著者
二木 厚吉 緒方 和博 中村 正樹
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.2_1-2_13, 2008 (Released:2008-06-30)

CafeOBJ言語システムを用いた形式手法,すなわち形式仕様の作成法と検証法,を全6回にわたり解説する.CafeOBJ言語はOBJ言語を拡張した代数仕様言語であり,振舞仕様,書換仕様,パラメータ化仕様などが記述できる最先端の形式仕様言語である.CafeOBJ言語システムは,等式を書換規則として実行することで等式推論を健全にシミュレートすることができ,対話型検証システムとして利用出来る.第1回の今回は,「待ち行列を用いる相互排除プロトコル」を例題として,言語や検証法の細部に立ち入ることなく,CafeOBJ仕様の作成と検証が全体としてどのように行われるかを説明する.第2回以降では,言語の構文と意味(第2回),等式推論と項書換システム(第3回)について説明し,証明譜を用いた簡約のみに基づくCafeOBJの検証法(第4回)を解説する.さらに,認証プロトコル(第5回)と通信プロトコル(第6回)の2つの典型的な検証例も示すことで検証の技法についても解説する.
著者
木下 博明 酒井 克治 広橋 一裕 街 保敏 井川 澄人 山崎 修 鄭 徳豪 福嶋 康臣 久保 正二 松岡 利幸 中塚 春樹 中村 健治
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.18, no.11, pp.2329-2335, 1985-11-01
被引用文献数
2

肝細胞癌の元凶ともいえる門脈内腫瘍栓の対策として経皮経肝門脈枝塞栓術(percutaneous transhepatic portal vein embolization以下PTPE)を考案し,それを肝細胞癌17症例の術前に行ったのでその手技と成績を報告した.PTPE後門脈圧の亢進と多少の肝機能障害の出現をみたが,PTPEは動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization以下TAE)に比べ安全であった.また切除標本の塞栓状態と組織学的所見からみて塞栓物質としてリピオドール混入フィブリン糊が現在最も適していると考えられた.肝切除前に行われるPTPEはTAEの抗腫瘍効果を増強させ,肝内転移の防止や肝切除後の肝再生ひいては手術適応の拡大にも有用であると考えられた.
著者
新井 宏 中村 聡 山下 仁大
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.293-300, 2003-07-25
被引用文献数
13

可視光作動型二酸化チタン光触媒を助剤とした低濃度の過酸化水素水漂白剤を作製しモデル化した着色エナメル歯牙表面を用いて低輝度可視光照射下における漂白の効果について観察した.ハイドロキシアパタイトの焼結体を作製し,得られた焼結体をメチレンブルー水溶液とテトラサイクリン水溶液に浸漬し着色させた.可視光作動型二酸化テタン光触媒含有の過酸化水素水漂白剤を着色したハイドロキシアパタイト表面に塗布し,可視光をLED発光装置により照射した.漂白前後の色調の変化を調べた結果, L*, a*, b* 値は漂白前に比べて変化した.特に青色光や緑色光の可視光を照射するとL*値の増加が認められ非照射時より明度が増すことが分かった.以上のように可視光作動型二酸化チタンを助剤とすることにより,従来よりも低濃度の過酸化水素水漂白剤を用いても可視光を照射することによって着色歯の漂白が行えることが示唆された.
著者
村上 覚 末松 信彦 水戸 喜平 中村 新市
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.331-336, 2006 (Released:2006-09-25)
参考文献数
20
被引用文献数
11 10

伊豆半島を代表する早咲きザクラである‘カワヅザクラ’の南伊豆地域における開花期を調査し,開花日と気温との関係について検討した. 4年間の平均開花日(2分咲き日)は,気温が高く推移していた地点では早く,気温が低くする地点では遅くなる傾向を示し,南伊豆地域内においても約1か月の差が確認された.年次間差では4年間の調査で約2週間の違いがあった.開花期間は2分咲きから満開までが平均18日と比較的観賞期間は長かった.開花日(2分咲き日)と気温との相関は,11月下旬から12月上旬にあたる開花前51~70日以降の気温との相関が高かった.河津町田中と南伊豆町青野川堤防における‘カワヅザクラ’の開花状況には個体差 が確認され,地域内で長期間連続して開花を続ける性質が認められた.
著者
中村 昭二 永原 邦茂
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

国際頭痛学会分類では,咬合異常が頭痛の発症因子である記載は見られない.しかし,咬合治療により頭痛が改善することは少なくない.そこで不正咬合と頭痛の関連について,歯科治療を目的として来院した患者の協力を得て調査を行った.前後的に正常被蓋,上顎前突,下顎前突の3タイプに分類し,同様に上下的に正常被蓋,過蓋咬合,開咬に分類した.頭痛の診断は国際頭痛学会分類(IHS)に従って神経内科医が行った.過去1年以内の頭痛経験者を頭痛ありとした.結果:1.調査対象者1401名の49.2%に頭痛が見られ,そのうち,片頭痛単独が30.2%,緊張型頭痛単独が27.6%,両者の混合性頭痛が36.6%,その他の頭痛が5.6%であった.2.(1)前後的不正咬合の分類;各不正咬合別頭痛発症率は,下顎前突が65.3%,上顎前突が57.5%,正常被蓋が45.1%の順であった.また正常被蓋と下顎前突は片頭痛が緊張型より多くみられ,上顎前突では逆であった.特に正常被蓋と上顎前突に差(P<0.001)がみられ,正常被蓋では偏頭痛が,上顎前突では緊張型頭痛が多く見られた.(2)上下的不正咬合の分類;各不正咬合別頭痛発症率は,開咬が73.9%,過蓋咬合が58.1%,正常被蓋が43.7%の順であった.また,正常被蓋と開咬では片頭痛が緊張型より多くみられ,過蓋咬合では逆であった.その有意差検定でも正常被蓋と過蓋咬合,過蓋咬合と開咬に差(P<0.001)がみられ同様の所見がみられた.総括:頭痛の病態に対する詳細はまだ知られていないが,今回の研究から不正咬合の分類と頭痛のタイプに関連があり,いわゆる「咬合関連性頭痛」があることが窺えた.今後の研究:さらに頭痛と病的咬合因子との関連性を求め,歯科的治療法を確立していく予定である.
著者
中村 亮介 網野 梓 一野瀬 亮子 柄川 索 玉本 淳一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp."2P1-I03(1)"-"2P1-I03(2)", 2008-06-06

We are developing a human-symbiotic robot, called "EMIEW2", designed to support human activity. We set the following three features in the EMIEW2. The first is speed. The robot's moving speed is faster than human walking at 6km/h. The second is the safety. It weighs 13kg the same as a two-year old child. The third is its minimum size for office work. The robot's height is 800mm, which is taller than most office desk. This allows the robot to detect objects on them. To expand on the robot's range of motion, the EMIEW2 has three modes. In "two-wheeled mode", the EMIW2 can move nimbly at 6km/h. In the "four-wheeled mode", the EMIEW2 can move stably. In "step mode", the EMIEW2 can walk up a 3cm step. This paper describes the EMIEW2's mechanism and system constitution.
著者
柄川 索 一野瀬 亮子 中村 亮介
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp."2P1-I04(1)"-"2P1-I04(2)", 2008-06-06

This paper describes the software architecture of the humanoid robot "EMIEW 2." In order to increase efficiency of software development of robotic and mechatronic systems, which often requires complicated software comprised of many real-time tasks running on multiple processors, the authors have developed a message-driven software component framework. The software of EMIEW 2 is comprised of 28 software components such as motor control, path planning, and localization. The component framework transmits a message containing 1024 bytes of data in 18μs when it is executed on a 500 MHz CPU. It can currently be used with four operating systems and is expected to be applied to other robotic and mechatronic systems.
著者
中村 良夫 仲間 浩一
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

本研究は、鉄道を始めとする軌道系交通に配慮した都市空間の計画・設計の考え方やその手法を提示することを目標に定め、以下のような具体的成果を得ることが出来た。まず、軌道系交通空間の都市における意味的な位置づけを把握する方向において、1.「地下鉄路線の認知構造に関する研究」を行い、地下鉄の利用者側から見たイメージアビリティとその路線認知のイメージ構造を明らかにし、都内地下鉄路線網のイメージ形成要因を整理した。2.「情景描写からみた駅のイメージに関する基礎的研究」を行い、駅空間の都市における位置づけを明らかにする目的で、「都市の顔」としての駅空間の原初的な特性と、交通網の結節点としての機能獲得と並行して個性喪失が進行した経緯を明らかにした。また今後の都市駅の在り方を国土全体のイメージの縮図として提言した。次に、視点場として軌道系交通空間をとらえ、得られる眺望景観が都市の骨格形成やイメージ形成に与える影響を分析する方向として、1.「ウオーターフロントの景観計画に関する基礎的研究」を行い、昭和初期の臨海都市開発における複合的な機能の接合に際して、鉄道が果たしたパブリックアクセス上の機能的役割、ならびに都市イメージ形成上の役割を明らかにした。また海水浴場の経営にあたっての、開発地域内での水上交通との連係方法を示した。2.「高架鉄道の車窓景観の分析手法に関する研究」において、JR京葉線/東京モノレールなど6路線を対象に、車窓からのシーケンス景観における視野占有要素の露出に着目した数量的評価手法を示した。また形態・文字情報からなる車窓景観の認識パターンや、車窓景観の移り変わりの度合いに着目した評価手法を示した。以上の研究の成果は、軌道系交通を活用した都市計画・設計に有用な知見を提供できるものと期待される。
著者
中村 哲也 丸山 敦史
出版者
共栄大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題では、わが国における生鮮果実・果実加工品の海外販路拡大に関して、計量的かつ実証的に分析した。分析の結果、下記の諸点が明らかにされた。第1章では、栃木産にっこりととちおとめが、香港やバンコクの如何なる購買層に評価されるのか、プロビットモデルを推計し、考察した。まず、香港・バンコクにおける国産ナシ品種と国産イチゴ品種の認知度は非常に低かった。今後、栃木産にっこりととちおとめ輸田する際は、輸田専用パッケージ等による品種のイメージアップを図る必要があるだろう。そして、とちおとめは香港では大きさが、バンコクでは香りが評価された。そして、にっこりは中高年層に、とちおとめは女性に評価が高かった。最後に、香港でのにっこりの価格は中国産ナシの4倍、バンコクでのとちおとめの価格はタイ産イチゴの7倍の価格差があった。そして、香港ではにっこりは8割弱が、とちおとめも7割弱が、調査当日の小売価格または若干高くても購入するという回答が得られた。ただし、バンコクでは8割弱が、調査当日の店頭小売価格ならば購入しないという結果となった。そして、プロビットモデルの推計結果から判断するならば、今後の香港でのとちおとめ輸田は、中高年層をターゲットとし、食味評価の高い女性を如何に購買層に取り入れるかが輸出拡大のカギとなるだろう。第2章では、伊勢丹スコッツ店における栃木産巨峰の輸出動向とその来客の消費意識について考察した。同店において、日本産ブドウの評価自体は非常に高いが、栃木産巨峰の低価格性が求められた。ただし、日本人客の多い同店のようなケースでは、高価な日本産巨峰は安価なオーストラリア産と棲み分けられていた。シンガポール人の味覚や安全性の拘りも日本人とは異なっているのだが、シンガポール人による日本産巨峰の評価は非常に高い。そのため、今後の輸出は、早急に価格改定するというよりは、脱粒(巨峰の粒が茎から落ちること)・茎枯れ(鮮度が落ちて茎が枯れる)しないといった鮮度の向上や種なし巨峰販売といった手法で、ターゲットとする販売層(消費者層)を明確に意識したマーケティング活動が不可欠となるだろう。そして、同店の栃木産巨峰の販売拡大のカギとなるのは、日本人以外の巨峰購入のリピーターを如何にして拡大するかにかかっている。同店は、日本人客も比較的に多いのであるが、実際に購入回数が多い客は日本人が圧倒的に多く、大
著者
中村 仁彦 永井 清 吉川 恒夫
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.489-498, 1986
被引用文献数
31 10

本論文では, 複数のロボットマニピュレータまたは多指ロボットハンドによる協調的あやつりの力学が議論される.協調的あやつりの問題は2つの局面に分けられる.1つは複数のロボット機構による合力を決定することであり, もう1つはそれらの間の内力を決定することである.合力は外力や環境拘束を受ける物体のあやつりに用いられる.内力は最大静止摩擦係数の不確さや変動に適応するために用いられる.合力の決定に対して動的協調制御方式が提案される.また, 最大静止摩擦の拘束の下で対象物に任意な加速度を発生する能力である協調的あやつり可能性を確認するための1方法が提案される.最後に, 最適内力を最大静止摩擦の拘束を満たすために必要な最小ノルムの内力と定義し, 最適解を求めるために非線形計画法が適用される.最適解は, それが存在する限り, 最大〓組の代数方程式を解くことによって必ず求められる.
著者
田中 昌孝 中村 広隆 小久保 秀之 陳 偉中 張 トウ 相馬 隆郎 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.152-158, 2001-03-01

気功師が手かざしを他者に行うと、それをされた部位に温度変化を感じたと答える人がいる。気功師の掌に温度変化があるのか。また、その時の生理について解明するため、次の実験データの分析を行った。実験は、気功鍛錬者を被験者とし、右掌から発気するイメージをさせた。掌皮膚表面温度をサーモグラフとサーミスタにより測定した。また、その時の呼吸パターン、脈派も測定した。その結果、右掌温度は全体的に、安静では上昇、発気イメージでは下降した。この時の呼吸時間と呼吸深度は、安静では短く浅く、発気イメージでは長く深かった。また、発気イメージした右手労宮では温度変化があったが、発気イメージしなかった左手のそれはほとんど見られなかった。
著者
中村 隆志 大江 ひろ子
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-18, 2010-09-07
被引用文献数
1

「ケータイのディスプレイを"見せる"行為」を非言語コミュニケーションと捉えて,そのコミュニケーションの実態を調査した。アンケートの結果から,ケータイのディスプレイを見せる側,すなわち「送り手」は,同じコンテンツを共に楽しんで,その評価を「受け手」と共感したいという意向を持っていること,その一方で,ディスプレイを見せられる「受け手」の方は,相手の接近的な意向を酌み取っていることが示された。この結果は,「送り手」と「受け手」の間には,その対面的相互作用において,意味の食い違いが起こりやすいことを示唆する。また,調査結果は,「ケータイのディスプレイを"見せる"行為」と「ケータイのディスプレイを"見る"行為」は互いに影響下にあることを示した。その受け入れられやすさという点では,両者は相補的な関係にあり,秘匿性という点では,両者は相乗的な関係になりうることを指摘した。本稿では,「ケータイのディスプレイを"見せる"行為」を非言語コミュニケーションとして理解することの必要性を主張する。