著者
村井 雄司 青木 裕美 田中 睦 首藤 かい 近藤 有紀 倉重 圭史 疋田 一洋 安彦 善裕 齊藤 正人
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.509-517, 2014-11-25 (Released:2015-11-25)
参考文献数
63

生体を覆う上皮は,重層や角化および上皮間の緊密な結合により病原体が生体に侵入することを防ぐ物理的防御機構と,抗菌ペプチドを発現することにより病原体の付着を抑制する化学的防御機構を有している。活性型ビタミンD3 の生理活性は,カルシウム代謝調節による骨リモデリングのみならず,上皮細胞の分化誘導や,免疫調節に関わっていることが明らかになっている。本研究では活性型ビタミンD3 をヒト角化上皮細胞株(HaCaT 細胞)に添加することによる,抗菌ペプチドの発現変化を明らかにすることを目的とした。HaCaT 細胞は,活性型ビタミンD3 添加により抗菌ペプチドであるhBD-1, hBD-2 およびLL-37 mRNA と,それぞれのペプチドの有意な発現上昇を認めた。しかしhBD-3 は変化を認めなかった。本結果から活性型ビタミンD3 は角化上皮の化学的防御機構に寄与し,これを増強すると考えられた。また発現上昇を認めた抗菌ペプチドは,齲蝕原因菌や歯周病菌に対しても抗菌作用を有するため,良好な口腔環境維持するうえで活性型ビタミンD3 の存在が重要である可能性が示唆された。

2 0 0 0 OA 2.Q熱

著者
渡辺 彰 高橋 洋
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2406-2412, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
6

Q熱は,リケッチア類似のCoxiella burnetiiによる肺炎や気管支炎等の総称であり,一過性熱性疾患である.欧米では市中肺炎の第4~5位を占めており,血清抗体価の有意上昇で診断する.無治療でも死亡率は1~2%と予後良好であるが,一部に遷延例や慢性型もあるので確定診断例や強い疑いの例では積極的に治療する.偏性細胞内寄生性の本菌にβ-ラクタム薬は無効であり,テトラサイクリン薬やマクロライド薬,キノロン薬が奏効する.
著者
週刊時事編集部編
出版者
時事通信社
巻号頁・発行日
1961
著者
尾沢千春著
出版者
尾沢千春
巻号頁・発行日
1985
著者
岡 智
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.631-635, 1977-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
12
被引用文献数
1

エチルα-D-グルコシド (α-EG) は清酒にのみ特異的に多量に含まれている成分で, その清酒中における存在が明らかにされたのはつい数年前のことである。α-EGが清酒の香味構成の上で果す役割と, その生成機構を知ることは, 麹に替えて酵素剤が多く用いられる傾向にある時, 意義あることといえよう。
著者
手塚 集
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.267-276, 1998-12-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
13
被引用文献数
1

This paper surveys recent developments on numerical algorithms for high dimensional multiple integration. First, we present Wozniakowski's theorem published in 1991, which revealed a remarkable connection between the integration error and the discrepancy via the classical Wiener measure. Then, we introduce low-discrepancy sequences, by means of which one can compute the arithmetic mean of a number of sample values of the integrand as an approximation to the integration. As a concrete construction method of low-discrepancy sequences, we give the definition of generalized Niederreiter sequences and a brief introduction of Niederreiter-Xing sequences, which are constructed by using algebraic function fields. Finally, we describe Smolyak's algorithm, which is an algorithm computing the weighted mean of sample values of the integrand. Sample points that this algorithm uses are called hyperbolic cross points. An interesting result by Wasilkowski and Wozniakowski on this algorithm is presented.
著者
水谷 尚子
出版者
麗澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

(1) 1950~70年代の在外ウイグル人亡命者に関する公文書調査の結果は、以下の通り。中国共産党との内戦に敗れ台湾に渡った中華民国政府は、(1)国連へ新疆を脱出したウイグル人亡命者保護を強く要請し、自らも相当な経済的援助を行っていた(2)ウイグル人在外亡命者組織と中華民国政府は「反共」(反中国共産党)というイデオロギー的結束で、1960年代までは深い繋がりを維持していた(3)蒋介石の死後、特に中華人民共和国が改革開放に舵を取ってからは、両者の往来が消失する、等、これまで知られていない中国国民党とウイグル人亡命者の結びつきが、台湾に於ける文献調査により明らかとなった。(2)中央アジアでの現地調査の成果は、以下の通り。(1)「カザフスタンのウイグル人」については既に幾つかの先行研究が存在するが、「キルギス共和国のウイグル人~そのコミュニティ、民族組織、ウイグル語メディア等~」について言及する論考は存在しなかった。本研究によって、キルギスのウイグル人社会の全容が明らかとなった。(2)「東トルキスタン共和国」時代に政府中枢に比較的近い部署にいて、その後、中央アジアに移住し、民族組織に関わってきた人々にインタビューすることができた。とりわけ、「東トルキスタン共和国」時代に政府公報に勤務し、漢語文献の翻訳やメディア工作に従事したムニール・イェルズィン氏へのインタビュー記録は、他に類例のない貴重なものである。
著者
岡島 賢治 鏑木 諒 飯田 俊彰 安瀬地 一作
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.215-221, 2012-04-25 (Released:2013-04-25)
参考文献数
21

農地石垣の実態と特徴を把握するため,まず,これまで曖昧なまま用いられていた農地石垣に関する用語を整理して明確化し,次に,西日本を中心に農地石垣地域を12地域選定して,現地調査とヒアリング調査を行った.調査対象地域では,農地石垣は急傾斜地の農地の開墾の際により広い農地を確保するために,地山から産出する石材を用いて築造されていた.農地石垣の構造に関しては,野石,雑割石を用いた野面積みによる空石積み工が主体であった.また,石組には対象地域間の傾向の違いは認められるものの,ひとつの対象地域内で築造時期や修復時期などによる多様性が顕著であった.さらに,断面構造を道路石積み擁壁のものと比較した場合,勾配,裏込材の質,量や基礎部に大きな違いがあることが把握された.
著者
中嶋 哲也
出版者
スポーツ史学会
雑誌
スポーツ史研究 (ISSN:09151273)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.27-40, 2011-03-31 (Released:2017-03-18)
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to clarify how the ideology of Budo was changed after the Japan-China War in 1937. Specifically the discussion is focused on both Taro Inaba and Yasutaro Fujio's criticisms of Jigoro Kano's opinion of Kodokan. At the "Kodokan Excommunication" case in 1937, Kodokan judo was rejected due to the criticism Inaba, and Fujio was a member of the punishment council. The concept of Kodokan advocated by Kano, "Seiryokuzenyo (the way to use most efficiently the body and spirit of human being)" and "Jitakyoei (the way to live together in mutual prosperity)", aimed to contribute to the international society after World War I. But the concept was criticized by Fujio and Inaba from the standpoint of "Nihon-Seishin (Japanese spirit)". "Nihon-Seishin" as proposed by Fujio and Inaba, emerged in the background of the National Spiritual Mobilization just after the Japan-China War. Kano originally disliked "Nihon-Seishin", but the situation changed in1938 such that Kano held a meeting on "Nihon-Seishin" and was obliged to say in public that he was trying to encourage "Nihon-Seishin". It may be said that the event marked the beginning of a rejection of the character of internationalism in Kodokan as "Jitakyoei" due to the xenophobia nature of "Nihon-Seishin". In conclusion, we comment on how the ideology surrounding Kodokan was henceforth changed.
著者
工藤 浩 渡邉 卓 福田 武史 奥田 俊博 松本 弘毅 小林 真美 松本 直樹 小村 宏史 伊藤 剣
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

日本文学・日本史学・神道学・日本語学の四分野の研究者による「先代旧事本紀研究会」を組織し、学際的に『先代旧事本紀』の研究史上の問題点と今後の課題を考究する共同研究を行った。平成29年9月に公開研究発表会を実施した。神話としての特徴、用字意識など編纂と内容の問題に加えて、神道の祭儀・思想・文献、訓詁注釈・国学等に与えたの影響について、『先代旧事本紀』の持つ学問的な意義を明らかにした。本研究の成果は、研究代表者、分担研究者に3名の研究者を加えた12名による論文10編とコラム4編を掲載する『先代旧事本紀の現状と展望』(上代文学会叢書)を平成30年5月に笠間書院より刊行し、広く開示する。
著者
田中 利幸
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、米陸軍航空軍が、1930年代からの伝統的な戦略爆撃論である「精密爆撃論」にもかかわらず、第2次大戦中の爆撃活動において、いかに公式論から乖離し、無差別爆撃へと急速に変容して行き、最終的には広島・長崎に対する原爆投下による無差別大量虐殺を犯すまでに至ったのかを分析することに目的をおいた。その変容を、米軍の軍事指導者、政治家のレベルでの戦略、政策の変化のみならず、国民の倫理観の変化という観点からも分析を試みた。
著者
鈴木 彰
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.155-166, 2012-01-31 (Released:2018-03-15)
被引用文献数
1

担子菌きのこの生活史の各発育段階,特に子実体形成は,各きのこの菌株の遺伝的特性に加えて外部環境要因の影響を受ける.一般に,子実体形成が可能な温度域は栄養生長が可能な温度域よりも狭く,子実体形成の最適温度は,低温側に位置するものが多い.温度が低くなると,子実体形成速度が低下するとともに,柄が短くなり,傘が大きくなる傾向がみられる.湿度の低下も柄の短小化を招く.光照射は,多くのきのこで子実体形成過程の特定の時期に顕著な影響を与える.有効波長は,概ね330nm-520nmである.菌種にかかわらず子実体の発育段階初期が高濃度のCO_2暴露の影響を最も受け易く,次いで子実体発育後期,子実体原基形成,栄養生長の順になる.ヒラタケは,3,000-9,000ppmのCO_2暴露によって傘の展開阻害,柄の徒長と肥大,傘や柄の脱分化などを高頻度に生じる.ヒラタケとブナシメジでは,6,000ppmCO_2暴露によって,脂質,K,及びCa含有量が増大し,炭水化物含有量が減少する,ブナシメジではP/S比の増大も生じる.柄に負の重力屈性を生じる発育段階は,菌種によって異なる.積算微小変位圧縮法を用いたテンシプレサーと色差計を用いると子実体の客観的品質評価が可能である.きのこ生産の向上には,収量の増大のみならず,子実体の品質を考慮した育種や環境制御,さらに環境制御の省エネルギー化など,様々な分野で基礎的研究と生産現場での研究の連携が望まれる.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1904年12月17日, 1904-12-17