の技術的な変遷について解明を進めた結果, 基本勾配や反りの量は石垣石の加工状況に大きく影響されていることが明らかとなった.
著者
布川 純子
出版者
成蹊大学
雑誌
成蹊人文研究 (ISSN:09191488)
巻号頁・発行日
no.14, pp.25-60, 2006-03
著者
岩野 正之 斎藤 能彦 赤井 靖宏
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

われわれは、間質線維化の進展に尿細管上皮細胞のfibroblast specific protein 1(FSP1)陽性線維芽細胞への形質変異(EMT)が重要な役割を果たすことを明らかにしている。また一方では、慢性虚血による尿細管上皮細胞の低酸素暴露が間質線維化の進展に関与すると考えられている。本研究で、われわれは低酸素応答で中心的な役割を果たすことが知られているhypoxia inducible factor-1α(HIF-1α)がEMTの協力な誘導因子であることを、初代近位尿細管上皮細胞を用いた実験系で明らかにし、HIF-1α阻害薬であるYC-1に初代近位尿細管上皮細胞におけるEMTの抑制効果があることを示した。また、Cre-loxPシステムを用いてHIF-1α遺伝子を尿細管上皮細胞特異的にターゲッティングした遺伝子改変マウスにおいては、一側尿管閉塞(UUO)マウスで誘導される間質線維化の進展が抑制されることを明らかにした。さらに、尿管に、連日30μ/g・mouseのYC-1を腹腔内投与することで、尿管閉塞後8日目のUUOマウスにおけるFSP1陽性細胞数は有意に現象し、タイプ1コラーゲン染色で評価した間質線維化面積も有意に減少することを示した。以上の結果より、慢性低酸素刺激で誘導された尿細管上皮細胞におけるHIF-1αの発現が、EMTによる間質線維化の進展に関与すること、およびHIF-1α阻害薬が間質線維化の新しい治療薬となる可能性が示された。
著者
渡辺 謙仁
雑誌
第31回天文教育研究会・2017年天文教育普及研究会年会 集録
巻号頁・発行日
2017

This action research is based on "performance psychology." The author tried to utilize a cosplay (costume play) space as a stage of co-creative and improvised learning and development through holding astronomical events. These events may start to expand communities of learning and playing astronomy. It will be good to walk about initiatively to make chances of improvisation.

3 0 0 0 OA 兵員要語帖

著者
林陸夫 編
出版者
偕行社
巻号頁・発行日
1884
著者
溝尻 素子 真田 幸昭
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.7-12, 1988
被引用文献数
1

国立療養所兵庫中央病院に長期入院中の気管支喘息児15名に副流煙のみでCO7~8ppm, 30分間の受動喫煙負荷を行った.<br>負荷前及び負荷6時間後まで Flow-volume Curve, FRC, TGV, Raw, SGawを測定し, また, 負荷2時間後までのCO-Hbも測定した.<br>CO-Hbは0.21%上昇し, 負荷中止2時間後も高値を示した。<br>Flow-volume 系には有意の差がなかったが, FRC, TGVの低下, Rawの上昇, SGawの低下が見られた.<br>特に負荷6時間後もRawの上昇, SGawの低下傾向が持続した.<br>タバコ煙に対するアレルゲンテストが陰性であり, これらの受動喫煙による変化はアレルギー機序よりもタバコ煙のもつ易刺激性が非特異的刺激として, 気道過敏性を介して発作誘発をもたらすと推測される.
著者
三好 昭子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.286-297, 2011-09-20 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
1

本研究では,Eriksonの漸成発達理論における第IV段階の活力(virtue)である有能感(competence)について両極端な2つの事例から,有能感の生成要因を明らかにし,有能感がアイデンティティに基づいた生産性にどのように影響するのかを示した。明治時代の東京で,学童期から抜群の学業成績を収め,若くして小説家としての地位を確立した作家谷崎潤一郎と芥川龍之介の有能感の様相が対照的だったことを示し,同じような経歴を重ねながら,どうして有能感の様相が対照的であったのかという観点から比較分析を行った。谷崎の場合は無条件に愛され,寛大にしつけられた結果,第IV段階以前の活力を基盤とした確固たる有能感が生成された。それに対して芥川の場合は,(1)相互調整的でない養育環境と(2)支配的なしつけを受け,初期の活力の生成が阻害され,早熟な良心が形成された。その結果,芥川は(3)主導性を発揮することができず,目的性が過度に制限され,有能感の生成が妨げられたことを明らかにした。そして谷崎は作家としてのアイデンティティに基づいた生産性を発揮し続けたが,作家としてのアイデンティティを主体的に選択しえなかった芥川は,義務感によって生産に従事し続けたことを示した。さらに初期の発達段階における活力の生成を阻害されると,どんな才能・能力に恵まれても自分の才能・能力が何に適しているのかを見出すことができなくなる可能性を指摘した。
著者
関口 靜雄 岡本 夏奈 阿部 美香
出版者
光葉会
雑誌
学苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.905, pp.82-93, 2016-03
著者
中村 博一
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.119-127, 2014-03-01

2013年に実施したナイジェリア11州とニジェール南部での広域調査から、特に豆腐名称とその分布に注目し考察を行った。従来の 「アワラ」 「クワイダクワイ」 に加え 「ワラ」 「ガーラ」 「ベースケ」 の計5種類の語形を確認できるが日本で報道された名称 「トーフ」 は見いだせない。このうち 「ワラ」 「ベースケ」 とフラニ・チーズ名称 「アワラ」 を新たに確認できたことで豆腐名称 「アワラ」 の語源をめぐる考え方を変更せざるをえなくなった。フラニ・チーズ 「ワラ」 と同じCalotropis proceraの樹液を凝固剤に利用したことが豆腐 「アワラ」 に影響したと考えてきたが、むしろ食品自体の類似性が関係しており発生もナイジャ州であることが推測される。