著者
加藤 夢三
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.56, no.284, pp.2, 2018 (Released:2021-01-14)

Jun Ishiwara was a leading Japanese physicist,but he was also a renowned poet in the early Showa era. Previous studies of Ishiwara rarely linked his literary career with his work as a physicist.The aim of this paper is to demonstrate that his theoretical framework of“reality”was rooted in both science and literature. When Ishiwara introduced Einsteinʼs theory of relativity and quantum mechanics to other writers of his time,he claimed that the development of theoretical physics dismantled so-called orderly reality. According to Ishiwara,if we apply the principles of modern physics to the actual world,we have to understand reality based on“theory”and“law”instead of experience. Therefore,in his literary work,Ishiwara emphasized the“reality”in the former sense of the word: one must extract it from experiences by integrating them into a theoretical framework.As a poet,Ishiwara not only brought“super-materialism”to literature and established“New Tanka theory”,but also contributed to a new way of recognizing the world. His view of the world attracted and influenced many literary figures in the early Showa era such as Riichi Yokomitsu and Yoichi Nakagawa. Ishiwara's interdisciplinary spirit is still present in contemporary literature.(or Ishiwaraʼs interdisciplinarity also offers a fertile ground for constructive dialogue between literature studies and historical studies of science that otherwise rarely interact with one another in the current scholarship).
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.607, pp.127-132, 2005-04

「非常に大きなプレッシャーがかかっていたので,衛星分離のアナウンスを聞いて本当に気持ちが楽になった」。 H-Aロケット7号機の打ち上げ成功を受けて開催された記者会見の席上,三菱重工業主幹プロジェクト統括の浅田正一郎氏はこう胸をなで下ろした(図1)*1。 H-Aロケット6号機の打ち上げ失敗から15カ月。
著者
権 東祐
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.27-51, 2018

<p>従来の近代神道研究は、国家神道の制度的な成立史を中心として論じられており、その視野は「日本」という地域に限られてきた。この制度史的な視点からみれば、国家神道と教派神道を明確に区別するのは当然である。しかし、「帝国日本」まで視野を広げつつ、教派神道の海外布教を再検討することからみれば、近代の国家・神社・神道は密接に相互交換の関係をなしており、国家神道と教派神道の線引きが曖昧になる。近代の神道は制度に縛られない形で展開していたことがわかる。そこで小論では、国家神道中心の神道像を超えて、神道史の中に多様にあらわれる「近代神道」像を構想する。そのためにまずは、神道の朝鮮布教時期や目的など、従来の新宗教研究における不備点や錯誤を修正した上、神道修成派・黒住教・神宮教の朝鮮布教を中心に「近代神道」研究の新たな方向を示す。</p>
著者
太田 光代 川岸 徹
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.9, no.14, pp.74-78, 2010-09-07

多くのレギュラー番組を抱え、ライブや執筆活動も精力的にこなす人気お笑いコンビ、爆笑問題(太田光さん、田中裕二さん)。過去、不遇の時代があった彼らを、太田光代さんはマネジメント事務所を立ち上げてサポート。太田光さんとの結婚生活は今年で20年目だ。爆笑問題の成功の陰には、絶えず彼女の姿があった。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1923年08月24日, 1923-08-24
著者
吉越 卓見 河原 大輔 黒橋 禎夫
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2020-NL-244, no.6, pp.1-8, 2020-06-26

言語を理解するには,字義通りの意味を捉えるだけでなく,それが含意する意味を推論することが不可欠である.このような推論能力を計算機に与えるために,自然言語推論(NLI)の研究が盛んに行われている.NLI は,前提が与えられたときに,仮説が成立する(含意),成立しない(矛盾),判別できない(中立)かを判断するタスクある.自然言語推論を計算機で解くには数十万規模の前提・仮説ペアのデータセットが必要となるが,これまでに構築された自然言語推論データセットは言語間でその規模に大きな隔たりがある.この状況は,自然言語推論の研究の進展を妨げる要因となっている.このような背景から,本研究では,機械翻訳に基づく,安価かつ高速な自然言語推論データセットの構築手法を提案する.提案する構築手法は二つのステップからなる.まず,既存の大規模な自然言語推論データセットを機械翻訳によって目的の言語に変換する.次に,翻訳によって生じるノイズを軽減するため,フィルタリングを行う.フィルタリングの手法として,評価データと学習データに対し,それぞれ別のアプローチをとる.評価データは,正確さが重要となるため,クラウドソーシングを用い,人手で検証する.学習データは,大規模な自然言語推論データセットでは数十万ペアの問題が存在するため,翻訳文の検証を自動的に行い,効率的にデータをフィルタリングする.本研究では,機械翻訳を用いた逆翻訳による手法と,言語モデルによる手法の二つを提案する.本研究では,SNLI を翻訳対象とし,日本語を対象言語として実験を行った.その結果,評価データが 3,917 ペア,学習データが 53 万ペアのデータセットを構築した.このデータセットは BERT に基づく自然言語推論モデルによって 93.0 %の精度で解くことが可能である.
著者
隅蔵 大幸 奥野 龍禎 高橋 正紀 荒木 克哉 北川 一夫 望月 秀樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.224-228, 2013-03-01 (Released:2013-03-23)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

症例は76歳男性である.71歳より耳の奥でカチカチ鳴る音を自覚した.75歳から進行性の歩行障害が出現した.睡眠時も持続する約2 Hzの律動的な口蓋振戦と体幹失調をみとめ,脳MRIでは下オリーブ核のT2異常高信号と肥大,軽度の小脳萎縮をみとめた.近年,孤発性の変性疾患としてprogressive ataxia and palatal tremor(PAPT)という症候群が報告されている.診断にあたっては,多系統萎縮症,脊髄小脳変性症,成人型アレキサンダー病などの鑑別を要するが,本例では否定的でありPAPTに該当すると考えられた.本例の口蓋振戦は症候性と考えられたが,耳クリック音で発症した点が特異であった.
著者
石川 知夏 小林 哲生
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.522-529, 2021-12-01 (Released:2021-12-15)
参考文献数
13

Given recent evidence that the visual shape of alphabetic characters such as “B” and “K” influences the bouba/kiki effect (Cuskley et al., 2017), it is interesting to rate and analyze the roundness-sharpness of characters in other languages. To address this issue, the present study experimentally rated the roundness-sharpness of Japanese Hiragana characters using Japanese-speaking, Japanese hearing-impaired, and English-speaking adults. The results showed significantly high correlations of roundness-sharpness ratings between all groups of participants, suggesting that in Japanese, character roundness-sharpness ratings are stable regardless of the amount of auditory input in Japanese. Moreover, in order to examine the roundness-sharpness of characters corresponded to nonsense words in previous bouba/kiki experiments, we analyzed the effects of consonants ([m], [n], [r] vs. [k], [t], [s]) and vowels ([u], [o] vs. [i], [e]) on character roundnesssharpness ratings. The participants of all groups showed significantly rounder ratings toward characters that corresponded to round related sounds ([m], [n], [r], [u], [o]) than sharp related sounds ([k], [t], [s], [i], [e]). These findings suggest a correspondence between the visual shape of characters and the visual figures of previous bouba/kiki experiments in terms of roundness-sharpness.
著者
横手 逸男 ヨコテ イツオ Itsuo Yokote
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.50, pp.149-164, 2014-02

天皇陛下や皇族方は、さまざまなご公務を通じて、国民との絆を深められている。 一方、現行「皇室典範」では、皇族女子は、「天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れ」なければならず、現在の皇室の構成に鑑みると、女性皇族が婚姻を機に皇籍を離脱した場合、皇室のさまざまなご活動の維持が困難になる。このような状況に対処すべく、ヒアリングが実施されたが、有識者の意見は大きく対立した。平成24年10月5日に野田内閣が発表した「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」では、皇族数の減少に歯止めをかけ、皇室のご活動の維持を確保するためには、「女性皇族が一般男性と婚姻後も皇族の身分を保持しうることとする制度改正について検討を進めるべきである」と結論づけたが、ヒアリングを行なうに際し示された「皇位継承問題には触れない」という前提条件にもかかわらず、「皇位継承問題」に関する大きな論争を招いた。しかし、皇室の直面している問題は深刻であり、これらの問題に関する政府の積極的なとり組みが必要である。In October 2012, the administration of Noda Cabinet released a report ofestablishing female Imperial branch families in light of decreasing numbers ofImperial Household members. But it remains unclear how the government ofAbe, which took over in December 2012, will handle the issue. Under the currentImperial House Law, sooner or later, a situation may arise in which there is noeligible candidate for the Imperial Throne. A stability of the Imperial successionis an important issue that affects the country's foundation. Therefore the promptestablishment of a system that will ensure the stability of the Imperial succession isan important for Japan.
著者
二階堂 祐子
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.118-128, 2019

<p> 科学と医療の進展によって細胞内の染色体やDNAの形状が解明されると,科学者らはその状態に「欠損」「不全」「過剰」などの言葉を付与した.名を与えられたそれらはその後,あたかも構築をまぬがれた実体であるかのように,個体の社会的差異の源泉としてふるまうようになった.こうして,遺伝子の状態が障害の原因であると診断された人の身体は,能力主義的に,あるいは見た目によって価値づけられると同時に,ある遺伝情報を実体として構築するための舞台になっているといえる.</p><p> 本稿では, 遺伝性疾患のある人が,文化的構築物である遺伝情報をどのように用い,受け止めているのかをインタビュー調査事例より明らかにした. 結果,数値や記号として示される診断告知としての遺伝情報と,インタビュー協力者が不可逆的な生の時間の流れを振り返って用いる遺伝情報は,象徴的媒体としての働きが異なっていることがわかった.協力者の生の時間の流れにある遺伝情報は,他者(家族や友人,介助者,医療者,教育者等)との関係,手術の経験,薬の摂取,補助具の利用等の記憶を刻印する媒体として機能していたのである.</p>