著者
緒方 正名 藤沢 邦康
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.259-266, 1991

わが国における代表的な石油汚染魚の発生例について記述した. また, 全国の水産試験場へのアンケートによる油臭魚発生を集計し, 年代別, 地域別, 原因別に分類した.<BR>水島海域で発生した油臭魚 (油臭ボラ) の中に石油精製工場排水に由来するトルエンを同定した. ついで, 岩国海域で捕獲された油臭魚から, 単環芳香族化合物, オレフィン類 (A重油成分) を検出した. また, 水島コンビナートに存在する石油精製工場の重油タンクからのC重油漏洩事故の際に, 水島海域で捕獲された石油汚染魚 (カレイ) からアルキルベンゾチオフェン類の有機硫黄化合物を検出した.<BR>現在までの成績から石油による環境および生物モニタリングには, 海域環境中試料としては海水, 海底泥が, また, 生物ではムラサキイガイが指標生物として適当であることが認められた.また, 石油汚染の指標化合物として, トルエンなどの単環芳香族化合物およびアルキルベンゾチオフェン, ジベンゾチオフェン, アルキルベンゾチオフェンなどの有機硫黄化合物が有効であることを述べた.
著者
久世 夏奈子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.143-189, 2014-09

本論では、一九二八年十一月から十二月に日本で開催された「唐宋元明名画展覧会」について、いわゆる「外務省記録」を中心に用いて考察する。 「唐宋元明名画展覧会」は「日華聯合絵画展覧会」の主催団体であった東方絵画協会と、同展覧会へ「対支文化事業」より助成費を支出していた外務省関係者との間で発案され、事実上東方絵画協会によって実施された。当初は第五回日華聯合絵画展と前後して開催予定であったが、中国側会員間の内紛により同展が延期されたために単独で開催された。 中国人に対する賛助・出品交渉は、中国大陸において国民革命軍による(第二次)北伐の開始からその完成(北京政府の消滅)を経て、(南京)国民政府が新体制を確立するまでと同時期に行われた。特に北伐開始直後に日中の軍隊が衝突し(済南事件)、その解決交渉が十カ月に及んだだけでなく中国では対日不買運動が盛んとなったが、中国人収蔵家と国民政府首脳が出品と賛助に同意して開催が実現した。 展覧会への出品点数は、中国人三百点強、日本人三百点弱、合計六百点超である。中国人出品者は旧北京政府の閣僚経験者、画家、実業家が多数を占める一方、日本人出品者は実業家が半数近くを占め、古寺・旧大名家・公家、勲功華族も含まれた。伝称作者の時代では明代が最も多く四割以上、宋代・元代を合わせて九割近くに上り、清代・五代・唐代が若干含まれた。その内容は当時の日中における収蔵内容の差異だけでなく、日本における新旧収蔵家の交代をも反映した。 結論として、「唐宋元明」展は第一に近代日本における中国絵画受容の論点より見れば、戦前における新来の中国絵画紹介の集大成であり、日本人の中国絵画観の修正を決定づけた。第二に近代日中関係史における文化外交の論点より見れば、近代以降の複雑な背景と多彩な陣容からなる日中双方の官民の利害に十分に一致し、日本の対支文化事業の明白な成功事例であった。
著者
Martina Becatini
出版者
東京大学フィレンツェ教育研究センター
雑誌
Cultura Italo-Giapponese : Annali del Centro Studi e Ricerche dell'Università di Tokyo in Firenze
巻号頁・発行日
vol.1, pp.73-115, 2004-06

19世紀後半から岩倉具視や岡倉天心の訪問を受けたフィレンツェでは、幾人かの美街商と蒐集家を中心に日本文化への関心が高まった。次第に日本趣味は本格化し、プッチーニの『蝶々夫人』はその好例となった。一方、マッキア(色斑)派と呼ばれる画家たち、ファットーリやシニョリーニらはパリのジャポニスムを担う画家同様、日本の浮世絵を重要な霊感の源とみなしていた。またトスカーナ地方には、アール・ヌーヴォーの流れの中で日本趣味をとりいれた室内装飾や建築物が残されている。
著者
佃 和夫 佐藤 吉哉
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1435, pp.64-66, 2008-03-31

問 国産初のジェット旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」は日本の技術力の粋のような製品ですね。世界で戦える自信はありますか。 答 今まで通り米ボーイングや欧州エアバスの下請けとして航空事業をやっていれば、経営者として大きなリスクを取らずに済みます。薄利ですが、大けがをしませんから。しかし、これでは将来、生きていけないのです。
著者
橋本 滋男
出版者
同志社大学
雑誌
基督教研究 (ISSN:03873080)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.65-78, 1999-12

論文
著者
坂口 恵子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.350-355, 1998-06-01

会議情報は先端の科学技術分野の研究者にとって, 最新の情報が入手できる等情報の価値は高い。しかし販売部数が少ない, 通常の出版ルートで入手出来ない, 書誌事項に不備が多い, 主催団体, 開催などが一定でない等の理由から入手しづらい情報とされている。今回は情報を入手する立場からどのような検索ルーツがあり, どのような手段で入手できるかを主眼にまとめた。会議録情報として会議開催情報, 会議情報索引誌, 会議録所蔵情報について最新の情報検索ツールを中心にまとめた。また論文単位で入手する場合の方法についても述べている。
著者
小川 剛
雑誌
崇城大学芸術学部研究紀要
巻号頁・発行日
no.8, pp.31-48, 2015

本稿は、熊本でこれまで行われてきたマンガ関連の催事や展覧会を調査し、その主催団体や経緯など現状を明らかにするものである。また、熊本にゆかりのあるマンガ家およびマンガ業界関係者の調査報告も併せて行う。これらの調査内容は、2014年8月7日崇城大学にて開催されたシンポジウム「マンガ文化で熊本を活性化」で得られた情報を中心に筆者が追加調査したものである。熊本におけるマンガを活用した事例調査は、今後の地域振興に生かすことができる可能性を明示している。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1752, pp.50-55, 2014-08-04

1台当たり500万〜1000万円と高級スポーツカー並みの価格だが、今年4月には長崎県のテーマパーク「ハウステンボス」が導入。スケルトニクスはロボットのレンタルサービスも始めており、利用はじわりと広がり始めた。 スケルトニクスの夢は大きい。
著者
豊田 かおり
出版者
文化学園大学
雑誌
文化学園大学紀要. 人文・社会科学研究 = Journal of Bunka Gakuen University (ISSN:21871124)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.101-114, 2014-01

大正末期から昭和初期にかけて,日本は近代化が進展し,西欧の文化や思想が一般に浸透しはじめた。第一次世界大戦後,女性の進学や就職の増加に伴い,上流階級ばかりではなく,一般の女性たちがシンプルで機能的な洋服を着用しはじめ,西欧のファッションが同時代的に取り入られていくようになった。さらに1923(大正12)年の関東大震災を契機に合理的・近代化の象徴である洋服の着用がメディアによってさらに促進された。女性たちは長い黒髪を切り,洋服を着こなし,「モダンガール(通称モガ)」と呼ばれるようになった。しかし,さまざまな分野で注目を浴びたモダンガールは,東京人のパーセンテージにすれば,ごくわずかであった。やがてモダンガールには「毛断」ガールという蔑称までつき,その自由で活発な行動が非難されはじめた。本研究では,「モダンガール」が文学作品においてどのように描かれていたか見ていくべく,龍胆寺雄の『放浪時代』,広津和郎の『女給』を取り上げた。
著者
伊奈 和夫 池野 直 中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.288-291, 1965
被引用文献数
1

生カキおよびオイスターソースの呈味成分について検討を行なった結果,<BR>(1) 生カキとオイスターソースの呈味成分は,コハク酸とグルタミン酸が主体でこれにグリシンと推定される物質ならびに微量の5'-リボタイドが補助的に影響している。<BR>(2) 生カキでは美味といわれる冬期にこれらの呈味成分が多い。<BR>(3) これらの呈味成分はソース製造中にほとんどそこなわれない。<BR>(4) 生カキをpH 3で自己消化させると呈味成分がもっとも増加し,酵素消化との併用はソースの製造に有効な手段と思われる。