著者
竹鼻 圭子 Keiko TAKEHANA
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 = Otemae journal of humanities (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.A93-A104, 2005

大手前大学西宮キャンパスの安藤忠雄氏設計アートセンターの敷地内には、草庵様式の茶室「竹立庵」がある。明治から大正初期に大阪北浜で活躍した株仲買人岩本栄之助(1877-1916年)が当時100万円(現在の価値で約50億円とも80億円ともいわれる)を寄付して大阪中央公会堂が建設されたことは有名である。この敷地はかつて栄之助の別邸であったが、彼が営んだ茶室が福井有大手前学園理事長の意志があって、保存されて来たのだ。教養人でもあった栄之助を偲ばせる三畳台目の本格的中板の席である。本稿では茶道の持つ文化的意義に焦点を当て、竹立庵を巡る文化の諸相を明らかにしたい。まず茶の湯の文化的意義について、伝統日本文化の多分野継承システムとしての茶の湯とThe Book of Teaに見られる岡倉天心の茶の心の2つの側面から検討する。そして、竹立庵を巡る時空を越えた文化の営みについて、竹立庵を営んだ岩本栄之助、竹立庵の本歌あるいはオリジナルとされる京都久田家半牀庵、そしてその半牀庵を好んだ(デザインした)とされる江戸中期の千家長老久田宗全といった側面から検討する。
著者
波田 永実 ハタ ナガミ
雑誌
流経法學
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-60, 2013-09
著者
渡辺 勇士 竹林 暁 吉川 綱希 藤原 尚聡
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-169, no.30, pp.1-11, 2023-03-04

2020 年に起こったコロナウィルス感染症の流行は,世界中の学習スタイルに影響を与えた.多くの教育機関が従来の対面の授業スタイルからオンラインでの授業スタイルに切り替えることを余儀なくされた.2023 年現在,with コロナの生活も定着しつつあり,教育機関でも対面の授業スタイルに戻す状況が多く見られる.しかし,学習者の学習の利便性を考慮したとき,オンラインの教育も選択肢として発展せるべきである.その中で,オンラインでのアクティブラーニングをどのように行うかは議論の余地がある.本研究では,オンラインでのアクティブラーニングに特化した,コミュニケーションツール noiz を開発した.そして,予備的なものになるが,大学生に実際に使ってもらいアンケート調査を実施した.その結果,大学生は従前のビデオ会議システムよりも noiz の方がグループワークにおいてコミュニケーションがとりやすいと感じることがわかった.一方で,オンラインでのアクティブラーニングを成功させる要因として,ツールだけでなく,ファシリテータの存在が要望されていることもわかった.
著者
渡邉 景子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2023-CE-169, no.31, pp.1-6, 2023-03-04

未就学児の段階で,遊びの中での「学びの芽生え」が小学校における「自覚的な学び」につながると言われている.本稿では,幼稚園において遊びとして行うプログラミング体験が,「学びの芽生え」につながるのではないかと考え,幼稚園年長児を対象に,一人 1 台のタブレットを用いて,ビジュアルプログラミングツール Viscuit によるプログラミング実践を,一斉指導方式で行った.その結果,あるクラスでは半数以上の園児が意図する方向に既存の部品を動かすことができていたことがわかった.これは活動の中での「気づき」による成果といえるのではないか.しかし,自分で描いた絵を使ったプログラミングでは,絵を残せない(消してしまう)子や,プログラミングに到達しない子も複数おり,プログラミング遊びによって,「学びの芽生え」がすべての園児にもたらされるわけではないようであった.今回の実践で,プログラミング遊びによって「学びの芽生え」に繋がる可能性があることが示唆された.今後は,保育者や園児自身への聞き取りなどを行って,さらに調査を進めていきたい.
著者
長田 智和 谷口 祐治 玉城 史朗
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.98(1999-DSM-016), pp.1-6, 1999-11-26

本論文では、沖縄県で始まった「沖縄地域インターネットエクスチェンジ接続実験(以下OIX実験と称す)」と、そこで行われる実験項目について述べる。沖縄県は、地理的、政治的な観点から非常にユニークな県である。政府は、沖縄県に対して他府県とは異なる政策を行っている。また、沖縄県は平成9年9月に「マルチメディアアイランド構想」を打ち出し、高速な情報通信のための地域インターネットインフラの整備が求められている。このような状況下において、OIX実験は沖縄県における地域インターネットインフラの1つのモデルケースとして注目されており、現時点では実験ネットワークであるが、将来的には公式な地域IXになることが期待されている。
著者
古賀 敬太
雑誌
国際研究論叢 : 大阪国際大学紀要 = OIU journal of international studies (ISSN:09153586)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.21-42, 2021-10-31

Kanzo Uchimura (1861-1930) was a representative Japanese Christian who exerted great influence on modern Japanese Christian history. This article refers to the Lese Majesty Incident in which Uchimura was prominently involved. This important affair symbolized the collision between Japanese national polity, kokutai, and Christianity, and resulted in the persecution of Christianity. The incident happened because Uchimura rejected the worship specified in the Imperial Rescript on Education, causing a dispute over the compatibility of Christianity and national education based on the rescript, or kokutai. Tetsujirou Inoue (1856-1944), a famous Tokyo Imperial Universityprofessor, attacked Uchimura and Christianity by publishing a series of articles named Collision between Education and Religion. In response to this criticism, Tokio Yokoi, of the Kumamoto faction, Masahisa Uemura, from Yokohama and Uchimura who came from Sapporo, refuted Inoue‘s thesis from their own standpoints. This article tries to clarify Uchimura and Uemura’s standpoint on the one side and the problematic standpoint of the Kumamoto faction on the other, and point out two different responses within Christianity concerning the relationship between Chistianity and kokutai. Also we must remember that this difference is closely connected with theological issues, that is: orthodox theology as distinct from liberal theology. We will deal with this issue in the next article: Kanzo Uchimura and His Time( 2) - Theological issues.
著者
吾郷 祐子 廻 京子 脇地 一生 梶原 佑子 今城 沙都 宮井 貴之 後藤 振一郎 井上 勝
出版者
岡山赤十字病院
雑誌
岡山赤十字病院医学雑誌 = The Okayama Red Cross Hospital Journal of Medicine (ISSN:09158073)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.20-24, 2021-11-30

先天性甲状腺機能低下症(Congenital hypothyroidism,以下CH)は,新生児マス・スクリーニングの中で患者数は最多であり,早期介入で身長や知能予後を改善することができる.また,CH は様々な病型が存在し,予後も異なるがその予測は容易ではない.今回我々は,マス・スクリーニングを契機にCH と診断された患者を対象とし,予後について,診療録を用いて後方視的に検討した. 3 歳まで診療継続していた症例では,一過性CH と永続性CHに分類し,精密検査時データや臨床経過を比較検討した.結果は,一過性CH が15人,永続性CH 9 人,一過性高TSH 血症6 人だった.一過性CH と永続性CH では,精密検査時のTSH,大腿骨遠位端骨端核の出現の有無, 3 歳までのレボチロキシン投薬量増量の有無,休薬前の投薬量で有意差を認め,精密検査時のTSH 高値,大腿骨遠位端骨端核の出現無,および加療中に投薬量増量を要した症例は,永続性CH への移行を予測できることが示唆された.
著者
藤田 直樹 西田 健志 寺田 努
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2023-EC-67, no.10, pp.1-2, 2023-03-09

一体感はライブ鑑賞における体験価値の向上などに重要だと考えられており,一体感を得るために同じ動きや発声をするなど集団がまとまりをもって振る舞う文化が存在する.一方で,公共の映画館のように発声などがためらわれる場面では,周囲に一体感を感じづらいことがある.このような場面において,能動的な振る舞いに代わり,互いの感覚を共有する方法があれば一体感を創出できると考えた.本研究では,集団が互いの心拍数を視認しあえるように情報提示することで,発声のような能動的な感覚共有行動なしに,受動的な一体感を創出する手法を提案する.本稿では,提案手法の可能性を探索するために開発した,コンテンツ視聴中に互いの心拍数やその一致度合いを視認することができるシステムのプロトタイプについて報告する.
著者
金 蘭九
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 = The Journal of Kyushu University of Nursing and Social Welfare (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.45-57, 2005-03

本稿の目的は、戦前・戦中期における傷痍軍人援護政策の史的展開を考察し、傷痍軍人援護政策における当時の実態と政策意図、あるいは行政と政策との乖離を歴史的分析および日韓比較を通じて解明することにある。戦前の日本においては、国家による障害者福祉政策はまず傷痍軍人に対する職業保護政策という、極めて軍事的色彩の強い政策として出発した。そこで、本稿は戦前・戦中期に実施された臨時軍事援護部の設置から傷兵保護院の設置、さらには軍事保護院の設置に至るまでの傷痍軍人援護政策について、実証的に検証した。
著者
廣森 直子
雑誌
青森県立保健大学雑誌 = Journai of Aomori University of Health and Welfare (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.37-44, 2016-03

本稿は、公共図書館の司書を事例に、「専門職」の職場で進行する非正規化の状況を踏まえて、インタビュー調査から図書館職場の実態と、非正規化の進行する職場における「専門職」のキャリア形成について明らかにし、専門性の形成にかかわる課題を検討している。図書館職場の非正規化の実態は多様であり、直接雇用、間接雇用(業務委託、指定管理など)によっても大きな違いがある。公共図書館においては、業務実態が厳しくなり、職場の余裕が少なくなっているともいわれる。司書としての仕事は、仕事のなかでさまざまな経験を積むことによって身につけられ(OJT)、司書としての専門性が形成されていく。非正規化が広がることにより、専門職が非正規であるがゆえに専門性の発揮が妨げられるなどの影響がみられる。アウトソーシングを背景とした新しいキャリア形成のルートもできつつあるが、従来型の専門職を育てる職場のしくみが揺らいでいる。職場における非正規化は、実務的な専門性の形成だけでなく、図書館の管理運営にかかわる専門性の形成にも影響を及ぼしている。
著者
小尾 晴美
出版者
中央大学大学院事務室
巻号頁・発行日
2015-03-19

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第1項【論文審査委員主査】松丸 和夫(中央大学経済学部教授)【論文審査委員副査】鳥居 伸好(中央大学経済学部教授),阿部 正浩(中央大学経済学部教授),垣内 国光(明星大学人文学部福祉実践学科教授)