著者
小森 正樹 中村 嘉利 内田 賢吾 泉 善博
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.809-815, 2002-12-20 (Released:2010-05-31)
参考文献数
12

20年間にわたる石川県における松葉中の放射性核種濃度の時間変化を示しながら, その時々に存在した量の由来について検討し, 10年ごとの変化から放射性核種の移行過程と外因的要因との関係を検討した。その結果, 松葉における天然核種の40Kの濃縮係数は土壌濃度と反比例の関係を示し, 137Csも同様な傾向を示した。この関係から137Cs全量のうち経根吸収分を除いた分を大気からの沈着分として, また7Beは短半減期のため検出されるほとんどが大気からの沈着分と考え, それぞれの移行速度を推定して沈着速度と比較した。その結果, 一般に認められた降水に対する粉塵の沈着速度よりはやや小さいもののオーダー的に同程度の値を示した。従来, 測定や観測が不可能に近い137Csの松葉の吸収が時間の大幅な経過やそれに伴う環境状況の変化から観測可能になり, 137Csに関する移行係数や移行速度や7Beの移行速度が推定可能となった。
著者
李 文昭 塩野 宗則 鈴木 丈一郎 武山 和夫 片井 秀典 野村 典生 新井 高 中村 治郎
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.252-262, 1986-03-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
2 4

歯周初期治療におけるO'Learyらのプラークコントロールレコードの推移を分析する目的で本研究を行った。被検者は比較的軽度から中等度の歯周疾患患者156名 (女98名, 男58名) であった。TBI毎にブラッシング方法と時間, O'Learyらのプラークコントロールレコードなどを記録し, 10%を目標に指導した。結果は, 術前のブラッシング法で一番多いのはスクラッビング法であり, 術前のブラッシング時間は3分以下が72 %と圧倒的割合であった。プラークスコァ20%へは92%の患者が達成でき, TBI回数は4.6回, ブラッシング時間は8.6分であった。プラークスコア10%へは58%の患者が達成でき, TBI回数は5.9回, ブラッシング時間は9.8分であった。部位別では下顎, 右側, 臼歯部, 近心, 舌側, 近遠心部が磨きにくい傾向が見られ, 特に臼歯部, 舌側, 近遠心部が極端に磨きにくかった。
著者
村上 圭一 篠田 英史 中村 文子 後藤 逸男
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.339-345, 2004-06-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
24
被引用文献数
8

群馬県吾妻郡嬬恋村の土壌は黒ボク土であるが,その下唐土は,根こぶ病の発病抑止的土壌として知られている.本報では,土壌の酸性改良が根こぶ病の発病を抑止するメカニズムおよび黒ボク下層土が根こぶ病の発病を抑止するメカニズムを明らかにする目的で,根こぶ病の発病に及ぼす土壌の種類とpHの影響について検討を行った.1)根こぶ病の発病を抑制するために必要な酸性改良の程度は土壌の種類により著しく相違し,黒ボク表層土や灰色低地土のように発病しやすい土壌では,土壌のpHを少なくとも7以上にまで高める必要がある.一方,発病しにくい黒ボク下層土や赤黄色土では極端な酸性改良を必要としないことが明らかになった.2)土壌の酸性改良による根こぶ病の抑制メカニズムは従来から高pH条件下で土壌中の休眠胞子の発芽を抑制することに起因すると考えられてきたが,高pH条件においても休眠胞子の発芽あるいは,根毛への第一次感染が確認されたことから,これらのメカニズムは第一次感染以降にあると推定された.3)黒ボク下層上が根こぶ病の発病を抑止するメカニズムは,休眠胞子が有する陰電荷と土壌コロイドの電荷特性の変化に起因する.すなわち,腐植質黒ボク土は腐植に由来する陰電荷を,腐植を含まない黒ボク下層土はアロフェン由来の陽電荷を持っている.黒ボク下層土中では休眠胞子が上壌コロイドに電気的に吸着されるため,休眠胞子密度が低下する.このような土壌中での見かけ上の休眠胞子密度の低下が発病を抑止する原因と考えられた.
著者
一瀬 豊日 中村 早人 戸倉 新樹
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.73-81, 2010-03-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
3 2

専属産業医を選任する必要のある事業所は, 労働安全衛生規則に定められているが, 専属産業医を必要とする事業所の数は公開されている厚生労働省の統計数値上には未掲載である. しかし本邦では経済基本構造を把握するために, 総務省統計局経済基本構造統計課により, 事業所における従事者数および業種の全数調査が行われている. 本報告では総務省統計局経済基本構造統計課の事業所・企業統計調査を基に法的に必要とされている最低限度の専属産業医数を推計した. 1,000名以上従業員がいる事業所の数は1,228ヶ所(確定数)あり, 特定有害業務を有する業務に常時500名以上の労働者を使用する事業所数と事業所兼任などを考慮すると, 2,000名から2,500名の専属産業医の需要が最低限あると考えられる.
著者
片山 久留美 小木曽 智信 中村 壮範
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.89-96, 2018-11-24

国立国語研究所で構築中の『日本語歴史コーパス』に『室町時代編Ⅱキリシタン資料』として『天草版平家物語』『天草版伊曽保物語』の2作品が追加された.これらの資料は原本がポルトガル式ローマ字により表記されており,当時の発音を知ることができる資料として日本語研究上重要な位置を占める.コーパス化にあたっては,ローマ字テキストと和文テキストを用意し両者をアラインメントにより対応付けることで二つのテキストを同時に参照可能にした.その際,仮の和文テキストを作成して形態素解析を行い,付与された形態論情報を利用することによって,均質性の高い独自の和文テキストを自動で出力したほか,ローマ字テキストと和文テキストのアラインメント作業も効率よく行うことが可能となった.
著者
馬場 慎介 柳瀬 和也 今井 藍子 中井 泉 小川 康和 越田 賢一郎 中村 和之
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.48-67, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1

Glass beads, possibly belonging to Ainu Culture, were analyzed by XRF technique to understand the origin of these glass. The samples were excavated from Hokkaido belonging to the periods from the mid 14th to the 19th century AD. The analytical results showed that the beads can be classified into two types, lead-potash silicate glass and potash lime silica glass, based on the major components. The proportion of the potash lime silica glass in total glass analyzed is significantly higher than that usually found in beads excavated in Honshu area indicating an apparent difference in the source of the glass. A compositional similarity was observed in green potash lead silica glass between present samples and Ichijyodani Asakura Clan Ruins(15,16th century AD). Potash lime silica glass beads were classified into two groups based on trace heavy elements compositions, indicating the presence of two origins.
著者
齊藤 崇子 中村 知靖 遠藤 利彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.517-522, 2005-02-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
15
被引用文献数
5 7

The present study examined whether scores on big five personality factors correlated with face-recognition response time in visual search paradigm. Sixty adjectives were used to measure personality scores of 60 participants along the five factors of Extroversion, Neuroticism, Openness to Experience, Agreeableness, and Conscientiousness. Picture of human faces or geometrical figures in a 4×4 array were used as stimuli. The sixteen faces or figures were either identical (absent condition) or one randomly placed target with 15 identical distracters (present condition). Participants were asked to respond ‘present’ or ‘absent’ as fast and accurately as possible. Results showed that the response time differed significantly between high and low groups of each personality factor except Agreeableness. For Extroversion, Neuroticism, and Conscientiousness, the response time difference was observed only for human face recognition. The results suggested that personality differences and face recognition were related.
著者
菅 幹雄 中村 洋一 居城 琢
出版者
法政大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

経済センサス-活動調査の個票データを用いて全市区町村の産業連関表を推計する。本推計では市区町村別産業小分類別「事業所の売上(収入)金額試算値」の個票データを用いて、全国表の市区町村分割を行う。なお推計においては本社部門と現業部門を分割する。このとき本社活動の範囲は、複数事業所を有する企業の本社で発生している事業活動以外の生産活動(管理活動及び事業活動を補助する活動)とする。さらに全市区町村の産業連関表を社会会計行列(SoclalAccounting Matrlx, SAM)へ拡張する。これにより、市区町村レベルでのEBPM(Eyidence Based PoIlcy Making、事実に基づく政策策定)の実現を目指す。
著者
中村 覚
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.348-351, 2020-10-01 (Released:2020-11-16)
参考文献数
9

日本国内では、国の分野横断型統合ポータルである「ジャパンサーチ」が公開され、国内の多様なデジタルコンテンツに対するアクセスが容易となりつつある。一方、国外の機関が所蔵・公開する日本文化に関するデータの発見可能性は十分に高くない。そこで筆者らはIIIF/RDFなどのデータ相互運用技術を活用して、世界中の機関が公開する日本文化に関するデータを収集し、それらの発見可能性を高める仕組みである「Cultural Japan」の構築を行っている。本研究ではこの構築において、特に「ジャパンサーチ利活用スキーマ」の利用について述べる。本研究が、他のプロジェクト等での「ジャパンサーチ利活用スキーマ」の利用における参考事例となることを目指す。
著者
神野 卓之 芳村 学 中村 孝也
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.1201-1206, 2001-06-01
参考文献数
2

本論では,旧基準による鉄筋コンクリート柱を対象とした実験結果に基づく地震応答解析によって,兵庫県南部地震におけるコンクリート系建物の中間層崩壊について検討した。また,海外で屡々見られる複数層にわたる崩壊が兵庫県南部地震ではほとんど見られなかった要因についても検討した。その結果,兵庫県南部地震で中間層崩壊した建物に作用した入力地震動の大きさが分かり,また,入力がそれよりも大きければ,複数層で崩壊した可能性もあること,など,が分かった。
著者
グプタ ビィシュウ 中村 亮裕 福田 治輝 綱川 隆司 狩野 芳伸 西田 昌史 西村 雅史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.4Pin125, 2018 (Released:2018-07-30)

ニューラル機械翻訳モデルでは扱える語彙サイズに制約があり、この課題に対処する方法としてサブワード単位、文字単位、あるいはバイト単位で処理する方法が提案されている。一方、日本語においては文字単位に分割しても漢字のバリエーションが多いために語彙サイズは比較的大きくなる。本研究では日本語テキストに対して漢字分解を適用することで語彙サイズの低減と漢字情報の維持を両立させることを目指すニューラル機械翻訳手法を提案し、評価実験を行った。