著者
中村 素典
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

まずIPv6ネットワークの試験的利用環境を構築するために、学外のIPv6ネットワークとの接続を行なった。特に今後のマルチホーム環境に基づく通信の信頼性向上手法の開発および活用のため、WIDE、JGN、CKPをはじめとする複数のIPv6バックボーンネットワークとの接続を行い学内から利用できる環境を整えた。次に、キャンパス内で使用している電子メールサーバのIPv6への対応作業を実施した。学内で運用しているウィルスチェック機能つき電子メールサーバをIPv6対応にし、学内外とのメールのやりとりにIPv6も利用できるようにすることで、IPv6を利用しつつ安全な電子メール交換が可能となる。同時に、IPv4とIPv6を併用する際のDNSの管理方法について検討を行ない併用および移行の際の問題点の洗い出しを行なった。また、ネットワークの設定・運用状況を把握するための仕組みを構築し、キャンパスネットワークの日々の運用に利用できる体制を構築し評価を行なってきた。学内の1000台を越えるネットワーク機器の情報を集約して管理することで、各スイッチの管理運用状況を容易に把握できるようになった。さらに、近年頻度が増加している遠隔講義の安定化のための手法としてPath-Diversity技法に基づく方式を開発し、IPv4とIPv6の併用を含む複数の経路の同時活用によるネットワークの状況把握とストリーム伝送の安定化手法についても研究に取り組み、その有効性について確認した。
著者
中村 史
出版者
小樽商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究代表者は、平成15年度から18年度まで4年間の基盤研究Cによる研究「日本文学のジャータカ説話(本生譚)と源流・インド説話との比較研究」、及び、これに先立つ数年間の研究成果(平成13年度から14年度にも前段階の研究について科学研究費補助金・若手研究Bを取得)に基づき、博士学位請求論文『ジャータカ説話の原型と展開』を執筆した。これを桃山学院大学大学院文学研究科に提出し、平成18年3月17日、同大学大学院文学研究科より「博士(比較文化学)」(文博乙第一号)を取得している。最終年度・平成18年度には、この博士論文の改稿・整備を行った。並行して、科学研究費補助傘の「研究成果公開促進費」を申請してこれを取得し、汲古書院より、今年度、平成19年6月30日原稿組み入れ予定、平成20年1月16日発行予定として、さらに作業を進めている。書名は『三宝絵本生課の原型と展開』(博士論文の論題を変更)であり、目次によって概要を示せば、第一章 『三宝絵』とその本生譚第二章 シビ王本生譚の原型と展開第三章 シビ王本生譚の主題とその達成第四章 スタソーマ王本生譚の原型と展開(一)第五章 スタソーマ王本生譚の原型と展開(二)第六章 スタソーマ王本生譚の思想的背景第七章 大施太子本生譚の原型と展開第八章 大施太子本生譚の誕生となっている。日本・平安時代、永観2年(984)成立の『三宝絵』に流入した本生課(ジャータカ説話)にどのようなインド的、仏教的背景があるのか、その原型または起源、展開または変容の諸相について考察している。またそれぞれの本生譚ないしその類型話が文学としてどのように読み解けるかを解明しようとしたものである。
著者
中村 剛 野瀬 善明 高辻 俊宏
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の最大の成果は、福岡市医師会との密接な協力関係のもと、「大型回遊魚の摂取⇒有害ミネラルの蓄積⇒乳幼児健康異常」といった仮説を検証し、臨床還元するためのプロジェクトが動き出したことである。九州大学医学部倫理委員会で承認され(代表者:野瀬善明教授)、既に親子約600組のコホート集団が構成されつつあり、毛髪の測定機器の準備も整いつつあるが、本研究の範囲を越えるので詳細は省く。以下において、項目ごとに研究成果のまとめを記す。1.多変量比例ハザード測定誤差モデル用FORTRANプログラムを作成しアップした。2.食習慣調査と遺伝要因調査:タッチパネルとパソコンを連動することにより、液晶画面にタッチして回答を入力するシステムを開発した。質問内容は(1)アトピー性皮膚炎診断のための5項目、(2)肉、野菜、魚の摂食割合、(3)よく食べる寿司ネタ、(4)大型回遊魚の摂食回数に関する3項目、からなる。3.長崎市保健センターにて実施した結果80%という期待通りの受診者が参加した。しかし、質問紙によるアンケートも実施し、回答率、信頼性を比較した結果、大勢を対象とした調査では、質問紙による方が優れていると結論された。4.約600名の分析結果として7%がアトピー、更に7%がアトピー疑い、とされた。5.ロジスティック回帰モデルによる解析の結果、(1)親族にアトピー、ぜんそく、アレルギー体質の方がいるとアトピーのリスクが高い。(2)女のほうが男よりアトピーのリスクが高い。(3)小型魚の割合が高いほどリスクが低い。(4)卵の回数が多いほどリスクが低い。特に0から2までのリスクの減少が大きい。結論:大型回遊魚との関連はみられなかったが、性別、遺伝要因の影響を修正したあとに、小型魚の摂食回数がリスクを減少するという新たな知見を得た。また卵の摂食回数が少ない程リスクが高いのは、家庭での料理の回数が少ないほどリスクが高いことを示唆していると推察される。
著者
村田 雄二郎 久保 亨 水羽 信男 川尻 文彦 中村 元哉 小野寺 史郎 竹元 規人
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

20世紀の中国史は、ナショナリズムや社会主義に加えて自由主義を受容した歴史でもあった。本研究は、自由主義の視点から、新たな中国近現代史像を提示した。その具体的な成果は『リベラリズムの中国』(有志舎、2011年)である。
著者
近藤 一晃 西谷 英之 中村 裕一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.8, pp.1206-1215, 2011-08-01

人間とシステムが協調することで画像認識の適用範囲や精度を高める「協調的認識」の考えが提案されている.本研究では協調的物体認識を効果的に形成して認識を改善するインタラクションの設計について提案する.具体的には,認識結果やシーンの状況といった項目をシステムが評価し,認識を行う上で悪状況であった場合には,その説明とともに協力してほしい内容を人間に提示する.これにより,どうすれば認識が良い方向に向かうのかを簡単に知ることができるため,小さな負担で認識が改善されるとともに,人間にとって分かりやすい道具となることが期待される.協調的認識を行うための状況評価,提示インタフェースの設計・構築,及び実験を行い,認識困難な状況の検出が行えること,また人間の協力により認識が改善されることを確かめた.
著者
石原 達也 中村 幸博 武藤 伸洋 阿部 匡伸 下倉 健一朗
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.8, pp.1434-1449, 2011-08-01

住居におけるユーザとユーザ周辺の家電・家具等のモノの位置を取得できるセンサシステムを屋内に導入するためには,センサの導入コストを抑える仕組みが必要となる.本論文では,そのような要求を満たすものとして,ユーザ周辺の家具・家電等にユニークなIDが付与されたタグを配置し,ユーザが所持する計測端末で得られたタグのIDとタグとの相対距離情報を用いてそれら空間配置を推定する手法を提案する.具体的には,SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を応用し,距離のログデータから選択された距離情報の集合から計測端末位置を算出するモーションモデル用いて,計測端末とタグの位置並びにタグの推定位置に対するゆう度を同時に算出する.本提案手法の特徴は,計測端末とタグとの相対関係のみから各タグ位置を独立に推定すること.そして,タグのゆう度を監視することでタグが設置されたモノの移動を検知し,日常生活において起こり得るモノの移動に対して適応的な位置修正を行うことにある.超音波センサを用いた実験では,タグが設置されたモノを移動させた場合においても,計測端末とタグの位置推定誤差が200 mm程度で推定できることを確認した.
著者
中村 浩二
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

(2) 金沢市湯涌にあるハクサンアザミの群落とその周辺でアリ類の生態の基礎調査を行ったところ,2亜科9属16種が確認され,そのうち高密度であったのは,ムネアカオオアリ,トビイロケアリ3種,アシナガアリであった。(2) ハクサンアザミには,アザミヒゲナガアブラムシと他1種が5月後半から7月ごろまで高密度に発生するが,これにはアリ類はattend(随伴)しなかった。(3) アリ類に対するアザミ食葉性甲虫類の防衛行動をクロヤマアリの野外コロニ-とエゾアカヤマアリの室内飼育コロニ-を使って実験した。ヤマトアザミテントウ,アザミクビホソハムシ,アザミカミナリハムシには化学防衛が認められた。しかし,アザミクビホソハムシの防衛には背中にのせた糞の存在が重要であること,アザミカミナリハムシの化学防衛力はあまり強くないこと,ヤマトアザミテントウの化学防衛力は安定して強力であった。アオカメノコハムシは尾端に乗せた糞を巧みにあやつってアリの攻撃をかわすことができた。キベリトゲトゲは全く無防備であっが潜葉性であるためにアリには攻撃されにくいであろう(4) 渓流ぞいの谷間,道沿い,開けた場所など異なる環境にはえているハクサンアザミに対する各種甲虫類の分布を調べたところ,ヤマトアザミテントウは谷間に限って分布するが,アザミカミナリハムシ,アオカメノコハムシは様々なハビタ-トを利用できることがわかった。(5) ハクサンアザミの植物体上でのアリの密度は低かったこと,また甲虫類の化学防衛できるので,アリがギルド構造に及ぼす効果は少なかった
著者
中村 隆 原 英一
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ディケンズの後期の小説と1860年代のセンセーション・ノヴェルの相互の影響関係は、従来考えられていたよりもはるかに密接である。主題に関する幾つかの局面を検証することにより、これら相互の影響関係は明白となる。それは以下のように記述できる。1.物語のヒーローよりもむしろヒロインが中心的な位置を占める。2.ヒロインは重婚、不倫などの性的な逸脱を犯す。3.ヒロインは、夫殺し、放火、毒殺などの犯罪を犯す。4.ヒロインに酷似したもう一人の女性が登場し、二重人格の主題が形成される。5.二人の女性のアイデンティティが混同され、「幽霊」の主題が形成される。6.ヒロインの犯罪・秘密を暴くものとして男性の「探偵」が登場する。7.男性の探偵は、ヒロインの秘密を暴き、ヒロインの破滅を目論む。このような一般的法則に近接するディケンズのセンセーション・ノヴェル的作品として、『ドンビー父子』、『ディヴィッド・コパフィールド』、『荒涼館』、『辛い時代』があり、同様にまたウッド夫人とメアリー・ブラッドンの幾つかの作品(『イースト・リン』、『ハリバートン夫人の難題』、『アシュリダットの影』、『オードリー夫人の秘密』、『医師の妻』、『ジョン・マーチモンの遺産』など)も上記の条件を満たすことが明らかにされた。ディケンズの作品とセンセーション・ノヴェルの密接な関係を示すさらなる証拠として1869年から70年にかけて、ディケンズによってなされた「サイクスとナンシー」の公開朗読がある。そこでは、センセーション・ノヴェルに通底する「夫殺し」と「幽霊」の主題が、娼婦ナンシーを通して前景化する。
著者
中村 勲 長沼 大介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.14, pp.7-12, 2002-02-15

低音部のおよそ2 オクターブを除いて,一つの音符に3 本の弦が使われているので,弦の間のエネルギーの交換が響板を通して生じ,弦振動は非常に複雑になる.3 本弦の一本は一つの音符に正確に調律されているが,他は少し低めと少し高めに調律されている.3 本弦と響板の結合システムの振動特性を説明するために,一つのモデルを採用する.各弦は各部分振動に対応する共振回路で構成され,同様に響板も一定のインピーダンスを持つものと仮定する.ただ一つの部分振動についての最も単純化したバージョンは,響板抵抗で結合された3 つの共振回路によって表される.このモデルの計算は理論とコンピュータ実験で行われる.この結果は二段減衰の現象が観測され,更に余韻の包絡線は緩やかに振動することを示す.外側の2 本の弦は同相で振動するが,中央の弦とは逆相で振動する.響板に対する駆動力は音圧を表し,外側の弦と殆ど同相である.これらの結果は測定値と一致している.Since three strings are used for one note, except about two octave low notes, an exchange of energy among strings occurs through the soundboard, making the string vibration very complex. One of the three strings is in tune exactly to one note, and others are tuned a little lower and higher. A model is employed to explain the vibration characteristics of a coupling system of three strings and the soundboard. Each string is comprised of resonance circuits that correspond to each partial, and likewise, the soundboard is assumed to have a finite impedance. When the most simplified version of only one partial is considered, the equivalent circuit is expressed by the three resonant circuits coupled with the soundboard resistance. The computation of this model is performed theoretically as well as computer experimentally. The results show that a double decay phenomenon is observed and furthermore that the envelope of the after sound vibrates slowly. The outer two strings vibrate almost inphase, while the middle string vibrates anti-phase. The driving force for the soundboard as well as the sound pressure are almost in the same phase with the outer strings. These results agree with the measured values.
著者
町田 宗博 目崎 茂和 山下 欣一 渡邊 欣雄 都築 晶子 三浦 國雄 中村 誠司 高良 倉吉
出版者
琉球大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

本研究の目的は、以下の3点である。1.中国における風水思想とその変遷,及び朝鮮・沖縄におけるその受容と展開を風水書や民間説話などの文献・民俗資料を通して明らかにし,各地域の比較を行う。2.日本の中でも復元可能な沖縄地域の風水説の受容,政治・歴史的背景との関連,近代以降の受容を,文献と野外調査を踏まえて総合的に検討し,その全体像を解明する。3.以上の個別研究を踏まえ,沖縄を中心として韓国・台湾・香港の風水文化の異同を学際的に比較検討する。これらの目的の達成のため,本年度は,2回の研究会と現地検討会(風水巡検)を開催した。特に本年度は,沖縄県石垣島において,風水見(風水師)与儀通事親雲上鄭良佐による与那国島,波照間島を除く全集落を対象とした風水見分文書・「北木山風水記」が見つかり,風水巡検は,同文書と現地集落の対応関係に力点をおいた。この結果,沖縄における風水見の風水知識受容の態様と,具体的集落空間に対する認識形態の一端が明らかになった。このことは,「風水」が,沖縄の景観解読の一つの鍵になりうることをも示唆している。また,研究会においては次の発表を得た。【中国(香港・台湾)の風水】中国大陸の風水研究書について(宮崎順子)【韓国の風水】韓国の風水研究-村落風水を中心に-(朝倉敏夫),現代韓国の風水説(野崎充彦)【沖縄の風水】八重山の村落風水(新城敏男),与儀通事親雲上鄭良佐の風水見分(町田宗博)【インド,タイ】タイ北部の山岳民族の風水について(吉野晃),タミル風水孝-南インド内陸農村社会の自然観と経済観(重松伸司)【公開講演会】中国の呪符について(坂出祥伸),気功と風水(津村喬)【風水巡検】八重山風水文書と現地集落との対応関係(小浜島・竹富島・石垣島)【討論会】村落風水の比較研究-沖縄・韓国・中国-
著者
高橋 悠子 中村 任 守屋 友加 白木 孝 林 伸英 熊谷 俊一 岡村 昇 八木 麻理子 竹島 泰弘 松尾 雅文 栄田 敏之 奥村 勝彦
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.1111-1116, 2006-11-10
参考文献数
23

Recently, high dose gentamicin (GM) has started to be used for the treatment of Duchenne muscular dystrophy (DMD). Previously, since the intravenous infusion of GM for 1h once a week at a dose of 7.5mg/kg/day had caused no significant adverse events in a course of therapy lasting 6 months, we decided to try conducting such therapy for four courses in the present study. We continuously assessed renal function by monitoring serum creatinine, serum cystatin C (Cys-C), serum urea nitrogen (BUN), urinary β_2-microglobulin and urinary N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG) activity. Serum creatinine levels were found to be much lower than the normal range, while, at 0.65 to 0.78μg/mL, serum Cys-C levels, were within the normal range and so was BUN, suggesting that the glomerular filtration rate in the DMD patients receiving GM therapy was being maintained in the normal range. Therapeutic drug monitoring of GM indicated that it was being rapidly eliminated from the systemic circulation though a slight elevation of urinary NAG activity in 1 patient indicated the possibility of impaired renal proximal tubules. It will thus be necessary to optimize our patient management strategy.