著者
細木 大輔 中村 勝衛 亀山 章
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.474-483, 2007 (Released:2008-09-05)
参考文献数
22
被引用文献数
5 4

本研究では,栃木県の岩盤切土法面において周辺植生から侵入する植物体で法面を緑化する自然侵入促進工を実験的に施工した。ネットの違い,及び施肥の有無を条件として設定し,植物の侵入・定着に関して5 年間調査を行って効果を検証した。被覆率は,施工後1 年目から施肥した実験区で高く,無施肥の実験区および無施工区との差は大きかった。施工後5 年目の値は,施肥した実験区で40% 以上であるのに対して,それ以外では10% 前後であった。この結果から,施肥した実験区のみが緑化されたと言え,自然侵入促進工では施肥が必要であることが明らかとなった。最も良く被覆された区画は,目合い12.0 mm×20.0 mm のネットを張り,肥料袋を用いて施肥した区画であり,この方法が最も有効であると結論づけられた。施工後5 年目のこの実験区の被覆率は62±15%,群落高は1.0 m,出現種数は29 種/5m2,木本個体数は21.6 個体/m2であり,ススキ,リョウブ,ノキシノブなどの積算優占度が高かった。一方,シダ植物は,施肥した実験区では4~8 種が確認されたのに対して,それ以外ではまったく確認されなかったことから,緑化後初期におけるシダ植物の出現には施肥が有効であることが示唆された。
著者
大井 将徳 中村 嘉隆 稲村 浩 高橋 修
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.581-590, 2019-02-15

平成29年における自転車乗車中の死傷者のうち64.7%が法令違反運転中に交通事故に遭っているなど,近年,自転車が関与する事故が問題となっている.自転車の違反運転に関する法律や条例は整備されてきているが,いまだ違反運転の認知度は低い.そのため,自動的に自転車違反運転を検知して運転者に違反運転内容などを通知することによって,違反運転を減少させるようなシステムが必要となる.本論文は複数センサを用いた非接触センシングによる自転車運転者の状態検出に基づく自転車違反運転検知システムを提案する.提案システムはモーションセンサと照度センサを用い,モーション比較,深度情報取得,トラッキング時間測定,自転車走行位置計測,照度測定を用いて自転車違反運転内容を判断し,その内容を運転者および周囲へと通知する機能を備える.屋外において提案システムの対象判別および違反運転判断についての評価実験を行い,実用に耐える精度を確認した.
著者
山田 幸二 中村 延生蔵
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.466-471, 1972
被引用文献数
2

白ネズミに野沢菜漬, タカ菜漬を投与し食飼性の光過敏症について検討した。<BR>(1) 野沢菜漬, タカ菜漬を投与しTL, FLを照射すると死亡, 体重減少, 耳や背の部分の壊死の現象, すなわち光過敏症がみられた。<BR>(2) 漬物から分離した光過敏症原因物質の投与による生物試験の結果は, 経口投与で10mg/体重100g以上, 腹腔内投与で5mg/体重100g以上で致死効果がみられた。<BR>光過敏症原因物質はPC, 吸収スペクトル等からヘオホーバイドaと推定した。
著者
石井 靖子 中原 久恵 服部 滋 川端 晶子 中村 道徳
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.32-37, 1995-01-15
参考文献数
13
被引用文献数
1

熱帯産澱粉,すなわち,ショクヨウカンナ,アロールート,キャッサバ,サゴの澱粉と対照としてバレイショとトウモロコシの澱粉を選び,それらより分離したアミロペクチンにつき枝切り酵素であるイソアミラーゼを作用させて,その変化を検討した.すなわち光散乱法により重量平均分子量M<SUB>W</SUB>と分子の広がりを示す慣性半径<I>R</I><SUB>G</SUB>の測定,粘度測定により固有粘度〔η〕を算出し,枝切り過程の変化を測定した.<BR>その結果M<SUB>W</SUB>と<I>R</I><SUB>G</SUB>の関係は,M<SUB>W</SUB>が(4-5)×10<SUP>6</SUP>近辺に減少する過程では,M<SUB>W</SUB>に対して<I>R</I><SUB>G</SUB>がやや大きいもの(キャッサバ,トウモロコシ),小さいもの(サゴ),両者の中間のもの(バレイショ,ショクヨウカンナ,アロールート)が認められた.しかし6種とも近接し同じ様な勾配で減少していることから,6種ともM<SUB>W</SUB>の減少に対する<I>R</I><SUB>G</SUB>の減少の割合は大きな差はみられず,従って同じような分解過程を経ていくものと思われる.<BR>更に分解が進むと,ばらつきが起こり差が見られた.またM<SUB>W</SUB>や「η」の減少速度には,種類により差があり,イソアミラーゼが作用しやすいものと,しにくいものがあるようである.
著者
佐貫 浩一 松岡 彰 中村 克巳 中川 裕二 新庄 信英 国司 善彦 河合 伸也
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.517-518, 1990-10-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

Pyarthrosis of the knee was treated in 11 patients by arthroscopic lavage and debridement. There were 4 men and 7 women patients whose ages raged from 8 months to 80 years. Staphylococcus aureus was cultured in 5 knees. Four patients were caused by the injection of steroids. There were no recurrences. Arthroscopy can aid in establishing the diagnosis and implementing the appropriate treatment when a septic knee is suspected.
著者
岩川 眞由美 今村 史人 大川 治夫 金子 道夫 堀 哲夫 池袋 賢一 雨海 照祥 中村 博史 四本 克己 野田 秀平
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.1208-1212, 1998-12-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
24

body stalk anomalyの1例を4歳時に在宅医療へ移行したので報告する.症例は在胎24週より胎児超音波検査で臍帯ヘルニアが指摘されていた男児.在胎35週3日に帝王切開, 出生時体重2162g, Apgar score 4/6で出生した.巨大臍帯ヘルニア, 脊椎側彎症, 動脈管開存症, 心房中隔欠損症, 気管狭窄症, 気管軟化症を合併し, 出生直後より人工呼吸管理を要した.以後, 臍帯ヘルニア人工膜縫縮術, 2回にわたる腹壁閉鎖術, 胃食道逆流防止術, 胃瘻・腸瘻造設術, 同閉鎖術, 巨大鼠径ヘルニア根治術を施行し, 2歳6カ月頃より病状が安定したので試験期間後4歳時に在宅呼吸管理となった.現在, 6歳であり在宅呼吸管理を支援するネットワークに支えられ社会生活を送っている.
著者
佐久間 秀明 佐藤 睦人 中村 淳 荒川 昭弘
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.60, pp.235-237, 2009 (Released:2017-05-25)
被引用文献数
1

イチゴ苗に寄生する微小害虫に対する物理的防除法として,ポット苗の真空処理法を案出し,ワタアブラムシに対する防除効果について検討した.真空デシケータに油回転真空ポンプを接続した真空処理装置を作成し,イチゴポット苗を1kPa の真空中に静置する時間を変えた処理を行った結果,12 時間以上の真空処理でワタアブラムシの防除が可能であった.また,真空処理により小葉が外縁部から褐変する障害が生じたが,12 時間処理では程度が軽微であった.
著者
ジメネス フェリックス 吉川 大弘 古橋 武 加納 政芳 中村 剛士
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.2N21, 2017 (Released:2018-07-30)

近年,教育を支援する教育支援ロボットが注目され,定型発達児を対象に研究が進められている.一方,学校の通常学級において,発達障害児の在学割合は年々増加している.そのため,発達障害児を対象とした教育支援の必要性は高まると考えられる.しかしながら,発達障害児を対象とした研究事例は少ない.そこで本稿では,発達障害児と教育支援ロボットとの一対一における共同学習による学習効果について報告する.
著者
中村 好則 NAKAMURA Yoshinori
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.15, pp.69-78, 2016-03

平成26年6月24日に閣議決定した世界最先端IT国家創造宣言において「学校の高速ブロードバンド接続,1人1台の情報端末配備,電子黒板や無線LAN環境の整備,デジタル教科書・教材の活用等,初等教育段階から教育環境自体のIT化を進め,児童生徒等の学力の向上と情報の利活用の向上を図る」ことが,さらに「これらの取組により,2010年代中には,全ての小学校,中学校,高等学校,特別支援学校で教育環境のIT化を実現するとともに,学校と家庭がシームレスでつながる教育・学習環境を構築し,家庭での事前学習と連携した授業など指導方法の充実を図る」ことが述べられ,政府主導で教育の情報化が進められている。また,文部科学省では,平成26年度にICTを効果的に活用した教育の推進を図ることを目的に,教育効果の明確化,効果的な指導方法の開発,教員のICT活用指導力の向上方法の確立を図るためにICTを活用した教育の推進に資する実証事業を行い,成果報告書や手引き書を公表している(ICTを活用した教育の推進に資する検証事業,2015)。さらに,総務省でも,平成26年6月から「ICTドリームスクール懇談会」を開催し,教育分野におけるICT活用の推進に取り組み,平成27年4月に中間取りまとめを公表している。これらのことからも,教育の情報化は着実に進展している。しかし,学校現場ではどうだろうか。文部科学省や総務省,県や市などの研究指定校や先進的に研究に取り組んでいる学校だけがICTを活用した実践に取り組み,それ以外は従来からの指導とあまり変わらない現状があるのではないだろうか。特に,数学指導においては,ICT活用よりも,紙と鉛筆による指導こそが重要だという教師の思い込み(固定観念あるいは素朴な考え方)がある(例えば,中村2015a)。中学校においても,電子黒板やパソコン,タブレット等のICT 環境が徐々に整備され(平成26年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果,文部科学省2015),それらを数学指導においても有効に活用することが求められている。しかし,数学指導において「なぜICTを活用するのか(ICT活用の目的)」,そのために「どのようにICTを活用するのか(ICT活用の方法)」が,学校現場において十分に理解されていない。そこで,本研究では,中学校学習指導要領とその解説及び教科書を基に,数学指導におけるICT活用について検討し,中学校の数学指導におけるICT活用の方向性(目的と方法)を明らかにすることを目的とする。そのために,平成20年版の中学校学習指導要領とその解説におけるICT活用に関する記述内容を調査する(第2章)とともに,中学校数学の平成27年検定済みの教科書におけるICT活用の取り扱いを分析(第3章)し,それらを基に中学校の数学指導におけるICT活用の方向性を考察する(第4章)。最後に,本研究のまとめと課題を述べる(第5章)。
著者
中村 仁彦 山根 克 永嶋 史朗
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.16, no.8, pp.1152-1159, 1998-11-15
被引用文献数
24 1

This paper discusses the dynamics computation of structure-varying kinematic chains which imply mechanical link systems whose structure may change from open kinematic chain to closed one and vice versa. The proposed algorithm can handle and compute dynamics and motions of any rigid link systems in a seamless manner without switching among algorithms. The computation is developed on the foundation of the dynamics computation algorithms developed in robotics, which is inherently superior in efficiency due to explicit use of the generalized coordinates to those used in the general purpose motion analysis software. The structure varying kinematic chains are commonly found in computing human and animal motions. The established computation will provide the general algorithmic foundation of the computation of motion and control of humanoid robots and CG human figures.
著者
矢動 丸琴子 大塚 芳嵩 中村 勝 岩崎 寛
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.56-61, 2016 (Released:2017-01-30)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

近年,ストレス対策を目的としたオフィス緑化が注目されているが,業種別の差異について検討されているものはない。そこで,本研究では,仕事・職場に対する評価としてVASを気分状態に対する評価としてPOMSを用いて,さまざまな業種を対象として現地実験を行い,実際のオフィス空間において,植物設置前後での勤務者の感情状態を測定した。その結果,植物を設置することで,勤務者の負の感情状態が改善されること及び業種・職種ごとの特徴や社内の雰囲気などにより結果に差が見られるということが示唆された。また,一度植物を撤去し,再設置した際には,同一の植物ではなく異なる植物を設置した対象者において,より高い効果が得られた。
著者
斉藤 絢基 中村 聡史
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

コミックの創作を行う際,キャラクタのセリフやナレーションなどで用いられる文字をキャラクタの性格や場面の雰囲気に合わせた文字デザインを行うが,日本語フォントはその文字数の多さから,英語フォントに比べバリエーションが少なく,また高価であるため,その場その場にあった文字デザインをすることは容易ではない.そこで本研究では,任意の既存のフォントを組み合わせて新たなフォントを作り出す手法を実現し,そのフォントの組み合わせ度合いを自在に変化させることによって,新たなフォントを生成する手法を提案する.また,提案手法を用いたコミックで使用する文字のデザインを支援するプロトタイプシステムを実装し,提案手法の有用性を議論する.
著者
中村 有光 柳町 昭夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:03743470)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.169-176, 1963

プリント巻線モータの過負荷使用を考慮すると, 駆動素子としてSCRがトランジスタより適切であることを示し, 流通角制御の場合におきる駆動特性の劣化は速度帰還, とくに逆起電力ゲート帰還によって改善できることを一般的に明らかにした.これにもとついて出力95WのPM-488形モータを駆動できるSCRサーボ増幅器を試作した結果, 良好な性能を得ることができた.