著者
中村 純 松香 光夫
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.45-57, 2005
被引用文献数
3 2

ミツバチの生産物の一つであるプロポリスは,ミツバチが植物の防衛物質である樹脂などを集めて,巣の補強,保持に供するものである.また民間医療薬として用いられてきた歴史があり,昨今の日本では健康食品として普及している.各種の生理活性が報告されているが,本稿では 163編の文献を引用しながら,プロポリスの由来,研究の概況,化学成分について略述し,補完代替医療素材としての観点から幅広い生理活性について,その活性成分の検討,作用機作,また実際の効果試験についての研究成果を紹介した.取り上げた生理活性は,抗微生物(細菌,真菌,原虫,ウイルス)活性,抗酸化作用,抗炎症作用,抗腫瘍活性,抗肝毒性,とその他の作用である.また,利用に当たっての注意事項も付した.<br>
著者
中村 圭介
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3/4, pp.57-75, 2011-03-15

1994年に日本の労働組合員数は1,270万人と戦後最高を記録した. しかし, それ以降, 組合員数は減り続けた. この縮小トレンドは2007年に止まった. それをもたらしたのは, 1つには企業別組合による非正規労働者の組織化である. 非正規に職場を侵食された企業別組合は, 経営不安などをきっかけに, 集団的発言メカニズムの危機, 代表性の危機を察知し, 自らを守るために非正規の組織化に乗り出した. 他方で, 縮小トレンドのストップにはさほど貢献しているわけではないが, 地域に根を張り, 一般組合主義に基づいて, 企業, 産業, 職業, 雇用形態に関わらずに, 小零細企業で働く未組織労働者を組織化する「新しい主体」の活躍が目立つようになってきた. コミュニティ・ユニオン, 地域ユニオン, ローカル・ユニオンなどである. これらのユニオンは, 地域で暮らし働く労働者たちに労働組合というセイフティネットを提供している. そこに重要な機能がある. この2つの新しい動きを推進していくことが, 企業の外への関心の弱きと非正規労働者への配慮の少なさという企業別組合が持つ2つの短所を克服し, 日本の労働組合を再生させる契機となるかもしれない.
著者
中村 稔 小森 敦正 石橋 大海
出版者
独立行政法人国立病院機構長崎医療センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

原発性胆汁性肝硬変(PBC)の新しい病型分類と長期予後診断法の確立のために、全国のPBC症例を対象として、血清自己抗体の測定、HLA-DRB1 typing、免疫関連分子や胆汁酸代謝に関連した遺伝子多型の解析を行った。PBC発症の危険因子としてHLA-DRB1*0803、CTLA4 SNPs、門脈圧亢進症進行の危険因子として抗gp210抗体、抗セントロメア抗体、CTLA4 SNPs、HLA-DRB1*1502と*0901、 肝不全進行のバイオマーカーとして抗gp210抗体、MDR3やintegrin・VのSNPsなどが同定された。これらの中で特に抗gp210抗体の肝不全進行への相対危険度は30倍と高く、抗gp210抗体をバイオマーカーとして用いたPBCの治療が可能となった。また、遺伝子レベルからも、PBCを抗gp210抗体陽性型の進行と抗セントロメア抗体陽性型の進行に分類することの妥当性が示唆された。
著者
小泉 敬寛 中村 裕一 佐藤 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.471, pp.395-399, 2010-03-08
参考文献数
6

ライフログを用いることで,記憶に障害を持つ人の日常生活を支援が可能になる.しかし,そのためにはライフログから日常の様々な出来事を簡単に素早く検索する必要がある.本稿では,このような支援のひとつとして,個人視点映像からさがし物検索を行なう手法について述べる.本研究では実際の個人視点映像から何かを手に取る,置く,動かす,といった行動を検出する手法について検討し,それを手掛かりにすることによって捜し物が簡単になることを確認した.
著者
粟島 亨 戸井 崇雄 中村 典嗣 紙 弘和 加藤 吉之介 若林 一敏 宮澤 義幸 李 京
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.578, pp.23-28, 2004-01-15
被引用文献数
22

動的再構成可能プロセッサDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)のCコンパイル環境について報告する.C言語ベースの動作合成エンジンをフロントエンドとすることでDRPに対するソフトウエアライクな開発環境を実現した.C言語の動作記述から自動スケジューラにより制御回路(FSM)とデータパス回路が合成される.制御回路はDRPの状態遷移コントローラー(STC)にマッピングされ,データパス回路は複数のコンテキストに分割された上でPEアレイにマッピングされる.フロントエンド合成とバックエンド合成は統合開発環境により密に統合され,直観的なGUIが提供される.実チップ上のシンボリックデバッグが可能なオンチップ・デバッガも備えた.
著者
倉田 雅弘 中村 稔
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.480, pp.30-39, 2005-04-25

各社が重点を置いているのがテレビ関連機能の強化。特にテレビ映像の高画質化が一段と進んだ。色のにじみを抑える3次元Y/C分離や画像の2重映りを低減するゴーストリデューサーといった従来の機能は、大半のテレビ録画機能付きパソコンが採用している。さらに独自の映像処理ソフトや映像回路で高画質化を図る製品も多い。
著者
中村豊
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.531, pp.1-33, 1996
被引用文献数
7
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.902-909, 2004-11-15
被引用文献数
4 9

浦野川において魚類の種組成,個体密度,成長率および食物関係について調査した。合計で14種,7,052個体の魚類が採集された。オイカワがもっとも優占し40%以上の個体数を占め,ついでドジョウ,ウグイ,カマツカが多かった。これらの魚種は6月から8月にかけて正の成長を示した。大半の魚はユスリカなどの水生昆虫を捕食していたが,オイカワだけは底生藻類を主食としていた。浦野川の調査区においてはナマズなどの魚食性魚類がほとんど生息しておらず,その生態的地位が空白となっている。したがって,オオクチバスなどの外来魚食魚の侵入が危惧される。
著者
中村 友則 牟田 高信 中村 信孝 照沼 和明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.561, pp.37-40, 2003-01-10

現在,移動体通信業界でもB2Cサービスの需要が高まっており,コンテンツ提供者(CP)はパーソナライズされたコンテンツ提供のために接続ユーザの情報を必要としている.我々はユーザから通信要求を受ける度に,CPにユーザ情報を送信する方式の検討を進めている.本検討では,CPから依頼を受けたエンドユーザを管理し,ユーザ情報に対応させた特定情報をCPに提供することで,ユーザに対し利便性の高い形でパーソナライズドコンテンツを提供できる方法を提案し,その実現性を示す.
著者
伊東 元 長崎 浩 丸山 仁司 橋詰 謙 中村 隆一
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.123-125, 1990-03-10
被引用文献数
17

健常老年男性15名 (64-84歳) に最大速度で歩行を行わせ, 速度・歩幅・歩行率と重心動揺距離との関係を検討した。歩行速度の有意な決定因は重心動揺距離であり, 重心動揺距離が小さいと速度が速かった。歩行率の決定因は重心動揺距離であり, 重心動揺距離が大きいと歩行率が小さかった。歩幅に対しては有意な決定因はなかった。
著者
杉浦 敏浩 橋本 哲 寺野 真明 中村 政治 川瀬 貴晴 近藤 靖史
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.123, pp.11-22, 2007-06-05
被引用文献数
1

室内環境は,建物在室者のプロダクティビティや健康に影響する.したがって,プロダクティビティに着目すれば,プロダクティビティ向上を意図した室内環境計画や室内環境改善を行うことも想定できる.しかし,これらに対する投資判断や実施効果を確認するための評価方法が整備・標準化されておらず,室内環境をより高品質なものにする取り組みは充分には進められていない.このような状況の中,筆者らはできるだけ簡単に,かつ確実に実施できる標準的なプロダクティビティ評価方法について検討を行った.本報ではまず,既往のプロダクティビティ評価方法と最近の研究動向を整理する.次に,一般的な建物で利用できる標準的な評価方法の要件を整理し,これをもとに評価票を提案する.さらに今後の課題を整理する.
著者
礒田 博子 安部 征雄 東 照雄 中村 徹 藤村 達人 永木 正和 宮崎 均 中村 幸治 繁森 英幸
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

北アフリカ乾燥地域を対象に生物資源・遺伝子資源関連情報収集・機能解析、生態環境調査を行なった。その結果、百数種類のアロマ植物、7種類のオリーブオイルおよびオリーブ葉抽出物の抗ガン、抗アレルギー、神経保護、美白、育毛活性を発見した。研究成果関連学術論文発表35編、国外・国内特許出願6件、国際・国内学会発表25件、シンポジウム開催1回、現地調査13回、データベース構築・公開などの活動を行った。
著者
中村 弘
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.383-392, 1980-09-01

免疫応答は脊椎動物のもつ高度に体系化された恒常性維持のための生理機能であり, その多様な応答性は, 動物種族の系統発生と密接に関連している. 現在, こうした免疫応答の仕組みは, 個体の遺伝的性質によって厳しく制御されたリンパ系細胞群の主要な機能として理解されている. 莫大な種類におよぶ抗原のそれぞれに対する免疫反応の特異性は, リンパ系細胞上に存在する細胞自身の遺伝子産物であるリセプター抗体の活性基との反応によって生ずるものであり, この活性構造であるV-部位は, イデオタイプと呼ばれている一群の抗原決定基をもっている. こうした分野における最近の研究を理解する基礎として, 免疫応答の特異性決定のための, また自己制御のための因子である免疫グロブリン分子の主な性状についてまとめた.(1980年5月2日 受付)
著者
中村 攻 宮崎 元夫
出版者
千葉大学園芸学部
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
no.34, pp.p45-55, 1984-12

本研究は, 東京都特別区の基本構想における都市施設の整備計画について, つぎのような事項を明らかにした.(1)住宅供給計画-区が直接供給する区営住宅, その他の公的住宅, 民間住宅の3種類があり, 区営住宅をふくめた公的住宅は, 福祉対策・居住環境改善対策・人口確保対策といった公共的性格の強いものに限定され, 一般の住宅需要は民間住宅対策が中心となっている.(2)交通計画-幹線道路建設では, 自動車交通一般の円滑化を目的としたものと, バス交通や避難路の確保といった目的が限定されたものがある.しかし, 幹線道路のモータリゼーション抑制策は, 公共交通の拡充と物流の共同化を抽象的にあげるにとどまり, 具体策を見出しえない状況にある.生活道路では, 歩行者空間の確保が中心課題であり, この他には自転車対策がとりあげられている.また, 現状の求心型の公共交通体系のなかでの横の移動が大きな問題となっている.(3)防災対策-防災計画の作成, 防災都市化の推進, 自主的防災対策の確立, 応急活動体制の確立が中心的課題となっているが, いずれも計画内容は未整備であり, 具体性に欠けるものが多い.そのなかで中野区・世田谷区の計画は, 具体性において注目される.(4)公害対策-測定・監視体制の整備, 原因者規制, さらには広域対策としての環境アセスメントの制度や河川浄化の協議会の設置があげられる.(5)公園-いずれの区も低い整備目標しかあげえず, 高密市街地に位置する区ほどその目標は低い.そして, 具体策としてあげる事項は, 民有地の一時的借りあげ, 河川敷の活用や暗渠化, 残存農地の活用などである.(6)下水道-都心・山手地域とそれ以外では普及率に大きな差があり, 周辺地域では重大
著者
斉藤 正貴 吉田 勝浩 中村 貴彦 駒村 正治 Masaki Saitoh Yoshida Katsuhiro Nakamura Takahiko Komamura Masaharu 東京農業大学大学院農学研究科農業工学 東京農業大学大学院農学研究科農業工学 東京農業大学地域環境科学部生産環境工学科 東京農業大学地域環境科学部生産環境工学科 Department of Agricultural Engineering Graduate School of Agriculture Tokyo University of Agriculture Department of Agricultural Engineering Graduate School of Agriculture Tokyo University of Agriculture Department of Bioproduction and Environment Engineering Faculty of Regional Environment Science Tokyo University of Agriculture Department of Bioproduction and Environment Engineering Faculty of Regional Environment Science Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.189-197,

小規模循環型農園においてヒトが継続的に生存していくために必要な要素と規模を明らかにすることを目的とし,資源循環シミュレーションモデルを作成した。モデル対象地を静岡県として,ヒト一人の栄養バランスを保つことを前提条件とした循環システムの構成要素を提示し,農作物の収量と農地・森林面積を試算した。結果は以下の通りとなった。1.構成要素 : ヒト,家禽,養魚,農作物,緑肥作物,水質浄化作物,淡水プランクトン,森林 2.農地面積 : 5.6a(5.6×10^2m^2)(ヒト住居,鶏舎,養殖池は除く) 3.森林面積 : 2.9a次に,正規分布による確率密度関数を用いて農作物の収量に対する信頼度を明確化し,農作物収量および農地面積を算出した。信頼度ごとに割り出した農地面積は以下の通りとなった。信頼度50% : 6.9a, 信頼度75% : 7.3a, 信頼度95% : 8.0aThe purpose of this study is to show the elements and amounts, which are required to maintain a man's life on a small-scale-recycling-oriented farm. A simulation was done to show how materials recycle in a system in Shizuoka, Japan. This simulation presumed that a man can maintain his own nutritional balance and showed the constituent elements of the system. After the necessary quantity of food was calculated, the necessary amount of yields for providing food was calculated. Then the farmland area and the amounts of manure for these crops were calculated. After that the forest area for providing manure was calculated. The following results were obtained : 1. Constituent elements : Man, Chicken, Fish, Crops, Green manure, Water purifying plants, Limnoplankton, Trees 2. The farmland area : 5.6×10^2m^2 (except for the man's house, henhouse and fishpond) 3. The forest area : 50% reliability : 2.9×10^2m^2 In addition, the reliability of the yields was made clear according to a probability density function and the farmland areas each were calculated according to the yields of each case, 50%, 75% and 95% reliability. The following results were obtained : 50% reliability : 6.9×10^2m^2, 75% reliability : 7.3×10^2m^2, 95% reliability : 8.0×10^2m^2
著者
中村 祐司
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

新聞報道等のメディア情報や現地調査をもとに、2008年北京オリンピック大会を対象に、競技場の建設や交通基盤の確立、ボランタリー活動の浸透、五輪スポンサー企業の活動、政府広報、諸外国との調整、治安の確保など、開催に至るまでの中国内外における関係組織間の相互作用の動態を、ガバナンス(統治ないしは協治)の視点から把握すると同時に評価類型からの分析を行い、国内外における中国の協治の可能性について論じた。
著者
長尾 真 中村 和雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.17, no.8, pp.720-728, 1976-08-15

The implementation of LISP 1.6(LIST processing language 1.6) for a minicomputer (TOSBAC_40C) is described. The implementation of a full-power LISP processor require large program area and large free cell space, because the LISP processor must be able to run a large program efficiently. As our minicomputer has a small main memory, it is required to attach a high speed bulk core memory(512kB) as a virtual memory by the software paging mechanism based on the LRU algorithm. Upon these address spaces, we can use maximum 64k LISP cells. As a processor has the ability to swap out any list expression into the secondary memory in the form of S-expression(Symbolic expression), the user can run a fairly large program that requires more cells than 64k cells for the running. Many other ideas are employed in this processor, such as the data type of the pointer is determined by the address computation (hence the conventional data type flags in the cell are eliminated completely), the shallow binding mechanism is employed as the variable binding, the compaction and linearization of the cells are taken place at the garbage collection, and the processor works under the disk operating system. As this processor has so many features, it is easy to use, and a large LISP program is run-nable efficiently.