著者
濱口 芳浩 平井 良夫 谷山 敦 合澤 正哲
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.407-410, 1998-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8

実のついたモロヘイヤを黒毛和種繁殖母牛に給与したところ, 食欲不振, 下痢などの症状を呈して2日後に3頭が死亡し, 剖検では心外膜下の点状出血ならびに心内膜下出血が認あられた. 病理組織学的には心内膜に著明な出血, 脾臓に出血およびヘモジデリン沈着, 肝臓にうっ血が認あられた. モロヘイヤの実および死亡牛心臓の塩基性抽出液 (Stas-Otto法) から薄層クロマトグラフ法でストロファンチジンが検出され, モロヘイヤの実のエタノール抽出液を腹腔内投与されたマウス3匹中2匹が死亡した.
著者
須永 恵美子
出版者
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
雑誌
アジア・アフリカ地域研究 (ISSN:13462466)
巻号頁・発行日
no.12, pp.157-191, 2012

This paper aims to study historical discourses of Pakistan in the context of the modern Islamic world. Although the history of Pakistan has long been a subject of study, there is little agreement on the define of Pakistani people or Pakistan itself. School textbooks offer a key to understanding how Pakistani people share a historical view of the dynamic transformations in South Asia. Here, I analyse historical discourses to show the historical perception of Pakistan based on primary documents written in Urdu: for example, textbooks for Urdu language and Pakistan Studies for Pakistani students (primary and secondary level), published by the Punjab or Sind state government textbook board. Textbooks are categorised into four periods: first, the Islamic Sultanate State to the Mughal period; second, the British colonial period to the freedom movement; third, Kashmir and the national security force; and fourth, multi-ethnicity and the Islamic brotherhood. I will clarify the historical discourses and determine the image of nationhood in Pakistan.
著者
廖 宸一 廣井 慧 梶 克彦 河口 信夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.13, pp.1-7, 2015-05-04

本研究は,店舗のホームページやブログからクーポンやキャンペーンなどのイベント情報を抽出する方法を提案する.この方法を利用してユーザはをひとつひとつの店舗のホームページの閲覧を必要とせず,イベント情報抽出の網羅性と効率性を支援できる.本提案は Web ページブロック分割およびイベント情報認識の二つのタスクから構成される.一つ目のタスクでは Web ページをタイトルや説明文や日付などのイベント情報を含むブロックに分割する.従来の研究は特定なタグ,画面構成あるいはブロックの機能などを特徴量として Web ページを分割することが多く,半構造化データのイベント情報抽出が難しかった.本研究では HTML 構造解析に基づいて Web ページをブロックに分割する.二つ目のタスクとは分割されたブロックから不用な情報を取り除くため,イベント情報を識別する.本研究では機械学習の手法を用いてイベント情報の識別を実現する.名古屋駅地下街 「エスカ」 と 「ユニモール」 にある店舗 96 軒を対象として行った検証実験とその結果を示す.
著者
川島 重成
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 (キリスト教と文化) = Humanities: Christianity and Culture (ISSN:00733938)
巻号頁・発行日
no.39, pp.47-72, 2008-03-31

報復の正義は現代においても未解決の問題である。古代ギリシア人はこの問題にどのように対処したか ―― これを問い直すことで、ギリシア文学における「人間とは何か」を考える。 ギリシア語の〈ディケー〉=正義は、端的に「報復」を意味する。しかも人間社会のみならず、自然界をも貫く原理であり、人間の振舞いを見張る力として女神〈ディケー〉ともなる。 『イリアス』は報ディケー復を内包する名ティーメー誉をめぐる叙事詩である。アキレウスはアガメムノンに対する怒りを募らせ、「ゼウスの名誉」を希求するに至る(第9歌)。この「ゼウスの名誉」は英雄社会の習いとしての名誉=応報観に基づくものでありつつ、同時にそれ以上の何かを指し示している。それが『イリアス』第24歌のトロイア王プリアモスとアキレウスの出会いに結実する。憂いなき神々との対比から生じた、悲惨の中にこそ輝く死すべき人間としての品格を二人の英雄が敵・味方の区別を越えて互いに感嘆しあう―― ここにほとんど奇跡的に「人間に固有のもの」が形をとったのである。 ギリシア悲劇『オレステイア』の第一部『アガメムノン』におけるクリュタイメストラの夫アガメムノン殺害は、『イリアス』では暗黙の前提として受容されていたトロイア戦争の正ディケー義を問う行為であった。復讐が復讐を呼ぶこの悲劇は、ゼウスの正義とアルテミスの正義、男女の在りよう、国家の法と家の血の絆の真向からの対決を描く。〈ディケー〉が孕む深刻な問題 ―― 一方の正義は他方から見れば不正義でありうる、という問題 ――は、人間世界では遂に解決を見ず、第三部『エウメニデス』で、アテナイの裁判制度の縁起にまつわるアテナ女神の英断 (オレステスの無罪判決) を待つしかなかった。これは復讐の女神 (エリニュエス) の恵みの女神 (エウメニデス) への変容 (本質的にはゼウスの変容) を伴なう宇宙大の出来事であった。 このアイスキュロスの壮大な実験は、しかしギリシア文学史ではついに一エピソードに終わった。エウリピデスの『ヒッポリュトス』は、愛の女神アプロディテが純潔の女神アルテミスのみを崇拝する青年ヒッポリュトスに神罰を下す悲劇である。アルテミスはヒッポリュトスを救うことも、彼の悲惨に涙することもない。むしろアプロディテの愛するアドニス殺害を暗示して去っていく。両女神はいわば夏と冬のように自然の秩序=報復の〈ディケー〉の反復を担っている。その神々の世界の円環が閉じた外側で、瀕死のヒッポリュトスと父テセウス ―― アプロディテの代理人とされて息子に呪いをかけた ―― は、過誤の告白と赦しの言葉をかけあう。エウリピデスはギリシアの伝統的な神々の世界の枠組が崩壊した後の時代、やがてキリスト教の福音が種播かれるに至る土壌を、はるかに指さしていた。
著者
趙 熠瑋
出版者
北海道大学大学院文学研究科
雑誌
北海道大学大学院文学研究科研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
no.13, pp.339-358, 2013

荻生徂徠は江戸幕府最盛期に伊藤仁齋と竝される古學派の儒學者である。荻生徂徠については、これまで多くの研究が積み重ねられてきた。特に、丸山眞男の『日本政治思想史研究』は後の徂徠研究に多大な影響を與えた。丸山氏は徂徠の近代性を強調し、「朱子學的思惟式とその解體」、「徂徠學の政治性」、「徂徠學における公私の分裂」などを論點として捉えた。ほかに、平石直昭、子安宣邦、吉川幸次郎の各氏も々な角度から徂徠の反朱子學という點を論じた。しかし、吉川幸次郎氏が「徂徠學案」に示したように、徂徠の學術も人生も一定不變ではなく、幾つかの段階を踏んで所謂徂徠學が形成された。1714年、徂徠49歳の頃、『園隨筆』が刊行され、1717年、『辨名』、『辨道』、『學則』が刊行された。1718年、53歳の頃、徂徠の「四書」注釋の集大成作『論語徴』が完成した。これまでの研究によれば、徂徠は基本的に朱子學を批判する立場で自らの儒學論を展開した。果たして徂徠の學術人生は終始變わらなかったのであろうか。それとも、時期によって徂徠の考えにも變化があるのであろうか。本稿では、執筆時期を異にする徂徠の著作の吟味を通じて、徂徠學の中心的概念と思われる「道」について、時間經過を辿って證した。その結果、徂徠の反朱子學的な學説に變化の過程があったことが判明した。
著者
中井 誠一
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.169-177, 1993-12-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
23
被引用文献数
10

日本における1970年から1990年までの熱中症死亡数と気象条件の関係を検討した.熱中症死亡数は21年間で1, 450件であり, 年平均にすると69件 (26件から155件の範囲) であった.熱中症死亡数1, 450件のうち65歳以上の年齢の占める割合は41.4%, 25歳から64歳までは37.2%であった.東京および大阪管区気象台の資料から熱帯夜 (日最低温度が25℃以上の日) 真夏日 (日最高温度が30℃以上の日) の日数を調査した.その結果年間熱中症死亡数と熱帯夜および真夏日の年間発生数との間に有意な相関関係が認められた.
著者
Tomohiro Nishimura Wittaya Tawong Hiroshi Sakanari Takuji Ikegami Keita Uehara Daiki Inokuchi Masatoshi Nakamura Takuya Yoshioka Shota Abe Haruo Yamaguchi Masao Adachi
出版者
The Plankton Society of Japan, The Japanese Association of Benthology
雑誌
Plankton and Benthos Research (ISSN:18808247)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.46-58, 2018-05-30 (Released:2018-05-24)
参考文献数
68
被引用文献数
13

Ciguatera fish poisoning (CFP) is caused by toxins originating from an epiphytic/benthic dinoflagellate of the genus Gambierdiscus. In Japan, CFP cases have been increasingly reported not only in subtropical areas but also in temperate areas. It is therefore important to study Gambierdiscus cell occurrences, cell densities, and population dynamics to address CFP outbreaks in Japan. This study assessed the densities in Japanese shallow waters (0.1–3 m depths) and revealed that the densities were lower than those in tropical and subtropical areas worldwide. In the shallow waters of Tosa Bay, a Japanese temperate area, population dynamics of Gambierdiscus cells were assessed monthly between 2007 and 2013. Gambierdiscus did not show substrate preferences for macroalgal species. The cell densities in the area ranged from 0 to 232.2 cells g−1 wet weight algae. The average cell densities in spring, summer, autumn, and winter were 0.1±0.4, 0.9±2.6, 4.0±20.6, and 0.4±1.4 cells g−1 wet weight algae, respectively. The cell densities in summer and autumn were not significantly different (p>0.05), whereas those in summer and autumn were significantly higher than those in spring and winter (p<0.01). A significant positive correlation between cell densities and sea surface temperatures (SSTs) was observed (rs=0.21, p<0.001), while a significant negative correlation between cell densities and salinity was recognized (rs=−0.18, p<0.001). These results suggest that cell densities of Gambierdiscus in Japanese temperate shallow waters increase in summer and autumn when the SST is high and salinity is moderately low.
著者
小山清著
出版者
小山清
巻号頁・発行日
2010
著者
李 小妹
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2008年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.501, 2008 (Released:2008-12-25)

本研究は,中国・シンセンにある「錦繍中華」,「中国民俗文化村」と「世界之窓」という三つのテーマパークにおいて,新しい都市空間がいかなる過程で作りあげられているのかについて考察する。これらのテーマパークは,中国国内で初めて作られた同類の観光施設として,中国の文化観光開発事業をリードし,経済開発の産物と見本であると同時に政治文化の発信地でもある。テーマパークがもつこのような経済的,政治文化的特性は,シンセンの都市空間のそれを反映している。そのうえ,市場経済化とグローバル化の中で成長したシンセンは,グローバル時代における中国都市の都市空間の変容と,都市空間を生きる人々とのかかわりのダイナミックな変容実態を,他のどの都市よりも先見的に,よりよく反映している。本研究において,これらのテーマパークの建設経緯,展示内容および展示手法について検討し,「見せ物の場所」と「生きられる空間」といった二つの視座から,開発側である中国政府と華僑資本家および「ユーザー」である観光客や少数民族の若い労働者による「空間の生産」がいかなるものかを明らかにした。 まず,「見せ物の場所」としてこれらのテーマパークは,中国および世界の歴史文化といった大きなテーマの下で,「社会主義的国民国家」と「市場経済の発展ぶりおよび生活の向上」を見せ,経済発展を正当化する手段であると同時に,愛国主義教育といったような政治宣伝の場でもある。 また,アンリ・ルフェーブルの「表象の空間」とエドワード・ソジャの「第三空間」の概念を用いて,これらのテーマパークが「見せ物の場所」であると同時に「生きられる空間」でもあると確認した。具体的に三つの場面を挙げながら論じる。場面_丸1_:「錦繍中華」において,観光客であるシンセン住民がテーマパークを自らの所有物でもあるように他の町から来た観光客に紹介する時の,彼らの表情や振る舞い型や使った言葉と話す口調から,彼らがこの空間に付与された意味を自分たちの住民としてのシンセン・アイデンティティとも言うべき主体性の発揮が見られる;場面_丸2_:「中国民俗文化村」に百人以上の少数民族の若者が働いている。彼らはテーマパークのすぐ近くにある社員寮に住み,テーマパークを中心に生活している。テーマパークの中での活動と言えば,観客にパフォーマンスしたり民族文化を紹介したりするような労働だけでなく,売店やレストランで自ら消費者になって見せる身から見る身に変身するのである。こうした「生産」と「消費」の間に移行する身体は,見せ物の場所を生きられる空間へと変えている。場面_丸3_:「世界之窓」で80歳の闇ガイドに出会った。彼は「75歳以上の老人が入場無料」という規則で毎日テーマパークに来ている。目的は観光ではなく,観光客にテーマパークを案内することで案内費を稼いでいるのだ。彼のようなテーマパークに雇われていないガイドをここにおいて「闇ガイド」と名付け,彼らによって「世界之窓」という空間が一種の抵抗空間として生産されている。つまり,シンセンのテーマパークは,観光客や少数民族の若者や闇ガイドのおじいさんのような住民や「ユーザー」の空間であって,彼らの諸活動によって抵抗の空間,または「生きられる空間」に練り上げられている。 国民国家のアイデンティティと民族文化は,常に変化しており,確立される必要性に迫られている。従って,それらが空間と時間の枠組みのなかで再生産され,再確認されるプロセスは,わたしたちの周りに絶えず展開されている。万里の長城が5000年の中国歴史文化を象徴するように,シンセンは経済発展がもたらした現代性を象徴する。シンセンの都市空間は,いわばひとつのテーマパークのような存在であって,そのテーマというのが,「グローバル化」であり,中国の改革開放の成功(「社会主義体制」と「市場経済様式」との接合)である。中国が社会主義の政治体制と資本の自由化との間に,その矛盾と戦いながら自らの発展の道を探りつつあると同様に,中国の人びとは,矛盾に満ちた都市に放り出された身をもって,都市を自分たちの需要に合わせながら作り変えている。こうした表象され,実践され生きられる空間には経済発展に巻き込まれている社会的諸主体間の関係性が生き生きと作られ,また現されてもいる。わたしたちが今日及び近未来の中国の都市空間と中国社会を理解するのに,こうした関係性としての空間を第三空間的想像力で考察することはきわめて有意義であろう。
著者
村越 真
出版者
Japan Cartographers Association
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.1-8, 1989-06-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
13

3 0 0 0 OA 町田久成略伝

著者
門田 明 Akira KADOTA
巻号頁・発行日
vol.48, pp.6_a-1_a, 1997-12-25 (Released:2016-07-25)
著者
北村 歳治 佐藤 次高 店田 廣文 桜井 啓子 山崎 芳男 吉村 作治 長谷川 奏 及川 靖広 鴨川 明子 高橋 謙三 保坂 修司 北村 歳治
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

1)系譜研究:農業分野では精糖技術の復元、窯業分野ではイスラム陶器の分析研究、薬学分野では医薬技術と社会意識との接点の研究を通して、前イスラムの時代から近代直前期まで幅広い時代のイスラム技術の系譜が紐解かれた。2)広域研究:中東イスラム、東南アジア、中央アジアの動向分析を通して、地域に育まれた豊かな経済が新たな資源の登場によって消滅していく過程や、イスラム圏の各地でITがさまざまな形で積極的に利用されている動向も明らかになった。
著者
花崎 育代
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.57-66, 2006

昭和五七(一九八二)年一月公表の「核戦争の危機を訴える文学者の声明」は、約半年で五六二名の署名を集めたが、賛否の意見が、反核の是非よりも、その声明自体を問題として展開された。大岡昇平は署名したが、アンケートには答えず、反核集会に出席するような行動もとらず、これに関わるまとまった文学作品も書かなかった。戦争を「人間」と資料重視の手法で作品化してきた大岡には、核戦略が高度化しかつ秘匿されている以上、文学化は不可能であったからだといえる。しかし大岡は「反核」の意志は明確に表明し続けた。