著者
平井 克亥 柳川 久
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.142-147, 2012 (Released:2012-04-27)
参考文献数
23
被引用文献数
1

北海道十勝平野の農耕地景観に営巣するハイタカAccipiter nisusの営巣木および営巣林分の特徴を調べた.調査は2007年~2010年の間に確認した31の営巣木および営巣林分(営巣木を中心とした0.1 haプロット)と営巣に利用されなかった37の林分(非営巣林分)を比較した.その結果,ハイタカが営巣木および営巣林分の樹種にもっとも多く利用したのはカラマツLarix kaempferiであった.しかし,営巣林分と非営巣林分との比較では,常緑針葉樹への選好性が示された.営巣した林分と非営巣林分の植生構造の比較の結果,ハイタカの林分は胸高直径および樹高ともにより小さく,低い下枝高,胸高断面積および立木密度は高い値を示し,ハイタカは構造的に林内空間の閉じた若齢林を選択していた.この常緑樹の若齢林へ選好性は,同所的に生息する捕食者のオオタカA. gentilisによる捕食リスクを低減するための選択の可能性,または採餌環境として適しているためかもしれない.
著者
殷 福星 高森 晋 大澤 嘉昭 佐藤 彰 川原 浩司
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.607-613, 2001 (Released:2008-04-24)
参考文献数
19
被引用文献数
11 17

Control of noise and vibration remains to be solved for the lowering of environmental load in all the industrial fields. It is necessary to take account of the noise and vibration problem when designing machines or structures. Therefore the development of damping materials suitable for structural parts that are easy to process and recycle, is urgently required. Mn-Cu damping alloys show the most satisfactory mechanical properties and damping capacity among the developed damping alloys. The M2052 damping alloy, which has a nominal composition of Mn-20Cu-5Ni-2Fe (at%), shows both a high damping capacity and a high strength. The damping capacity of M2052 alloy increases to a high level below a certain temperature, and the damping level also varies sensitively to the changes in vibration frequency and strain amplitude. By the peak-shift method the thermal activation energy for the {101} twin boundaries responsible for the low-temperature damping peak is calculated to be 4.88×104 J/mol. The tensile strength of the alloy is 500 MPa, accompanied with a superior workability for practical applications. It is confirmed experimentally that M2052 damping alloy is quite effective in damping the intolerable vibrations when used as structural parts.
著者
小野田 亮介 鈴木 雅之
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.433-450, 2017 (Released:2018-02-21)
参考文献数
48
被引用文献数
6

本研究では,アーギュメント構造が意見文評価に与える影響について,影響の論題間差と評価方法による差異に着目して検討した。アーギュメント構造としては,主張への賛成論だけを示す「反論なし文」,賛成論に加えて反論を想定する「反論文」,賛成論と反論想定に加えて再反論を行う「再反論文」の3構造を設定した。また評価方法としては,1つの論題について構造の異なる3つの意見文を相対的に評価する「相対評価法」と,1つの論題について単一の構造の意見文のみを評価する「独立評価法」の2つを設定した。実験1では,大学生41名を対象に相対評価法による説得力評価を求めた。混合効果モデルによる分析を行った結果,論題にかかわらず再反論文は他の構造の文章よりも高く評価され,反論文が他の構造の文章よりも低い評価を受けた。実験2では,大学生123名を対象に独立評価法による説得力評価を求めた。その結果,平均すると,アーギュメント構造による説得力評価の差異はみられなかったが,アーギュメント構造の影響の方向性は論題によって異なっていた。以上より,アーギュメント構造が意見文評価に与える影響は論題や評価方法によって異なることが示唆された。

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1941年04月02日, 1941-04-02
著者
藤田 昌志 FUJITA Masashi
出版者
三重大学国際交流センター
雑誌
三重大学国際交流センター紀要 Bulletin of Center for International Education and Research, Mie University (ISSN:21898979)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.111-126, 2017

卢斯・本尼迪克特的(1948)《菊子和刀子 日本文化面面观》出版后经过了近七十年了。这本书本来是在第二次世界大战后美国怎样处理统治日本这个问题的政策下研究日本的。本尼迪克特当时生在战争时期,她没有踏上日本的土地,可是她作为诗人有敏锐的直觉,也有看透本质的力量。她的《菊子和刀子 日本文化面面观》今后作为日本论、比较文化论的名著仍将拥有广泛的读者。本研究从比较文化学的观点来考察《菊子和刀子 日本文化面面观》的从第一章到第六章的内容。

2 0 0 0 OA 外国貿易概覧

出版者
大蔵省主税局
巻号頁・発行日
vol.明治23年, 1912

2 0 0 0 池田冠山傳

著者
小谷惠造著
出版者
三樹書房
巻号頁・発行日
1990
著者
山田 祐樹
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.258-262, 2018-03-31 (Released:2018-06-16)
参考文献数
5

This note is a short report on the activity of the Young Researchers Committee of the Japanese Psychonomic Society (JPS) in 2017. As the highlighted activity of the committee in 2017, we held the oral session of the 36th annual meeting of JPS. Eight young researchers were selected as the finalists from 17 entries and made presentations on their studies that have already been published in peer-reviewed journals. One of the finalists who got the most votes from audience was awarded as the Young Psychonomic Scientist of the Year 2017.
著者
西本 一志 大月敬史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.134, pp.49-54, 2006-12-16
参考文献数
8

従来のknow-whoシステムは,専門的知織を持つ人を検索するためのものであった.これに対し,本研究で提案する投機的know-whoシステムとは,「将来専門的知識を有する可能性がある人材」を検索可能とするものである.このような人材の検索に必要なプロファイル情報を猶得するために,「トリピア」を用いる.人気TV番組であった「トリビアの泉」と同様に,トリビアに対して感銘の度合いを「へえ」ボタンで回答していくことにより,楽しみながらプロファイル情報を構築することができる.本稿では,トリビアを用いて収集したプロファイル情報を双対尺度法を応用して処理することにより,前述のような人材を検索することが可能かどうかについて,基本的な検討を行う.The purpose of the ordinary know-who systems was to retrieve experts who have domain knowledge. In contrast, the purpose of a "speculative know-who system," which we propose in this paper, is to make it possible to find people who will acquire domain knowledge in near future. To obtain profile data as bases for retrieving such people, we utilize "trivia." It becomes possible to obtain the profile data by estimating how impressed by trivia while having fun, similar to "The Fountain of Trivia," which was a very popular entertainment TV program in Japan. This paper explores whether we can actually find such people by processing the profile data using the dual-scaling method.
著者
盛 恵理子 島田 将喜
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.30, pp.31, 2014

日本の伝統芸能猿回し(猿舞師)では、サルは調教師であるヒトの指示を聞き、観衆の面前で様々な芸をすることができる。しかしサルは芸が初めからできるわけではない。では、「芸ができるようになる」とはどのようなプロセスなのだろうか。エリコ(第一著者)は調教師として茨城県の動物レジャー施設、東筑波ユートピアにおいて、餌を報酬としたオペラント条件付けによる芸の調教を行っている。アカネと名付けられたニホンザル(4歳♀)に、今までやったことのない芸「ケーレイ」を覚えさせるべく調教を行ったアカネはすでに「二足立ち」、「手を出すと前肢をのせる」などができていた。7日間(1日20分間)の調教を行い、その全てをビデオカメラに記録した。動画解析ソフトELANを用いアカネとエリコのパフォーマンスを、ジェスチャー論の枠組みを援用し、コマ単位で分析した(坊農・高橋 2009; Kendon 2004; McNeill 2005)。ストローク長(右手がアカネの場合右背側部、エリコの場合右大腿部で静止してから額に付き静止するまでの動作時間)と、開始・終了同調(エリコのパフォーマンス開始・終了コマに対する、アカネのパフォーマンスの遅れ)の調教日ごとの平均値・標準偏差を算出した。アカネ・エリコ双方において、ストローク長の標準偏差は後半になるにつれ小さくなっていき、平均値は最初と最後でほとんど変化が見られなかった。開始・修了同調は、後半で平均値は0に近づき、標準偏差は減少した。古典的モデルによればエリコは「情報」を教える側であり、芸ができるのでばらつきは最初から小さいと予想されたが、予想とは逆に、エリコもアカネの変化に合わせて自分のパフォーマンスを変化させていたことが示唆される。調教とはサルとヒトの双方が状況と互いに他のパフォーマンスに応じて自分のパフォーマンスを調整し同調させてゆくプロセスのことであり、芸を完成させていく異種間相互行為であると考えられる。
著者
関口 智寛
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.3, pp.182-186, 2005 (Released:2005-07-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3 4

各谷部に1本または2本の二次波峰を持つウェーブリップルマークの形状について,二次元造波水路実験から検討した.その結果,二次波峰を持つリップルは,波が引き起こす振動流の非対称性を反映し,非対称な形状を示すことが明らかになった.二次波峰が1本の場合,二次波峰は谷部の岸側寄りに現れる.二次波峰が2本の場合には,沖傾斜斜面上の二次波峰とその岸側に位置する初期波峰との距離が,岸傾斜斜面上の二次波峰とその沖側に位置する初期波峰の距離に比べて大きく,また,前者の二次波峰は後者より高い位置に現れる.本研究の結果から,地層中の二次波峰を持つリップルから,過去の波の進行方向が推測できると考えられる.
著者
奥田 敬
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.888(88)-909(109), 1991-01

小特集 : アダム・スミス没後200年
著者
山森 光陽 伊藤 崇 中本 敬子 萩原 康仁 徳岡 大 大内 善広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.501-510, 2018-03-01 (Released:2018-03-16)
参考文献数
16

児童の授業参加や課題従事行動を,観察対象学級の児童全員について即時的・経時的に把握するために,身体の揺れ,すなわち身体が1秒間に繰り返し運動する回数(周波数)を指標とすることが有効と考えられる.本研究は,授業参加や課題従事行動を加速度計で計測された3軸加速度から求めた周波数で把握できるようにするために,授業中の児童の様々な行動と,それらの行動に伴う身体の揺れの周波数との対応を示すことを目的として実施された.小学校第3,5学年を対象に授業を模した活動を実施し,一般的な授業に近い形で様々な行動を起こさせ,各々の動きに伴う身体の揺れを加速度計で即時的・経時的に計測し,それらの周波数を求めた.行動の種別ごとに,各々の児童がとり得る周波数の最大値の範囲を一般化極値分布に当てはめて検討した結果,当該行動をとっているかを判断するための周波数の範囲が示された.さらに,課題従事とは見なせない児童の行動の周波数はほぼ0Hz であるか2.5Hz を上回るかのいずれかになることも示唆された.