著者
中牧 弘允
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.349-379, 1993-03-25

日本の会社は社葬や物故社員の追悼儀礼をおこなうだけでなく、会社自体の墓をもっているところがある。このような墓は会社墓とか企業墓とよばれ、高野山と比叡山におおくみられる。本稿は高野山の会社墓一〇三、比叡山の会社墓二三をとりあげ、その基礎的なデータを提出するとともに、今後の課題を提示することを主な目的としている。会社墓には創業者の墓や物故従業員の供養塔がたてられている。本稿では、とくに物故従業員の供養塔に焦点をあて、その歴史をあとづけるとともに、名称や形態の分析をこころみている。さらに、関西に集中する会社や組合の地域的ひろがりや、その業種にも言及している。会社供養塔には建立誌が付随することがおおい。そうした建立誌を対象に、その趣旨を七項目に分類し、分析をおこなっている。その項目とは、①建立の契機、②会社発展(先人)に対する感謝、③先人の霊供養、④会社発展に対する祈願、⑤安全祈願、⑥顧客への感謝、⑦高野山や比叡山の賛美である。会社供養塔にかかわる物故者追悼儀礼については、コクヨと千代田生命の事例をとりあげ、若干の比較をこころみている。
出版者
日本貝類学会
雑誌
ヴヰナス (ISSN:24329975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3-4, pp.App3, 1938-12-25 (Released:2018-01-31)
出版者
日本貝類学会
雑誌
ヴヰナス (ISSN:24329975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3-4, pp.App2, 1938-12-25 (Released:2018-01-31)
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.906, 1997-09-08

今年5月、米ユナイテッド航空、独ルフトハンザ・ドイツ航空、タイ航空などの世界の有力な航空会社5社が、「スターアライアンス」という大がかりな「戦略的提携」を結んだ。 戦略的提携とは各地域の航空会社が手を結び、路線のネットワークの拡大をはじめ、コスト削減、営業力・顧客サービスの向上などを強力に推進するものだ。
著者
矢野 裕介
出版者
神戸医療福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、大日本帝国剣道形増補加註(1933年)の制定に向けた討議の様相が克明に記された近藤知善筆の討議記録の解読を通して、その内容を把握するとともに、討議の対象となった大日本帝国剣道形加註(1917年)の構成項目ごとに分析を加え、関係各氏21名のうちの誰が、どの箇所に、どのような意見を述べているのかを明らかにするものであった。分析対象とした範囲では合計131の意見が出されていた。加えて、解読した131の意見の内容と1933年の大日本帝国剣道形増補加註を比較した結果、合計40の意見がそれに反映、継承されていることが解明された。
著者
岡本 隆嗣 橋本 圭司 大橋 正洋 宮野 佐年
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.868-874, 2004-12-18
参考文献数
25

2000年5月から2003年11月までに,当院入院しリハビリテーションを行った蘇生後脳症患者14名(男性13名,女性1名,平均年齢45.3歳)の機能予後および問題点を,当院入院時データより検討した.発症から入院までの期間は264±294日であった.家族の介護負担感の観点から,発症より1.5~6.5年経過した2004年5月現在の監視の程度をSupervision Rating Scale (SRS)により評価し,自立~部分監視(SRS 1~7)であった6名を予後良好群,常時監視(SRS 8~13)が必要であった8名を予後不良群とした.診療録より後方視的に,Japan Coma Scale(以下JCS)3桁持続期間,脳画像所見でのびまん性脳萎縮の有無,神経心理学的検査,Functional Independence Measure (FIM),当院退院時の転帰,現在の社会参加状況,障害者手帳取得状況について検討を行った.2群間の比較で,JCS 3桁持続時間,びまん性脳萎縮の有無,Mini-Mental State Examination(以下MMSE),Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised(以下WAIS-R),FIM運動・認知でそれぞれ有意差を認めた.リハ病院入院時における,予後予測因子として,これらは有用であると考えられた.予後良好群では,退院後,社会復帰可能となった例が多く見られた.予後不良群では,入院中,神経心理学的検査を施行できない例がみられ,またFIM認知項目は入院中に有意な改善を認めなかった.また身体・認知の両方とも障害されている例が目立ち,退院時と1.5~6.5年経過時の監視程度はほとんど変わらず,手帳・介護保険でのサービスを多く利用していた.
著者
日野林 俊彦 南 徹弘
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

思春期から青年期にかけての発達においては、性に関わる発達が重要な役割を果たすと考えられる。日本における女子の性的発達は、発達加速現象の進行により平均初潮年齢が世界的に見ても著しい低年齢の12歳3.7ヶ月まで低下したように、時代的に大きく変化してきている。本研究においては、この初潮に代表される性成熟が、思春期における性的同一性の発達に影響を及ぼしていることが確認された。なお、この初潮や性的同一性の発達には、47都道府県別の資料で著しい国内地域差が確認された。特に沖縄県においては、平均初潮年齢12歳0.1ヶ月と最も低い一方、性的同一性の発達においても否定的傾向の発達が最も早く顕著な傾向が確認された。他にも、誕生の月と初潮の月の相関や、早生まれのものの相対的な早熟傾向等、女子思春期発達における顕著な心身相関を示唆する傾向が確認されている。一方、大学生・短期大学生等の調査結果から、青年期中期以降の発達には、思春期変化の直接的な影響は見られなくなる傾向が示唆された。しかし、性的同一性の発達が、大学入学時の満足度や自己評価に影響することに見られるように、各個人の同一性の発達が、女性性の発達や進学決定過程に影響を及ぼすことが分析された。女子の発達において、思春期変化の時期にあっては性成熟における早遅が性意識の発達に影響を及ぼす形で心身相関が顕著に見られる。しかし、青年期中期以降には、思春期変化の直接的な影響は減少し、性役割への心理的適応が青年期発達全般と関連することが示唆された。今後は各ライフ・サイクルにおける女性の性的発達と性差の問題の解明が必要である。
著者
米倉 豊 北島 雄人 杉野 晴章
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.256-259, 2020-03-25 (Released:2020-04-30)
参考文献数
6

【はじめに】外傷性足部腱断裂は比較的まれな疾患である.本研究では骨折のない外傷性足部腱断裂について調査し,検討した.【対象と方法】対象は2014年1月から2018年12月までに当院を受診され,骨折のない外傷性足部腱断裂と診断された4例であった.全例男性で平均年齢は56.8歳,平均経過観察期間90.5か月であった.新鮮例は3例で,陳旧例は1例であった.受傷原因と受傷部位,神経血管損傷の合併,手術までの期間,固定期間,荷重開始時期について調査した.【結果】受傷原因は草刈り機が2例,チェーンソーが1例,ガラスが1例であった.受傷部位は伸筋腱3例,屈筋腱1例であった.手術までの期間は新鮮例で0から1日,陳旧例は46日であった.固定期間と荷重開始時期はそれぞれ平均術後3週で,可動域訓練は全例術後より自動運動を開始した.術後経過は良好であった.良い術後成績を得るためには強固な腱縫合と早期の可動域訓練,適切な免荷が重要である.
著者
小林 美津江
出版者
佛教大学社会福祉学部
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
no.17, pp.109-130, 2021-03-01

本研究の目的は,障害者政策における第二次大戦後のコロニー収容と,現代の市場化後の地域生活には共通する排除と隔離が存在するのか,またその蓋然性があるのかについて分析し,今後の障害者政策に示唆を得ることである。研究の背景には,障害者支援の場がコロニーからグループホームに移行したが,問題を起こすと事業主が警察に通報し精神病院に入院させたり,行方不明や自殺するケース等が起こっている。分析対象は,旧優生保護法と厚生白書,海外のコロニーとその思想の輸入,福祉実践家への影響,コロニー設立時の状況,公的福祉の後退と市場化後の現状,障害者福祉のあり方等である。分析結果は,コロニー収容には国の経済発展を背景にした社会防衛論と優生思想に基づく障害者の排除と隔離が存在した。市場化後の状況にも利潤優先による排除と隔離が発生していた。結論は,コロニー収容時代だけでなく市場化後も排除は起こり続けており,その蓋然性があった。障害者を権利の主体者として事業を行えるのは公的福祉であり,そのための再検討が求められる。コロニー収容社会防衛論優生思想公的福祉の後退市場化
著者
小林 美津江
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会福祉学研究科篇 (ISSN:18834019)
巻号頁・発行日
no.45, pp.19-35, 2017-03-01

本研究は,障害者の「知る権利」について,世界の主な差別禁止法と障害者権利条約の内容を検討し法理を明らかにすることを目指す。その理由は,知的障害者,自閉スペクトラム症,高齢者,外国人等一般の情報提供では理解できない人達の「知る権利」が充足されていないとの問題意識を持っているためである。「知る権利」は,憲法第21条の表現の自由から派生する権利だが,それだけでなく憲法第13条幸福追求権や第25条生存権など基本的人権と関わりを持つ重要な権利であると考えるからである。アメリカ公民権法の法理はADA法に適用され,その後,障害者権利条約に反映されている。「合理的配慮」は,直接差別禁止,間接差別禁止を目的としており,イギリスMCA法は自律支援の観点から重度障害者,認知症高齢者等に意思決定能力があるとしている。人としての「知る権利」の保障はどうあるべきで,社会の中でどう根ざすか課題である。知る権利公民権非差別平等合理的配慮障害者権利条約
著者
高瀬 文武
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.12, no.Supplement1, pp.52-75, 1966 (Released:2013-05-10)
参考文献数
46

Studies of the pharynx and soft palate, in connection with respiration, deglutition or articulation, have been greatly performed from the viewpoint of comparative anatomy or embryology; however, there are few topographic studies on the pharynx of the human adults. For this reason, the author investigated, macroscopically in principle and histologically in part, of the muscular, vascular and nervous system in both pharyngeal wall and soft palate, and considered physiological functions of the pharynx on the basis of the results obtained. Then a schematic diagram of the pharynx has been established from the anatomico-surgical point of view.Either the tongue, pharynx and larynx isolated en masse from the reserved 45 cadavers or the capital and cervical portions isolated in the mass from 2 cadavers were the material for the study. These materials were cut sagittally, and the states of blood vessels, nerves and muscles were observed from the inner surface of the pharynx under binocular stereomicroscope (10×, 24×and 60×). The results are as follows.1. It is concluded that Passavant's ridge is an elevation of the mucous membrane of the posterior pharyngeal wall produced by the contraction of the superficial portion of M. palatopharyngeus.2. In plastic surgery for cleft palate, a breaking of the hook of the pterygoid process in addition to a sufficient detachment of its basal portion may be necessary for decreasing the mechanical tension in the palatal region.3. In palato-pharyngoplasty (Schonborn-Rosenthal's method ), the superior based pharyngeal flap is significantly more effective in preventing atrophy than that from the inferior based pharyngeal flap, taking account of the site of entrance of blood vessels, because in the former not only the acquisition of the transplant with a stalk is easier but preservation of the blood vessels is better.
著者
柴 有香 桜井 慎一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.297-303, 2005-10-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

全国各地の河川において親水テラス整備が進められる中で、橋梁の真下にあたる橋梁下空間は大部分が手付かずの状態で取り残されている。しかしながら、全国の行政機関のうち約8割もがゴミの不法投棄といった問題を橋梁下空間に認識していること、さらにはそれら問題が河川空間全体の質を左右することが本研究から明らかとなり、整備の必要性がないとは言い難いであろう。そこで本研究では橋梁下空間の整備を阻む事情やその要因を把握し、整備を進める上で取り組むべきと考えられる課題を示すことを目的とした。その結果、橋梁下空間と親水テラスとして整備される橋梁間とを一体的に捉えるといった認識改善が行政機関に求められることなどが明らかとなった。