著者
西田 豊明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.517-530, 2014-11-01 (Released:2014-11-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

情報通信技術のべき乗オーダーの発展によってもたらされるデータ化とサービス複製によって,人間社会はこれまでとは大きく異なるものになろうとしている。基盤からサービスにわたる義務的労働から解放されて人間の自由度が飛躍的に高まる一方で,自分や社会に意義を見いだして活動する源泉となる人間力・社会力を高める新たな方策が必要であると考えられる。まず,このような社会的状況が生まれる背景となった情報通信技術の動向を俯瞰し,それがテクノロジー社会から人工知能(Artificial Intelligence: AI)社会への遷移を引き起こす可能性があることを示す。次に,AI社会への遷移は,人間社会にとって長い間の課題であった,義務的仕事からの解放をもたらす一方で,人間力と社会力が危機にさらされる時代になったことを指摘する。最後に,物語とゲームに注目した人間力と社会力強化のための新たな情報通信技術の方向を探る。
著者
板倉 尚子 柴田 雅貴
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.C0301-C0301, 2006

【目的】N女子体育大学某運動部(以下B部)は平成14年度より新監督が就任し競技成績向上をめざす方針のもと指導が開始された。チーム編成はA軍およびB軍(競技活動主体に活動)とレフリーブロック(審判活動を主体に活動、以下R軍)としているが、これまではセレクションによりチームへの振り分けをしていたが、A軍のみセレクションとし、B軍以下は学生の希望を優先しチーム編成をすることとなった。このようなチーム運営の結果、平成11年度から平成13年度新規利用者年間平均35件(合計105件)と比較し、平成14年度47件(134.2%)、平成15年度64件(182.9%)、平成16年度76件(217.1%)となり新規利用者数の増加がした。今回、平成14年度以降の外傷発生状況を報告する。<BR>【新規利用状況】平成14年度から平成16年度までの学生の延べ数は388名、ブロック構成数はA軍49名、B軍140名、R軍199名であった。3年間のB部の新規利用者数は187件(A軍68件、B軍97件、R軍22件)であった。部位別内訳では最も多いのは膝関節70件(37.4%)、次いで足関節43件(23.0%)であった。この膝関節と足関節について受傷時の学年および所属ブロック別に分類し、新規利用者件数を各ブロック構成数で除した発生率で示した。膝関節ではA軍は1年生14.3%、2年生12.2%、3年生10.2%、4年生4.1%であった。B軍は1年生15.7%、2年生5.7%、3年生2.9%、4年生1.4%であった。R軍は1年生3.0%、2年生1.5%、3年生2.5%、4年生0%であった。足関節ではA軍は1年生6.1%、2年生8.2%、3年生2.0%、4年生14.3%であった。B軍は1年生9.3%、2年生3.6%、3年生2.1%、4年生0.7%であった。R軍は1年生2.0%、2年生0.5%、3年生0.5%、4年生0%であった。R軍に比べA軍およびB軍の下級生に利用件数が多い結果が得られた。<BR>【考察】平成14年度からのチーム編成方法の変更により、技術が乏しい学生も競技活動を主体とするB軍への所属が可能になった。チームは競技成績向上を目指して活動しており、そのためA軍とB軍では練習強度が増加、技術力が乏しい学生には許容量を超えた練習内容となったため外傷が多発したと予想される。特にB軍1年生で膝関節および足関節の外傷が多発しており、新入部員への対応は個々の体力や技術力、また入学前に生じた外傷の後遺症などへ配慮し指導を行う必要があることが示された。A軍およびB軍の膝関節外傷は上級生になるほど新規利用件数の低下がみられた。B部に対してスキルエクササイズを指導し運動部活動中に実施させている。今回の結果は体力や技術向上が外傷発生を防止できる可能性を示していると思われた。しかし足関節外傷についてはその競技特性のため不可抗力が原因で外傷が生じることがあり、上級生が低下する結果とはならなかった。<BR>
著者
阿久津 千晶 十代田 朗 津々見 崇
出版者
日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.81-92, 2016 (Released:2017-10-01)
参考文献数
10

本研究では、全国の都市・115 自治体の168 のまち歩きガイド組織を対象とし、アンケート調査およびその結果をもとにした数量化理論Ⅲ類とクラスタ分析を行うことで、若手ガイドが多く活動している組織の特徴とガイド個人の特性と意識を明らかにした。結論として、『若手(50 代以下のガイド)』の参加促進方策のひとつとしては、「『若手』も気軽に参加でき、知識の吸収欲を満たせるような、ガイドの前段階となる装置を用意すること」が提案できたとともに、ガイド活動は、より自地域への愛着を増幅させ、更なる地域活動への参画を促すものにもなりうることがガイド個人へのアンケート結果より推察された。
著者
森 明子 須田 礼仁 杉原 正顯
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.38, pp.49-54, 1999-05-14
参考文献数
9

1986年にOrszagはLegendre多項式変換を含むSturm?Liouville固有関数変換の評価計算に対する高速算法を提案した。彼の算法は固有関数のWKB近似を用いて計算の一部でFFTを利用することにより、直接計算でO (^) かかる計算量がO ( log^2N/log log) に改善できるというものである。しかし彼の算法は計算の無駄が多く、精度も悪く実用的ではない。我々はLegendre多項式変換の場合についてこのOrszagの算法を改良したので報告する。アルゴリズムの改良により計算量はO ( log ) に改善され、高精度近似公式の採用により、単精度程度の精度でN&ge;128,倍精度程度の精度でN&ge;256で直接法よりも高速となることがわかった。In 1986 Orszag proposed a fast algorithm for Sturm-Liouville eigenfunction transform including the Legendre polynomial transform. His algorithm, which exploits the high speed of FFT through the WKB approximation, runs in time O (N log^2 N/log log N), while the direct computation requires O (N^2) time. His algorithm is, however, not practical because of its low precision and algorithmic unsophisticatedness. We improve Orszag's algorithm in the case of the Legendre polynomial transform. The improved algorithm runs in time O (N log N), and the Stieltjes's higher order approximation formula enables high precision. Our scheme is faster than the direct method for N &ge; 128 with the error tolerance ε=10^<-6> and for N &ge; 256 with ε=10^<-12>.
著者
森澤 紀彦 佐藤 博之 松山 桃子 林 直美 安達 章子 佐藤 順一 横尾 隆 雨宮 守正
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.2432-2440, 2016-12-10 (Released:2017-12-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

TAFRO症候群は,血小板減少(thrombocytopenia),腔水症(anasarca),発熱(fever),骨髄線維症(myelofibrosis),腎機能障害(renal dysfunction),臓器腫大(organomegaly)を特徴とする.症例は66歳,男性.7カ月前に血小板数減少を指摘され,約1カ月前より腹痛,胸腹水貯留が生じた.前医入院後に腎機能障害が出現し,当院転院となり,TAFRO症候群と診断した.比較的急峻な経過を辿るもステロイドおよびシクロスポリンによる治療で改善した.血小板減少を伴う腎機能障害の鑑別にTAFRO症候群を挙げることが肝心である.
著者
直田 信一
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.392-398, 2008-11-25 (Released:2010-10-13)
参考文献数
4
被引用文献数
2

活性炭吸着装置は,有機溶剤の臭気対策や回収装置として,多くの分野での実績がある.しかし,活性炭の吸着できる量は有限であるため,頻繁に交換しなければならないという問題がある.これらの問題を解決するため,活性炭の交換が容易にできる方法や活性炭を再生—再利用(リサイクル)するシステムを構築することで,極めて簡便でCO2を殆ど発生しないVOCの処理装置を実現することができる.
著者
金谷 めぐみ 植田 浩司
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.59-70, 2018

キリシタン音楽、カトリックの讃美の歌声が日本から消えて200 有余年(鎖国・禁教時代)、ペリーの来航(1853)を機に、幕末・明治の開国の時代を迎えた。明治新政府は、キリスト教禁止の幕府政策を継承したが、明治6年に禁教令を廃止し、信教の自由を認めた。来日したカトリック教会と正教会、そしてプロテスタント教会の宣教師たちは、西洋文明を伝え、キリスト教の伝道と教育活動を展開し、日本の社会はキリスト教とその音楽に再会した。 日本における礼拝を執り行うために、また日本人が讃美するために、各教会は聖歌集および讃美歌集を出版した。とくにプロテスタント教会の讃美歌の編集では、日本語と英語の性質の異なる言語において、五線譜の曲に英語を翻訳した日本語の歌詞をつけて、曲と歌詞とのフレージングとアクセントを合わせることに努力が払われた。 本総説において、著者らは、明治時代に日本で歌われたカトリックの聖歌と正教会の聖歌、そしてプロテスタント教会の讃美歌について楽譜付讃美歌が出版された経緯を記し、文献的考察を行った。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1918年06月07日, 1918-06-07
著者
山本 由弦 大田 恭史綜 小川 勇二郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.XVII-XVIII, 1998 (Released:2010-12-14)
参考文献数
4
被引用文献数
2 3

デュープレックス構造は, サイスミックプロファイルなどに表れることもあるが, 露頭観察やマッピングによって, 陸上でも認められる構造である. その基本形態は, 衝上断層によるものの場合はroof thrustとfloor thrustに挟まれた領域で, ある特定の地層がそれに対して低角な衝上断層によって繰り返して覆瓦状構造を形成するものである. またデュープレックス構造は, 付加体の比較的深部での底づけ作用によって形成されると考えられ, 付加体の指標になりうる構造として考えられている. これまで日本では, 露頭サイズのデュープレックス構造の報告例は, Hanamura and Ogawa(1993), Ogawa and Taniguchi(1996), Ujiie (1997)などを除いてほとんどなかったが, 筆者らは三浦半島南端部の三浦市海外町から浜諸磯にかけての海岸沿いの三浦層群下部の三崎層(中新統上部~鮮新統下部)からいくつかの典型例を見いだした. それらのうちのいくつかは, Hanamura and Ogawa(1993)によって報告されている. これらのデュープレックス構造は, ゆるく北方へ傾斜する特定の層準(厚さ約数10cm)内部に限られて発達する. 今回, この地域におけるデュープレックス構造の形態的多様性, フェルゲンツなどが明らかになった. 3次元的な露頭観察により, この地域のデュープレックス構造は, 1か所を除いて, すべて南南東~南東フェルゲンツであることがわかった. Kanamatsu(1995)による古地磁気学的研究によると, この地域の三浦層群は時計回りに約20度回転しているので, もともとのフェルゲンツは南東ないし東南東であったと考えられる. これは, デュープレックス構造形成時の, フィリピン海プレートの沈み込みの向きに制約を与えるものとして, この地域のテクトニクス解明に非常に有用なものとなろう.
著者
井島 正博
雑誌
日本文學 (ISSN:03863336)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.23-51, 2008-03-15