著者
中野 良顯
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.172-177, 1996-08-15 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
1

「実践研究の方法と課題」で論ずべき主題を考察した。実践研究の概念を分析すると、臨床心理学の訓練の理想的範型、サイエンティスト・プラクティショナー・モデルに到達する。このモデルが目指すのは、消費者・評価者・研究者の3役割を統合する生産的研究者、分析的実践家の育成である。個体分析法によって臨床実践の実験科学化を可能にした応用行動分析は、このモデルの使命を実現する最も正当な継承者である。それは実践の科学化を可能にするための7指令に、社会的妥当性と効果的処遇を受ける権利という新しい次元を加え、研究者と実践家の行動指針とした。これらの指令は、研究者はどうすれば実践の問題に関連深い研究を展開できるか、実践家はどうすれば科学的方法論を駆使して伝達可能な情報を生み出せるか、科学に基づく実践を受益者に好かれる実践にするにはどうすればいいか、そして緊急に解決すべき問題を持つ人々が問題の改善に有効な介入を受ける権利をどうずれば保障できるか等の基本的課題への試案的回答として提出された。それらは日々の実践研究において反復検討され、十分吸収活用され、一層発展させられなければならない。
著者
巽 博臣 升田 好樹 今泉 均 千原 伸也 澤田 理加 中野 皓太 山本 恭輔 菅原 康介 吉田 真一郎 後藤 京子 髙橋 科那子 山蔭 道明
出版者
特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
雑誌
日本急性血液浄化学会雑誌 (ISSN:21851085)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.17-22, 2013-06-01 (Released:2022-09-16)
参考文献数
13

電解質異常の補正・治療を目的とした持続的血液濾過透析(CHDF)の透析液/補充液/置換液(以下,置換液)の調製について概説した。市販の置換液にはナトリウム(Na)140mEq/L,カリウム(K)2mEq/L,イオン化カルシウム(Ca)2.5mEq/Lが含有されている。高Na血症の場合,市販の置換液によるCHDFでは急激に補正されて脳浮腫を発症する危険があるため,血中Na濃度より低く正常値(140mEq/L)より高い,相対的低Na濃度の置換液を用いる。市販の置換液中にはイオン化Caが高濃度で含まれているため,高Ca血症をCHDFで治療する場合にはCaフリーの置換液を用いる必要がある。一方,高K血症で循環動態が不安定な場合,Kフリーの置換液を使用しCHDFで補正する。CHDFでは電解質など中分子量以下の有用物質も除去されるため,長期間または大量の置換液によるCHDF施行時には無機リンやマグネシウムなどの電解質のモニタリングも重要である。
著者
菅沼 慎一郎 中野 美奈 下山 晴彦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.16075, (Released:2018-07-14)
参考文献数
46
被引用文献数
1

Recently, the adaptive function of resignation in psychological health is widely noted, especially from the standpoint of its relationship with mindfulness and acceptance. In this study, we developed two scales: one for measuring the stress-monitoring intention and one for measuring adaptive resignation. Then, we examined the relationship between stress-monitoring intention and psychological health in the light of the adaptive function of resignation. A questionnaire study was carried out with 600 Japanese workers in their 20s to 40s (300 males and 300 females: mean age = 35.37 years, SD = 7.66 years). The questionnaire’s reliability and validity were demonstrated. Mediation analysis revealed mediated effects of adaptive resignation in the relationship between stress-monitoring intention and psychological health. This result suggested that stress-monitoring intention has a dual face to psychological health, and the adaptive resignation eases the negative relationship, and amplifies the positive relationship. Finally, the meaning of this study’s results in terms of cognitive behavioral therapy and stress education in Japan are discussed.
著者
阪本 昌志 兒玉 隆之 中野 英樹 植田 智裕 森 郁子 谷 都美子 村田 伸
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.279-283, 2019 (Released:2019-08-30)
参考文献数
23

We examined the effects of foot massage on healthy adult females’ mental and physical functions by electroencephalography as an emotional assessment method. We randomized 20 healthy adult females into 2 groups receiving a massage by a therapist (Group A) and mechanical massage using a commercially available massager (Group B), each of which consisted of 10 subjects. After massage, the lower limb volume significantly decreased in both groups, but Group A showed more favorable results related to comfort, pain, and feeling refreshed. Electroencephalography confirmed increased beta waves, indicating enhanced neuronal activity, in the medial prefrontal cortex and anterior cingulate gyrus of Group A after massage. The results suggest that foot massage by a therapist positively influences not only physical functions, but also mental conditions.
著者
中野 武雄
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
Journal of the Vacuum Society of Japan (ISSN:18822398)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.308-312, 2014 (Released:2014-08-25)
参考文献数
3

Discharge plasma, especially that generated at low gas pressures, is an important application of vacuum technology. This article describes the unique features of low gas pressure plasma, generation of plasma discharge and various plasma parameters. Plasma-wall interaction, which is very important for many plasma-related technologies, is also discussed considering the collisionless sheath model.
著者
小西 隼平 中野 友貴 伊藤 博武 長嶺 敬
出版者
根研究学会
雑誌
根の研究 (ISSN:09192182)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.119-123, 2021-12-20 (Released:2021-12-27)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究では国内品種を中心とした多様なオオムギ52品種を用いて,種子根の伸長角度の品種間差異をスカイゲル培地法によって調査した.オオムギ種子根伸長角度には大きな品種間差異がみられ,最小値は0° (シュンライ・北陸皮48号) で最大値は58.8° (ビューファイバー) で,平均値は23.7°であった.条性,皮・裸性ともグループ間に有意な差は認められなかった.北陸・長野で育成されたオオムギは他地域育成のオオムギに比べて,種子根伸長角度の小さいことが示された.こういった伸長角度の品種間差異は,育成地によって選抜された品種の特性の違いにより生じたと推測できる.
著者
中野 美香 高原 健爾 梶原 寿了
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.379-385, 2009-05-01 (Released:2009-05-01)
参考文献数
6
被引用文献数
7 3

This paper describes the instructional design to develop communication ability for students in the electrical engineering majors. It is based on the case of Fukuoka Institute of Technology which started new courses for communication skills in 2007. A series of communication education from the freshman year to the third grade is systematized, considering the developmental process of students' argumentation. In the classes, students continually learn dialogue and cooperation through various styles of discussion, debate, presentation and so on. The first introductory class of all is “Communication Theory I”, which is aimed at developing self-awareness and improving discussion skills for interpersonal relationship. In this course, students acquire skills to construct their arguments about the given issues and to evaluate others' presentation performances each other. To cultivate students' communication ability, education should not be closed in a class, but support system from departmental level is essential.
著者
中野 貞一郎
出版者
日本学士院
雑誌
日本學士院紀要 (ISSN:03880036)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.181-196, 2009 (Released:2017-04-05)
著者
中野 徹也
出版者
關西大學法學會
雑誌
關西大學法學論集 (ISSN:0437648X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.1101-1132, 2011-01-31
著者
大月 友 青山 恵加 伊波 みな美 清水 亜子 中野 千尋 宮村 忠伸 杉山 雅彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.131-142, 2006-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本研究では、アスペルガー障害をもつ不登校中学生に対して、社会的相互作用の改善を目指した社会的スキル訓練(SST)が実施された。対象生徒の社会的相互作用に対して行動分析を行った結果、反応型としての社会的スキルをもっているものの、周囲の刺激を弁別刺激として適切に反応できていないために相互作用として機能していない、と分析された。そこで、他者の刺激に適切に反応することにより、社会的相互作用の改善が可能となると仮説をたて、そのようなスキルを形成することを目的としたSSTを実施した。 SST実施に当たっては、対象生徒が興味をもつような訓練場面(推理ゲーム)を設定し、その中でのやりとりを通して訓練が行われた。その結果、訓練場面における標的行動の生起率が増え、自由場面における社会的相互作用にも改善が確認された。これらの結果から、アセスメントおよび介入の妥当性が考察された。
著者
中野操著
出版者
思文閣出版
巻号頁・発行日
1979
著者
中野 鐵兵
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,人間の持つ非常に高度な適応・学習能力を積極的に活用した,人を音声認識器に適応させることで高度な認識精度の実現を可能にする手法の検討を行った.実利用環境における認識精度の劣化を招く主な原因として,想定話者の発話の特徴と実際の話者のミスマッチ(話者要因)が挙げられる.本研究では,話者要因に関して,入力音声の音響的特徴からより適切な発話様式を誘導するための手法の提案と,その効果の検証実験を行った.また,より適切な話者誘導を実現するために必要な,語彙依存な指示語の必要性について調査を行った.音声認識技術のエキスパートによる指示例の収集とその分析を行い,より間違えやすい語に対する適切な指示語生成を可能にするエキスパートシステムを開発した.被験者実験を行い,その効果の検証を行った.
著者
田畑 亜希子 横尾 頼子 中野 孝教 徳増 実
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2010年度日本地球化学会第57回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.124, 2010 (Released:2010-08-30)

愛媛県西条市市之川とその支流および加茂川の河川水と河床堆積物の元素組成を調べ,河川水および河床堆積物への市之川鉱山の影響を明らかにした.市之川本流の河床堆積物中のSbやAsの濃度は,市之川鉱山付近よりも下流の地点で高かった.SbやAsを多く含む粒径の細かい砕屑物が市之川鉱山から運ばれて下流で堆積していると考えられる.市之川本流の河川水中のSb,As,Fe,SO4濃度は鉱山より下流の地点でより高くなり,市之川鉱山からの粒径の細かい堆積物に含まれる輝安鉱(Sb2S3)や硫ヒ鉄鉱(FeAsS)の風化や支流の流入が影響している.市之川本流の河床堆積物中の水溶性・交換性イオンの抽出量は粒径の細かい堆積物ほど多く,特にSb,As,SO4の抽出量は市之川鉱山付近よりもさらに下流の地点で多かった.加茂川でのSbとAsの河川水および河床堆積物中の濃度,水溶態・交換態の抽出量は,市之川合流直後よりもさらに下流の地点でより高く,市之川鉱山の影響がみられた.
著者
中野 誠士 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.85-86, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
5
被引用文献数
3 2

倒壊・崩壊による瓦礫の落下運動ように,相互作用しながら複雑な運動をする多数の物体のアニメーションを生成するためには,その運動の物理シミュレーションによるのが効率的である.本研究では原理が解り易くインプリメントし易い多面体の運動シミュレーション法の開発を目的とし,粒子要素法における,法線方向とせん断方向にフォークトモデルを用いたペナルティ法を多面体に拡張し,衝突,接触,摩擦力を統一的に扱うことができる手法を開発した.
著者
澤村 直輝 中野 航一郎 内田 祐司 高力 俊策
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.615-619, 2022-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
10

市販薬であるトラベルミン®(ジフェンヒドラミンサリチル酸塩とジプロフィリンの合剤)による急性中毒は近年国内でも症例報告が散見される。うつ病の既往がある34歳男性が痙攣と意識障害で発見され,隣にトラベルミン® 120錠分の空箱(ジフェンヒドラミン換算3,100mg)を認め救急搬送された。来院時はGCS 3点(E1V1M1),瞳孔散大,眼球クローヌス,口腔内乾燥,心電図で右脚ブロック波形と頻脈を認めた。トライエージDOA®でフェンシクリジンが陽性であった。人工呼吸器管理,活性炭投与,炭酸水素ナトリウム投与,20%脂肪乳剤の投与を行い,血液透析を施行した。数時間後には心電図は正常化し第2 病日には意識レベルも改善した。横紋筋融解を合併したが軽快し,第9病日に独歩で精神科へ転院となった。トラベルミン®中毒の報告はまだ多くないが入手は簡単で,インターネットの自殺サイトで取り上げられることもあるため今後も増加が予想される。救急医療に携わる者にとって多彩な臨床所見や治療法の知識を深めることが重要である。
著者
中原 一郎 森竹 浩三 半田 肇 小林 修一 長安 慎二 奥野 武彦 中野 善久
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.14-20, 1986-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

ビタミンK欠乏性頭蓋内出血6例の臨床分析を行った結果, 適切な治療を行ったにもかかわらず, その臨床神経学的予後は不良であった. 微小脳血管構築の特殊性, 脳血液関門の未熟性など, 本症発症時期における小児脳の発達上の特殊性が, 本症の不良な予後ならびにその特徴的なCT所見に密接に関連するものと推定される. 以上の観点から, リスク児の早期のスクリーニング, ビタミンK製剤の予防的投与など, 本症の発症予防の重要性を改めて強調した.