著者
下坂 智恵 下村 道子 寺井 稔
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.1213-1218, 1996

近年, 日本では, 骨粗鬆症の原因ともなるカルシウムの摂取量の不足が問題となっている.日本人は, 昔から魚を多く摂取しており, 骨ごと食べられる小魚は, 重要なカルシウム供給源の一つといえる.そこで本研究では, 魚の骨を利用するための基礎的な研究として, 魚の骨を水中で加熱したときの物性および成分の変化について調べようとした.マアジの骨を, 水中で数時間加熱し, レオメーターを用いて破断強度を測定した.魚骨の無機成分は, 高周波誘導結合プラズマ (ICP) 発光分析法により測定した.マアジの骨の厚さの80%まで圧縮するのに要する最大荷重は, 30分間で急激に低下し, その後も加熱時間が長くなるにつれて徐々に低下した.加熱時間が長くなるとともに, 魚骨のタンパク質は減少し, 加熱液中のタンパク質は増加した.マアジの骨は, 加熱時間が長くなるとともに軟化したが, カルシウムの大部分は, 魚骨に残っていた.水中で加熱したマアジの骨が軟化したのは, 骨のタンパク質の一部が加熱液中に溶出し, 骨の構造が変化したことによるのではないかと考えられる.
著者
畑江 敬子 大沼 葉子 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.505-510, 1990
被引用文献数
9 5

サケ鼻軟骨を薄切りにし, 4%酢酸水溶液に168時間まで浸漬し,物理的,化学的変化を調べ,以下の結果を得た.<BR>(1) サケ鼻軟骨は酢酸処理により,生臭さがなくなり,軟らかくもろくなり,食品として好ましいテクスチャーとなるが,浸漬時間は24時間程度が適当であった.<BR>(2) 軟化はテクスチュロメータによる硬さ,圧縮に要するエネルギーおよび保水性の測定によっても確かめられ,浸漬初期に変化が大きかった.<BR>(3) 軟骨のpHは比較的短時間のうちに浸漬液のpHに近づき, 168時間後には軟骨のpHは浸漬液のpH(pH3.10)に等しくなった.<BR>(4) 水分,粗タンパク質はほとんど変化せず,糖質と灰分の減少が著しかった.<BR>(5) 糖質と灰分の主成分であるムコ多糖とカルシウムは著しく減少し, 168時間後には未処理の1/2以下となった.
著者
海津 忠雄
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.103-129, 1982-05

Es war erwahnt, dass Hans Holbein der Altere, der in bittere Armut geriet, im Jahre 1517 seine Heimat Augsburg verlassen hatte, und dass sein Spatwerk in Lissabon, der "Lebensbrunnen" mit Datum 1519, nicht in Augsburg, sondern in Isenheim, Luzern oder Basel entstanden ware. 1964 hat Maria Julieta Ruival die maximilianischen Motive, die den Kunstler auf Kaiser Maximilian I. beziehen lassen, nachzuweisen erstrebt. Aus ihren Versuch ist aber die Schlussfolgerung zu ziehen, dass der Kunstler im Jahre 1519 in Augsburg lebte. 1974 hat der Verfasser des vorliegenden Aufsatzes eine Hypothese vorgeschlagen, dass der "Lebensbrunnen" bereits um 1514, das Jahr, in dem die Stadtsteuer Hans Holbein dem Alteres erlassen wurde, entstanden ware. 1977 hat Bruno Bushart, der 1965 Basel als Sterbeort des Kunstlers nannte, seine Auffassung revidiert und dargelegt, dass der Kunstler im Jahre 1519, nach der kurzen Reise ins Oberrheinland, in Augsburg den "Lebensbrunnen" ausfuhrte. Meiner Meinung nach weist das Augsburger Gerichtsbuch vom 12. Januar 1517, das wiederholend zitiert ist, nicht darauf hin, dass Hans Holbein der Altere in bittere Armut geriet. Vermutlich beschloss er im Jahre 1524 in Augsburg seine Tage. Aber diese Auffassung stellt die Devise der "Malerfamilie Holbein in Basel", eines der Leitthemen der heutigen Holbeinforschung, das behandelt, dass Hans Holbein der Altere zu einigen Jugendwerken von seinem Sohn Hans in Basel beitrug, in Frage.
著者
佐原 理
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.117-124, 2008-03
被引用文献数
1

インタラクティビティーの追求は今日の芸術に大きな影響を与えた.人間は視覚や聴覚,嗅覚,味覚,バランス感覚などの様々な感覚を通じて現象を捉える能力を有する.単一の感覚器で捉えられる現象はそのモノの認知に繋がる,しかし複数の感覚器から同時に得られる反応からは高度に複雑な感覚を得ることができる.感情と呼ばれる感覚はこの複雑な感覚の反応の頂点にあるものである.これらの複雑に絡み合った人間の感覚は複雑な反応をもたらし認知される.新しいテクノロジなどによって新たに拡張された人間の感覚としてのインターメディアアートはインタラクティブな反応を伴い,芸術の表現の一部として成立すると考える.この仮定に基づき,いくつかのコンセプチュアルなインターメディアアートを名古屋文理大学にて制作した.また,新たな芸術概念を文化の一部として定着させるためにはマスメディアがその多くの役割を通訳する形で担っている.芸術が文化の一部として社会に存在するのであれば,このことはインターメディアアートのような新たな概念にとっても重要な視点である.それゆえ,教育機関としての名古屋文理大学というローカルな場から,インタープリテーションプロジェクトを展開した.
著者
逆井 宏
出版者
宝塚造形芸術大学
雑誌
Artes : bulletin of Takarazuka University of Art and Design : 宝塚造形芸術大学紀要 (ISSN:09147543)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.31-45, 2000-03-31

筆者はかねてから「モノから都市への視点」を据えて電話ボックス・郵便ポスト・街灯・公共トイレなど街の道具について考察を重ねてきた。本稿は,同じ視点にたって,飲用水の供給が不充分であったイギリスの18世紀,19世紀において街かどに設けられた水泉と牛馬用水桶はまさに当時の低所得層の人々にとっては「生命の泉」であった。本稿の研究目的はPhilip Dayies著『Trogh&Drinking Fountains』に依拠しつつ生命の泉」が果した役割と意義を考察することにある。
著者
中原 朗 大木 一郎
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.727-745, 1976

High frequency oscillators have been developed and utilized for endoscopic polypectomy. Animal experiments were performed before applying them clinical trials. The results obtained from animal experiments and the findings by clinical trials were reported.1. Among oscillators, a transistor type which can provide a regular wave seemed to be most suitable. One with a built-in timer as a safety device is preferable.2. Degree of changes in the mucous membranes caused by high frequency current were almost proportional to the intensity and time of flow of electric current, however they were inversely proportional to the size of the area of the mucous membrane where an electrode were attached.3. Pathological study showes that changes in the tissues induced by coagulating wave sometimes continued to proceed over 1-2 weeks. Therefore, while performing polypectomy it is desirable to try to leave a polyp root by 3-5 mm in length.4. The size of a postoperative ulceration and the days required for its healing were dependent upon the thickness of pedicle, the duration of current flowed, and the place where the snare was set.5. Postoperative bleeding sometimes occured in cases in which the polyp had been removed with incomplete coagulation.6. Endoscopic polypectomy could be a perfect biopsy method which can cover demerits of usual biopsy methods. Further histological studies on removed polyps could provide the in formation for the definitive treatment of malignant polyp.7. We believe that there would be no accidental complications with enough understandings of properties of cutting and coagulating wave.
著者
鬼塚 尚子
雑誌
帝京社会学
巻号頁・発行日
no.15, 2002-03
著者
荻野 弘之
出版者
理想社
雑誌
理想 (ISSN:03873250)
巻号頁・発行日
no.695, pp.187-194, 2015
著者
坂井 登志高 永井 将太 藤川 諒也 土山 裕之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>運動学習では運動イメージが学習効果に有効と報告されている。一方,運動イメージの鮮明性によって学習効果に個人差があると報告されている。また,運動イメージを補助するために運動観察が利用されているが,観察条件の差異によって運動イメージを想起する難易度が異なり,学習効果に影響をもたらす可能性が考えられる。本研究の目的では運動イメージ能力を評価し,その能力が学習効果に及ぼす影響を検討することと,運動観察の条件の差異が学習効果に及ぼす影響を検証することである。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>成人健常者45名(年齢21.0±0.7歳)を対象とした。運動イメージ能力としてメンタルローテーション(MR)課題を評価した。MR課題では左右の手背,手掌が各々時計回りに0°,90°,180°,270°回転してある写真を16枚使用した。ランダムに提示後,正確に素早く左右どちらかを回答してもらい,各対象者の平均反応時間を算出した。</p><p></p><p>学習課題として不安定板(DIJOCボード,酒井医療)上での立位課題とした。対象者に不安定板の両端が床につかないように提示した。学習効果判定のため,不安定板に内蔵された加速度計により安定指数を算出した。課題試行前(試行前),課題試行10分後(10分後),課題試行1日後(1日後)に評価した。各期間の学習変化率として10分後・1日後を試行前の値で除した値を算出した(10分後変化率・1日後変化率)。</p><p></p><p>課題は身体練習と運動イメージを行う群(運動イメージ群),身体練習と腹側の運動観察を行う群(腹側観察群),身体練習と背側の運動観察を行う群(背側観察群)の3群に分け,各群15名ずつとした。運動イメージは身体練習後に筋感覚的イメージを提示した。運動観察は身体練習時の腹側・背側から撮影し,身体練習後に運動観察を行った。身体練習を20秒間,運動イメージおよび運動観察は2分間行い,各5回施行した。</p><p></p><p>統計学的解析はMR課題平均反応時間と各期間の学習変化率の関係をみるため,Spearmanの順位相関分析を用いた。各群の学習効果を検討するため,二元配置分散分析・多重比較(Tukey法)を用いた。全ての検定における有意水準は5%未満とした。解析はSPSS(IBM社)を使用した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>運動イメージ能力の指標であるMR課題平均反応時間と各期間の学習変化率の関係では,平均反応時間と1日後変化率にて正の相関を認め(r=0.38,p<0.05),運動イメージ能力が高いほど,有意に学習効果は高くなった。運動観察条件の差異が学習効果に及ぼす影響の検討では,3群ともに施行前と10分後・1日後のみに有意に立位バランスが改善したが(p<0.01),各群間の交互作用はなく,運動観察の差異による学習効果の影響はなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>成人健常者では運動イメージ能力が高いほど学習効果が高くなると推察できる。一方,運動観察条件の差異では学習効果に影響を与えることはなかった。今後は高齢者や脳卒中患者などの運動イメージ能力が低下している患者で検証していく。</p>
著者
尊鉢隆史
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.149-160, 2012-03-31

前回の研究「小学校体育指導におけるリレー競技の指導」『関西国際大学研究紀要』第12号(平成23年3月31日)1)では,セパレートコースを利用し,理想的なバトンパスを行なうことが,どの程度記録の伸びをもたらすかを明らかにした。 しかし小学校におけるリレー競技の指導では,トラックを周回することで行なわれる。従って,今回は小学校高学年の児童を対象に,実際に授業で行われる曲走路を含んだオープンコースを使用し,リレー競技における理想的なバトンパスの指導法について研究を行った。その結果,曲走路を含むリレー競技の指導では,トラックの曲走路部分にリレーゾーンを設定することにより,ダッシュマークが固定され理想的なバトンパスを行うことができると考えられる。また,上記の方法を用い,短距離走の記録から二人でバトンパスを行ったときの記録(期待値)を設定し目標を定めたところ,記録の伸びをもたらすことができた。
著者
木村 啓造
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.113-122, 1986-01-01
被引用文献数
1
著者
村上 陽太郎
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.420-426, 1987-03-01
被引用文献数
2