著者
田村 次朗 安里 憲二 外間 昭 中村 献 金城 徹 平田 哲生 藤田 次郎
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.46-55, 2019

現在, 膵・胆道疾患において腹部超音波検査が標準的な検診法として一般に認知されているが, その結果についての詳細な報告は少ない。2016年1月から12月までの1年間に, 豊見城中央病院附属健康管理センターで腹部超音波検診を施行した受診者を対象とし, 膵・胆道に関する結果を検討した。総受診者数は17248名であった。膵観察不良率は男性55.1%, 女性12.1%であり, 体型別では痩せ型/標準型/肥満型の順に男性16.3%/43.6%/70.0%, 女性1.4%/7.4%/27.8%であった。各臓器に何らかの所見を有する有所見率は膵1.1%, 胆道28.1%であった。各所見の有所見率のうち高頻度のものは, 膵で膵嚢胞0.61%, 主膵管拡張0.27%, 膵腫瘤0.19%, 胆道で胆嚢ポリープ18.7%, 胆石18.7%, 胆嚢腺筋腫症3.6%であった。要精検率は膵0.44%, 胆道0.35%であった。精検受診率は膵76.0%, 胆道71.8%であった。癌発見率は膵0.012%, 胆道0%であった。男性で標準型・肥満型, 女性で肥満型の受診者は膵描出能が悪く, 飲水法追加などの方法改善を要すると考えられた。
著者
中村 かれん
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3-4, pp.184-205, 2006-03-28 (Released:2017-06-08)

日本の聴覚障害者を代表する団体は,政府の利益を推進するよう設計された法的環境のなかで単に活動しているというだけでなく,さらに進んで,システムを自己の利益のために操作することにも成功している.この団体は,政治権力による統制を避けるために,団体をアメーバのように細分化し,団体構造の柔軟性を保ってきた.本論文は,日本の市民社会構造の中での政治権力とそれに対する抵抗の問題を取り上げる. The main organization of the deaf in japan has not only been able to work within a civil law environment designed largely to promote the interests of the state and quell social protest, but has been able to succeed in manipulating the system to its own benefit It has shown remarkable organizational flexibility by subdividing in an amoeba-like fashion to avoid political control. This paper engages questions of power and resistance in the civi society framework of japan.
著者
福田 圭志 中村 英美 光田 尚代 井尻 朋人 鈴木 俊明
出版者
日本転倒予防学会
雑誌
日本転倒予防学会誌 (ISSN:21885702)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.53-59, 2017-06-10 (Released:2018-06-22)
参考文献数
35

【目的】主要な転倒リスク評価により後方転倒を予測できるか検証することを目的とした。【方法】対象は独歩または杖歩行可能な地域在住高齢者 61 名とした。対象者を過去 1 年間で転倒経験なし(Ⅰ群),後方転倒以外の転倒経験あり(Ⅱ群),後方転倒経験あり(Ⅲ群)の 3 群に分類した。3 群に対して 5 回椅子立ち上がりテスト(Five-Times-Sit-To-Stand Test: 以下,FTSST),通常歩行速度,Timed Up & Go Test(以下,TUG),片脚立位時間を計測した。なお,片脚立位では足の着地位置が,前方,後方,中間のどの方向へ着地するのかを 5 回測定した。各評価結果の 3 群間の比較には Steel-Dwass 法を用いた。また,各群の片脚立位の足の着地位置が前方着地と後方着地,中間着地のどの方向に関連するかを χ2 独立性の検定を用いて検証した。【結果】Ⅰ群とⅢ群間の比較では,FTSST はⅠ群が 14.2 ± 4.7s,Ⅲ群が 19.4 ± 6.3s,通常歩行速度はⅠ群が 0.8 ±0.2m/s,Ⅲ群が 0.6 ± 0.1m/s,TUG はⅠ群が 12.6 ± 4.7s,Ⅲ群が 16.9 ± 5.7s と,いずれもⅢ群が有意に劣っていた(p < 0.05)。Ⅰ群とⅡ群間ではすべてに有意差はなかった。片脚立位における測定時間は 3 群間で有意差はなかった。また,片脚立位の挙上側足の着地位置に関しても,3 群ともに足の着地位置と転倒方向の関連性はなかった。【結論】現在,多く用いられる転倒リスク評価のみでは後方転倒の予測は難しいが,後方転倒は下肢筋力や立ち上がり,歩行,方向転換能力のより低い高齢者に生じやすいことが示された。
著者
冨永 千代子 中村 睦美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.E3P3207, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】座位姿勢時の座圧では、座面・背もたれ角度やクッションの有無に着目した報告は多く見られるが、足台やレッグレスト角度に着目した報告は少ない.本研究の目的は、足台の高さやレッグレスト角度の違いによる座圧の変化について検討する事である.【方法】対象は健常成人21名(男性7名、女性14名)で、平均年齢33.4±9.2歳、平均身長163.2±8.5cm、平均体重59.1±11.4kgであった.対象者には研究内容について説明を行い文書にて同意を得た.方法は、簡易体圧測定器(ケープ社製セロ)を使用し、左右坐骨への座圧を各3回ずつ計測し最大値を採用した.対象者は治療台に端座位となり胸の前で上肢を組み、1)股・膝関節90度となる高さの足台使用時、2)1)より高い足台使用時、3)足台無しで足底面離床の3条件で計測を行った.また、リクライニング車椅子に深く腰掛け、座面に対するレッグレストの角度を0°、15°、30°、45°、60°、90°と変化させ計測した.統計は、各条件間における座圧の比較に分散分析を用い、体重と座圧の関係にはピアソンの積率相関係数を求めた.有意水準は5%未満とした.【結果】足台の条件を変化させた際、座圧の平均値は1)95.6±29.5mmHg、2)138.9±29.2mmHg、3)81.9±21.1mmHgで、足台なしの条件で最も低値を示し、各条件間で有意差がみられた.レッグレスト角度による座圧の変化は、レッグレスト角度が大きくなると座圧は小さくなる傾向を示し、0°で73.66±23.5mmHg、15°で68.78±21.4mmHg、30°で67.26±19.4mmHg、45°で64.69±18.7mmHg、60°で64.08±13.4mmHg、90°で63.95±15.2mmHgとなり、0°と30°、0°と45°、0°と60°、0°と90°の間に有意差がみられた.各条件において体重と座圧に相関関係は見られなかった.【考察】車椅子座位において股・膝関節90度での座位は最も良肢位と言われ、推奨されている.そのため我々は、股・膝関節が90度となる様に高さを調節した足台を使用した際に最も座圧が低いと予想したが、実際は足台無しで足底面離床時に最も低値を示した.これは足底面が離床する事で下腿が下垂し、大腿遠位部後面の接触面積が増大し、坐骨部への圧が分散された為と考えられる.またレッグレスト角度による座圧の違いは、レッグレスト角度が大きいと座圧は小さくなる傾向を示し、90度で最も低値を示した.レッグレスト角度が大きくなると、下腿が下垂し、大腿遠位部後面の接触面積が増大し、坐骨部への圧が分散された為と考えられる.本研究では坐骨部へかかる圧力に着目し健常成人での検討を行ったが、高齢者を対象とした場合、車椅子の座位姿勢は下肢の循環状態や浮腫なども考慮に入れる必要がある.今後は実際に車椅子を利用する高齢者を対象としさらに検討を続けたい.
著者
村木 正芳 中村 健太 鈴木 真 瀬上 高博 山本 賢二
出版者
一般社団法人 日本トライボロジー学会
雑誌
トライボロジスト (ISSN:09151168)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.507-514, 2014-08-15 (Released:2018-02-23)
参考文献数
11

Tribological performances of the oils containing polylaurylacrylates with and without hydroxyethyl group were studied under elastohydrodynamic lubrication (EHL), partial EHL and the boundary lubrication conditions. The base oil was polyalphaolefin and the viscosity of polymer solutions and the concentration of polymer was adjusted at the same level. Under the partial elastohydrodynamic contacts using a ball-on-disk type tribometer, polylaurylacrylatehydroxyethylacrylate (PLA/HEA) showed a greater oil film thickness while lower traction coefficient at low rolling speeds than polylaurylacrylate (PLA). This can be interpreted that adsorption of hydroxyethyl group of PLA/HEA reduced traction under the partial EHL condition. Under the boundary lubrication conditions using a pin-on-disk type tribometer, PLA/HEA exhibited the flat friction-velocity relation while PLA showed a large negative gradient of friction-velocity relation. Finally, PLA/HEA was superior to PLA in terms of the antiwear properties with a reciprocating friction tester. It is inferred that these better performances of PLA/HEA under the boundary lubrication conditions were brought about by formation of a tribofilm based on reaction of hydroxyethyl group and the sliding surface.
著者
高橋 大樹 伊藤 秀昭 澤 繁美 中村 清彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.658, pp.25-30, 2006-03-16
参考文献数
7

機械学習の一つである強化学習は条件付けのモデルとして提案された計算モデルである。中脳のドーパミン細胞活動が強化学習における時間差分予測誤差を表現しているという報告がされている。また、近年、確率的に報酬が与えられる場合、不確実さを表すドーパミン細胞活動が示された。本研究の目的はこの不確実さの活動を計算モデルを用いて再現する事である。大脳基底核の計算モデルとして強化学習を仮定し、正の時間差分予測誤差より負の時間差分予測誤差を重視して学習を行う事で不確実さを表す活動を再現する事ができることを示す。また、このモデルが人間の行動特性であるプロスペクト理論の一部をも再現できる事を示す。
著者
長谷川 ゆかり 中村 優美子 外海 泰秀 大島 辰之 伊藤 誉志男
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.261-265, 1990-06-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
7 8

The antimicrobial and preservative effects of sodium chlorite on fish and vegetable were compared with those of sodium hypochlorite. Raw whole sardine, sliced mackerel or shredded cabbage were soaked in solutions of sodium chlorite or sodium hypochlorite at 5°C for 1 hour, and then stored for 1 or 2 weeks at 5°C. Then bacterial counts for all samples and K values of fish were determined. Browning of cabbage was observed continuously.The antimicrobial effect of sodium chlorite was as strong as that of sodium hypochlorite for fish. The two compounds were not effective to keep fish fresh (checked by K value), but sodium chlorite suppressed the growth of bacteria on vegetable better than sodium hypochlorite did, and it also protected cabbage from browning very effectively.
著者
中村 喜和
出版者
一橋大学
雑誌
言語文化 (ISSN:04352947)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.25-55, 1966-11-03

論文タイプ||論説
著者
金井 光代 中村 弥生 田中 直人 近藤 尚子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.56-59, 2018-03-09 (Released:2018-05-18)
参考文献数
2

本事業では、服飾分野における機関横断型デジタルアーカイブの構築に向けて、服飾資料収蔵機関への訪問調査を行うとともに、服飾資料収蔵機関・有識者・先進的取り組みを行っている機関との連携構築に向けてのネットワークづくり、情報収集に努めてきた。その結果、データベースを一般公開している機関は約半数にとどまることが明らかになった。各機関とも、公開に意欲はあるものの、構築・継続的公開のための人員、予算、ノウハウがなく、実際に公開するには至っていない。また、公開の目的、想定利用者が各館で異なることが分かった。横断検索システム構築には、共通の目的、利用者を設定することが重要であるため、その先導役、取りまとめ役を担う拠点の存在が必要不可欠であることも明らかになった。本報告では、機関横断型デジタルアーカイブ実現に向けて取り組んできたこれまでの活動を報告すると共に、今後の展望についても言及する。
著者
中村 英記 山本 ゆかり 竹口 諒 堀井 百祐 真鍋 博美 平野 至規 北村 晋逸 室野 晃一
出版者
名寄市立総合病院
雑誌
名寄市立病院医誌 = The Jounal of Nayoro City Hospital (ISSN:13402749)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-4, 2015-07-01

名寄市立総合病院の位置する北海道上川北部地区は, 福井県とほぼ同規模の広大な面積に人口約7 万人が居住する2次医療圏であり, 全国有数の過疎地域である. 当地区では近年, 周産期医療の集約化が進められ, 平成16年以降, 分娩可能施設は当院のみとなっている。過疎地域における周産期医療の集約化は, 限られた医療資源を有効利用する上で必要な方策であるが, 遠距離分娩の 加など新たな問題も生じている。また, 当院にはこれまで新生児集中治療室(NICU) がなく, 早産児や重症児は, 2次医療圏こえて旭川市の周産期センター病院に母体・新生児搬送するケースが多かった。 しかし, 急性期の長距離搬送にはリスクを伴う。 また, 搬送先の周産期センタ病院で超低出生体重児が出生したような場合, 急性期を過ぎてもback-transfer(逆搬送) による転院受け入れが当院では困難であったため, 場合によっては数か月にわたり長期間の家族との分離を余儀なくされ, その後の良好な母子関係の確立が阻害されることもあった。 平成24年7月, 地域の周産期医療の充実を図るため, 当院では3床のNICU(加算2) を開設し,人工呼吸管理が常時施行できる体制とした。 具体的には,切迫早産時の母体搬送基準を緩和し, 加えて慢性期の新生児逆搬送を積極的に受け入れるようにした(表1)。現行の基準としてから2年が経過したが, 実際に母体搬送数や新生児搬送数は減少しているのか, また早産児・重症児の入院を受け入れるようになったことで予後が悪化しているところである。今回われわれは、NICU開設後、当院における周産期医療がどのように変化したか、検討したので報告する。
著者
張 馨 中村 英樹 井料(浅野) 美帆 陳 鵬
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_1031-I_1040, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
7
被引用文献数
5

信号交差点における横断歩行者の歩行速度特性を知ることは,歩行者の安全性の向上に極めて重要である.そのため,横断歩道の幾何構造および信号現示などによる横断歩行速度の変化を定量的に評価する必要がある.そこで本研究では,様々な横断歩道長や歩行者青時間長の横断歩道における歩行者青(PG)時の横断歩行速度を,横断の前半・後半に分けて分析し,これらを推定するモデルを構築した.その結果,横断歩道長が長くなるほど,また青時間開始から時間が経つほど,横断歩行速度が速くなることがわかった.さらに,これを既存の歩行者青点滅(PF)時間を対象としたモデルと比較し各説明変数の感度分析を行ったところ,青点滅時の方が全体的に横断歩行速度が速く,横断歩道長や横断開始タイミングに対する感度も高い傾向が見られた.
著者
斉藤 まなぶ 足立 匡基 中村 和彦 大里 絢子 栗林 理人 高橋 芳雄 吉田 恵心 安田 小響
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

発達障害の有病率及び併存率の推定:平成26年4月から平成28年10月までに健診に参加した全5才児3804名(月齢平均:63カ月)を解析の対象とした。一次スクリーニングは2923名(76.8%)から回答を得た。二次検診の対象児は607名(20.8%)であった。最終的に希望者31名を含む440名が二次健診に参加した。ASDの診断については、さらに補助診断検査としてASD診断を受けた対象者に後日ADI-RまたはADOSを施行した。その結果、自閉症スペクトラム障害(ASD)が3.30%、注意欠如・多動性障害(ADHD)が4.95%、発達性協調運動障害(DCD)が5.54%、知的障害/境界知能(ID/BIF)が3.33%であった。また、ASDではADHD合併が60.0%、DCDの合併が61.1%、ID/BIFの合併が40.0%であった。疫学調査における使用尺度の妥当性の検討:AD/HD-RSの内的整合性(N Takayanagi, et al. 2016)、ASSQ短縮版の5歳児適用における妥当性(足立ら、2016)を検証した。リスク因子の検討:得られた疫学データからロジスティック回帰分析を行い、ASDのリスク因子は出生体重2500g未満と父親の高齢が有意な結果となった。バイオマーカーの検討:ASD群でIGF-1、VLDL-Cho、VLDL-TGに有意な性差があった。バイオマーカーとASD、ADHD症状との関連性はIGF-1が実行機能の問題、VLDL-Choが相互的対人関係の問題、VLDL-TGが社会性、想像力、対人関係の問題と負の相関があったGazefinderを用いた注視点検査では、5歳のASD児は興味のある映像への注視は長く、興味のない映像への注視は短いことが確認された。
著者
櫻田 厚 中村 栄輔
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.391, pp.31-33, 2017-04

櫻田厚氏は18年務めた社長の座を昨年、中村栄輔氏に譲って会長に専念した。互いに連携しながら、櫻田氏は主に海外事業、中村氏は国内事業を担当する。事業承継を機に、会社をどう強くようとしているのか。トップ2人に聞いた。
著者
中村 康則 青木 茂治
出版者
日本歯科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

口腔カンジダ症患者から分離したC.albicans K株の1×10^7〜4×10^7cellsを4週齢の雌雄SDラットに1回静脈接種することにより四肢に関節炎を発症せしめ、外観症状(腫脹,発赤,歩行異常)の経過を観察すると共に関節部骨の形態変化について検討した。1.経過観察:(1)発症率には性差はなく、接種菌量の増量にほぼ依存して発症頻度も高くなった。(2)発症の時期は菌接種後2〜4週に集中したが、2ケ月以降に遅発する例や再発例もあった。(3)発症部位は諸々の関節に及ぶが、中でも足根部,膝,助骨,肘の頻度が高かった。また、一個体で複数部位に発症する例が約4割あり、接種菌量が増量すると発症部位の総数も増加した。(4)外観症状の回復には平均2週間位を要したが、数日間の軽症例や長期間持続するものもいた。 2.骨形態変化:(1)関節炎部位の軟X線写真からは骨の膨隆,骨吸収斑の他、関節面の凹凸もみられた。骨吸収斑は未発症の骨にも同様にみられた。(2)それら部位のCMR写真からは軟X線所見を裏付ける骨造生像や骨吸収窩像の他、皮貭骨の菲薄化、骨梁の減少も観察された。この造生骨の形成過程を踵骨の例でみると、外観症状の出現から4日位で針状の未熟骨が部分形成され、その数日後には桿状骨となり骨辺縁を取巻いていた。この間に投与した硬組織時刻描記剤テトラサイクリンの骨蛍光分布は造生骨が顕著であり、石灰化が活発であることが示された。そして、この骨変化は外観症状が顕著なもの程、高度でかつ永続した。(3)病理組織標本からは旺盛な骨芽細胞が造骨している一方で、破骨細胞の出現による骨吸収窩像がみられたが、これらの所見は関節周囲の強裂な炎症に起因すると思われた。以上の成績から、本真菌によるラット関節炎は多発性であること、遅発や再発も起こること、骨に対しては新生骨の造生と骨吸収斑の変化が主であり、これらの骨病変は自然治癒しにくいことが示唆された。
著者
林 直亨 中村 好男 村岡 功
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.279-286, 1995-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1 3

A study was conducted to investigate the effect of exercise intensity on the recovery of autonomic nervous activity after exercise. Ten subjects performed four kinds of 10-min cycle exercise with target heart rates of 100, 120, 140, and 160 beats/min (THR 100, THR 120, THR 140 and THR 160, respectively) following 5 min of exercise to increase the heart rate to the target level. The beat-by-beat variability of the R-R interval was recorded throughout the experiment including the 5-min pre-exercise control period and the 30-min recovery period. Spectral analysis (fast Fourier transform) was applied to every 5-min R-R interval data set before, during ( 5-10 min) and after exercise at the target heart rate. The low- (0.05-0, 15 Hz : P1) and high- (0, 15-1.0 Hz : Ph) frequency areas were calculated to evaluate sympathetic (SNS) and parasympathetic (PNS) nervous activities as P1/Phand Ph, respectively. During exercise, SNS of THR 160 was significantly higher, and PNS of THR 140 and THR 160 was significantly lower than the respective pre-exercise values (p<0.05) . Althouglt all indicators recovered to, or overshot the pre-exercise values at 20-30 min after THR 100 and THR 120, heart rate and SNS were still higher and PNS was still lower than the pre-exercise value after THR 160. These results suggest that the recovery of cardiac autonomic nervous activity is slower after high-intensity exercise than after low-intensity exercise, and that the recovery of autonomic nervous activity after acute exercise does not always corrrespond linearly on the exercise intensity.