著者
上野 乃毅
出版者
Japan Society for Software Science and Technology
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.30-38, 2009-10-27

ソフトウェアへの機能追加のために実装の大規模な刷新が必要になることがある.実装刷新において後方互換性を完全に保つのは難しく,作業の途中で頓挫する例が後を断たない.実装刷新に失敗すると,開発プロジェクトでは巻き戻しの作業が発生するだけでなく,実装刷新を担当した開発者がモチベーションを欠き,長期的な生産性低下に繋がる恐れがある.本論文では,オープンソース開発における実装刷新の失敗事例を調査し,共通の要因とその対処法を明らかにした.調査の有効性を示すために,世界中に膨大な数のユーザを抱えるソフトウェアGNU Emacsの暗号化サブシステム(約4500行)に関して,提案手法に従って刷新を行なったところ,作業を円滑に完遂できた.
著者
大城 宜武 中村 完 芳澤 毅
出版者
沖縄キリスト教学院大学
雑誌
沖縄キリスト教学院大学論集 (ISSN:13498479)
巻号頁・発行日
no.1, pp.31-45, 2005-02

本研究は、日本復帰30年目の沖縄における住民意識について検討することを目的とする。2002年に実施されたアンケート調査で得られた2,100人分のデータについて検討したものである。戦争、自治、人権について復帰前後の変化の有無、戦争、自治、人権に対する態度と年齢との連関を中心に検討した。主な結果は以下の通りである。1.米軍基地の存在が、平和の危機、自治権侵害、人権侵害の主因であると考えるものが多い。2.沖縄に駐留する日本の自衛隊については、やや寛容な意見が多い。3.日本政府の沖縄の民生の安定に関する施策については好意的な評価がなされている。4.年齢と戦争、自治、人権の間の連関は有意であり、高年齢層は明白な態度を示し、若年層は消極的な態度である。5.日本復帰への評価は「どちらともいえない」が一番多く、積極的な肯定または否定は避けられていた。Based on a questionnaire survey conducted in September 2002 for 2,100 Okinawan subjects of five age groups (ranging from 17 to 60 years old or over), the study aims to examine their social awareness. It mainly reviewed the correlation between their attitudes toward the war, autonomy, the human rights in Okinawa and the age groups. The main results were as follows: 1. Many of them thought that the presence of the U.S. military bases in Okinawa is the primary cause of crises such as disturbance of peace, suppression of local autonomy, and violation of human rights. 2. Many of them are rather tolerant of the Japanese Self-Defense Forces stationed in Okinawa. 3. Many of them gave a favorable evaluation for the Japanese government's policies on Okinawa's social welfare. 4. The correlations among the age and the attitudes towards the war, autonomy, and the human rights are statistically significant: the higher-age bracket had explicit opinions; contrary, the youngerage layer showed less concern. 5. Many of them avoided to comment strongly on the issue of re-annexation of Okinawa by Japan: most of them answered; "it was neither good nor bad."
著者
小林 三世治
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.264-269, 2002-12-17
被引用文献数
2

てんかん治療中の被保険者(23歳女性)が寮のトイレで死亡しているところを発見された。死体検案書には「直接死因てんかん発作」と書かれていた。しかし,死亡の前日に被保険者・勤務先の養護施設に入所していた園生から受けた暴行が原因で死亡したとして,災害関係保険金の支払請求が契約者側からなされ,裁判になった。保険者側は,文献を引用しながら,てんかんによる突然死(病死)を主張した。判決は,急激かつ偶然な外来の事故に基づく死亡とはいえないとして,契約者側の訴えを斥けた。
著者
浜野 保樹
出版者
放送大学
雑誌
放送教育開発センター研究紀要 (ISSN:09152210)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.23-31, 1993

1993年1月にアメリカを訪問し、マルチメディアに関する人材育成の実体について調査した。訪問機関は、センター・フォー・クリエイティヴ・イメージング、アメリカ映画協会、南カリフォルニア大学、カリフォルニア大学の4ヶ所である。長い歴史を有する映画とテレビの人材育成機関が、既にマルチメディアについてのカリキュラムを作り出し、新しい人材育成を開始していることがわかった。研修内容を見ると、ハリウッド以来のエンターテイメント指向が強く、各機関は新しいビジネス市場に人材を供給することを目指している。マルチメディアの人材育成以外にも、HPCCの資料収集のために全米科学財団を訪問し、マルチメディア技術によって放送局自体のダウンサイジングを実現したオレンジ郡ニューズチャネルを訪問した。
著者
宇都宮 啓吾
出版者
訓点語学会
雑誌
訓点語と訓点資料 (ISSN:04546652)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.1-17, 2011-03
著者
岸部 宏一
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア21 (ISSN:13463799)
巻号頁・発行日
no.154, pp.96-99, 2002-08

国内の診療所数は10万に迫り、それでもなお新規開業ラッシュが続いている。他院との競合は避けられなくなっており、勝ち残るためには、広告戦略がこれまで以上に重要となってきた。 自院の広告については、開業当初は熱心に取り組むものの、開院後しばらくするとなおざりにされているケースが少なくない。
著者
CHACE Jr. Fenner A.
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.16, 1987-07
著者
乃木 章子 塩飽 邦憲 北島 桂子 山崎 雅之 アヌーラド エルデンビレグ エンヘマー ビャンバ 米山 敏美 橋本 道男 木原 勇夫 矢倉 千昭 花岡 秀明 井山 ゆり 三原 聖子 山根 洋右
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.649-659, 2004-11-30
被引用文献数
1 3

農村地域で肥満, インスリン抵抗性, 脂質異常, 高血圧を合併した代謝症候群が増加している。代謝症候群に対しては体重減少が有効とされているが, 白人と日本人では肥満と代謝症候群の関係に差異が見られる。日本人での体重減少と生活習慣変容, 体重減少と代謝症候群の改善についての実証的な研究は少ないため, 体重減少に寄与する要因, 体重減少と代謝症候群改善との関係を研究した。2000~2003年に健康教育介入による3か月間の肥満改善プログラムに参加した住民188名を対象とした。参加者の平均体重減少は1.3kgであり, BMI, ウエスト囲, 血圧,総コレステロール, LDLコレステロール, 中性脂肪の減少, HDLコレステロールの増加を認めた。相関および回帰分析により, 摂取熱量減少, 消費熱量増加が体重減少に寄与していることが明らかになった。一方, 体重変化との有意な相関が認められたのは, 各種肥満指標, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロールであり, 血圧とLDLコレステロールでは有意な相関を認めなかった。体重変化量と有意な相関が認められた血液生化学的検査値の変化量との相関係数は比較的低く, 体重変化量は中性脂肪や総コレステロールの変動の10%以下しか説明しなかった。代謝症候群の改善における体重減少の有効性について, アジア人の民族差に着目した体重減少の有効性に関する実証的な研究が重要と考えられる。
著者
Saito Tomomi Nakajima Kiyonori Konishi Kooichi
出版者
瀬戸臨海実験所
雑誌
PUBLICATIONS OF THE SETO MARINE BIOLOGICAL LABORATORY (ISSN:00372870)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.147-153, 1998-12-25

First zoea of a rare alpheid shrimp Vexillipar repandum Chace, associated with a deep-sea hexactinellid sponge, is described and illustrated based on laboratory-hatched material. The general morphology of the first zoea of V. repandum is similar to those of the previously-known examples of Alpheus. A diagrammatic key for identification of the family among caridean zoeas is proposed.
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, 2014-03

・アクセシブルな観光 第3報-地元の認知症介護関係者による観光地調査- 大橋 美幸 1-15・函館の観光交通に関する調査-観光ループバス、函館山ロープウェイ及び中国語圏観光客の移動- 大橋 美幸 17-58・函館都心商店街の盛衰と商業者の意識調査 中井 郷之 59-80
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.845, pp.68-72, 2007-03-26

建物がひしめき合う都心の住宅地。唯一開かれた前面道路に対して、この家は開口部を一切設けていない。しかもそのファサードは、真ん中が膨らんでいる。 設計者である中村拓志氏(NAP建築設計事務所、東京都世田谷区)は、「きっとここから議論が始まるのだろう」と思いながら建て主の塩山雅之さん、まなみさん夫妻にこのプランを提示した。
著者
中川 幸二 秋葉 機四郎 石塚 與喜雄
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.13-21, 2011

This study was to propose a replaceable event at night with low visibility on the observation deck of Mt. Hakodate. Two possibilities were studied. The first was to project a picture of night view on cloud. To check this possibility, flow distribution around Mt. Hakodate was studied by numerical simulation and water tunnel experiment. The result showed a very low possibility. The other was to project a picture such as night view on a water-sprayed screen. This experiment indicated that the screen has another utility besides as a part of fire prevention system.
著者
水野 柳太郎
出版者
奈良大学史学会
雑誌
奈良史学 (ISSN:02894874)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-26, 1991-12

『日本霊異記』上巻第五話「信敬三寳得現報縁」には、はじめに、 大花位大部屋栖野古連公者、紀伊國名草郡宇治大伴連 等先祖也。天年澄情、重尊三寳。案本記日。①とあって、これ以下は「本記」に依って「大部屋栖野古」と聖徳太子に関する説話を記している。この「本記」は、八世紀中ごろ以降に、屋栖野古の功績を述べ、紀伊国名草郡の宇治大伴連が改姓を願い、あるいは郡司の譜第の承認求めたときの上申文書であろう。「大部屋栖野古連公」を、大伴氏の中心人物であるとする見解がまま見受けられるが、説話の内容を過信した誤解であって、紀伊の国大伴連に関する説話であることはいうまでもない。「本記」に見える日付にはおよそ三種類があって、『日本書紀』の日付や記事と奇妙な関係がある。これは、「本記」の作成にあたり、『書紀』編纂の材料と関係があるいくつかの寺院縁起などを見て、その年月と内容、あるいは適当な年月・年月と日付の干支などを利用したことによって生じていると考えられる。「本記」の成立時期は降っても、そこに利用された寺院縁起には、『書紀』の材料となった時期の姿を遺すところもあると考えられるので、この点に注目して考察を進めたい。『霊異記』の引用は、「興福寺本」と「国会図書館本」を利用して、意味が通ずるように私見によって改めた。引用の順は、『霊異記』の段落の順ではないので、文末に『霊異記』の記載による段落の順序を示しておく。なお、「屋栖野古」は、これ以後すべて「屋栖古」になっているので、「野」を窟入と考え、「屋栖古」とする。