著者
小山 清男
出版者
JAPAN SOCIETY FOR GRAPHIC SCIENCE
雑誌
図学研究
巻号頁・発行日
vol.32, pp.73-78, 1998

われわれが日常的に眼にし、また用いる漢字には、長い歴史があり、形の上で多様に変化して現在に至っている。漢字は本来象形文字であって、対象となる具象的なものの形を、線によって単的にあらわし、それが文字としての意味を担うようになった。形としてみれば、それらはすべて線の構成によって成り立っている。したがってこれを図学的にみることも、必らずしも不当なことではないと思われる。主として甲骨文では、写実的であったものが、しだいに形を変えて、金文、篆文となり、それが整理されて現在の明朝体の活字となった。その変遷の過程に、図形としての興味深いものがいろいろみられる。本研究では、まず平面図形としての漢字の特質を瞥見し、さらに図学的な視点から、漢字の原初的な形が、正投象における平面図、立面図、断面図、また透視投象的なものから、どのように現在の漢字が形成されてきたかをみるとともに、それらに関連する絵画作品と対置してみていこうとする試論である。なお、図学の分野を広げるとともに、それをいくらかでも親しみやすいものにしようとする、図学教育への想いも、ひそかに含まれているといえるかもしれない。
著者
川津 貴司
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.191-204, 2008

「日本青年教師団」は、現職教員によって1939年8月に結成され、言論活動や講習会の開催などを通じて、「東亜協同体」建設という国家目標を実現するための教育革新運動を展開した。青年教師団は、1941年12月末に解散させられたが、その中核組織は、終戦後に最初の教員組合結成に加わっている。従来の教育史研究では、青年教師団の「時局便乗」的な性格が注目されてきた。それに対して本稿では、青年教師団運動の理論的指導者であった海後勝雄の存在に注目することで、戦時下の権力と同運動との関連を考察することを課題とした。精神主義や官僚主義への対抗的言説を展開していた海後は、国家的な政治革新にむけて教員を主体化する運動理論を展開し、青年教師団を革新派の国策ブレーンと結びつけることになった。それをうけた青年教師団は、結成当初の精神主義的な性格を脱して、教員の生活状況の改善を要求し、教員支配の階層的秩序を批判する運動を繰り広げた。
著者
宮 紀子
出版者
中國文學會
雑誌
中國文學報 (ISSN:05780934)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.99-132, 1999-10
著者
大阪市小学校教育研究会 編
出版者
隆文堂
巻号頁・発行日
vol.第2学年用 上, 1937
著者
石原 堅司 西納 春雄 時岡 ゆかり 吉村 俊子
出版者
同志社大学
雑誌
言語文化 (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.[55]-67, 2010-08

論文(Article)本研究は2008年度に関西地区の6大学、約880名の学生を対象に実施した英語力実態調査の結果を報告するものである。1994年度に実施された英作文実態調査と同じテストやアンケート用紙を使用し、15年間で学生の英語力や教育環境がどのように変化したかを比較、考察する。最後に、調査結果を基に、現在の大学生に対する効果的な英語教育の方向性を提案したい。This study examines the changes that have occurred in Kansai-area college students' English ability during the fifteen-year period between 1994 and 2008. In 1994 a survey of the English skills of approximately 1000 students was conducted at seven Kansai-area universities. A similar survey was conducted in 2008, involving 880 students from six Kansai-area universities. The tests and questionnaires used in the two surveys were the same. The results of the surveys were compared in order to assess any changes that might have occurred in the intervening fifteen-year period. Several suggestions for improving English education for current university students are offered.
著者
大津 健聖 松井 敏幸 西村 拓 平井 郁仁 池田 圭祐 岩下 明徳 頼岡 誠 畠山 定宗 帆足 俊男 古賀 有希 櫻井 俊弘 宮岡 正喜
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1, pp.61-68, 2014 (Released:2014-01-05)
参考文献数
26

(背景)腸間膜静脈硬化症(以下MP)は比較的まれな大腸疾患である.その原因として,近年漢方薬との関連が注目されている.(対象と方法)本検討では,自験例と報告例を合わせた42例を対象に,MPと漢方薬の関連を検討した.(結果)自験例の約9割の症例に漢方薬内服歴を認めた.特に,加味逍遥散と黄連解毒湯が多数例で内服されていた.生薬成分では,大部分の症例が山梔子を含む漢方薬を内服していた.(考察)MP症例の多くは漢方薬の内服歴があり,MP発症後も漢方薬の継続内服により症状増悪をきたした症例が存在し,同じ漢方薬の長期内服を行った夫婦にMPを発症したことから,漢方薬成分山梔子がMP発症に強く関与すると推測した.
著者
松田 岳士 渡辺 雄貴
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.199-208, 2018-01-31 (Released:2018-02-05)
参考文献数
35

本稿では,教育工学を媒介として,教学IR(Institutional Research)とラーニング・アナリティクスの関係を整理すると同時に,教育工学の立場からみると教学IR とはどのような研究・実践の分野で,どのような知見をもたらしているのか検討してから,ラーニング・アナリティクスが教育工学とどのように関わっているのかについて考察した.結果的に,教育工学研究は,教育の諸課題を工学的アプローチで解決しようとするがゆえに,教学IR とラーニング・アナリティクスの両者と重複する研究対象・分析手法等を含んでおり,両者と知見を共有する意義がみとめられた.また,教育工学側も研究対象を広げ,新たな学際性の形成領域として両者との連携を積極的に図ることが期待される.
著者
鹿野 政直
出版者
法政大学
雑誌
沖縄文化研究 (ISSN:13494015)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-58, 1986-03-13

3 0 0 0 科学史事始

著者
渡辺正雄著
出版者
南窓社
巻号頁・発行日
2000
著者
清水 忠 西村 奏咲 安田 恵 村上 雅裕 橋本 佳奈 大野 雅子 桂木 聡子 上田 昌宏 天野 学
出版者
日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.2018-014, 2018 (Released:2018-08-24)
参考文献数
7

薬学実務実習終了生を対象としたアンケート調査によれば,大半の学生は実習中に基礎薬学の知識を活用する機会は少なかったと感じていることが報告されている.その要因として,教員が基礎薬学は臨床現場でどのように役に立つかを具体的に説明できていないことが指摘されている.しかし,臨床現場での問題は基礎薬学が問題解決に有用となることもある.そのため,基礎系教員と臨床系教員が連携し基礎薬学の臨床現場での有用性を理解させ,それが可能であることを示すことが必要であると考えた.そこで,実務実習事前学習において有機化学を専門とする基礎系教員と実務家教員が連携した医薬品の配合変化に関する実習を実施し,終了後にアンケートを行った.この結果,受講生の90%以上が基礎薬学の内容が臨床の問題を解決するのに有用であることを意識できた.すなわち,基礎薬学が臨床現場でどのように役に立つかを意識させる実習を提供できたと考えられる.
著者
安藤 りか
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.135-166, 2018

本論の目的は,大学中退直後の男性Sの語りをデータとし,大学生が看取する「働くことの意味」の内容とその背景を探索的に明らかにすることである。データは非構造化インタビューによって採取し,質的データ分析手法SCATを用いて分析した。その結果を,「大学中退までのライフストーリーの分析」および「働くことの意味に直接的に関係する語りの分析」に分けて論じた。そして,総合的に検討し,「ちゃんと(大まかに言うと,規範的な生き方)―非・ちゃんと」をタテ軸,働くことの「目的性―手段性」をヨコ軸とする2軸4象限によって,本論としての働くことの意味の構造を示した。最後に,キャリア教育への示唆を述べた。
著者
橋爪 和夫
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.9-23, 1993

The general purpose of this research was to study the signification of the shout on Kendo. The focus of this study was to explore a historical formative stage and philological formative process of the shout. This investigation was carried on a condition that the shout is not essential according to The Conception of Kendo and the teaching which the shout should be voiceless in the extremity.<br>The shout of the age at civil wars was one of the weapons. In the Edo period the existence of the shout was decided by the dogma of each Kenjutsuryuha (Kendo school). In the Meiji period the shout became to admit as one of the practice methods assuming the unconscious KAKEGOE, and in this time both modern style and understanding of KAKEGOE were formatted. To get a lot of effects on voiceless condition more than on shout, modern Kendo has a recognition about the KAKEGOE that the more skill player, the more little shout after going through an unconscious and natural shout.<br>In the practice and the match handling a BOKUTO, the spot of the boby for DATOTSU (strike) might be named (KOSYO) before striking. In and after the 1750's, according to use SHINAI and BOGU (a protector), the original form of DATOTSUBUIKOSYO occurred. Modern style of DATOTSUBUIKOSYO can be confirmed by a bibliography of the early Meiji period. In the later Meiji Period DATOTSUBUIKOSYO was located as a necessary shout at the minimum. It is indicated by the existence of DATOTSUBUIKOSYO that Kendo is on longer a tool of an actual warfare but a movement culture.<br>KAKEGOE and DATOTSUBUIKOSYO are coming to this day with advancing in their philological functions both phylogenetically and ontogenetically. The shout which is related to high spirits is closely connected with YUKO (valid) DATOTSU (a point). KAKEGOE may include a function that a player demonstrates one's high spirits to a third person by it. DATOTSUBUIKOSYO may also involve the possibility that it contains a potentiality of a lie. These functions of the shouts are contrary to The Conception of Kendo.<br>Both DATOTSUBUIKOSYO by a player and YUKODATOTSU Announcement by the Chief Referee at YUKODATOTSU are the highest language level. The correspondence with a mind of player seems to DATOTSUBUIKOSYO back and forth. It may be possible for the excellent player to format DATOTSUBUIKOSYO in the speech area neverthless he or she does not shout (DATOTSUBUIKOSYO).<br>A study on the level of a detachment may be a next theme.
著者
阿部 幸浩 原田 正志 渡辺 直樹 水戸岡 靖子 久保田 冬彦 大田 康雄
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第15回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.145, 2006 (Released:2008-03-11)

ポリインジゴは、その化学構造から還元するとロイコ体になり、また、空気酸化により容易に元のインジゴ構造に戻ることが予想され、このことはポリインジゴ繊維はリサイクル可能であることを示唆する。また、分子軌道計算より理想的に紡糸できれば、p-アラミド繊維の約2倍の弾性率を示す可能性が示された。我々は、この繊維の開発を目指して原料合成ルートの探索を行い、ポリインジゴ重合の検討を行った。