著者
大矢 吉之
出版者
関西憲法研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:1343635X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.21-51, 2007-12-26

Ichiro Ozawa, representative of Democratic Party which won the House of Councilors election objected to extension of Antiterrorism Law, and the law lapsed on November 1. As for the reasons of his opposition, he said that the refueling activity of the Marine Self-Defense Force in the Indian Ocean is a cooperation to the American war and the use of the right of collective self-defense is not recognized by the Japanese constitution. He published his essay in "Sekai" magazine and clarified the thought. This article examines these problems critically.
著者
有山 薫
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.6, pp.402-409, 2014-06

昨年の秋ごろレストランにおける食材の誤表示が発覚し,食品の原材料,産地の表示問題が改めて注目を集めた,酒類については地理的表示に関する表示基準により,本格焼酎の「壱岐」,「球磨」,「琉球」,「薩摩」,清酒の「白山」が保護されているところであるが,平成25年7月,ワインの「山梨」も新たに国税庁長官から指定されている。また,果実酒の平成24年度の課税移出数量は約35万KLとなっており,ワインがかなり普及してきている。しかしながら,本稿には日本産ブドウ原料との表示がある市販ワインの原料が外国産である可能性が示されている。ワイン製造に携る方々には本稿をよくお読みいただき,もう一度自社製品の表示について消費者の視点に立って見直して頂きたい。
著者
清河 幸子 手塚 聡
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

本研究では,酢,醤油,砂糖から構成される調味料を材料として,言語的符号化が味の記憶に及ぼす影響を検討した。具体的には,32名の大学生に対して,ターゲットとなる調味料の味を記憶するよう求めた後,一方の群では,その調味料の味について言語的に記述することを求めた。もう一方の群では,味とは無関係なクロスワードパズルを解くよう求めた。その後,強制2肢選択型の再認課題を実施し,判断に対する確信度を7段階で回答するよう求めた。なお,ターゲットとディストラクタの類似度の影響を検討するために,砂糖の量を操作し,両者の類似度が高い条件と低い条件の2条件を設定した。結果として,ターゲットとディストラクタの類似度にかかわらず,正しい判断を行った場合の確信度が言語的符号化を行った群で有意に低くなることが示された。この結果は,味を言語的に捉えることがその記憶を妨害することを示唆するものとして解釈された。
著者
宮城 淳
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.320-324, 2012-03-30
参考文献数
22
被引用文献数
4

醤油造りは, 古来より一麹 (きく : 麹造り), 二櫂 (かい : 諸味のかく拌), 三火入れ (香りづけ, 色づけおよび殺菌) の三工程が重要であるといわれている。製品化においても醤油の色は, 品質上, もっとも大切な要素の一つである。今回, 千葉県の消費者176名を対象とした醤油の購入に関する意識と醤油の色の嗜好性について調査を行った。醤油購入の際の選択動機は, 「価格」と同様に, 「銘柄」や「品質」を重視する傾向があった。色の嗜好性は, 用途によって異なり, 「つけ醤油」や「麺つゆ (つけ汁) 」用は色の濃い方が, 「ポン酢醤油」や「煮物」用, 「麺つゆ (かけ汁) 」用は色の淡い方が好まれた。「ポン酢醤油」や「煮物」用については, 性別による色の嗜好性の差異も認められ, 女性の方が淡い色を好む傾向があった。年齢層別による色の嗜好性の差異は, 全体的には認められなかった。本調査結果は, 今後の消費者ニーズに応じた商品開発や販売戦略の基礎資料として期待される。
著者
松浦 宏之 吉田 幾久子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.99-102, 1957

1. 常備食の保存性を検討するため,ねりみそ,食酢,醤油を利用し,ねりみそ類7種,調味酢液漬け2種,醤油漬け1種を試作し,牛乳瓶,蓋付かめに肉詰めし,牛乳瓶は沸騰水中,かめは蒸気中で20~30分間加熱殺菌した。<BR>2. 牛乳瓶詰め試料は17ケ月蓋付かめ詰め試料は7ケ月室温に貯蔵したが,各試料とも五感的に腐敗は認められなかつた。<BR>3. ねりみそ類の組成分析,調味液汁中の細菌測定の結果から,各試料ともかなり強力な保存力を有することが認められた。<BR>4. 以上の結果は,各試料に類する食品にライフアンの使用が可能なことを示しているものと考えられる。
著者
古川 壮一 平山 悟 森永 康
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.228-238, 2014-04

日本の伝統的発酵食品に関与する微生物は,麹菌,乳酸菌,酵母,酢酸菌などであり,これらの微生物は古くから生育環境が類似しているため共に協力しながら,共存・共生する環境で利用されてきました。こうした微生物内の相互作用が,発酵プロセスの安定化に重要な役割を果たしてきたと思われます。ここでは伝統的発酵食品として,清酒・ワイン・ビール・蒸留酒・酢・醤油・味噌・乳製品などに関わる微生物の共存と共生の意義について解説して頂きました。
著者
馬場 美智 深蔵 紀子
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.14-21, 1962-07-01

リボタイドの呈味性について検討した。得られた結果は次の通りである。(1)リボタイドを0.01%蒸溜水溶液にした場合,パネルの52.1%が味を識別した。高温度では感覚鋭敏となるので90℃では70.8%が認知し得た。又その加うべき0.01%のリボタイド液の20%を0.1%MSG液で置き換える事により90.3%となった。(2)0.7%食塩水の場合は蒸溜水より,10%程上廻り平均61%がリボタイド添加を認知い得た。(3)3%食酢に添加した場合味の認知は顕著で,リボタイド単独添加では92.0%,MSGと併用した際は95.8%が味を認知した。(4)醤油の場合は更に高く,単独併用共に100%認知し得た。これは食酢,醤油中のグルタミン酸類との相乗作用によるもので両者共にMSG単独使用では,はるかに劣る結果が得られた。(5)一般調理に使用した結果,リボタイドとMSGの併用が有効であり,0.01%リボタイドと0.1%MSGを合せ添加した場合,その配合割合が20:80とか50:50とかのようにリボタイドの添加率の多いもの程美味であるという結果が出た。特に鶏がらスープ,のっぺい汁,ほうれん草胡麻和え,胡瓜三杯酢等が著名である。それに反して添加物以外の呈味性の強いもの,調味料濃度の高いもの,或いは根菜の煮付等とはさほど効果がみられなかった。今後の研究によって最も有効な使い方を工夫したい。
著者
田口 敏夫 堀越 彌 栗原 潤一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.206-215, 1981-05-15
被引用文献数
1

仮想計算機システム(VMS:Virtual Machine System)を用いると 1台の実計算機のもとで複数個のOSを同時に走行させることができ かつ システム開発のための豊富なテスト機能が使えるので システム開発に従事する者にとってきわめて魅力的なシステムである.すなわち VMSを利用することによって 計算センタ・サービスとシステム開発作業とが並行して行えるわけである.しかし 問題点としては 断続的に行われるシステム開発作業のために 実計算機システム(BMS:Bare Machine System)からVMSへ切り替える必要が生じ このために30分以上のロス・タイムが生じることがあった.VMSからBMSへ移る逆の場合にも同一のロス・タイムが生じ これらの時間が無視できないため いわゆるオープン使用でシステム開発を行うのが従来の姿であった.そこで 筆者らはこの改善策としてシステム開発作業が必要になったときに 計算センタ・サービスを停止することなくVMSの制御プログラムが忍び込み(クリープ・イン動作) 動的にVMSの環境を創り出し システム開発作業の終了後は逆にBMSへ戻る(クリープ・アウト動作)機能を実験的に開発した.本機能はVOS3(Virtual-storage Operating System3)を対象として (1)VOS3下で走行する新たな制御プログラムと (2)VMSとの交信機能を設けて実現している.現在 BMS からVMSへの切替えは17秒逆への切替えは2秒で実現できている.本機能によって 最近の24時間運転サービスとシステム開発作業のための時間確保という2つの相反する要求を満たすことが期待される.
著者
松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.740-743, 1986

本報告では,サトウキビの2品種,'竹蔗'と'N:CO'の茎と葉のcis-アコニット酸とリンゴ酸の季節変化について報告した.研究の主目的は,これらの酸とショ糖含量にもとついて収穫の最適時期を決定することである.cis-アコニット酸は,両品種の茎において10月に最高値を示した.一方,両品種の葉においては,8月に最高値を示した.リンゴ酸は,'竹蔗'の茎においては11月に最高値を示し,'N:CO'の茎では10月に最高値を示した.'竹蔗'サトウキビの最適収穫時期は茎における最高のショ糖とcis-アコニット酸含量から10月になると考えられる.
著者
星野 三喜夫 HOSHINO Mikio
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 = Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.48, pp.1-19, 2017-01

フィリピンと中国の南シナ海を巡る係争に関し2016年7月12日に常設仲裁裁判所が出した裁定は、中国の南シナ海域内の資源に対し中国が主張する管轄権や歴史的権利を否定したが、同裁定は常設仲裁裁判所が執行機関を持たないことから「強制力」がない。しかしながら、たとえ「強制力」はないとしても裁定は「最終的」かつ「法的拘束力」を持つ。中国は下された裁定に従う意向を見せず、同海域での動きを活発化させている。裁定は力ではなく法に基づく海洋法秩序の維持という観点から、当事国のみならずすべての国・地域が真摯に受け止めるべきものである。国連海洋法条約により組織された常設仲裁裁判所によって出された裁定を尊重しないということは、中国が国連の加盟国として国際社会で法と秩序を守る責任感を欠如していること、また、国連の常任理事国としての失格がないことを認めたのと同義である。日本及び国際社会は、国連という国際社会の秩序の枠組みと法規範に基づいて決定されたことでであっても、強大な軍事力と経済力を持ってすればこれを無視することもできる、といった誤ったメッセージで既成事実(fait accompli)を形成してしまわないよう、裁定に従わない中国に対し、あらゆる場で協調して対応していく責務がある。今次の裁定は、旧約聖書の羊飼いの少年ダビデが巨漢戦士ゴリアテを倒し勝利した寓話を思い起こさせるが、フィリピン及び周辺国・地域をローマ軍を撃破した古代ギリシャのピュロス王の「割に合わない勝利」に終わらせてはならない。
著者
"春日 雅司" "カスガ マサシ" Masashi" "KASUGA
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.117-131, 1995-07

"戦後わが国では,男性と同等の権利として女性の参政権が認められた。国と地方を問わず,選挙を重ねる毎に女性の投票率が男性のそれを上回るようになり,女性の政治参加も活発になってきたかのように見える。だが戦後50年を経過してもなお,わが国の地方政治家はその大部分が男性で占められ,女性は投票はするが立候補(と当然のことながら当選)はしないという事実がある。ではなぜ女性は立候補しないのか,あるいは女性の地方政治家が少ないのか。その理由として,筆者は女性が男性に比べて立候補しようとする動機づけが弱いからではなく,その動機づけを促す社会の側に強力な障害があるからではないかと考えている。そこで,これまで男性中心の議員についてあてはめていた,「地元出身候補は,その集票基盤として基礎的な関係により多く依存する」という仮説が女性議員の場合にもあてはまるのかということについて,地元出身グループとそうでないグループを男女議員でコホート化し,筆者が提示した有権者と候補者の「政治的相互作用」モデルにもとづいて検証した。その結果,1)地元出身の女性候補は,地元以外の候補に比べ「血縁」関係を重視し,地区推薦も高い割合で受けている,しかし,2)政党支援ならびに後援会の所有については両者に差がない,ということが分かった。このことから,一見仮説があてはまるかのように思えるが,これを男性議員の場合と比べると,1)基本コホートである地元出身と地元以外の割合についてみると,女性議員の7割が後者であったのに対し,地元出身の男性議員は逆に7割に達していた,2)「血縁」関係の重視については男性議員に比較すべきデータはなかったが,地元出身の女性議員が地区推薦を受けているといっても,地元以外の男性議員が受けている割合に比べても少ないものであった,3)出身地にかかわらず女性候補は政党から公認を受けている割合が高い,4)女性候補はいずれも後援会に強く依存している,という特徴を持っていた。以上を総合的に勘案すると,やはりこの仮説は検証されなかった,と言える。つまり,女性候補は地元出身であっても,地区推薦という基礎的関係に依存できないし,またその分,政党や後援会という機能的関係に依存しなければならないのである。これは基礎的関係の重視という,これまで男性本位で形成されてきた日常的社会関係の延長線上に投票・集票行動があるため,女性候補の7割が地元でないという事実は重く,一方で出世地を変えることで強い問題意識を持ちながらも,他方で徹底的に地域社会から乖離しているため,基礎的関係に依存できないでいる。そのことは,結局たとえ強い動機が形成されたとしても,出馬のための客観的条件が不十分であり,そのことが更なる動機形成を阻止するということを説明するものである。""Since the second world war, Japanese women have gotten at last the same voting rights as men. Irrespective of general elections or local ones, the voting rates of women have gradually come to be more than that of men as elections progressed. It looks as if the political participation of women were more active. However, although a half century has passed since the war, almost all the seats of councillors are still occupied by men. It is an undeniable fact that many women vote, but few of them stand as a candidate for local elections. Why don't they stand, or why are there few women councillors in Japan? My conception is that women's motivations for standing are not weaker than that of men, but the existing social system that has been organised with men is an obstacle in the development of their motivations for standing. I have insisted that men councillors who have not moved from their birthplace depend on the fundamental relationships in elections. In this paper, using the survey data from women councillors in the whole of Japan and men councillors in the Kinki area, I examined whether my hypothesis which I have adopted to men's councillors is true for women councillors as well. My hypothesis is that 'Candidates who were born in the same place as their candidacy have a tendency to obtain a great number of their votes mainly from fundamental relationships to electors, not from functional ones'. I divided women and men councillors into four Cohort groups : women and men candidates whose present addresses are the same as their birthplaces (Cohort A and Cohort C). Women and men candidates whose present addresses are different from their birthplaces (Cohort B and Cohort D. The percentage of each Cohort : A=28%, B=69%, C=72%, D=28%). My findings are as follows : 1. Cohort A attached much importance to kin-relationship. 2. The percentage of neighbourhood-recommendation (Chiku Suisen) in Cohort A was higher than Cohort B, but it was lower than Cohort D. 3. The percentage of official approvals by political parties between Cohorts A and B were almost the same (about sixty per cent). And this percentage was the same for Cohort D. 4. Fifty or more per cent of Cohorts A and B depended on their supporter associations (Koenkai). In the final result, my hypothesis was not testified. Undoubtedly Women candidates who were born in the same place as their candidacy relied on kin-relationship, but it was an individual one. So the amount of kin-relationship was normally small. And they couldn't necessarily depend on the fundamental relationships of the neighbourhood-recommendations. Instead of it, they had to rely on party and supporter associations. In Japan elector-candidate relationships have been based on their fundamental social relationships in which men play important roles. This was the reason why Gimoto (both the birthplace and their candidacy are the same) Giin was only one-quarter in women councillors, although three-quarter in men councillors. In general, women, who move from their birthplace (normally speaking, because of their marriages), acquire penetrating eyes to social problems on the one hand, but on the other, due to their estrangement from their new neighbourhood-community that is their husband's address, they can't rely on it when they hope to stand. Japanese women have critical minds, but there are not enough social circumstances that stimulate them to stand for election."