著者
岡崎文次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.15, no.8, pp.624-632, 1974
被引用文献数
3
著者
木山 真人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.40-48, 2001-03-15
被引用文献数
1

迅速なソフトウェア開発の要求が高まるにつれて,オブジェクト指向スクリプト言語は,より多くの場面で使用されている.これまでのスクリプト言語は,主に小規模なプログラムに使用されていたが,オブジェクト指向スクリプト言語はその保守性の高さから大規模なプログラムにも使用されている.一般に,オブジェクト指向言語ではプログラマの負担を軽くするため,メモリ管理を処理系側で行う実装となっている.そのため,処理系はメモリを有効に利用するために,不要になったメモリを回収し再利用可能にするためのごみ集め処理(GC)が必要になる.多くのオブジェクト指向スクリプト言語はGCを有しているが,実装の容易さから,マークスイープ法,リファレンスカウント法が用いられている.しかし,これらの方法ではプログラムの規模が大きくなるにつれて,GC処理時間の全実行時間に占める割合が大きくなる.そこで,プログラムの実行時間を短縮するため, GCの高速化に着目し,世代別GCの導入を検討する.本論文では,オブジェクト指向スクリプト言語Rubyに世代別GCを実装する場合の方法および結果を示す.世代別GCにすることで,従来のGCにくらべGC処理時間が最大92%,プログラムの実行時間が最大50エ%短縮することが分かった.Object-oriented scripting languages are becoming more and more important as a tool for software development, as it provides great flexibility for rapid application development.Scripting languages have been used for developing small-scale programs, object-oriented scripting languages are also used for developing large-scale programs. n general, memory management is implemented in object-oriented language in order to reduce programmers burden. Garbage Collection is necessary to collect and reuse the unnecessary memory to utilize the memory effectively. Mark-sweep and reference counting are general use among most object-oriented scripting languages. But these method, the ratio of whole execution time to GC execution time will increase as program size increase. In order to reduce program execution time, we introduce generational garbage collection in Ruby. In this paper, we show the method of implementation of generational garbage collection in Ruby, and how efficient that. It can reduce 50エ% of total execution time and 92エ of the cost of garbage collecting for our benchmark.
著者
鳩山 由紀夫
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.106-122, 1979-06

本論文はDerman(1963)によって導入されたマルコフ型劣化を伴なう機械の保全問題の拡張である。拡張は系が閉じたループをなしていること、取替でなく修理問題であること、及び複数の修理施設をもつことに見られる。即ち、系は、有限個の劣化の状態をもち劣化の進行がマルコフ鎖で記述される単一の稼動機械と、同一機能をもつ有限個の予備機械、及び修理の種類毎に異なる複数の修理施設とからなる。各時点において、稼動機械を修理すべきか否かを決定することが問題となるが、その決定の際に、稼動機械の劣化の程度、修理がなされるときに要求される修理の種類、更に各修理施設で修理中の機械の数が情報として与えられる。修理がなされるときには、機械は修理の種類に対応した修理施設に直わに送られ、修理が開始され、同時に予備機械の一つが新たに稼動を開始する。修理時間は修理施設に依存する幾何分布に従うものとし、修理後は新晶同様の状態に戻ると仮定する。予備機械の用意が間に合わないときには、一つの機械の修理が終了する迄稼動は休止せざるを得ず、この間ペナルティが課せられる。その他のコストとしては、作動費用、材料費及び労賃を考慮している。以上のモデルを設定し、割引率を考慮した総期待費用、乃至は平均期待費用を最小とする最適保全政策が如何なる形となるかを考察する。ここで、修理の種類を固定したとき、稼動機械の劣化がある限界を越えたときのみ修理を施し、又稼動機械の劣化の状態を固定したとき、修理の種類がある限界を越えないときのみ修理を施すという二次元のコントロールリミットポリシーを提案し、緩やかな条件の下で最適政策がこの形となることを示す。次にコスト等を一般化し、更に保全員が各修理施設に一人づつの場合にも同様の議論がなされることを確認し、最後に解法に触れている。
著者
今里 滋 Shigeru Imasato
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.15-29, 2020-03

2006年度から発足した同志社大学大学院総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーション・コースにおいて複数の大学院生が獣害対策を研究課題としてきた。本論は、その課題の背景となったわが国の獣害対策、そしてその手段としての狩猟について、歴史的経緯、制度の変遷、政策およびガバナンス面での現代的課題を、自ら狩猟・有害獣駆除を行ってきた筆者の経験を踏まえて、考察したものである。井上恒男教授退職記念号退職記念論文(Article in commemoration of the retirement of Professor Tsuneo Inoue)
著者
廣田 龍平
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本分科会では、日本の「妖怪」概念の再検討を出発点として、前近代的な民間伝承から最先端の科学技術までを事例として取り扱い、フィールドにおける「有形と無形のあいだ」のものと人々とが織りなす関係性にアプローチすることを試みる。これは調査者の世界とフィールドの世界の二分法を問い直す一つの試みである。
著者
平井 一臣
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.216, pp.11-37, 2019-03

1965年4月に発足したベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)は,戦後日本における市民運動としての反戦平和運動の展開のなかで大きな役割を果たした。このベ平連の運動を牽引した知識人が,ベ平連の「代表」となった小田実だった。これまでのベ平連研究のなかでも小田の思想と行動はしばしばとり上げられてきたものの,彼がベ平連に参入した経緯や,難死の思想や加害の論理という小田の思想の形成のプロセスについては,依然として未検討の部分が残されている。本稿では,企画展「『1968年』無数の問いの噴出の時代」に提供された資料のなかのいくつかも利用して,ベ平連に参入するまでの小田の行動の軌跡,ベ平連発足時の小田起用の背景,難死の思想と加害の論理の形成のプロセスや両者の関係といった問題を検討する。このような問題意識の下に,本稿ではまず小田の世代的な特徴(「満州事変の頃」に生まれた世代)に着目したうえで,この世代特有の経験と結びつきながら難死の思想がどのように形成されたのか,その軌跡を明らかにする。次に,ベ平連発足に際しての小田の起用について,小熊英二や竹内洋に代表される従来の説明を検討し,ベ平連の代表として「小田実か石原慎太郎か」という選択肢は存在しなかったこと,60年代前半の小田の言論活動の軌跡は戦闘的リベラルに近づく軌跡であり,ベ平連に結集した知識人のなかでの小田に対する一定の評価が存在していたこと,などを明らかにする。さらに,これまで1966年の日米市民会議と結びつけて説明されてきた小田の加害の論理について検討する。実は,加害の論理はベ平連参加以前の段階で小田の問題意識のなかに存在していたが,むしろ回答困難な課題と小田は捉えていたこと,この問題に小田が積極的に向き合うきっかけとなったのが沖縄訪問での経験であったこと,そして加害の論理は当時の小田特有の考え方というよりも,当時の運動のなかで練り上げられていったものであったこと,などを明らかにする。
著者
雨宮 一彦 中村 由紀 新井 由紀
出版者
国際学院埼玉短期大学
雑誌
国際学院埼玉短期大学研究紀要 (ISSN:02896850)
巻号頁・発行日
no.29, pp.81-85, 2008

日本人が古くから親しんできた香辛料の中で,寿司や刺身に欠かせない薬味といえばわさびである。わさびの細菌に対する抗菌効果を確かめるため,蒸散暴露(気相法)により大腸菌と黄色ブドウ球菌を用いて実験を行った。暴露する温度条件を4℃,室温(25℃),35℃で抗菌効果を比較すると,チューブ入り加工わさび,生わさびのいずれも暴露温度が35℃時に抗菌効果が高かった。わさびに7日間継続的に暴露し続けた結果,生わさびは途中で菌の発育がみられたが,チューブ入り加工わさびは菌の発育はみられず,細菌に対する増殖抑制と共に殺菌効果があることがわかった。菌数減少の推移を定量的に測定したところ,暴露開始5時間後から徐々に菌数が減少し48時間後には生菌は全く認められなかった。わさびの主な抗菌成分は揮発性のアリルイソチオシアネートといわれる。この実験からも寒天培地に触れさせず蒸気で接触させる方法で抗菌効果が強く認められたと考えられる。
著者
藤高 和輝
出版者
お茶の水女子大学ジェンダー研究所
雑誌
ジェンダー研究 : お茶の水女子大学ジェンダー研究所年報
巻号頁・発行日
no.24, pp.171-187, 2021-07-31

本論文は、千田有紀の論考「 女の境界線を引きなおす」 を批判的に読み解くことを通して、現代の日本社会におけるトランス排除的言説の構造を明らかにすることを試みるものである。千田の論考は 2020年3月に出版された『現代思想』臨時増刊号「フェミニズムの現在」に掲載されるや否や、トランス当事者を含めた多くの人たちからトランス排除的な論考であると批判され、物議を醸したものである。本稿では、千田の論考を読解することを通して、その背後にあるトランスフォビックな認識論的枠組みを明らかにする。その枠組みとは「ポストフェミニズムとしてのトランス」という図式である。そして、その図式が千田個人だけではなく「トランス排除的ラディカル・フェミニズム」に広く共有されている可能性を提起する。以上を通して、現在のフェミニズムが抱える問題点を浮き彫りにし、インターセクショナルな視点をもったトランス・インクルーシブなフェミニズムの必要性を主張する。
著者
田口 東
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.85-108, 2005-12
参考文献数
9
被引用文献数
8

本論文では, 東京首都圏の電車を利用する通勤通学客を対象として, 利用者均衡に基づいて, 出発駅から到着駅への交通需要をほぼ時刻表の通りに運行される電車に配分するモデルを提案する.乗客は朝の定期券利用者のうち約700万人を対象とし, 電車はJR線私鉄線合計128路線の始発電車から午前10時台に終着駅に到着する通勤電車のほとんど(約7500本)を対象とする.電車のダイヤおよび交通需要が時間依存である場合を扱うために, 電車の時刻表を基に, 各駅における各電車の発着をそれぞれ頂点で表し, 駅間の電車の運行を頂点間の枝で表してネットワークを作成する.これによって, 確定した離散的な時間の経過を頂点間の移動で表すことができるので, 電車ネットワーク上の移動を計算する問題を静的な利用者均衡配分問題として定式化することが可能となる.そして, 2000年に行われた大都市交通センサスデータからOD交通需要を求めて利用者均衡配分を計算し, 同じセンサスに記録された実際の乗客の移動と比較して計算結果の妥当性を確かめる.その上で, 応用問題として時差出勤による混雑緩和の可能性を調べること, 南北線全線開通にともなう乗客数変化の予測を行って実際の利用数と比較することを行う.ここで提案した手法によって, 首都圏のような広い範囲の公共交通機関を利用する移動に対して, 詳細な検討を行うことができるひとつのツールが得られたと考えている.
著者
永田 浩一 田尻 久雄 光島 徹 歌野 健一 高林 健 渡辺 直輝 赤羽 麻奈 加藤 貴司 平山 眞章
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.435-444, 2013-03-20
参考文献数
33

【目的】大腸3D-CTを用いて日本人とアメリカ人の大腸の長さを比較した.<BR>【対象】50歳以上の日本人とアメリカ人650名ずつ,合計1,300名を対象とした.<BR>【結果】全対象における全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ154.7cm,158.2cm,(<I>p</I>値:0.003,効果量:0.17),S状結腸と直腸を合計した長さの平均はそれぞれ63.3cm,62.5cm,(<I>p</I>値:0.23,効果量:0.07)であった.世代別では,50歳代で全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ153.2cm,155.6cm,60歳代で155.2cm,159.3cm,70歳代で161.8cm,165.2cmで,日米ともに世代が上がるにつれて有意に長くなった.<BR>【結論】日本人とアメリカ人の大腸の長さの差に実質的効果はみられずほぼ同等である.一方,日米ともに世代が上がるにつれて全大腸の長さは長くなる.
著者
田中 圭子
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.43-58, 2008

日本の球体関節人形は、1960年代に澁澤龍彦、瀧口修造らシュルレアリストたちによって紹介されたハンス・ベルメールの人形写真との邂逅に始まる。人形には「人形としてのかたち」があるという発見から生まれた四谷シモンの人形は、それまでの叙情的で愛らしい創作人形の概念を覆すものであった。70年代の四谷シモン、土井典らの活躍によって、球体関節人形は工芸の一部としては収まりきらないものとの認識が高まり、新たな文脈の中で独自の発展を遂げてゆく。80年代、天野可淡、吉田良らが制作した耽美で幻想的な人形作品と写真集は、その後の人形表現に大きな影響を及ぼし、多くの追随者を生むこととなった。また、球体関節人形に関する出版物の増加、人形教室の開設などにより、球体関節人形制作は短期間で全国に波及し、多くの作家を輩出していった。近年では、西欧のビスクドールに影響を受けた恋月姫の登場以降、玩具性やファッション性を重視する傾向が強まり、球体関節人形文化はサブカルチャーと係わりあいながら新たなひろがりを見せている。