著者
狩谷 あゆみ
出版者
広島修道大学
雑誌
広島修大論集. 人文編 (ISSN:03875873)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.41-62, 1999-09-30

The number of homeless people has been increasing rapidly in Japan under the recent economic depression. Most of them finally come to a big city and choose to stay there, because they can find a black market to supply daily employment to them there. This black market is called "Yoseba" in Japanese and big cities in Japan normally have one. Kobe city, one of the biggest cities in Japan, suffered the Great Hanshin-Awaji Earthquake in 1995. Those who lost their residences pitched camp in school yards and parks. However, homeless people could not join them easily, because they had not belonged to local communities before the earthquake. In 1995, a non-government organization was founded to support homeless people in Kobe. They negotiated with the administration of Kobe city several times until now. In this paper, I take a look at scenes of these negotiations carefully and make clear what kind of social problem is raised by the negotiations. It should be doubted that reality of homeles people which must be most important is taken into account by both sides of the negotiation.
著者
岡田 あゆみ
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.217-226, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
17

発熱は小児科領域で頻度が高い症状で, さまざまな身体疾患が原因となるが, 心理社会的ストレスもその一因となることがある. 一般に, 発熱以外に随伴症状や炎症所見がなく, 特定の状況や誘因で発熱を認める場合や, 慢性の心理社会的ストレスの影響が推定される場合に 「心因性発熱」 と診断され, 10代や若年成人に多いといわれている. 小児では, 本人が心理社会的ストレス因に自覚のない場合やうまく言語化できない場合, 心因が明らかにならず診断に苦慮することもある. また, 親子が身体疾患を危惧している場合や診断を受け入れられない場合, ドクターショッピングに陥ることもあるので注意を要する. 治療は, 生活指導や心理療法, 薬物療法などが行われるが, 小児の場合は環境調整が重要となる. 学校などの集団生活では, 有熱時の対応の目安が求められるなど, 小児期特有の課題もある. また, 併存症への配慮も必要で, 神経発達症特に自閉スペクトラム症には注意する. 本稿では, 小児の心因性発熱の診療と対応上の注意点を述べる.
著者
石丸 あゆみ
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部考古学研究室
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:18803784)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.65-96, 2011-03-20

本稿では、最近増加した資料を含め弥生系土器が出土した遺跡のうち、弥生系土器の資料数が多く様相がそれぞれ異なる4遺跡と、朝鮮半島と日本列島を結ぶ交渉ルート上に位置し、拠点的な役割を果たしていたと考えられる原ノ辻遺跡の出土土器を比較検討することで、当時の日韓交渉の復元を試みた。弥生系土器の様相からI期:城ノ越式から須玖I式古段階、II期:須玖I式新段階から須玖II式の2段階に区分し分析を行った。その結果、I期は、弥生時代前期後半に交易の中継地として開始された原ノ辻遺跡と、朝鮮半島南部の金海地域を中心とした各地域との短期間の居住を伴う小規模な交渉が行われた時期、また勒島の集落もこの時期に朝鮮半島側の交易拠点として開始されたが、この時点では複数存在する拠点の一つであるということが明らかとなった。II期は、前漢の武帝による楽浪郡を含む4郡の設置以後に活発化した交易に、北部九州沿岸域を中心とした西日本の各地域の集団が積極的に関与するようになったため、原ノ辻が交易の拠点として発展を見せ、環濠集落が成立する時期である。勒島においてもこの時期が最も多くの弥生土器がもたらされる時期であり、原ノ辻の弥生土器と強い関連を読み取ることができるため、原ノ辻と勒島の間に集約された交易ルートが確立されたと考えられる。
著者
伏島 あゆみ 津田 彰 田中 芳幸
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.93.21016, (Released:2022-03-31)
参考文献数
46

Reports have indicated that character strength, which includes positive personality traits, improves well-being. However, less is known about how one’s character strength is linked to suicidal risk, and whether well-being mediates this relationship. This cross-sectional study examined the possibility that well-being has a mediating effect on the relationship between one’s character strength and suicidal tendencies. University students (N = 305, average age = 19.7) answered the questionnaire. The data was analyzed using mediation analysis. Students’ knowledge of their character strength and using that strength each had different direct effects on suicidal tendencies. Knowing one’s character strength directly reduced suicidal tendencies, which were also mediated by a high level of well-being. Meanwhile, using one’s character strength had negative effects toward suicidal tendencies. These results indicate that students’ knowledge of their own character strength might play a protective role in suicidal tendencies even if well-being did not improve, and also suggest that one’s use of character strength might increase suicidal tendencies if it were not used appropriately according to the types of strengths and various situational factors.
著者
石丸 あゆみ
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部考古学研究室
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:18803784)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.65-96, 2011-03-20

本稿では、最近増加した資料を含め弥生系土器が出土した遺跡のうち、弥生系土器の資料数が多く様相がそれぞれ異なる4遺跡と、朝鮮半島と日本列島を結ぶ交渉ルート上に位置し、拠点的な役割を果たしていたと考えられる原ノ辻遺跡の出土土器を比較検討することで、当時の日韓交渉の復元を試みた。弥生系土器の様相からI期:城ノ越式から須玖I式古段階、II期:須玖I式新段階から須玖II式の2段階に区分し分析を行った。その結果、I期は、弥生時代前期後半に交易の中継地として開始された原ノ辻遺跡と、朝鮮半島南部の金海地域を中心とした各地域との短期間の居住を伴う小規模な交渉が行われた時期、また勒島の集落もこの時期に朝鮮半島側の交易拠点として開始されたが、この時点では複数存在する拠点の一つであるということが明らかとなった。II期は、前漢の武帝による楽浪郡を含む4郡の設置以後に活発化した交易に、北部九州沿岸域を中心とした西日本の各地域の集団が積極的に関与するようになったため、原ノ辻が交易の拠点として発展を見せ、環濠集落が成立する時期である。勒島においてもこの時期が最も多くの弥生土器がもたらされる時期であり、原ノ辻の弥生土器と強い関連を読み取ることができるため、原ノ辻と勒島の間に集約された交易ルートが確立されたと考えられる。
著者
金野 尚武 木村 茉穂 奥澤 里奈 中村 泰隆 池 正和 林 徳子 小原 あゆみ 坂本 裕一 羽生 直人
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.157-164, 2016 (Released:2016-08-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3

木材腐朽性食用きのこ類の菌床栽培において,大量の廃菌床が発生している。廃菌床には腐朽木材が含まれているが現在のところ有効な活用方法がない。成分分析の結果,シイタケ栽培後の廃菌床には25.4%のセルロースが主要成分として含まれていた。そこで本研究では,シイタケ廃菌床にTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)触媒酸化を適用することで,セルロースナノファイバーを調製した。廃菌床(1g)を,3つの次亜塩素酸ナトリウム添加量条件下(20,40,80mmol)において,触媒量のTEMPO と臭化ナトリウムと共に酸化処理した。TEMPO 触媒酸化反応後,水不溶性画分を水中で懸濁させ,超音波処理によりセルロースナノファイバーを個々に分散させた。透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行ったところ,これらセルロースナノファイバーは幅2~3nm,長さ数μmであった。得られたセルロースナノファイバー分散液をキャストすることで透明なフィルムを作製した。セルロースナノファイバーフィルムの収率は次亜塩素酸ナトリウム添加量80mmol 条件下において最も高く,廃菌床1gに対して0.18gであった。また,廃菌床中に含まれるセルロースに対しての収率を算出したところ,71%であった。
著者
宮崎 あゆみ
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.157-177, 1993
被引用文献数
2

It has been pointed out that, in both Japanese and Western research to date, gender has been largely left unexamined. In most studies of subcultures, girls are either invisible, peripheral, or stereotyped. More importantly, these studies have not considered the significance of gender. The influences of class and academic achievement can not be studied separately from the school culture as a whole. Gender is an important influence on development and behavior that is both intricately tied to achievement and complicates the influence of class background. We need to suggest ways in which gender is constructed within school cultures. In this paper, I will refer to subcultures studied through a gender framework as "gendered subcultures". Studies on gendered subcultures examine their organization and functioning, and also their influences on the formation of gender identity and the persistence of gendered culture. In my ethnographic research at a girls' high school, I found that students described themselves as differentiated into 4 groups : a "study group", an "otakkee (a Japanese word which means mania for comics, drama, fortune telling, or other unusual hobbies) group", an "ordinary group" and a "yankee group" (students who exhibit the most anti-school feelings). These groups differ, for example, in the way they accommodate or resist school rules, the way they wear their uniforms, the way they spend their time outside school, the content of their conversations, their degree of commitment to school work, and sex role behaviors and career plans. Students in the academic groups dress according to school rules, for example, wearing the required skirt length. Girls in the yankee groups remade their unifofms, lowering their necklines and shortening their skirts. More importantly, they also criticized each other's ways of demonstrating femininity. Students in the yankee groups criticized students in the academic groups for being snots and not pretty or attractive to boys, while yankee group students were criticized even more bitterly for being sexy and gaudy. These differences, unlike those observed in previous studies of subcultures, can be clearly seen as closely connected to gender construction. And a particular gender is tied to a particular subculture. Within the school, yankee group students are in a weak position not only because they are generally academically 'failing' students but also because the school excludes this kind of femininity. It is comfirmed that there is a criterion of appropriate feminine behavior as well as of academic achivement. Moreover, this criterion is exactly the same as that of social reputation. Thus, girls in the yankee groups are excluded twice.
著者
海野 敏 高橋 あゆみ 小山 久美
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.205-210, 2011-12-03

「バレエ情報総合データベース」の設計と試作を行った.このデータベースを設計するにあたり,実演情報を記述するための概念モデルとして,(興行-公演-演目)×(計画-遂行)モデルを提案した.このモデルは,FRBR とオブジェクト指向FRBR の規格を参考にして構築したものである.データベースは,実演情報だけでなく,ダンス作品と音楽作品の情報,人物と団体の情報,印刷資料と視聴覚資料の情報も入力できるように設計を行った.
著者
下地 法明 村山 未来 古野 貴未 上地 あゆみ 玉城 格 手登根 稔 赤津 義文 大塚 喜人
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.295-301, 2015-05-25 (Released:2015-07-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Aeromonas属菌の腸管外感染症171症例の基礎的解析を行ったので報告する。死亡例21例,劇症型の症例5例,壊死性疾患4例(うち壊死性軟部組織感染症1例)が認められた。患者の平均年齢は73.3歳で,60歳以上が86.0%を占めていた。基礎疾患では肝胆膵系の疾患の他に糖尿病,悪性腫瘍など免疫状態の低下を招くようなものが高率に認められた。死亡例に限ってみるとその傾向はさらに強まった。臨床診断名は肝胆膵系の疾患,敗血症,誤嚥性肺炎,膿瘍・創傷感染,壊死性軟部組織感染など多岐にわたる。抗菌薬感受性検査では,TAZ/PIPC,CTX,CAZ,IPM/CS,GM,LVFX,STに良好な感受性率を示し,一方でSBT/ABPC,CEZにはほとんど耐性であった。またIPM/CSに非感受性の株も4.3%とわずかながら存在していた。これらは多剤耐性の傾向はみられなかったが,何らかの耐性機序を発現している可能性が考えられるとともに,今後もAeromonas属菌の抗菌薬耐性状況に注視していく必要があると思われた。
著者
赤尾 健一 大沼 あゆみ 阪本 浩章
出版者
環境経済・政策学会
雑誌
環境経済・政策研究 (ISSN:18823742)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.1-20, 2016-09-28 (Released:2016-11-02)
参考文献数
71
被引用文献数
2

本稿では,長期的な環境問題を念頭に,割引率に関する様々な議論を紹介する.まず,Frank Ramsey の古典的な研究を出発点に,世代間衡平性との兼ね合いから割引の問題を論ずる.また,主に不確実性に焦点を当てながら,DDR と呼ばれる比較的新しい割引理論について詳細に解説する.さらに,割引率が費用便益分析の中で果たす役割についても,地球温暖化問題を例に具体的に示す.
著者
藤井 智香子 岡田 あゆみ 重安 良恵 塚原 宏一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.57-63, 2021 (Released:2021-01-01)
参考文献数
22

過敏性腸症候群 (irritable bowel syndrome : IBS) は児童・思春期の代表的な機能性消化管疾患であるが, その実態については不明な点も多い. IBSは心理的ストレスの影響を受けやすく, 患者の心理社会的背景を理解することは適切な治療介入につながると考えられる. 児童・思春期のIBS患者の特徴を明らかにすることを目的に, 岡山大学病院小児科を受診したIBS患者のうち発症が18歳以下であった69例の性別や併存疾患などの特徴について検討を行った. 男性35例, 女性34例で, 59例は不登校状態にあり, 外出困難をきたしている症例もあった. 併存疾患として起立性調節障害やアレルギー性疾患を有する症例が多く, 24例が自閉スペクトラム症 (autism spectrum disorder : ASD) の診断を受けていた. ASDの感覚過敏やこだわりが強いという特性が, 症状の遷延や訴えの増加につながる可能性があり, 発達特性に留意して診療を行うことが必要であると考えられた. また男性に外出困難を伴う症例を多く認め, このような症例では特に, 環境調整や心理療法を含めた対応が有効だった.
著者
三村 春奈 伊藤 里恵 岡田 あゆみ 瀬戸 静恵 進藤 順治 杉浦 俊弘
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.125-128, 2013-12-19 (Released:2014-03-14)
参考文献数
12

北海道千歳市周辺で捕獲され,う蝕様病変のみられた54頭のアライグマについて,歯種ごとの発生調査と年齢査定を行った。う蝕様病変は,臼歯に集中し,特に後臼歯が重篤な状態であった。また,歯石の付着は49頭で観察され,う蝕様病変と同様に臼歯に集中していた。病変のみられた年齢の個体は,1.5歳未満と5.5歳以上で少なく2.5歳から4.5歳が約60%を占めていた。さらに,う蝕様病変の病態は加齢に伴い重症化する傾向がみられた。