著者
弥久保 宏
出版者
東北福祉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

(1)選挙キャンペーン世論調査における政党支持の動向や主要政党のマニフェストを比較して、キャンペーンの選挙結果に及ぼした影響を探ってみた。保守党と労働党の二大政党間におけるマニフェストの大きな相違は見られなかった。世論調査ではサッチャー保守党長期政権に対する国民の不満や変化を求める世論を反映して、労働党優勢であった。これに危機感を抱いたメジャー首相率いる保守党は選挙戦中盤からなりふり構わない労働党に対する中傷やスキャンダルキャンペーンを展開した。特に、労働党はテレビでの党の広告番組でいわゆるヤラセ番組を放映するなど、大失態を演じ、取り返しのつかないダメ-ジをこうむってしまった(2)選挙結果とその分析選挙結果の地域的特性、社会的属性、社会的・経済的地位、労働組合員と住居形態と投票行動において、従来とは異なった現象が今回の選挙では明らかになった。特に、労働組合員と住居形態との関係では、サッチャー政権時代に行なわれた公営住宅政策によって公営住宅の払下げを受けた労働者階級の労働党支持から保守党支持へのスウイングは労働党の政権奪回戦略の根本的な見直しを迫るものとなりそうである。
著者
川端 基夫
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

外食企業の海外進出については、一般にメニューや味を進出先の食文化にいかに適合させるかに関心が集まる傾向が見られる。しかし、本研究では、海外進出の成否はむしろ現地で効率的なオペレーションシステムを構築できるかどうかが鍵を握ることが明らかとなった。オペレーションシステムとは、すなわち食材調達、店舗開発、人材育成の3つをさす。それらを各企業が単独で構築することは困難を極めるが、近年では、それらのシステム構築を支援する多様な日系企業が海外進出を進めているため、中小の外食企業であっても比較的容易に海外進出が可能となっている。このことが、外食グローバル化を促進させる要因となっていることも明らかとなった。
著者
鍛代 敏雄
出版者
國學院大學栃木短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

平成22年度は、本研究課題の基盤調査研究と位置づけ、両八幡宮の古代・中世における祭祀関係史料を蒐集・調査し、データを集積した。平成23年度は、展開的な研究を実施し、研究会を開催し歴史的な意義を究明した。平成24年度は、総括的な研究と位置づけ、調査・研究した史料データの公開を前提に、本研究を促進するための研究に入った。当該の祭祀儀礼関係史料と神国関係史料の網羅的なデータベースを構築した。
著者
高野 晋吾 上羽 哲也
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

膠芽腫の増殖制御を考え、血管新生因子FGF2特異的な抑制物質としてFGF2受容体に対するアンチセンスホモロジーボックス(AHB)に注目した。コンピュータープログラムによるすべての可能なAHBの探索により、FGF2受容体の標的ペプチドに対応する相補ペプチドを13種類合成した。合成ペプチドの血管新生抑制効果をin vitroヒト血管内皮細胞の増殖試験で確かめた。予想に反して、合成ペプチドに非常に強い内皮細胞増殖効果、FGF2シグナルの増強を認めた。FGF2受容体に対するAHBペプチドの血管新生促進効果の特異性を確実なものにして、さらにin vivo脳梗塞モデルでの血管新生療法を考案した。
著者
服部 雅之
出版者
東京歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

チタン-銅(10%含有)合金が、チタンの融点低下ならびに研削性向上の観点から有用なことは既に報告している。しかしながら歯科鋳造用として臨床応用するには機械的性質、特に延性の改善が必須である。研究代表者らは現在までに数種類の添加元素に着目し、三元合金化による改善を試みてきた。なかでもチタン-銅(10%含有)合金にクロムやパラジウムを数%添加した試作合金鋳造体の機械的性質を評価したところ、延性の向上が認められたが何れも3〜4%程度であった。本年度においては、延性のさらなる改善のために、パラジウム添加量を増加させた試作合金の特性評価を行った。これは、前年度までの研究成果からパラジウムの添加量が増すにつれ伸びの増加が著明であることに着目したことによる。パラジウム添加量を7.5mass%、10.0mass%とし、Ti-Cu-Pd三元合金を溶製し、歯科鋳造法により試料を作製した。引張試験の結果から、パラジウム添加量7.5%(Ti-10.0Cu-7.5Pd合金)および10.0%(Ti-10.0Cu-10.0Pd合金)鋳造体の引張強さはそれぞれ885MPa,893MPaであった。また、0.2%耐力はそれぞれ736MPa,735MPaであった。昨年度までの結果(1.0,3.0,5.0%添加試料およびTi-Cu二元合金)と比較すると、それぞれの強さに変化は認められなかった。伸びは、7.5%添加試料で4.5%、10.0%添加試料で3.5%を示し、Ti-Cu二元合金の値と比較し、有意に大きな値を示した。以上の結果よりTi-10.0Cu合金の延性の低下は、パラジウムの添加により強度が低下することなく、改善されることが明らかとなった。チタンへのパラジウムの添加により耐食性も向上するとの報告がある。現在、歯科鋳造用合金として市場で入手可能なのは、Ti-6Al-7Nb合金のみであるが、今回の結果は、新たな歯科鋳造用合金を開発していく上で有益なものであると考えられる。臨床応用への課題としては、いくつかの問題もあるが、今後の検討課題として取り組んでいく予定である。
著者
磯部 健一 難波 正則 日下 隆 今井 正 河田 興
出版者
香川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

我々は3波長の近赤外光時間分解分光装置(TRS)を用いて、脳の吸収係数、散乱係数、ヘモグロビン濃度、ヘモグロビン酸素飽和度(SO2)を測定した。新生仔豚を用いた基礎的研究としてdifferential pathlength factor(DPF)に影響するヘモグロビンの酸素化状態の検討と新生児の脳におけるこれらパラメータの発達的変化を検討した。(1)新生仔豚低酸素負荷での脳の光学パラメータの基礎的研究吸入酸素濃度を100%から4%まで段階的に変化させて頭部内(12頭)、の平均光路長と動脈血(SaO2)および矢状静脈血酸素飽和度(SvO2)との関係をDPF=平均光路長/Dで検討した。761、795、835nmのDPFは,各々5.02±0.36(mean±SD),5.31±0.32,4.92±0.34であった。761nmと795nmのDPFとSaO2およびSvO2との間に有意な正の相関が認められ,DPFは脳内ヘモグロビンの酸素化状態によって影響を受けることが判明した。(2)未熟児・新生児における脳の光学パラメータおよび脳内ヘモグロビン酸素飽和度(SO2)と脳血液量(CBV)の測定対象は在胎25-41週の新生児19例。761、795、835nmのDPFは,各々4.9±0.52,5.02±0.53,4.64±0.46で,散乱係数は,各々6.30±1.30(mean±SD)、6.04±1.11、6.37±1.45/cmであった。CBVは2.2±0.6ml/100gで、phase-resolved spectroscopyによる報告と同様であった。SO2は,7.26±3.9%で、修正在胎週数との間に有意な負の相関を示した。これは脳の発達に伴う酸素消費量の増加によると考えられた。これらによってTRSはベッドサイドで簡便に脳の光学パラメータ、SO2、CBVをモニターできることが証明された。
著者
内田 匡輔
出版者
東海大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

今年度の研究は以下のように実践した。1 授業分析のフィードバック昨年度得られた成果をもとに、聾学校の傾向をリーフレットにまとめ作成、配布した。授業担当教諭には、授業の結果を否わせて報告できた。興味を示した襲学校入訪問しこ授業研究を行った。その結果、聾学校で「良い体育授業」を行っている学校のモデルを挙げることができた。また、教材をこちらが準備して授業を実施する「出前授業」を2校において実践した。2 継続的な授業研究の実施結果最終的に、6校8教諭25授業の記録がてきた。また、形成的授業評価アンケートを作成実施し、125名の生徒の授業評価を収集することができた。まず授業映像を分析した結果、聾学校の授業においては、普通校の授業に比べてマネジメント(授業準備、片付け等)にかける時間が長く、生徒の運動学習時間を短くしているという結果を得ることができた。また、アンケートから、聾学校の生徒は、意欲・関心の項目が普通校よりも高く、運動量が少ないにもかかわらず、授業には満足しているということがわかった。最後に、モデルと考えられた学校は、マネジメントの割合が聾学校全体め平均よりも多いにも関わらず、授業評価は聾学校の中で最も高かった。これは、聾学校独自の教材研究の成果と考えられた。3 出前授業の実施神奈川県と北海道の聾学校で出前授業を実施する機会を得た。そこで、教材を工夫した授業の実践を試みた。いずれも、これまでの襲学校め授業分析と比較し、同様の期間記録の傾向が見られたものの、生徒の授業評価には、意欲関心が低くなるという違いが見られた。この原因についてに今後研究をすすめ、聾学校における授業評価の妥当性を継続して研究してゆく。4 結果のまとめと公表本研究結果を集約し、第6回日本発育発達学会において発表することができた。また、一部教材研究の結果を日本体育学会第58回大会で発表した。これらの研究結果をもとめ協力校に配布することができた。
著者
ウッド ドナルド
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

This project focused on the life and writings of Akita farmer Yoshida Saburo (1905-1979) who, despite his humble beginnings in a small village on the Oga Peninsula of Akita Prefecture, became an amateur ethnographer, earned the patronage of Shibusawa Keizo (grandson and heir of Shibusawa Eiichi) and mingled with the leading figures of .Japanese ethnology and sociology while living in Tokyo from 1937 to 1945.
著者
毛利 千里
出版者
香川高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

研究目的本研究の目的は、拡張現実技術:ARによる新しい表現手法を放射線シミュレーションソフトウェアに導入し学習者の試行を重視した体験・問題解決型の安価な放射線遮へい実験に関する教材を開発することである。研究方法教材はブロック型の材料、USBカメラ、マーカー、ソフトウェア、パソコンから構成している。この教材の利点は、学習者が実際の材料に触れ、重さや質感を直感的な操作を可能である。ソフトウェアの開発環境はVisual Studioを用い、量子線計算コードEGS4とシミュレーション結果を表示するARアプリから構成されている。EGS4とは電子・陽電子・ガンマ線などの量子線に関してベンチマークの実績が豊富な電磁カスケード輸送コードである。ARアプリは画像認識技術を原理としたツールで「マーカー」と呼ばれる任意の図形を判別し、実写画像と3次元CGの合成表示できるアプリケーションである。3次元CGはEGS4の出力をAR用に変換し作成した。材料は電子密度の違う材料として、発泡スチロール、コンクリート、鉛を用い、エネルギーは原子力発電所で発生する大きさ:10MeVを中心に1MeV、100MeVの3種類とした。研究結果本システムを2010年10月に東京で行われる国際会議「SNA and MC 2010」へ日本原子力研究開発機構の協力のもと出展し、専門家らに対してデモンストレーションを行った。その時に得た知見を参考にシステムのさらなる改善を行った。さらに一般への公開として本学の学園祭と愛媛大学の理化学イベントに四国電力、日本原子力学会中国四国支部と共同で展示した。300~400名程度の人がブースを見学・体験してくれた。参加者にアンケートを実施し9割以上の人が参加したことで自然や科学・技術への興味が高まったと回答があった。これより本教材の教育的な効果の高さを実証することができた。
著者
多賀谷 昭 那須 裕 北山 秋雄 深山 智代
出版者
長野県看護大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

里山の環境の健康への影響を明らかにするため、里山の環境の評価尺度の開発を試みた。現地調査と面接により質問項目を作成し、26集落510戸を対象に調査を実施した。242人の回答を分析し、27項目の6下位尺度(人々との絆、地域への愛着、自然の恩恵、共同体運営への関心、共同体の構造的強度、人間関係の窮屈さ)を得た。これらの健康への影響を検討するため、健康尺度SF-8を目的変数として重回帰分析を行った結果、共同体の構造的強度と地域への愛着が高く人間関係の窮屈さが低いほど精神的健康が良好であることが示された。自然の恩恵は直接的な寄与を示さなかったが、濃密な人間関係の逆機能を減じる効果が認められた。
著者
橋爪 和夫 山地 啓司 山地 啓司
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的はスポーツ選手の喫煙が短時間最大運動及び回復期の自律神経調節能に及ぼす影響を検討することであった。喫煙習慣のある青年スポーツ選手では,1回心拍出量には特異な現象が確認できないが、筋疲労の回復が緩慢であった。青年スポーツ選手の喫煙は短時間最大運動の作業成績には影響しないが、回復期の体調が悪くなるという影響が認められた。青年期の喫煙は、交感神経の調節能よりも副交感神経の調節能への影響が大きいとの結論を得た。
著者
高橋 弘充
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、我々が日米欧共同で開発・製作したPoGOLite検出器をもちいて「はくちょう座X-1」から硬X線偏光を検出することを目指した。2011年度・2012年度では天候などによりPoGOLite気球の放球を実施・成功させることはできなかったが、2013年度には初めて放球に成功した。フライト中には、「はくちょう座X-1」だけでなく他のブラックホール連星系GRS 1915+105やパルサー星雲である「かに星雲」の観測を実施することができた。
著者
宮本 友弘
出版者
聖徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、中学生の健康領域における「誤った認識」の実態と原因について検討した。その結果、中学生の「誤った認識」の典型的な事例は、「鼻血」や「つき指」の手当ての仕方であった。その原因として、健康に関する情報を収集、理解、活用する能力(健康リテラシー)に着目したが、関連性は弱かった。一方、中学生の健康領域における「正しい(科学的な)認識」の情報源は教師であり、学校における保健学習の重要性が明らかになった。
著者
内田 豊 牧島 一夫 牧田 貢 えの目 信三 小杉 健郎 平山 淳 常田 佐久
出版者
東京理科大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

本総合研究(A)は、現在この分野で世界の先端を行くX線天文衛星「ようこう」の結果を最大限に活かすため、「ようこう」チームを中心として、関連の地上からの光学観測、電波観測等に携わっている研究者達を糾合して、「ようこう」からのX線と地上からの光、電波の情報との比較による研究を国内で深め、またそれにより国際共同研究をさらに進めることを目的とした。まず本研究の目的に沿って、研究者の宇宙研「ようこう」研究センターでのデータ解析活動をサポートし、上記の異なった波長域の研究者の間の研究交流を支援した。また春秋の日本天文学会年会のおりには、総研メンバーおよび関係研究者の集会を持ち、研究情報の交換の機会とした。また平成7年2月7-9日には国立天文台において「太陽および恒星の超高温、高エネルギー現象」研究会(参加者約90名、講演数50)を催し、まとめの研究発表を行った。そして、3年間の最後の年に当たって、3年間の活動のサマリ-にあたる国際会議を国際天文学連合の主催するIAUコロキュームとして行うことを計画、これが幸いに認められ、平成7年5月に幕張において開催された。これにおける日本側の発表はおおむね本総研(A)に関連しているので、これの原稿をもって成果報告に替えさせて頂くこととした。なお、この国際研究会は国際研究集会「太陽大気中の磁気動力学現象--恒星電磁活動のプロトタイプ」の準備のための総合研究(B)にもサポートされている。
著者
竹林 慎一郎
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

最近の研究で、がん遺伝子の活性化により誘導される細胞老化は、細胞内エネルギー代謝にも大きな変化をおこしていることが分かってきた。我々は、培養細胞をモデルとして用い、網膜芽細胞腫の原因遺伝子として知られるRbが細胞老化にともなうエネルギー代謝変化を調節していることを明らかにした。具体的には、老化細胞におけるミトコンドリア呼吸の活性化がRb依存的におこっていることを見出した。さらに、網羅的な遺伝子発現および代謝産物解析により、Rbタンパク質が解糖系を中心とする複数の代謝関連遺伝子の発現レベルを上昇させることでエネルギー源供給を亢進させ、下流のミトコンドリア呼吸を活性化していることを明らかにした。
著者
池田 祐子
出版者
独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1867年に設置されたベルリン工芸博物館は、まずカール・グロピウスが造った「グロピウスのジオラマ」を展示施設として開館した。そしてマルティン・グロピウスの設計によって独自の博物館建物が完成した。ジオラマは19世紀にヴァーチャルな視覚体験を可能にした画期的装置であるが、本研究では「グロピウスのジオラマ」には展示機能や教育機能も備わっており、それが未体験の時代や国の応用芸術作品を展示する工芸博物館の展示戦略に受け継がれたこと、そしてその際にグロピウス家が重要な役割を果たしたことを、当時の新聞資料などを用い、具体的に明らかにした。
著者
浜島 京子
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

小学校児童用の健康生活ナビを作成するため、1年目は小学校養護教諭を対象に調査を実施するとともに台湾の小学校における家庭生活関連学習内容を精査した。2年目は前年度の調査内容等をふまえて試作本(低学年用)を作成、3年目は養護教諭と共に試作本の内容を再検討し、それをふまえて完成本(低学年用)を作成した。この完成本は2013年度に健学社より出版の予定である。
著者
浜田 吉則 海堀 昌樹
出版者
関西医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

平成23年度の実施計画では、まず最初にIschemic preconditioning (IPC)施行ラット同系異所性小腸移植モデルの作製を行うことであったが、移植モデルの作成ができない状況になったため、腸管のIschemic preconditioning(IPC) として、上腸間膜動脈の第1分枝を10分クランプしたあと30分再灌流した腸管の作成実験を施行した。また適切なEGF投与のタイミング、投与経路などについて種々の条件設定を試みたが再現可能なデータはまだ得られていない。
著者
天野 敦雄
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

細胞内ロジスティクス機構と歯周病菌と細胞侵入の関連について検討を加えた。歯周病菌Porphyromonas gingivalis(Pg)は歯周細胞に侵入する.歯肉上皮細胞内に侵入したPgはまず初期エンドソームのマーカーであるFYVEと共局在を示し,その局在は経時的に減少した.その後,細胞内のPgの約半数がLAMP1(ライソソームマーカー)と共局在を示した.また,同じく感染1時間後,細胞内のPgの約70%はトランスフェリンレセプターと共局在を示し,その局在は経時的に減少した.このことから,歯肉上皮細胞内に侵入したPgはまず初期エンドソームに存在し,ライソソームで分解を受ける菌がいる一方,エンドサイトーシス経路へとソーティングされる菌がいる可能性が示された.また,エンドソームから細胞膜へのリサイクリングを制御するRabファミリーGTPaseであるRab11,およびアクチン細胞骨格系の再構成を制御するGTPaseであるRalAとPgとの共局在が観察された.RabllとRalAのドミナントネガティブ型(Rabll^<25N>,RalA^<27N>)とPgとの共局在を検討したところ,野生型と比較し,その共局率は減少した.さらに,RabllとRalA遺伝子のRNAiノックダウンにより,細菌の細胞培養液中への脱出の減少と細胞内の生菌数の増加がみられた.さらに,リサイクリング小胞の細胞膜への繋留因子であるエキソシスト複合体の1つであるSec5,Sec6およびExo84遺伝子のRNAiノックダウンを行ったところ,細胞培養液中の生菌数の減少,並びに細胞内の生菌数の増加がみられた.これらの結果より,歯肉上皮細胞に侵入したPgの一部はRabllとRalAが制御するリサイクリング経路ならびにエキソシスト複合体利用して細胞外へ脱出し,さらに近接細胞へ再侵入し,歯周組織の感染拡大を果たしていることが示唆された.
著者
野村 久子
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、国の制度や公的資金による農業文化遺産維持継承の支援の取組と、市場メカニズムを用いた支援の取り組みについて日英における制度比較を行い、支援体制について整理を行った。具体的には、農業環境制度の中に組み込んだ形で歴史的構築物、石垣やフットパスといった農業文化遺産保全の維持継承を行っている英国を事例として、特に、伝統的風景や歴史的農業構築物の維持を目的とした制度の仕組みや運用手順、事例について明らかにした。また、国内においては、福岡県朝倉市の三連水車を事例として、市場メカニズムを用いた市民参加型の支援の可能性があることを示した。