著者
大石 貴之
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.30-30, 2010

<B>I はじめに</B><BR> 近年,日本における緑茶の消費量はコーヒーや紅茶など,他飲料の消費量が増加したことによって減少傾向にある。また,1990年代から登場した,ペットボトル飲料に代表される緑茶飲料は,大手飲料メーカーが緑茶の原料となる荒茶を安く大量に仕入れることによって,高級茶の茶価を低下させることとなった。緑茶原料の生産者である荒茶の加工工場は,こうした茶価の低迷によって経営が厳しい状態となっており,消費部門や流通部門の動向は生産部門である茶産地に与える影響が大きい。<BR> 茶業における生産部門と流通部門を対象とした既往の研究,特に茶の一次加工品である荒茶の流通について検討した研究では,荒茶を調達して最終製品である仕上げ茶を加工する茶商の重要性が指摘されている(坂口 1998)。その一方で,静岡県の高級茶産地を取り上げた深瀬(2008)は,荒茶のほとんどが農協で最終製品に加工されて小売店に供給され,茶商への出荷割合は相対的に少ないなど,必ずしも大手茶商の存在が重要でないと指摘している。また,茶商は経営規模や形態によって荒茶の調達先やその方法が異なり,茶商の存在が荒茶工場に対していかなる影響をもたらすのかを検討することは,緑茶流通の構造を明らかにする上で重要な課題である(木立 1985)。<BR> そこで,本報告では生産部門である荒茶工場を対象として,工場の経営形態によっていかなる荒茶製造・出荷が行われ,出荷先である茶商がいかなる販売行動を行っているのかを検討する。その上で,各荒茶工場が荒茶供給構造においてどのような役割を果たしているのかを明らかにする。<BR><B>II 鹿児島県南九州市知覧町における荒茶の生産・流通</B><BR> 本報告の対象地域である鹿児島県南九州市知覧町は,1970年代から1980年代にかけて茶の栽培面積が増加し,茶が町内の基幹作物となっている。知覧町における荒茶の流通は,茶商に対する相対取引が多かったが,1990年代に知覧町の荒茶工場を管轄する知覧茶業センターが,各工場を巡回して荒茶を受け取って市場などに配送するシステムを確立してからは,市場出荷の割合が増加した。知覧町では,このほか相対取引によって荒茶が茶商へ供給される。<BR> 2010年現在,知覧町における茶工場数は36で,自園で摘採される生葉を中心として荒茶加工を行う個人工場,複数の農家が共同で荒茶工場を設立して組合員の生葉によって荒茶加工を行う組合工場,個人が経営主となって,自園で摘採される生葉に加えて他農家から生葉を調達して荒茶加工を行う法人工場に分けられる。<BR> 個人工場は9工場で,1番茶や2番茶などの高級茶のみを生産し,荒茶の出荷先は県内茶商であるという工場がほとんどである。また,仕上げ茶に製造して小売販売をする工場も多く,その多くが知覧町内の観光地にある土産店で販売したり,指宿,枕崎など近隣自治体の観光地にある土産店やホテル等に出荷したりしている。組合工場は9工場で,1番茶から秋冬番茶に至るまで,5期全てにおいて荒茶を製造しており,高級茶である1番茶や2番茶は一部の工場で茶商へ出荷する割合が多いものの,ほとんどが茶業センターを通じた市場出荷である。組合工場では,組合員の話し合いによって出荷先が決定されるために,リスクの大きい相対取引を選択する傾向が低い。法人工場は残りの18工場が該当し,所属する農家は工場に生葉を出荷すると共に,工場における荒茶製造にも参加している。出荷先は工場の生産規模によって異なり,比較的生産量の多い工場では市場出荷を中心に,茶商との相対取引も行っている。一方で,生産量の比較的少ない工場では茶商との相対取引による荒茶出荷が多いが,近年では市場への荒茶出荷量も増加傾向にある。<BR><B>III 鹿児島県の茶商にみる荒茶の調達と供給</B><BR> 知覧町で生産される荒茶の28%にあたる1371tは,茶業センターを通じて鹿児島県茶市場に出荷される。鹿児島県茶市場では,買参権を持った鹿児島県内の茶商27社が参加して入札による取引が行われる。知覧町で生産される荒茶を多く取り扱う茶商は,鹿児島県内に4社立地しており,調達した荒茶のほとんどは静岡県を中心とした県外の茶商に対して荒茶の状態で供給している。このうち,知覧町内に立地するA社は,荒茶取扱量2000tのうち半数の1000tを鹿児島茶市場から,残り半数の1000tは知覧町を含む南九州市や枕崎市など近隣の約80工場から相対取引によって直接調達している。荒茶供給先は静岡県内の茶商が多く,仕上げ茶に製造後に小売店で販売したり,仏事用に利用されたりする。また,JAS法が改正された2004年以降,「知覧茶」の使用を希望する茶商が増加傾向にあり,直接調達した荒茶が多く供給されている。<BR>
著者
上杉 修平 Muhammad Madden 熊谷 卓也 前田 能孝 明田川 正人
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.927-928, 2012

前報までの変位センサの構成はフォトダイオードを4個×3セット使用しアライメントが困難であった.また,得られるリサージュダイアグラムはスピンドルの回転に伴い中心,半径が変動した.本報では周波数可変レーザを用いた正弦波位相変調法を採用し,センサ1セットに対しフォトダイオードを2個とした.干渉縞信号を同期検波することで90°位相の異なる2つの正弦波を得た.さらに,リサージュダイアグラムを規格化した.
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.295, pp.64-67, 2009-04

1941年生まれ。自動車メーカー勤務を経て、弟からホームセンターの経営を引き継ぐ。97年、鹿児島県阿久根市に「A-Zスーパーセンター阿久根店」(A-Zあくね)をオープン。2005年、川辺町(現南九州市)に2号店を、09年3月、霧島市に3号店を開店した過疎地のスーパーセンターという新業態を確立させた。
著者
岡林 巧 齋藤 利一郎 内谷 保 大竹 孝明 南金山 裕弘 兵動 正幸 村田 秀一 山本 哲朗 中田 幸男 北村 良介 藤井 照久 日下部 伸
出版者
鹿児島工業高等専門学校
雑誌
鹿児島工業高等専門学校研究報告 (ISSN:03899314)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.35-43, 1998-09
被引用文献数
1

1997年3月26日17時31分、鹿児島県北西部の薩摩地方を震源とする鹿児島県北西部地震(M6.5)が発生し、鹿児島県北西部は、主として斜面、道路、構造物に大きな被害を受けた。また、同年5月13日14時38分、鹿児島県薩摩地方を震源とする鹿児島県第2北西部地震(M6.3)が再度発生し、前地震による被害を拡大する形で鹿児島県北西部は、この2つの地震により本調査だけでも計466件にのぼる各種の被害を確認するなど甚大な地震災害となった。本研究は、内陸山間部で地震による液状化地盤災害を起こした薩摩郡入来町の造成住宅地の地盤特性を知ることを目的として、液状化地盤のスウエーデン式サウンデイング試験、非排水単調せん断試験および非排水繰返しせん断試験の3種類の試験を行い考究したものである。Northwest Kagoshima Prefecture Earthquake (M6.5), which occurred at 5:31 p.m. on March 26 in 1997, and a secondary one (M6.3), which occurred at 2:38 p.m. on May 13,caused a great ground disaster in some places close to the seismic center. This research is to investigate the ground characteristics in-situ by conducting Sweden sounding experiment at the residential quarter in Iriki -cho of Satsuma -gun, which found liquefaction ground disaster in mountains. As a result, the undrained cyclic and monotonic shear behaviour of Shirasu is found to be greatly dependent on the confining pressure and its density. The undrained cyclic shear stress :ratio to cause failure increases in loose specimen while it decreases in dense specimen with increasig confining pressure.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ネットビジネス (ISSN:13450328)
巻号頁・発行日
no.50, pp.97-98, 1999-09

シャープ製品のユーザー向けにネットで情報を提供する「シャープスペースタウン」が、新規顧客の開拓などで成果を上げている。機器とコンテンツとの連携は、様々な端末がネットにつながるデジタル情報家電時代に向けた戦略の中核をなす。 「従来は機器の開発という立場からネットワークをとらえていたが、これからはネットワーク側から機器を見直す時代に入った」——。
著者
田中 謙介
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.39-47, 2006-01-31
参考文献数
9
被引用文献数
2

観察・実験を重視し,体験的な学習を推進していくことが求められているなか,環境学習をはじめとして様々な化学種の定量分析をする機会が増している。微量分析には通常,高価な分析機器が必要となるが,教材として簡易比色計など自作装最も数々報告されている。今回は比色計よりも感度に優れる蛍光光度計を自作開発し,リボフラビン(ビタミンB_2),フルオレセインの濃度測定を行った。同一試料3回ずつの測定値は安定しており,2種の化合物ではいずれも良好な検量線が作成できた。以上の実験の後,本装置を用いた授業実践を行った。生物を選択する生徒16名を対象とし,一人一実験の形態でビタミン剤に含まれるリボフラビン含有量を測定させることを目的とした。授業の後,生徒の測定結果と質問紙調査から本装置の教材としての有効性を評価したが,(1)測定精度,(2)生徒の意欲・関心,(3)分析法への理解,(4)装置の操作性,いずれも良好な結果を得た。リボフラビンは栄養素としての位置づけから,理科のみならず家庭や保健においても重要な学習内容となっており,今回の教材には教科横断的活用が期待できる。
著者
河野 英一
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.115-116,a1, 1997

現在の「私学の大学院」について, 思うところを私学・日本大学の大学院を例にしつつ述べた。<BR>それは, 私学大学院と博士前期 (修士)・後期課程の設置の目的, 農業土木学に関わる分野を基幹にする各私学大学院の研究科・専攻・専門分野・入学定員・入学試験科目等の内容紹介, 私学大学院の改組の計画, 私学大学院で培われる諸能力・得意科目の活かし方等への進学者における心構えについてであった。