著者
三浦 直樹
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.Supple, pp.269-275, 2018-03-31 (Released:2019-05-09)
参考文献数
3
被引用文献数
1

近年の画像検査の進歩は目覚ましい.産業動物医療でも,レントゲン検査のデジタル化が進み,フィールドでのレントゲン検査の機会も増加している.正しいレントゲン撮影と判読を行うことで,より正確で有用な情報が得られる.本稿では,レントゲン検査の撮像条件による画像の違い,読影時に必要な4 つのピットフォール(落とし穴),実際の臨床例での画像の読影のポイントを解説する.
著者
土谷 佳之 宇山 環 薮田 拓生 三浦 新平 加藤 敏英
出版者
全国農業共済協会
雑誌
家畜診療 = Journal of livestock medicine (ISSN:02870754)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.339-347, 2016-06

管内大規模酪農場において,Salmonella O4群を原因とする子牛の腸炎による死亡事故が多発したため,新生子へサルモネラ症不活化ワクチン接種を行った、,ワクチンは,出生翌日または3日齢およびその3週後に接種した。その結果,死亡率は接種開始前24週間の32.8%(40/122)から開始後24週間の6.9%(9/131)に有意に低下した (P<0.01)。また,月毎の治療率(月出生頭数の内,治療した個体の割合)は,徹底した消毒直後に低下する傾向が認められた。通常,ワクチンは,血中の移行抗体価が高い若齢期には接種すべきでないとされているが,今回,子牛のサルモネラ症に対しては出生直後のワクチン接種により臨床的な効果が得られたことから,このワクチンが子牛の免疫に何らかの影響を及ぼしたことが示1唆された。
著者
三浦 啓一 望月 大祐 仙波 裕隆 丸田 俊久 橋本 和明 戸田 善朝
出版者
無機マテリアル学会
雑誌
無機マテリアル (ISSN:2185436X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.280, pp.213-219, 1999-05-01 (Released:2011-03-07)
参考文献数
9

The fundamental experiment for the purpose of recovery of vanadium from oil burning ash, which was the valuable resources in Japan, was carried out. The following summarized the results.Sulfuric acid was superior to aqueous ammonia as extraction media in the process of leaching vanadium ion from oil burning ash.Precipitation ratio of vanadium compounds at room temperature was low. For example, the yield of vanadium compounds for 259200 s was no more than 60%. On the contrary, the precipitation rate increased at the higher reaction temperature and the yield reached up to approximately 100% at 80°C.Initial concentration of vanadium ion was the important factor besides pH and reaction temperature. The higher initial concentration of vanadium ion enlarged the appropriate pH range for the precipitation. In the case of 16000 ppm of the initial concentration, the pH range was 2.0 to 2.8. It was wider than that of 4000 ppm or 8000 ppm.The above results suggested that the higher initial concentration of vanadium ion, proper pH and higher reaction temperature were necessary to recover vanadium from oil burning ash efficiently.
著者
小林 慎二郎 瀬上 航平 三浦 和裕 四万村 司 櫻井 丈 小泉 哲 牧角 良二 月川 賢 宮島 伸宜 大坪 毅人
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.595-598, 2011-05-31 (Released:2011-07-12)
参考文献数
21
被引用文献数
5

膿瘍形成性虫垂炎に対する緊急手術では拡大手術移行の可能性や合併症発生率が高い。当院では2008年から膿瘍形成性虫垂炎に対して保存的治療で膿瘍を沈静化させ手術希望があれば約3ヵ月後に虫垂切除を行うinterval appendectomy(以下,IA)を行っている。膿瘍形成性虫垂炎32例について検討した。32例中29例(91%)が平均17.2日の入院期間で保存的治療に成功した。29例のうち,手術希望のあった16例に対してIAを施行した。16例のうち14例(87.5%)が腹腔鏡下虫垂切除術を完遂した。手術症例16例における平均手術時間は96分で,手術時平均入院期間は9.4日であった。また手術症例において合併症の発生は1例も認めなかった。総入院日数が長いことが課題であるが,拡大手術移行が少なく,合併症もない本治療方針は膿瘍形成性虫垂炎に対して有効であると考えられた。
著者
三浦 光哉 千葉 愛莉
出版者
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター
雑誌
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀要
巻号頁・発行日
no.3, pp.47-58, 2008-06

空間認知能力の低いアスペルガー障害児に対して、小学校で学習する時期に合わせて、ひらがなとカタカナの文字指導を試みた。最初に心理検査など実態調査を実施し、認知処理様式の特性を詳細に分析した口その後、強い能力を活かした教材( 部屋分けしたマス、ひらがなの手本、カタカナの手本) を開発して、段階的に文字指導を行った。その結果、最終的に小学校1年生で通常使用しているノートの大きさである25mm×25mmのマスの中に、ひらがなの清音46文字を計14回の指導で、カタカナの清音46文字を11回の指導で正確に字を書くことができ、鏡文字や極端に線が曲がる文字等が改善された。また、視知覚発達検査で、10ヶ月の遅れがあった「形の恒常性」と「空間関係」が、3ヶ月の遅れに改善してきた。さらに、対象児の認知処理様式の特徴を担任教師や保護者に伝えることで、その後に指導や対応に活かすことにつながった。
著者
福島 秀晃 三浦 雄一郎
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.17-25, 2014 (Released:2014-12-27)
参考文献数
15

In physical therapy for contracture of the shoulder (or frozen shoulder), it is important to make an effort to understand the condition as well as to communicate closely with orthopedists. Inflammation around the shoulder limits shoulder movement through pain and contracture of the shoulder joint, and it is classified as the freezing stage, the frozen stage, and the thawing stage, each of which needs an appropriate choice of therapy. In the freezing stage, pain relief and maintaining range of motion are important. It is necessary to pay attention to the loading and positional relationship of the humerus and scapula, while avoiding pressure and tension, which can cause pain, on the rotator cuff, subacromial bursa, and coracoacromial ligament. The objective of therapy in the frozen stage is the improvement of range of motion, and rotator cuff and shoulder girdle functions. It is important to perform range of motion training with an anatomical understanding of the features of the rotator cuff interval region, which is the focal point of shoulder contracture. In particular, it is necessary to look out for the shoulder shrug phenomenon when performing arm elevation, because of its detrimental effect on the function of the supraspinatus muscle. With this in mind, the authors propose a shoulder exercise method in the side-lying position, which suppresses the shoulder shrug phenomenon, while improving the function of the rotator cuff and shoulder girdle muscles.
著者
福島 秀晃 三浦 雄一郎 布谷 美樹 田中 伸幸 山本 栄里 鈴木 俊明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0635, 2005 (Released:2005-04-27)

【はじめに】我々は、肩関節疾患患者の肩甲上腕リズムの乱れに関して、肩関節屈曲に伴い肩甲骨には力学的に前傾方向へのモーメントが加わり、これを制動できない場合は、肩甲骨の安定した円滑な上方回旋に支障が生ずるのではないかと考えている。そこで、第44回近畿理学療法学術集会にて、屈曲30°位において僧帽筋下部線維は上部・中部線維と比較して有意に筋活動が増大したことから、この前傾モーメントを制動するには解剖学的に僧帽筋下部線維が有効であると報告した。このことから、上肢の運動に伴い肩甲骨には力学的なモーメントが生じ、また運動方向の違いによって肩甲骨にかかるモーメントも異なることが示唆された。今回、肩関節外転運動に着目し、肩関節屈曲運動と比較して肩甲骨に生じるモーメントが異なると仮定し、肩関節初期屈曲・外転角度における僧帽筋の肩甲骨安定化機能を筋電図学的に比較・検証したので報告する。【対象と方法】対象は健常男性7名(平均年齢28.7±4.2歳)、両上肢(14肢)とした。運動課題は端座位姿勢での上肢下垂位、屈曲30°位および外転30°位をそれぞれ5秒間保持し、それを3回施行した。測定筋は僧帽筋上部・中部・下部線維とし筋電計myosystem1200(Noraxon社製)を用いて測定した。分析方法は下垂位の筋積分値を基準に屈曲30°位と外転30°位の筋積分値相対値を算出し、各線維ごとに対応のあるt検定を行った。なお、対象者には本研究の目的・方法を説明し、了解を得た。【結果と考察】僧帽筋上部・中部線維の筋積分値相対値は、屈曲位と比較して外転位において有意に増大した(p<0.01)。一方、下部線維の筋積分値相対値は屈曲位と比較して外転位において減少傾向となった。肩甲上腕リズムでは屈曲60°、外転30°までは肩甲骨の運動なしに肩甲上腕関節固有の運動でなされるsetting phaseの時期である。本研究における運動課題もsetting phaseの時期であり、この時期での僧帽筋の活動は肩甲骨と体幹を固定するための活動であると考える。山本らは正常な肩甲骨の動きは胸鎖関節を支点として三次元的に制動方向が導かれることとなるが、その動的な制御は肩甲骨と胸郭を連結している筋群のバランスと肩鎖関節の安定性により決定されるとしている。僧帽筋上部・中部線維については解剖学的に鎖骨外側1/3・肩峰・肩甲棘上縁に付着しており上肢の外転運動に伴う肩甲骨の下方回旋モーメントへの制御に機能したと考える。一方、下部線維については解剖学的に肩甲棘内側下部(肩甲棘三角)に付着しており上肢の屈曲運動に伴う肩甲骨の前傾モーメントへの制御により機能したと考える。以上より、上肢の運動方向が異なれば肩甲骨に生じる力学的なモーメントも異なり、そのモーメントに応じて選択的に僧帽筋の各線維がより活動し肩甲骨を制御することが示唆された。
著者
笹原 英樹 重宗 明子 後藤 明俊 三浦 清之
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.21-25, 2017

食味に関する新たな交配母本を選定する目的で日本在来イネ品種の食味および米のアルカリ崩壊性を2004~2005年度にのべ83品種調査した.供試品種の中には「コシヒカリ」以上の食味を持つ品種は存在しなかった.在来品種の中で最も食味が良かったものは,2004年は「かばしこ(JP 10698)」, 2005年は「日の丸」であった.次に,登熟気温,米のアルカリ崩壊性,食味総合評価値との関係を検討した.アルカリ崩壊性は登熟気温が低いほど高くなると考えられた.食味とアルカリ崩壊性には正の相関が認められ,アルカリ崩壊性が高いほど食味が高い傾向がみられた. これらのことから,登熟気温が低い晩生品種では,アルカリ崩壊性が高くなり,良食味となる傾向があると考えられた.したがって,在来品種から交配母本を選定する際には,同じ熟期の品種群内での比較により食味やアルカリ崩壊性が高いものを選ぶ必要があると思われた.「コシヒカリ」よりも食味評価は低いものの,食味評価が比較的良好な在来品種は,「コシヒカリ」の系譜とは異なる新たな食味に関する遺伝資源として期待される.
著者
角 保徳 道脇 幸博 三浦 宏子 中村 康典
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.366-371, 2002 (Released:2014-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
2

高齢者の口腔ケアの自立度は徐々に低下し, 介護者による日々の口腔ケアの役割は重要となってきている。しかし, 介護者の時間的制約, 他人の歯を清掃する技術的困難さ, 要介護高齢者の協力が得られないことおよび口腔ケアの必要性の知識の欠如により, 介護者による口腔ケアは必ずしも適切に提供されていない。本研究の目的は, 介護者の負担を軽減するような要介護高齢者への簡便で有効な口腔ケアシステムを評価することにある。対象者は25名の要介護高齢者とその介護者である。8週間の口腔ケアシステムを施行した後, 歯垢指数, 歯肉指数を評価し, 同時に口腔ケアシステムを提供するに当たっての利点, 欠点, 負担度および疲労度を質問した。その結果, 1日1回の口腔ケアシステムによって歯垢指数, 歯肉指数は施行前に比較して有意に低下した。さらに, アンケート調査により介護者の負担度および疲労度は低下した。今回評価した口腔ケアシステムは, 要介護高齢者の口腔衛生向上に有効であり, 介護者の負担を軽減する事が確認された。
著者
三浦 聖史 下堂薗 恵
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.283-288, 2019

<p>脳やシナプスは可塑性を有することが明らかになり,そのメカニズムの解明を背景として,脳卒中リハビリテーションには,訓練の量,頻度ならびに課題特異性という3つの要素が重要であるとの知見が蓄積され,推奨されるようになった.脳卒中急性期では,早期離床により廃用症候群を予防するとともに,早期にADL(activities of daily living)を向上させることが重要である.さらに,回復期ではCI療法(constraint-induced movement therapy)や促通反復療法といった療法士の指導や徒手による運動療法を軸として,電気刺激や振動刺激等のさまざまな物理療法や非侵襲的脳刺激法(non-invasive brain stimulation:NIBS),リハビリテーションロボットを併用し,患者の運動意図を正しく実現し,反復することが,患者アウトカムを向上させると考えられる.超高齢社会の我が国における回復期リハビリテーションでは,アウトカム実績とその効率性が求められており,さらに,近い将来における再生医療の実用化に向け,効果的かつ効率的なリハビリテーション治療の発展がますます必要とされるであろう.</p>
著者
三浦伸夫
雑誌
化学史研究
巻号頁・発行日
vol.24, pp.193-204, 1997
被引用文献数
1
著者
金沢 憲一 中川 歩 三浦 崇
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.70-75, 1997-01-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
2
被引用文献数
5 4

Mechanical properties of sweet potato are examined experimentally by compressive tests. And the computer simulation is conducted using FEM, on the separating process that sweet potato is cut by a knife-edged cutter with flat blade. The results obtained are as follows : (1) The calculation result almost corresponds to the process which sweet potato is separated by the preceding crack caused by a cutter except initiation. (2) The variety of cutting force is also the same as the experiment on each blade angle of a cutter. (3) In calculation, the effect of blade angle on two factors, the peak of cutting force and the cutting energy, is similar to the experiment. But both calculated values are higher than the experiment due to the high frictional coefficient between the separated surface and a cutter, which is obtained by a simple frictional test.
著者
青木 春美 宮坂 平 石田 祥己 青柳 有祐 三浦 大輔
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会誌 (ISSN:18844421)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.171-178, 2018-07-25 (Released:2018-08-28)
参考文献数
22

各種次亜塩素酸水(強酸性電解水,弱酸性電解水,微酸性電解水),義歯清掃剤,電解次亜水の各液に金合金(キャスティングゴールドM.C.タイプⅣ),金銀パラジウム合金(キャストウエルM.C.,以降,金パラ),銀合金(ミロブライト),純チタン( JIS 1種,Ti),コバルトクロム合金(コバルタン,以降,Co-Cr合金)の計5種を1日間と3日間浸漬したときの色差,光沢度変化,重量変化率を調べた.さらに電子線マイクロアナライザ(EPMA)により構成元素と塩素の面分析を行った.金合金と金パラは,強酸性電解水,弱酸性電解水に浸漬すると色差が大きく,光沢度が小さくなった.銀合金は微酸性電解水に浸漬すると色差が最も大きく,光沢度はすべての液で著しく小さくなった.Tiは色差,光沢度変化,重量変化は認められなかった.同様に,Co-Cr合金は電解次亜水に浸漬すると色差が大きかったが,他の浸漬液では光沢度変化,重量変化はほとんど認められなかった.EPMAによる元素面分析結果から,金合金と金パラでは,塩素濃度の高い部分は銀濃度の高い部分と一致していた.他方,銀合金では義歯清掃剤に浸漬したときには,塩素濃度の高い部分は銀濃度の低い部分と一致していた.