著者
相川 拓也
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.292-298, 2012

昆虫類には体内に微生物を宿し, その微生物と共生関係を築いている種が数多く存在する。ボルバキアは昆虫を含む節足動物や線虫類に広く感染している細胞内共生細菌で, 細胞質不和合, 雄の雌化, 雄殺し, 産雌性単為生殖などの方法で宿主生物の生殖機能を操作し, 自らを効果的かつ急速に宿主個体群中に広めてゆく。これまで, マツ材線虫病の病原体であるマツノザイセンチュウを媒介するマツノマダラカミキリからもこのボルバキアの遺伝子が検出されていたことから, マツノマダラカミキリにもボルバキアが感染していることが示唆されていた。ところが, その後の研究によって, ボルバキアがマツノマダラカミキリに感染しているのではなく, ボルバキアの遺伝子だけがマツノマダラカミキリの常染色体上に転移していることが明らかとなった。この事実は, マツノマダラカミキリに感染していたボルバキアは, 自らのゲノムの一部を宿主に残し, その後, 宿主から消え去ったことを示唆している。本稿ではこれまでの研究で明らかにされたマツノマダラカミキリとボルバキアの間の特異的な関係を詳しく紹介するとともに, それらの知見から導かれる今後の研究の方向性についても議論する。
著者
茂里 康 上垣 浩一 絹見 朋也 稲垣 英利
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

研究計画が採択された直後の2018年の5月に、産総研から和歌山県立医科大学に異動した。その頃はモリアオガエルの産卵期であり、泡巣の採取時期であったが好機を逃したため、開始が数か月遅れた。しかし、2019年の春から初夏にかけての泡巣及び成体メスの採取時期は、順調に実験が進展した。その結果、泡巣の生体分子の精製・LC-MSによる解析。均一精製を行ったタンパク質分子のエドマン分解によるN末端配列解析の実施。泡巣を精製せずに、還元アルキル化・プロテアーゼによる切断・プロテオーム解析を行った。同時に並行して、モリアオガエル成体メスの輸卵管(産卵前後)及びコントロール組織として皮膚の発現遺伝子の次世代シーケンサーによるRNA-Seq解析を行なった。LC-MS・エドマン分析・プロテオーム解析・次世代シーケンサーのデータをマッチングする事により、約40種類の泡巣のタンパク質成分の分子同定ができた。血球系や酸化ストレスに関与するタンパク質分子が単離できている。またミトコンドリアのDNA配列は、生物の分子進化を考える上で、重要な遺伝子情報である。次世代シーケンサーを用いて、これまで未報告であったモリアオガエルのミトコンドリアDNA配列の解読を行った。現在アノテーションを実施し、全長の配列解読を継続実施している。また台湾には、泡巣を産生するアオガエル科は少なくとも5種類、R. arvalis, R. aurantiventris, R. moltrechti, R. prasinatus, R. taipeianus、が生息している。その内4種類は台湾の法律により保護されているが、台北市立動物園・両生爬虫類館で飼育・保護されている。台北市立動物園の研究者とメール等で共同研究の実施に合意した。またプロテオーム解析に関しても、長庚大学(台湾・桃園市)の研究者と共同研究に合意している。春には台北市立動物園・長庚大学を訪問予定であったが、新型コロナの一件で訪問を延期している。

2 0 0 0 OA 太政官布告

出版者
巻号頁・発行日
vol.明治5年 1, 1900
著者
石原 祥太郎 澤 紀彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.1D2OS3a03, 2021 (Released:2021-06-14)

本研究では,ニュース記事を文章選択・圧縮で要約する手法を提案する.具体的には,記事を代表するN個の文章を抽出し,構文解析で各文章を圧縮する.指標としてMMR(Maximal Marginal Relevance)とTF-IDF(Term Frequency - Inverse Document Frequency)を用いた.実験の結果,提案手法は人間の編集者の作業と約26.7%の割合で同一の話題に言及していた.必ずしも高い一致率とは言えないが,それ以外の生成物も日本語として誤りが少なく,候補として採用できるものが多かった.提案手法には特定の語句の重み付けなどで編集者の意図を組み込みやすく,編集者の負担軽減に繋がる利点がある.
出版者
文部省学生部
巻号頁・発行日
vol.昭和5年12月(自昭和4年11月至昭和5年10月), 1932
著者
阿部 晃気 日根 恭子 金塚 裕也 中内 茂樹
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PM-029, 2021 (Released:2022-03-30)

音楽聴取時の覚醒度は,音楽の選好と関連があり,選好の決定機序を明らかにするうえで重要な要素の一つである。これまで,覚醒度は音楽のテンポ(外部テンポ)により変化することが明らかとなっているが,歩行や指タッピングのような自発的な運動動作(内部テンポ)が覚醒度とどのように関連するのか直接的な検討はなされていない。本研究では,外部/内部テンポが音楽聴取時の覚醒度とどのように関連があるか調査した。実験参加者21名に対して,初めに指タッピングで内部テンポを計測した。その後,3種類(遅い,速い,中程度)のテンポで演奏されたクラシックピアノ音楽を各2曲,計6曲の聴取を求めた。実験中は,実験参加者に対して覚醒度の客観的指標となる皮膚電気活動の計測が行われ,各曲聴取後は,音楽によって誘発された覚醒度の主観的評価を求めた。結果として,主観的覚醒度は,外部テンポが遅いと下降,外部テンポが速いと上昇した。一方,客観的覚醒度は,内部テンポと外部テンポの差が小さい場合に上昇する傾向がみられた。この結果は,外部テンポと内部テンポの両方が音楽聴取時の覚醒度に影響を与えることを示唆している。

2 0 0 0 中田重治伝

著者
米田勇著
出版者
中田重治伝刊行会
巻号頁・発行日
1959
著者
佐藤 雅彦
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.67-84, 2016-07-31 (Released:2016-11-10)
参考文献数
16

“The Full Picture of Frege’s Philosophy” (Keiso Shobo, 2012) by Kazuyuki Nomoto gives a detailed account of Gottlob Frege’s life devoted to a failed attempt to develop mathematics formally and entirely from scratch based upon his logicism and his semantical understanding of mathematical entities. In the present paper, I review the book and recommend it as a challenging and inspiring book to anyone who wishes to understand the modern meaning of Frege’s philosophy.
著者
芦名 定道
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1994

論文博第260号
著者
滝川 一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.277-280, 2001-06-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
10
被引用文献数
3