著者
渡邊信一郎著
出版者
汲古書院
巻号頁・発行日
2023
出版者
中央公論美術出版
巻号頁・発行日
2023
著者
大塚 英志
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.25-35, 2010-04-10 (Released:2017-08-01)

例えばアニメーション作家。新海誠はまず、小説に似たことばを連ね、それを自分で「声」として朗読し、その上に映像絵コンテを重ねていく。そんなふうに「ことば」や「小説」から立ち上がっていくアニメーションがある。あるいは発表者(大塚)が思春期の若者たち、あるいは時に医師を介して臨床の現場で「書きかけの絵本」を渡し完成させるワークショップ。そこでは一人一人が古典的で懐しい「成長の物語」を自ら描くことでささやかな自己治癒を果たしているように思える。「文学」とかつて呼ばれたものを「制度」と批判してみたところで古い文学に涙する学生たちを幾人も見る。「文学」について何かを語り、そして「文学」に何かを取り込み右往左往し、終わりや変容や脱構築を語る場所とは別のところで、「文学」の役割もその作法もいくらでも引き受けている場所がある。あるいは引き受ける方法がある。ただ、それを「文学」と呼ぶことはもう必要ない。必要なのは文学の役割であり、そう呼ばれることをめぐっての他愛のない何かでは多分ない。
著者
島津 康男
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.687, 2006-09-20 (Released:2010-03-18)
著者
平井 啓 山村 麻予 鈴木 那納実 小川 朝生
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.183-191, 2023 (Released:2023-07-31)
参考文献数
19

【目的】今日の医療現場において,患者の意思決定の重要性や支援のためのスキルを認識し,実行することはスタッフに不可欠の資質能力である.医療従事者を対象とした意思決定支援に関する研修を構築し,その効果検討をすることを目的とした.【方法】開発した研修を医療機関で実施し,研修の前後の2時点でアンケート調査を行った.調査は無記名で,匿名化のためのIDを使用した.【結果】意思決定支援に必要な知識とスキルを軸に3時間の研修を開発した.アンケート調査の結果,研修の前後で知識や効力感の向上がみられた.【考察】研修により,意思決定支援に関する理解度が深まり,それによる日常業務への効力感も高まることが確認できた.自由記述からは学び直しの意義や困難場面への応用可能性への言及がみられた.今後は,多職種での共同が不可欠となる医療現場において,連携しながらの意思決定支援について検討する必要がある.
著者
鶴岡 真弓
出版者
多摩美術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

前年度に続き、2021年度も、コロナ禍が全世界で終息の兆しがみえず、本研究の重要な目的の1つである、ロシアやカナダなど海外の博物館・美術館おいて、美術史・考古学・宗教民俗学的なアプローチからおこなう「鹿」信仰」の調査、なかでも、「角」を神聖視する「鹿角」信仰の背景を現地調査の実行ができないまま推移した。また21年度末の2月下旬には戦争も勃発し、世界情勢は予測できなかった事態となった。特に本研究の主題であるスキタイ美術の筆頭たる作例「黄金の鹿」(ロシア南西部、黒海東岸、クラスノダール地方コストロムスカヤ、第1号墳出土、前7世紀後半-前6世紀初頭)は、ロシアの博物館(エルミタージュ博物館:サンクト・ペテルブルク)に所蔵されている。初年度から継続させるべき、本作と他の博物館所蔵の「鹿造形」の「様式」「形態」「素材」に関する現地での実見・観察の機会はなお阻まれている。しかし現地には赴けないなかにも、「黄金の鹿」が出土した黒海沿岸からみると、遥か東方の「南シベリア」の巨大古墳から出土した、スキタイの早期の「動物意匠」と比較することによって、「黄金の鹿」が生まれた最盛期を準備した、初期段階の動物意匠の分析できた。そこから「黄金の鹿」の「角」の部位を特徴づけている「湾曲」形態の由来、ならびに早期と成熟期の形態上の差異を解明することを集中的におこなえた。それを証明する遺跡は、スキタイ時代の古墳として最大の、現トゥバ共和国に所在する「アルジャン古墳」である。これはユーラシアの遊牧社会に築かれた「クルガン=大古墳」で、首都クイズイルの北西部のウユク川 (エニセイ川支流) 流域のスキタイ時代 (前8―3世紀頃) に属し、ここから「鹿」「豹」などを象った金工の動物意匠が出土させているので、スキタイ美術の動物意匠の出発点を、「角」の「湾曲」形態の特質に光を当て明らかにできた。
著者
末次 大輔 塩原 肇
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.37-63, 2020-06-05 (Released:2020-07-31)
参考文献数
137

Broadband ocean bottom seismometers (BBOBSs) have been developed since 1990s and put into practice to explore the structure of the Earth’s interior beneath oceanic regions, e.g., mid-oceanic ridges, subduction zones, hotspots, and oceanic lithosphere-asthenosphere boundary. The BBOBSs have been used to investigate earthquake source process including slow earthquakes and oceanographical phenomena. The best way for the broadband seismic observation in the oceanic region seems that the borehole seismic observatory connected with the ocean floor cable, which is realized in several networks deployed close to the coast but it is rare even now. For scientific targets far away from the coast, we still need to develop and operate the autonomous system of BBOBS with better S/N for a temporary observation for focused scientific targets. In this review article, focusing mainly on achievements made in Japan, we describe a history of the development of BBOBS and some related instruments, scientific results based on observations with the BBOBSs, and future direction of broadband ocean bottom seismology.
著者
頴原 澄子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.596, pp.229-234, 2005-10-30 (Released:2017-02-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

This paper examines the treatment of Genbaku-Dome and its site (Saiku-cho and Sarugaku-cho) in the Hiroshima Urban Reconstruction Plan and the Hiroshima Peace City Plan. The site of the Genbaku-Dome, initially included in Chuo Park (Motomachi), became a part of Hiroshima Peace Memorial Park with Nakajima Park (Nakajima-honcho) at the time of Hiroshima Peace Memorial Park and Peace Memorial Hall Competition. This paper also examines competition guidelines and competition plans, and evaluates Kenzo Tange and his colleague's plan and others' plan.
著者
中里 瑛 朝日 香織 将積 日出夫
出版者
富山大学医学会
雑誌
Toyama Medical Journal (ISSN:21892466)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.51-55, 2023 (Released:2023-03-31)
参考文献数
12

COVID19流行期における咽頭疾患への対応は耳鼻咽喉科医として大変苦慮するところである。当科では咽頭内視鏡検査の際には,日本耳鼻咽喉科学会や英国耳鼻咽喉科学会が推奨する感染対策に従い,診察医はFull-PPE対応,患者はサージカルマスク着用しつつ鼻腔のみを出して経鼻からのチェックをおこなっていた。この方法は咽頭刺激による咳反射で発生するエアロゾルが飛散しにくく,鼻腔から上・中・下咽頭や喉頭を観察できる有用な方法である。しかし,この方法で施行した内視鏡検査や頸部針細胞診では悪性所見を発見できず,サージカルマスクを外して経口で施行した内視鏡検査や口蓋扁桃を触診することではじめて中咽頭癌の頸部リンパ節転移と診断することができた頸部のう胞性腫瘤の症例を経験した。この症例の診断には約3カ月を要してしまった。このことからCOVID19流行期においても状況に応じて経口からの内視鏡観察をおこなう必要性があることを反省の意味を込め報告する。
著者
本多 和樹
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.6, pp.413-417, 2007 (Released:2007-06-14)
参考文献数
22
被引用文献数
1

睡眠異常を持つ動物モデルの存在が睡眠研究を飛躍的に進展させる場合がある.睡眠研究はおよそ100年前に断眠したイヌの脳から睡眠物質を抽出したことに始まるが,睡眠覚醒の液性調節機構および神経調節機構に関する研究では,多くの動物モデルが利用されてきた.また,近年の分子生物学の進歩から睡眠覚醒調節が分子レベルで理解されるようになり,ヒトと同様の睡眠異常を示す遺伝子変異動物モデルが利用できるようになってきた.特にナルコレプシーや睡眠呼吸障害の動物モデルとしてイヌ,サル,ブタ,マウス等が利用されている.一方,イルカのように生存環境や内部環境によって睡眠様式を変化させた動物モデルも存在している.睡眠研究において様々な動物モデルが利用されることで,多くの新知見が集積され,睡眠覚醒調節機構や睡眠障害がさらに明らかされることが期待される.