著者
中村 慎吾
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
no.73, pp.22-23, 1973-08-20
著者
竹原 順次 中村 公也 三宅 亮 森田 学
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.111-116, 2007-04-30
被引用文献数
1

本研究の目的は,女子中高生における口腔乾燥感の自覚頻度および口腔乾燥感に関連する要因を明らかにすることである.分析対象は,資料が整った女子中高生997名である.口腔乾燥感の自覚率において,高校生(51.6%)は中学生(37.1%)に比較し,有意に高い値を示した(p<0.01).また,ロジステイック回帰分析の結果,口腔乾燥感の自覚(ときどきおよびいつも)に対して有意な変数は,学年(OR=1.77,高校生),食事を抜く(OR=1.53,ときどきおよびいつも),ファーストフードを食べる(OR=1.55,ときどきおよびいつも),鼻づまり(OR=2.00,ときどきおよびいつも),口呼吸(OR=1.55,ときどきおよびいつも)およびストレスを感じる(OR=2.02,ときどきおよびいつも)であった.以上より,口腔乾燥感の自覚率は,女子中学生に比べ女子高校生のほうが有意に高く,食習慣,鼻づまり,口呼吸およびストレスは口腔乾燥感の自覚に関連する要因であることが示唆された.
著者
中村 靖 斉藤 茂 山崎 健一 柴崎 好伸 Yasushi NAKAMURA Shigeru SAITO Kenichi YAMASAKI Yoshinobu SHIBASAKI 昭和大学歯学部歯科矯正学教室 昭和大学歯学部歯科矯正学教室 昭和大学歯学部歯科矯正学教室 昭和大学歯学部歯科矯正学教室 Department of Orthodontics School of Dentistry Showa University Department of Orthodontics School of Dentistry Showa University Department of Orthodontics School of Dentistry Showa University Department of Orthodontics School of Dentistry Showa University
雑誌
日本矯正歯科学会雑誌 = The journal of Japan Orthodontic Society (ISSN:0021454X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.159-169, 1995-06
参考文献数
47
被引用文献数
4

矯正学的歯の移動時には, 歯槽骨を形成している細胞と歯根膜細胞が矯正力というmechanical stressに対してさまざまな反応を示すことが知られている.そこで本研究は同一外科矯正患者から同時に採取した下顎骨片と健全な下顎第一小臼歯から骨系細胞と歯根膜細胞を剥離して培養した.両細胞に間欠的遠心力(50&acd;250回転)を付与し, DNA合成能, 細胞内アルカリフォスファターゼ(ALPase)活性, サイクリックAMP(cAMP)産生量, プロスタグランディンE_2(PGE_2)産生量, インターロイキン6(IL-6)産生量, 骨吸収能を測定した.両細胞に付与した間欠的遠心力が上記測定項目に対してどのような影響を与えるかを検討し, あわせて両細胞の反応性の相違についても比較検討した.その結果, 1. DNA合成能および細胞内ALPase活性は, 250回転において両細胞とも有意に促進された.2. 骨系細胞において, 遠心力の付与によりすべての回転数でcAMPおよびPGE_2産生量が有意に抑制され, IL-6産生量に関しても50回転において抑制傾向があった.3. 歯根膜細胞においては, 遠心力を付与してもcAMP, PGE_2, IL-6の産生量がほとんど変化しなかった.4. 骨吸収能は遠心力を付与した培養上清を用いると両細胞とも150回転で有意に抑制された.以上のことから, DNA合成能と細胞内ALPase活性は高回転の間欠的遠心力に対して両細胞とも促進することが示された.また, 骨系細胞の骨吸収能はPGE_2, IL-6の影響を直接的に受けやすいが, 歯根膜細胞に関してはPGE_2, IL-6以外にも骨吸収能に影響を与える何らかの因子が存在することも示唆された.It has been shown that bone cells and periodontal ligament (PDL) cells have various responses to mechanical stress during orthodontic tooth movement. The following experiments were performed to compare the responses of these two cell types to mechanical stress. Cortical bone specimens derived from mandible and PDL of first premolars were obtained at the same time from the same patient undergoing surgical orthodontics. In the confluent phase, intermittent centrifugal forces (ICF) were applied to the cultured bone cells and PDL cells at 50&acd;250 rpm. After centrifugation, the cultured cells were used for the assays of DNA synthesis, alkaline phosphatase (ALPase) activity and cyclic AMP (cAMP) production, and the cultured media were used for the assays of prostaglandin E_2 (PGE_2) production, interleukin-6 (IL-6) production and bone resorption activity. The results were as follows : 1. ICF at 250 rpm significantly induced DNA synthesis and ALPase activity in each cell type. 2. In bone cells, the amounts of cAMP and PGE_2 were significantly decreased by ICF at all magnitudes of force tested, and those of IL-6 tended to be decreased by ICF at 50 rpm. 3. In PDL cells, the amounts of cAMP, PGE_2 and IL-6 were hardly changed by ICF at all magnitudes of force tested. 4. ICF at 150 rpm significantly inhibited the bone resorption activity in each cell type. These results suggested that DNA synthesis and ALPase activity are stimulated by high-speed ICF in each cell type. These results also suggested that bone resorption activity caused by ICF in bone cells was directly affected by PGE_2 and IL-6. However, in PDL cells, there may be agents that affect bone resorption activity other than PGE_2 and IL-6.
著者
大見 嘉弘 中村 勝利 河合 和久 竹田 尚彦 大岩 元
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.154-162, 1996-01-15
被引用文献数
5

インターネットに分散する情報をカードのメタファを用いてアクセスできるツールPAN-WWWを開発した。最近インターネット上の情報サービスが急速に広まっている。しかし、それらを利用するソフトウェアのほとんどは、情報にアクセスする機能に重点が置かれており、得られた情報の整理については、ほとんど考慮されていない。PAN?WWWは、さまざまな情報を操作することに重点をおいて設計されたカード操作ツールに、インターネット上の情報をアクセスする機能を加えたものである。PAN?WWWでは、カードを広げ操作するための仮想的な机の上で、インターネット上の情報にアクセスできるカード(WWW viewer)が使用できる。同カードで検索した情報は、容易に他のカードに転写でき、一度転写したカードを元に、再びインターネット上の情報にアクセスすることができる。この機能によりインターネットからの情報収集とその整理の作業間の行き来を円滑に行うことが可能となる、また、PAN?WWWを用いた場合とNCSA Mosaicとエディタを併用した場合との比較対照実験を行った。その結果、PAN?WWWの有効性が示された。また、熟練者向けの機能も必要であるなどのPAN?WWWの改良点が得られた。PAN-WWW, an Internet resource access tool with facility for organizing information using index-card metaphor, has been developed. Although access tools are popular for Internet information, few has ever been considered the necessity for organizing collected information. Hence, users are often at a loss where he is along the navigation of the long linked chain of whole world information. PAN-KJ, a chart editor of forming a map of arranged index-cards, has been extended to give a card of WWW-viewer. An index of an Internet information obtained from this card can be copied to another card on a map together with its access information. Therefore, the information can be accessed from this card later. Such cards can be arranged to represent organization of these cards by the editing capability. We have compared the access and organizing capabilities of the editor with those of NCSA Mosaic and favorable results were obtained. However, necessity of some improvement for expert users were found and it has been implemented.
著者
中村 好男
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.164-168, 1967-12-25
被引用文献数
2 3

陸生ミミズとその生息環境である土壌との関係を明らかにするため,札幌付近の火山灰土,沖積土および泥炭土の各草地で,1966年5月から11月までの7か月間,毎月2回(11月だけ前半のみ1回),陸生ミミズの種類,5%ホルマリン固定標本の湿重量(現存量)および個体数を調査した。<br>調査はそれぞれの草地を周囲2mを除き6列9行計54の長方形区(1辺が5∼9m)に分け,各列から1区ずつ合計6区を毎回無作為に抽出して,各区から表面積25cm×25cm深さ30cmの直方体に土壌をとり,Hand-sortingによってミミズを取り出し,次の結果を得た。<br>1) 採集された陸生ミミズは,ツリミミズ科の2属3種とフトミミズ科の1属4種であった。<br>2) 三つの土壌型に共通な種類は一つもなかった。<br>3) 二つの土壌型に共通なものとして,火山灰土と沖積土には,サクラミミズ<i>Allolbophora japonica</i>が,火山灰土と泥炭土にはムラサキツリミミズ<i>Dendrobaena octaedra</i>が見られ,いずれの種類も両種の土壌において,成体,未成体ともにやや似た個体数の増減傾向を示していた。<br>4) サクラミミズは両種の土壌において,個体数は50%以上を占めていた。<br>5) 種類数は火山灰土で5種,沖積土で6種,泥炭土では1種であった。<br>6) 個体数の多い順は泥炭土,沖積土,火山灰土であり,現存量の多い順は沖積土,泥炭土,火山灰土であった。<br>7) 火山灰土と沖積土では個体数,現存量とも秋に多かった。泥炭土では個体数,現存量ともに5月,8月および10月に多かった。<br>8) 一般に泥炭土では種類数が少なく他の土壌では多いと言われていたが,今回の調査でもその事実が認められた。
著者
中村 豊 戸田 哲也 井上 純一 福田 豊
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.38, pp.1-6, 2011-02-21

インターネットの普及に伴い,各組織では何らかの侵入検知システムやトラヒックモニタリングシステムを導入する必要に迫られている.その運用は容易ではなく管理者の経験や技術が要求される.一方で,組織の運営側ではインシデント発生時に通信の履歴や証拠を調査しなくてはならない.トラヒックモニタリングシステムでのトラヒックの長期保存は高コストであり,かつ,その解析は困難である.そこで我々は,異常トラヒックを侵入検知システムにより検出し,自動的にモニタリングシステムから抽出して保存するシステムを構築した.本システムを用い,2ch への書き込みに対して自動的に,その通信内容を保存することが可能となった.これにより,管理者の運用コストを削減することができた.The network management cost is increasing with the spread of the Internet. In each organization, an intrusion detection system and traffic monitoring system are operated. However, the management is not easy and experience and skill are required of an administrator. On the other hand, the executive of the organization has to investigate a communicative history and its proof at the time of the occurrence of an incident. Long-term preservation of the traffic in a traffic monitoring system is high cost, and its analysis is difficult. We constructed the system for automatic preservation of unusual traffic. Our system can automatically save the communication to the writing to the 2ch. Therefore, the administrators operation cost was reducible.
著者
中村 光江 下山 節子 阿部 オリエ
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
no.5, pp.71-77, 2006

ストラウスとコービンは、慢性疾患を持つ人々に関する数多くの事例を基に「慢性疾患の病みの軌跡」という概念モデルを提示した。慢性の病いを持つ人間の反応を一つの「行路」と捉え、病気や慢性状況の行路を「軌跡」とした。この概念枠組みは、慢性の病気を持って生きることに対しての洞察や知識を提供するため、多くの看護実践・教育・研究・政策決定への活用が期待される。そのため、その発展の経緯を理解し、どの程度検証され、有用性や信頼性が確認されているかを明確にすることを目的に、文献研究を実施中である。今回、第一報として国内文献を検討した結果を報告する。「病みの軌跡」をキーワードとして収集した24 件の文献中、解説11 件、学会抄録7件、研究論文・報告6 件であった。比較的新しい枠組みとして活用され始めた段階にあり、大半は看護実践の事例検討において対象者理解や看護の振り返りの視点として使用されていた。「局面」等の下位概念はあまり使用されておらず、軌跡の枠組みを哲学的基盤や理論的前提とするにとどまっていた。国内文献では検証はなされておらず、モデルの発展には至っていないと考えられた。
著者
中村 敦夫 金子 憲治
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.66, pp.136-139, 2004-12

なかむら・あつお氏:1940年生まれの64歳。63年東京外国語大学を中退後、俳優座に入団。「木枯らし紋次郎」に主演など俳優業のほか小説家、情報番組キャスターとして活躍。98年参議院議員に当選。2000年「公共事業チェック議員の会」会長。2002年「みどりの会議」代表——代表を務めた「みどりの会議」は、7月の参議院選挙で議席を無くし、10月に解散しました。
著者
松井 くにお 中村 直人 伊吹 潤 徐 国偉
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.283-284, 1996-03-06

インターネットなどのネットワークの普及により、電子化された情報を発信する機会が増えてきたが、同音異義語の変換誤りなどのいわゆる"ワープロミス"が散見される。こういった誤りの検出技術として、形態素解析や共起関係を利用する方法が提案されているが、いろいろな問題点を含んでおり、解決策とはなっていない。本稿では、同音異義語や同音異字語の綴り誤りを検出するだけでなく、自動訂正するシステムを提案し、その有効性を示す。
著者
伊吹 潤 中村 直人 徐 国偉 松井 くにお
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.285-286, 1996-03-06

文章中の誤りの検出、訂正を行なう方式として正しい単語情報と共に誤った単語を形態素辞書に登録する方式が知られているが、この枠組では検出できる誤りが狭い範囲(登録されたもの)に限られるという問題点をもつ。カタカナ語句の表記の揺れや漢字同音語誤り等に範囲を限定して一般的な対処が可能なシステムの提案も行なわれているが、表記レベルの誤り全般を統一的に処理できるような枠組は未だない。我々は表記誤り全般を広範囲に検出できるようにするため、混同しやすい単語あるいは文字列同士をグループ化した情報(誤用候補情報)を単語情報とは独立して保持し、一旦正しい単語のみを利用してテキストを形態素解析した後で、これを用いて誤りの検出と誤り内容の推定を行なう仕組み(誤用候補展開)を実現した。ここでは、誤用候補展開部の処理目標とした誤りについて述べ、その処理のための枠組について説明する。
著者
中村 直人 徐 国偉 伊吹 潤 松井 くにお
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.287-288, 1996-03-06

従来,片仮名表記の揺れ誤りや仮名漢字変換誤りなど単語の綴り誤りに対して,それぞれ校正処理の枠組が提案されている.Joynerではこれらの誤りを単一の枠組で扱うことを試みた.Joynerの処理手順は,文に含まれる各種単語の綴り誤りの検出と候補の推定を行ない,推定した候補を原文の別綴り可能性(綴り曖昧さ)とする.そして,文の綴り曖昧さの中から最尤解を探索し(正解語探索),最尤解の綴りが原文と異なる時に,原文に綴り誤りがあると推定する.綴り曖昧さのある文の最尤解釈の探索は,文字認識の分野で文字切り出し曖昧さの処理として検討され,2端子グラフ(ラティス)の最短経路を求める動的計画法で処理できることが知られている.これをJoynerに適用し,動的計画法の一種であるCYK法で実現した.本稿では,校正支援のためのラティスをCYK法で処理する方法についてJoynerでの実現を中心に報告する.
著者
徐 国偉 伊吹 潤 中村 直人 松井 くにお
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.289-290, 1996-03-06

ワープロで日本語文書を作成する時に、仮名漢字変換ミスや思い込みなどよく誤りが発生する。Joynerは入力文から誤りを探し出し、正解語辞書を照合することによって誤りを修正する。誤り訂正を行なうためには大量の正解語が不可欠である。われわれは新聞記事のデータベースから一旦正解語候補を抽出して、それに対して絞り込みを行なうことによって正解語辞書を作成した。本論文では、正解語候補の自動抽出と絞り込みによる正解語辞書の作成方法について述べる。
著者
高橋 邦夫 峰内 健一 田村 和士 中村 時久 小泉 美香 狩野 広美
出版者
木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:02857901)
巻号頁・発行日
no.26, pp.p79-82, 1993-03

Laser-induced-fluorescence (LIF) is a useful technique to examine structures and conditions of photosystems, and reactions of them to intrinsic and extrinsic environments of leaves. In this investigation, fluorescence spectra were measured using intact leaves of rice plants applied various amounts of nutrients and containing various concentrations of chlorophylls. The spectra were resolved into Gaussian components of fluorescence emitters by curve-fitting method, and the effects of nutrient deficiency on structures of photosystems and self-absorption of fluorescence within leaves were discussed.
著者
今村 利香 高山 忠雄 峰 和治 山之上 卓 下園 幸一 中村 秀俊
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,半構造化面接法にて,DV被害者の実態調査,母子生活支援施設職員及び医療機関職員のDVに関する研修会受講状況と希望する研修について聴き取り調査を実施したほか,郵送調査にて,DV被害者支援を実施している全国の福祉・行政・医療機関のIT整備状況とeラーニング研修の取り組みに関する調査を実施した。その結果を基に,鹿児島県内の福祉・医療機関にてDV 被害者支援を実施している関係職員を対象に,集合研修及びMoodleを用いた研修を実施した。
著者
征矢野 清 石松 惇 中村 將 東藤 孝
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ハタ科魚類は雌性先熟型の性転換を行うなど生物学的に興味深い特徴を有する魚種である。また、世界中の熱帯・温帯域に広く分布し、極めて美味であることから次世代の種苗生産対象魚として世界的に注目を集めていおり、水産的価値の高い魚種でもある。しかし、その成熟・産卵過程はほとんど明らかにされていなかった。我々は本研究を実施する前にカンモンハタの生殖腺発達に関する予備的研究を行い、沖縄周辺海域に生息するカンモンハタが月周期と完全に同調して成熟し、満月大潮直後に生息場であるサンゴ礁の礁池を離れ産卵することを見いだした。しかし、満月直後に起こることが予想される卵巣での劇的な生理変化を観察するには至らなかった。そこで、本種の成熟および産卵過程を月周期と関連づけて詳細に調べるとともに、産卵関連行動とそれに伴う生殖腺の生理変化を、組織学的・内分泌学的に解明する事を目的として、本研究を実施した。本研究により得られた主な成果は以下の通りである。1.カンモンハタは満月大潮後に生息地である珊瑚礁池から外洋に移動して産卵することを、目視及びバイオテレメトリー手法により裏付けた。2.生殖腺は月周期と同調して発達し、飼育環境下でも満月大潮から数日後に産卵することが確認された。3.生殖腺発達様式は他のハタ科魚類と類似しているが、北方系のマハタなどとは異なり、明瞭な月周性を持つことが分かった。4.産卵は水温が上昇する5月以降に起こり7月下旬まで続づくことが分かった。5.一尾の雌個体は満月大潮後の一産卵時に数日に分けて成熟卵を放出することが分かった。本研究の成果はカンモンハタの生殖腺発達を理解するだけでなく、種苗生産対象魚として注目されている他のハタ科魚類の生殖腺発達を理解する上でも貴重な情報となる。また、南方系海産魚に多く見られる月周産卵の機構解明にも役立つことが期待される。