著者
中村 克己 南澤 裕一郎 豊田 啓孝 古賀 隆治 和田 修己 斎藤 義行 中村 篤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.833-842, 2006-11-01
被引用文献数
22

筆者らは,LSIの電源系高周波電流による電磁妨害波(EMI, Electromagnetic Interference)のシミュレーションを目的としたEMCマクロモデルとしてLECCS-coreモデルを提案している.本論文では複数種の電源端子を有し,かつ,異なる電源種の回路間が電気的に結合しているLSIに対し,LECCS-coreモデルの構築方法を検討した.実際に3種類の電源端子を有するマイクロコントローラH8/3694Fを用いて, Sパラメータ測定と等価回路変換から等価内部インピーダンスを抽出した.次に,測定した等価内部インピーダンスと電源端子電流より,位相情報をもつ内部電流源を電源種ごとに導出した.作成したモデルの検証として,バイパスコンデンサによるデカップリング効果をシミュレーションし,実測と比較した.その結果,約300MHzまでの電源系高周波電流を精度よくシミュレーションできることを示した.
著者
中村 健二 田中 成典 北野 光一 寺口 敏生 大谷 和史
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.90-104, 2012-01-15

携帯電話利用者の低年齢化にともない,インターネットを介して子ども同士がコミュニケーションを図ることによって,有害な影響を受けたり事件に巻き込まれたりする事案の増加が問題となっている.しかし,現実世界とは異なり,インターネット上では保護者が子供の振舞いや交友関係を把握することは難しいため,十分な見守りが行えないという課題がある.そのため,人手によるネットパトロールなどの活動が実施されているが,膨大な人的コストが必要となるうえに,監視漏れが発生してしまうため,Webマイニング技術を活用した支援が検討されている.しかし,インターネットでは,各ユーザが複数のWebページを用いてコミュニケーションを図るという特性があるため,一般的なWebクローラでは十分な情報収集が行えない.さらに,インターネット上には膨大な量のWebページが開設されているため,解析対象をランダムに選択する手法では,解析効率が悪いという問題がある.そこで,本研究では,インターネット上から非行逸脱傾向が高い有害ユーザを効率的に発見するマルチエージェントクローラを開発し,ネットパトロールの効率化の実現に取り組んだ.The use of mobile phones is increasingly spreading among younger people. This phenomenon leads to a concern that more children are susceptible to harmful information on the Internet or are even involved in criminal cases. It is rather difficult for parents or guardians to constantly watch their children's behavior and know everything about their interactions on the Internet. This is why activities such as "Net Patrol" have been implemented. However, such activities require an enormous labor cost and can't observe whole children's behavior without omission, and thus, web mining tools are needed to support. Ordinary web crawlers are incapable of collecting sufficient information because of the characteristic of the Internet that communication happens with a multiple services combined. In addition, random analyses using crawlers are inefficient. For these reasons, a new approach is needed to identify an individual on the Internet and collect that person's information efficiently. This study aims to develop a multi-agent crawler that can identify harmful users who tend to indulge in misconduct efficiently, and thus, improve the efficiency of Net Patrol.
著者
佃 洸摂 中村 聡史 山本 岳洋 田中 克己
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3471-3482, 2011-12-15

映像の編集や検索を行う際に,ある人物がより視聴者の注目を集めている映像を検索したいということはよくある.また,現在視聴している映像の関連映像として,登場人物の活躍パターンが似ている映像を推薦してほしいということもよくある.しかし,映像に登場する人物がどの程度視聴者の注目を集めているかは,映像のテキストデータや画像解析だけでは判断できないことが多く,視聴者の反応に基づいて注目されている人物を推定する必要がある.そこで本稿では視聴者の反応として映像の再生時刻に沿って付与されたコメントを用いて,映像に登場する人物が視聴者の注目を集めているシーンの推定と各シーンにおける各登場人物の活躍の度合いの推定を行う手法の提案をする.ただし,本稿ではニコニコ動画に投稿された映像の中で,コメントが一定数以上付与された映像に登場する,視聴者に名前が広く知れわたっている人物を対象とする.When a user edits or searches a video clip, he/she often hopes to extract a scene or search video clips in which a character is active. Moreover, he/she also often hopes to be recommended a video clip that has a similar activity pattern of characters as a relevant video clip that he/she is watching. However, it is difficult in many cases to judge the active characters from only text data or image analysis. We estimate the degree of attention based on viewers' reaction. In this paper we use comments posted to a video clip as the viewers' reaction. We propose a method to estimate the spotlighted scenes of each character in a video clip and the degree of it. We especially target video clips that is uploaded to Nico Nico Douga and a character whose name is known widely.
著者
三谷 研爾 中村 真
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究課題は、ナショナリズム対立が深刻化だったボヘミアを対象とし、1890年代から両大戦間にかけて書かれた同地の文学史的・民俗誌的記述を検証したものである。ザウアー、ハウフェンなどのドイツ系知識人による、地域性を重視する文学史は、理念においては国民文学史を相対化する契機を含みながら、具体的記述としてはナショナリズム的な本質主義の思考を強く主張する結果となった。他方、チェコ系知識人ホスチンスキーもまた、その民族芸術論をとおして、文化の移動の生産性に注目しながら、民族文化の恒常性に固執した。同地における文化的越境現象は、人文学的ディスクールのこうした構造と並置して理解すべきことが明らかとなった。
著者
中村 恭子 広沢 正孝 細見 修 山倉 文幸 鈴木 利人
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

統合失調症患者は中強度の歩行運動で快感情やリラックス感が増加し、不安感が減少、クロモグラニンA値やコルチゾール値が減少した。また、患者は一般成人より運動前から不安感やα-アミラーゼ値、クロモグラニンA値が有意に高く、運動後のアミラーゼ値の増加やクロモグラニンA値の減少が著しかった。患者は一般成人より体力が低いため、中強度の運動が精神的ストレス軽減をもたらす一方で身体的ストレスとなる可能性が示唆された。そこで、多様な運動強度に対するストレス反応を比較した結果、微細運動のフェルデンクライス・メソッドATMが低強度や中強度の運動よりも患者の心理的・生理的ストレス値の軽減に有効であることが判明した。
著者
右田 雅裕 多田 昭雄 中村 良三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.538, pp.9-16, 2003-12-15

本橋では,CREW-PRAM並列計算機モデルのもとで,DAG (Directed Acyclic Graph)の最長路を求める効率よい並列アルゴリズムを提案する.また,従来の推移的閉包行列の計算方法を用いない並列トポロジカル整列アルゴリズムを示し,これを用いて最長路を求める並列アルゴリズムである.具体的には,はじめにDAGのトポロジカル整列を行い節点のランクを求め,次にその逆向き線形リストに対して同様の方法でランクを求めて,これらのランクを用いてすべての最長路を求める並列アルゴリズムである.DAGにおいて節点数n,辺数mとすると,提案するアルゴリズムの計算量はCREW-PRAM並列計算機モデルでプロセッサ数がO(n+m),時間量がO(log^2m)である.
著者
翠 輝久 大竹 清敬 堀 智織 河井 恒 柏岡 秀紀 中村 哲
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.10, pp.1-6, 2011-07-14

ユーザがシステムから情報提示を受けながら候補を選択する意志決定型の音声対話システム構築と被験者実験の結果を報告する.これまで我々は,意志決定対話を部分観測マルコフ過程 (POMDP) としてモデル化し,ユーザの意志決定の良さを最大化するための対話戦略の最適化を行ってきた.本稿では,提案モデルを用いた対話制御手法と複数のベースライン手法とを被験者実験により評価した結果を報告し,ユーザシミュレーション環境で有効性を確認した提案手法が,実ユーザを対象とした場合でも有効であることを示す.This paper presents the results of the user evaluation of spoken decision support dialogue systems, which help users select from a set of alternatives. Thus far, we have modeled this decision support dialogue as a partially observable Markov decision process (POMDP), and optimized its dialogue strategy to maximize the value of the user's decision. In this paper, we present a comparative evaluation of the optimized dialogue strategy with several baseline strategies, and demonstrate that the optimized dialogue strategy that was effective in user simulation experiments works well in an evaluation by real users.
著者
馮 忠剛 中村 孝夫 梅津 光生
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、従来の細胞組織工学的な手法による構築したコラーゲンゲル足場での心筋再生組織を基づいて、新しい技法・改進を開発・実現し、生体心筋組織拍動特性を有する心筋再生組織を作った。3年間の研究活動によって、以下の成果を得た。1.体外培養ラット胎児心筋細胞の遺伝子発現の比較実験によって、培養心筋細胞における心筋細胞の分化・成熟に係る重要な伝写因子であるSRFとmyocardinおよび心筋組織介在板の構成を司るN-cadherinとconnexin43の発現低下を示した。この知見に基づき、遺伝子転移技法によって、N-cadherinの強化発現を促す、心筋細胞間の相互作用を強化することを試みた。2.3次元コラーゲンゲル足場の添加物による高浸透性化、並びに培養液供給と老廃物代謝の改善を実現した。4種類の添加物に対して、それぞれの混入実験を行い、その内heparinとalbuminが足場のglucose透過係数を約2倍に上がることから高浸透性に最も有効であることを判明した。3.心筋再生組織構築の各々の過程により詳細な検討・最適化を行った。その内二つ重要な処理は:i)心筋採取および組織構築におけるコラーゲンナーゼの残留効果を無くすために培養液にcysteineの添加が有効である;ii)ゲル形成の過程に、ゲルに埋め込む心筋細胞の沈殿による不均等性を防ぐためにゲル形成直後のゲル反転が必要である。4.新型電気一応カバイオリアクタを開発した。従来のバイオリアクタと違って、新型における応力の印加は外部から能動的な方式ではなく電気刺激による再生組織の収縮に伴う収縮応力と収縮ひずみの自然登生である。これによって、より実際の心筋組織収縮に模擬することができ、電気刺激と応力印加の協調も自然に解決された。5.再生心筋組織の拍動特性を解明するために、独自の拍動変位一拍動力解析法を開発した。6.以上の方法によって、構築した3次元心筋再生組織はその拍動力が約16倍に向上させ、最大収縮ひずみ速度と最大収縮力が対応する生体内の心筋組織拍動特性と似た特性を有している。
著者
中村 久美
出版者
京都ノートルダム女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

戸建住宅および公団分譲集合住宅を対象に住み方調査を行った.その結果,選択的に保有,出納される生活用品の保有率の高さや,収納や出納状況に対して不都合を抱える世帯の多さ,中でも死蔵品の問題を明らかにする一方,戸建住宅における納戸保有率の高さと,それらが4畳未満の小室中心でほとんどが寝室近くや屋根裏などの寝室圏に設置されていることを明らかにした.以上より,持ち物の見直しなど,生活管理行為と集中収納空間の使いこなしによる収納様式の構築の必要性を指摘した.さらに集合住宅では,集住のメリットを活かしたモノの管理に関わる共用,循環のシステムも含めた収納様式の構築を提唱した。
著者
中村 卓司
出版者
京都大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、インドネシア・ジャカルタで1992年以来中間圏・下部熱圏の風速を観測している流星レーダーのデータを解析し、赤道・低緯度域で観測を行なっている他のレーダー観測と比較解析することにより、1日周期大気潮汐波、赤道波など低韓度域で卓越するものの解明の遅れているグローバルな大気波動の構造を解明することを目的とした.まず、ジャカルタ流星レーダー(東経107度、南緯6度)の観測結果を処理して、東西風・南北風のデータベースを作成し、同じ高度・時間分解能でクリスマス島(西経158度、北緯2度)、ハワイ(西経157度、北緯22度)、アデレイド(東経138度、南緯35度)を同じ分解能で処理してデータベースを作成した.その後、平均風と1日および半日周期成分をフィッティングして2次データとし、それらの相関解析やクロススペクトル解析を行なった.その結果、赤道域において平均風や潮汐が激しい年々変動を伴う半年周期変動と示すことが見出された.また、短周期の変動として5〜30日周期の変動が観測されたが、それらの観測地点間の相関は低く、振幅、位相等のパラメータの相関解析から局所的な重力波との相互作用で潮汐が変動している可能性が示唆された.解析は2日波、3日周期ケルビン波などにも行い、グローバルな振幅増大か認められるとともに、鉛直方向の運動量輪送に大きな貢献をなしている可能性が示唆された.さらに、観測期間は限定されるがUARS衛星によるグローバルな観測結果を比較することにより、衛星観測では曖昧さの多い波動周期の情報をレーダー観測解析結果から補完し、これらの波動が運動量の緯度方向の輪送にも重要な役割をしていることが示された.
著者
大田垣 洋子 米澤 治文 志和 資朗 斎藤 浩 中村 研
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.225-231, 2005
参考文献数
22
被引用文献数
1

摂食障害患者103例について自尊感情と摂食態度,感情状態,罹病期間,BMIとの関連をローゼンバーグの自尊感情尺度,EAT,BITE,POMSを用いて検討し,さらに病型間の自尊感情の比較を行った.摂食障害患者の自尊感情は,摂食態度や感情状態との関連を認めたが,罹病期間やBMIとの関連は認めなかった.また重回帰分析において,自尊感情と摂食態度との関連が確認された.病型間の比較では,ANではむちゃ食い/排出行動のある群,BNでは排出行動のない群で自尊感情が低かった.摂食障害の本質として自己同一性の確立を巡る葛藤があり,この葛藤をうまく解決できないため自立が困難となり自己評価が低下し,その無力感や絶望感を体重のコンロトールによって処理し達成感を得ようとしていることはよく知られている.自己評価の基準は一般的な社会の中でコンセンサスが得られている価値よりも,むしろ自分自身がもっている価値ないし理想とされる.
著者
遠峰 隆史 久松 剛 杉浦 一徳 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.470, pp.5-8, 2005-12-08

インターネットを用いた複数地点間での映画, 音楽の共同制作をリアルタイムに行うには, 伝送メディア長, 途中経路などによる, データ到達時間の差異を考慮しなければならない. 本研究では, 異なる2地点間における遠隔協調演奏を実現する上で問題となる, リズム管理手法に着目した. 2地点間のネットワーク遅延を演奏者が知覚するためのアプリケーションとして, インターネット・メトロノームの設計・実装を行った. 本実装をもとに, 「愛・地球博」のクロージングフォーラムにおいて, 日蘭間でのジャズセッションによる実証実験を行った.
著者
高木 靖彦 平田 成 橘 省吾 中村 良介 吉川 真 はやぶさ2プリプロジェクトチーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.48-55, 2010-03-25
被引用文献数
1

「はやぶさ」に続く小惑星探査計画「はやぶさ2」が最初に提案されてからの約4年間の経緯と,計画の概要をまとめた.その中で,ミッションの目標と,それに基づき選定された搭載機器の仕様についても簡単に述べる.
著者
中村 洋
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.372-376, 2008-09

中高年にみられる関節痛のもっとも多い原因が変形性関節症osteoarthritis(OA)である.保存的治療として,安静,保温,運動療法に加えて,薬物治療が行われる.アセトアミノフェンは容易に購入できる鎮痛薬で,本邦では一日1.5gまで使われる.痛みが強い場合は非ステロイド性消炎鎮痛薬nonsteroidal anti-inflammatory drug(NSAID)であるインドメタシン,ジクロフェナック,ロキソプロフェンといった薬を使用するが,上部消化管障害などの副作用に注意が必要である.これらの薬剤はシクロオキシゲナーゼcyclooxigenase(COX)を抑えることによって,痛みや炎症の原因となるプロスタグランディンE_2(PGE_2)の産生を抑制して効果を発揮する.近年,胃腸障害を軽減するため,COX-2選択的阻害薬が使われるようになってきた.関節内へ薬剤を直接注入する治療法も医療機関では行われている.ステロイド剤は即効性があり,効果も劇的であるが,副作用を避けるため頻回に用いないほうがよい.ヒアルロン酸はその物理的性質と抗炎症作用により,OAの症状を軽減するとされている.副作用が少なく,定期的に注入して効果をあげている.現在販売されているサプリメントにはさまざまな種類があるが,グルコサミンはその作用が科学的に議論されている唯一の物質である.グルコサミンのOA治療への歴史は1960年代のドイツにさかのぼる.その後,1990年代後半から北アメリカで大ブームを巻き起こし,いくつもの臨床治験が行われた.有効性を示す研究結果があるが,否定的な意見もある.一方,グルコサミンの基礎的研究は盛んに行われており,抗炎症作用,軟骨分解酵素の抑制作用が明らかにされ, OAの症状を軽減するだけでなく,進行を抑制する可能性が克く示唆されている.
著者
中村 逹太郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.3, no.29, pp.86-87, 1889-05-28
著者
中村 文子 佐藤 弥 吉川 左紀子 松村 道一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.470, pp.7-12, 2002-11-14

近年、いくつかの研究から、視線方向の知覚によって喚起されるような自動的な注意シフトが、シンボルやジェスチャーによっても喚起されるという知見が報告されている。しかし、報告例は少なく実験手続きも統一されていないため、明確な結論は出されていない。今回我々は、視線・シンボル・ジェスチャーを手がかりとする3つの手がかりパラダイム実験を行い、この問題を検討した。手がかりは画面中央にランダムに呈示され、被験者はその後手がかりの左右いずれかに出現するターデットの位置をボタン押しで反応した。その結果、被験者は手がかりが確率的に有効でないことを認識していたにもかかわらず、それらが示す方向へターゲットが呈示された時、異なる方向に呈示された場合に比べ反応時間が有意に短縮された。実験1・2からは、いずれの手がかりによっても、課題遂行の促進が早い段階で起こり、復帰抑制は起こらないことが示された。また実験3からは、手がかり方向へ被験者の注意が移動していることが確かめられた。全ての実験において、質的交互作用は示されなかった。これより、視線・シンボル・ジェスチャー方向が、いずれも知覚者の注意を自動的にシフトさせると結論できる。
著者
吉田 英人 寺澤 敏夫 中村 卓司 吉川 一朗 宮本 英明 臼居 隆志 矢口 徳之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、送信点と異なる場所に多数の受信点を配置し(多地点観測法)、流星が流れたときその飛跡に沿って生じるプラズマで反射した電波(流星エコーと呼ぶ)を、複数の地点で受信して、その到達時間差と送信点-反射点-受信点の距離を同時に測定することにより、精密な流星飛跡を求める観測装置を開発した。この教材は携帯性に優れ、流星の諸パラメータを求めることができ、超高層大気と極微小天体の関係を身近に感じることができる実習教材である。
著者
中村 健二 田中 成典 古田 均 吉村 智史 北野 光一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.2480-2492, 2008-07-15

近年,インターネットを利用した日常的な情報収集活動において,即時性と信頼性に優れたWebニュースは人々の情報源として広く活用されている.しかし,日々時々刻々と増加する膨大な数のWebニュースから特定のトピックだけを抽出することは困難である.そのため,文書間の類似度を利用してトピックを分類する研究や時系列的な特性に基づきトピックを抽出する研究が活発に行われている.しかし,これら既存研究では,文書中に出現する単語群に依存した分類しかできず,また任意の期間に発生するトピックに適切な単語を関連付けできないという課題がある.そこで,本研究では,時系列的な特性に基づいて抽出したバースト語を用いて,バースト語間の関連を考慮した最新のトピックを抽出する手法を提案する.そして,既研究の従来手法と比較実験を行い,本提案手法の有用性を実証する.