著者
中野 元太 矢守 克也 Nakano Genta Yamori Katsuya ナカノ ゲンタ ヤモリ カツヤ
出版者
「災害と共生」研究会
雑誌
災害と共生 (ISSN:24332739)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.83-94, 2020-09

一般論文国際防災教育支援において、支援者と被支援者との間の社会的・経済的・文化的・教育環境的相異に配慮すべきとの主張は数多い。この主張は、相異に配慮しさえすれば、支援者が教える知識・技術は被支援者にとって有用であり、国際的防災教育支援という枠組・実践はどのような社会間にも適用可能であるとの前提に立つ。しかし、ルーマンの「リスク/危険」概念を導入すれば、防災教育の多くは自然災害をリスクとみなす〈リスク社会〉に特有の実践(【防災教育@〈リスク社会〉】)であり、自然災害を危険とみなす〈危険社会〉に対する有効性は確かではないこと、よって、無条件な適用が、かえって防災教育の不全を引き起こす可能性を指摘できる。このことをネパールでの防災教育実践事例やインタビューに基づく防災に対する姿勢から考察した。その上で「仕掛学」に理論的アイデアを借りて〈危険社会〉にも通用する【防災教育@〈危険社会〉】を提案するとともに、【防災教育@〈危険社会〉】の倫理的課題についても言及した。
著者
中野 圭介 増見 伸 中村 浩一 中野 吉英
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1374, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】パルスオキシメーターは非侵襲性を特徴とし,簡易的にセンサーを装着するだけで,連続的かつリアルタイムに経皮的酸素飽和度(以下,SpO2)をモニタリングすることが可能である。センサーの種類には手指に装着する透過型の指尖部センサー,前額部に軽く圧迫を加え固定する反射型の前額部センサーなどがある。なかでも前者は,指先に装着できることから,一般・救急外来,集中治療室,手術室をはじめ,リハビリテーションの現場においても広く用いられている。しかし,手指の障害や体動が激しい場合などには,足趾に装着されるケースも少なくない。これまで,実際の患者での吸痰操作において前額部,耳朶,手指の順にSpO2が低下し,各装着部位で同様の変動傾向があったことを報告した研究はあるものの,足趾と他部位の関係性を検討した研究は我々が探索する限り見当たらない。そこで本研究では,まず手指と足趾におけるSpO2低下度合いの相違およびSpO2が最も低下するまでに要する時間差(タイムラグ)を比較検討し,さらに身体・検査データからSpO2測定に影響を及ぼす関連因子を検討することで,手指・足趾におけるSpO2測定の特性および有用性を明らかにすることを目的に実施した。【方法】対象は循環器障害および上下肢に形態的変化の既往が無い健常な男性33名とし,平均年齢27.0±2.9歳,身長171.8±10.6cm,体重66.2±3.4kgであった。すべての被験者は,ベッド上背臥位にて5分間の安静を行った後,最大呼気に引き続き30秒の息こらえを行った。その後,手指および足趾のSpO2を経時的に追い,最も低下した時点でのSpO2(以下,最低SpO2)および最大呼気終了後から最も低下した時点までに要した時間(以下,所要時間)を測定した。測定する手指および足趾は右側の第2指とし,測定機器にはPumoRi7165(ユビックス株式会社製)を用いた。なお,測定肢位は解剖学的肢位とし,室温を25℃,時間を健康診断直前に設定し,外光などにも注意を払った。身体・血液データは健康診断で得られた情報を基とし,血液通過時間に影響を与える因子である肥満度(身長・体重・BMI),血圧(収縮期血圧・拡張期血圧),赤血球変形(赤血球数・血色素量・赤血球容積),動脈硬化・高脂血症(総コレステロール・低密度リポたん白質・高密度リポたん白質・中性脂肪)を選択した。統計手法は最低SpO2,所要時間ついてPaired t-testを用いて比較検討した。さらに,最低SpO2および所要時間,身体・血液データについてPearsonの相関係数により検討した。なお,それぞれの統計学的処理について有意差の判定は危険率5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき,全対象者に対して研究の主旨,内容について口頭および紙面にて十分に説明し,同意を得た上で研究を開始した。【結果】最低SpO2は手指89.3±4.9%,足趾90.8±5.6%,また所要時間は手指50.5±6.3秒,足趾62.9±10.1秒であった。手指と足趾の最低SpO2の比較において,有意差が認められず,手指と足趾における最低SpO2の相関では正の相関関係が認められた(r=0.80,p<0.001)。所要時間の比較において,足趾は手指と比べ有意に遅延していた(p<0.01)が,有意な相関関係は認められなかった(r=0.28,p>0.05)。手指所要時間と身体・血液データの相関において,手指所要時間は身長との間に正の相関関係(r=0.39,p<0.05)が認められ,血色素量・赤血球容積との間に負の相関関係(r=-0.42・r=-0.43,p<0.05)が認められた。【考察】手指と足趾における最低SpO2の比較では,有意差が認められず,手指と足趾の間に正の相関関係が認められた。このことから,足趾で測定する場合も手指測定と同様の結果が推測できるため,足趾測定における評価の有用性が示唆された。しかしながら,所要時間の比較において足趾は手指と比べて有意に遅延し,また有意な相関関係は認められなかったことから,足趾でのSpO2測定では,これら特性を考慮する必要がある。手指所要時間と身体・血液データの相関において,手指所要時間は身長との間に正の相関関係,血色素量・赤血球容積との間に負の相関関係が認められたことから,身長が高いほど,また血色素量・赤血球容積が低値であるほど,所要時間が遅延する可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究は手指・足趾間におけるSpO2の有用性と関連因子について検討し,一定の見解を得ることができた。この結果をもとに,理学療法評価の一助となることを期待したい。
著者
高橋 一正 宇田川 毅 草葉 義夫 村松 岳彦 天野 壮泰 谷岡 慎一 市野 富雄 中野 清志 村上 一方 畔 和夫 奈良部 幸夫 今井 昭生 小西 優介 天田 巌
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.9, pp.1571-1575, 1989-09-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4

波長可変レーザー装置を用いてcis-ビタミンK2(cis-VK2)→trans-ビタミンK2(trans-VK2)の光異性化反応を試みた。cis-VK2またはtrans-VK2の溶液に紫外から可視領域のレーザー光を照射し,それぞれの異性化量を測定した。その結果,cis-5-VK2→trans-VK2の異性化に有効な波長は280~460nmであり,とくに435と355nmが高い異性化率を示した。trans-VK2→cis-VK2の異性化反亦も同時に進行するがその速度は遅く,光平衡組成はtrans-VK2/cis-VK27/3となった。また異性化反応は溶媒の影響を受け極性溶媒よりも無極性溶媒が有効であった。cis-VK2→trans-VK2の異性化はテトラプレニル側鎖中のナフトキノン骨格にもっとも近い二重結合で起こり,他の二重結合部では起こらず選択的反応である。窒素雰囲気下でのおもな副生成物はメナクロメノロ一ルであった。これらの結果から異性化反応過程を推定した。
著者
猿渡 博輝 首藤-中野 友香 中野 兼宏 比良松 道一 尾崎 行生 大久保 敬
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.312-317, 2008
被引用文献数
7

タカサゴユリ(<i>Lilium formosanum</i> Wallace)は,種子発芽後 1 年以内に開花する早期開花性および複数花茎抽苔の形質を持つ.これらの形質の育種的利用価値を検討するために,花柱切断授粉法により種子親としてタカサゴユリ,花粉親としてヤマユリ(<i>L. auratum</i>),カノコユリ(<i>L.</i> <i>speciosum</i>),リーガルユリ(<i>L. regale</i>),'ロリポップ','ピンクタイガー','ザザ','ル・レーヴ','マルコ・ポーロ'および'アフリカンクィーン'を用いた 9 組み合わせの種間交雑を行い,その後,子房切片培養を行った.すべての交雑組み合わせで発芽が観察され,雑種を 53 個体得ることができた.そのうち 30 個体(56.6%)および同様の手法を用いて作出したタカサゴユリ自家交配実生は発芽後 24 か月以内に開花した.開花雑種個体のうち 11 個体(36.7%)では 2~4 本の花茎が抽台した.早期開花性,複数花茎抽苔および有色花を同時に合わせ持つ雑種は,タカサゴユリと有色花アジアティックハイブリッドユリとの交配から 4 個体得られた.これらの結果は,タカサゴユリと有色花のアジアティックハイブリッドユリと交配すれば,3 つの有用形質,すなわち,早期開花性,複数花茎抽苔および有色花を同時に合わせ持つユリを育種できる可能性を示唆している.<br>
著者
渡邊 真 中野 浩
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.254-255, 1997-02-26

62歳,男性.1996年3月ごろから下痢で発症.
著者
中野 由章
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.652-655, 2021-11-15

2021年6月18日に,文部科学省が「教育職員免許法施行規則および免許状更新講習規則の一部を改正する省令案に関するパブリックコメント」を実施した.改正省令案では,ICT活用指導力を総論的に修得できる科目の履修等の条件が新設されている.これに対して,本会が7月14日に提出した改正省令案に対する意見書の内容について解説する.また,このパブリックコメントを経て決定された改正省令について,「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)モデルカリキュラム」を踏まえて本会の考えを述べる.加えて,9月28日に教員免許更新制度の廃止と経過措置の概要も文部科学省から発表された.これについて本会がどのような対応をすべきかについても述べる.
著者
榊原 章一 中野 崇 加藤 一夫 中垣 晴男 福田 理
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.459-464, 2011-12-25 (Released:2015-03-14)
参考文献数
27
被引用文献数
1

齲蝕は歯垢中の細菌が産生する酸が歯質を脱灰することによって起こる。一方フッ化物は齲蝕予防効果があり,歯垢中に低濃度で常時存在することでそれを発揮する。フッ化物による齲蝕予防効果の1 つに歯垢細菌の糖代謝に対する抗酵素作用があり,菌体外への乳酸などの有機酸の生成を抑制する。本論文ではフッ化物の具体的な効果を解明するため,250 ppmF NaF 溶液を用いた際の,歯垢細菌へのフッ化物の影響を調査した。NaF 溶液で洗口した群を実験群,蒸留水で洗口した群を対照群とし,各群の洗口後,10 分後に10%グルコース溶液にて洗口を行い,更にその後5 分後に歯垢採取を行い,採取した歯垢のフッ化物,乳酸及びグルコースの濃度を測定した。本実験より以下の結果を得た。・実験群では,フッ化物濃度は有意に上昇した・実験群ではグルコース洗口後の乳酸の産生濃度が有意に減少した・実験群ではグルコースの残留量が多い傾向にあった本実験の結果より,フッ化物洗口によってフッ化物イオンが歯垢中に取り込まれ,歯垢細菌の乳酸産生を抑制したことが明らかとなった。しかしながら,NaF 溶液による歯垢中フッ化物濃度の上昇は一時的であるため,今後は歯垢中フッ化物濃度を長時間高濃度に維持する方法について検討が必要である。
著者
中野 倫靖 後藤 真孝 梶田 秀司 松坂 要佐 中岡 慎一郎 横井 一仁
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1222-1235, 2014-03-15

本論文では,ユーザ歌唱における顔表情を真似てヒューマノイドロボットの顔動作を生成するVocaWatcherについて述べる.ここで,我々が以前開発したVocaListenerを用い,ユーザ歌唱の歌い方(音高と音量)を真似て歌声合成も行う.従来,歌唱ロボットに関する研究はあったが,手作業による動作制御が主で,その自然さに限界があった.それに対して本研究では,単一のビデオカメラで収録した人間の歌唱動画を画像解析し,口,目,首の動作を真似て制御することで,自然な歌唱動作を生成した.ここで口の制御には,VocaListenerから得られる歌詞のタイミング情報を用いて,歌声に同期した動作を生成できる.さらに,ロボットによるより自然な歌唱を実現するために,我々が以前開発したブレス音の検出技術とVocaListenerを組み合わせ,ブレス音を真似て合成できるように拡張した.In this paper, we describe VocaWatcher that is a facial-motion generator for a singing robot by imitating user's singing. It can synthesize singing voices by using our previous VocaListener to imitate pitch (F0) and dynamics (power) of user's singing. Although singing humanoid robots have been developed with synthesized singing voices, such robots do not appear to be natural because of limitations of manual control. To generate natural singing expressions, VocaWatcher imitates a human singer by analyzing a video clip of human singing recorded by a single video camera. VocaWatcher can control mouth, eye, and neck motions by imitating the corresponding human movements. To control the mouth motion, VocaWatcher uses lyrics with precise timing information provided by VocaListener. Moreover, we extended VocaListener by combining our previous method of breath sound detection to imitate breathing sounds that make the robot singing more realistic.
著者
中野 亮平
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2012

博士論文
著者
中野 善逹
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学リハビリテーション研究 (ISSN:09178058)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.41-44, 1995

アメリカ合衆国では、1979年10月17日制定された教育省組織法(P.L.96-88 Department of Education Organization Act of 1979)により、保健・教育・福祉省から教育省が分離・独立することとなり、1980年5月4日、連邦政府の第13番目の省として教育省が新しく発足した。これは教育を重視し、教育省設置推進を選挙公約の1つに掲げて ...
著者
中野 航基 澤田 秀之
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1737-1747, 2021-10-15

シャボン膜に音波を照射すると,表面張力波が発生する.本稿ではこの現象を利用した音波の可視化と,音楽を視覚的に理解し楽しむための新しい手法を提案する.本稿では,シャボン膜上に生じる表面張力波の理論的考察をもとに,音の可視化実験から得られたデータと理論値とを比較,考察する.また,シャボン膜を撮影した映像から,膜に照射された音波の音高周波数を自動的に認識するアルゴリズムを実装し,実験により有効性の検証を行う.
著者
森山 祐輔 有森 和彦 中野 眞汎
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.245-251, 1992-06-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

The statistics indicates that the constitution of children, which includes height and body weight, has developed during the last 40 years.Therefore, we investigated that body surface area of children at present for every age which was calculated with Fujimoto's formula was greater than that in 1948.So we reexamined pediatric dose obtained from Augsberger's I, Augsberger's II, Young's, and Fujimoto's formula.The pediatric dose ratio based on body surface area in 1948 much more corresponded with the dose ratio obtained from the Augsberger's II formula.On the other hand, the pediatric dose ratio based on body surface area for every age in 1987 was shifted to higher dose ratio compared with that obtained from the Augsberger's II formula. The pediatric dose ratios obtained from three formulas except Fujimoto's formula indicated lower dose ratio than that obtained from Fujimoto's formula.Furthermore, under the age of five, pediatric dose ratio calculated from Fujimoto's formula was higher than that calculated from Du Bois's formula.The difference between the two dose ratios was larger as the age of children was lower.Consequently, considering big change in the constitution of children during the last 40 years, there may be a possibility to estimate lower pediatric dose than the dose which was required in the present children, if the pediatric dose was eviluated with Augsberger's II formula.
著者
中野 綾子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.55-66, 2013

<p>堀辰雄ブームを学徒兵という愛読者を視座として検証する。戦後、学徒兵の読書行為は戦争に対して批判的な行為として捉えられていくが、それは自らが特別であると示す行為でもあった。文学者の堀辰雄愛読者に対する批判もこのような読書行為と同様の構造を有し、堀辰雄の真の理解者だと示すことは、戦争責任を忌避する行為でもあった。文学者たちが学徒兵との関連を捨象しながら、堀辰雄の普遍性を保証する評価を下してきたことで、同時代的な読書行為の意味や自らの戦争責任を問いがたくしてきたのである。</p>
著者
中野 善夫
出版者
早川書房
雑誌
SFマガジン
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.204-209, 2002-10