著者
常深 志子 近藤 健 藤原 香子 中野 美佐
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.250-256, 2023-04-15 (Released:2023-04-15)
参考文献数
20

急性期病院での認知症ケアチームにおける作業療法実践を検討した.認知機能低下を伴う運動器疾患術後の高齢者16名を調査した結果,認知機能改善はMini Mental State Examination-Japaneseではなく,Functional Independence Measure(以下,FIM)cognitiveに認められた.また,FIM motorに改善を認め,行動・心理症状,せん妄,向精神薬内服,テープ付き紙おむつの使用数,身体拘束使用数は減少した.作業療法士の認知症ケアチームへの関わりは,急性期医療における高齢者ケアに役立つことが示唆された.
著者
山田 ルミ 稲垣 美智子 北出 優華子 古屋 圭介 津田 真一 伊藤 弘樹 西澤 誠 中川 淳 中野 茂 古家 大祐
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.392-397, 2012 (Released:2012-07-20)
参考文献数
19
被引用文献数
2

【目的】糖尿病足壊疽などの重症足病変を予防するためには,壊疽の前駆所見のひとつである皮膚病変(乾燥や亀裂などの軽微な異常)への対策が重要である.そこで,保湿剤を自己塗布させる手法を用いたフットケア教育が患者の足に対する認識(意欲・関心)と行動を改善させることができるかどうかを検証することを目的とした. 【方法】糖尿病神経障害を有する糖尿病患者を対象に清潔ケアに加え保湿剤を自己塗布する実験群と清潔ケアのみを指導する対照群に群分けした.認識と行動は,質問紙による面接を行ない,介入前と比較し3か月後に改善がみられた患者を「向上」と判定し両群を比較した. 【結果】両群の性別,年齢,糖尿病罹病期間に有意差はなかった.行動は実験群で有意に改善し(p<0.01),意欲は向上傾向を示した.しかし,関心には有意差はなかった. 【考察】本研究において,保湿剤を用いた教育は糖尿病患者のフットケア行動を向上させたことが示された.この結果は,保湿教育が軽微な皮膚病変を有する時期における糖尿病患者のフットケアに役立つことを示唆している.
著者
平澤 涼一郎 中野 達也 阿久津 英典 宮川 和明
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.88, no.806, pp.655-665, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
6

In this paper, out-of-plane bending stiffness of column-end connection between square hollow section column and thick panel with different width was investigated by loading test and finite element analysis. From the results, column-end connection of corner-type under 45-degree directional force has the smallest stiffness, and of which section dose not remain plane, and proportion of bending resistance caused by partial deformation of column in column-end bending resistance is very small. Therefore, method to estimate out-of-plane bending stiffness of column-end was proposed based on deformation of diaphragm of hollow section of panel and directly above panel.
著者
金井 純子 中野 晋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_131-I_136, 2018 (Released:2019-02-19)
参考文献数
20

本研究は2016年熊本地震における福祉避難所の運営状況について調査し,福祉避難所の運営上の課題について分析した.福祉避難所を開設した熊本県益城町の2つの特別養護老人ホームを対象に,避難者及び避難者に対する支援者の数がどのように変化したかを聞き取りと質問票によって調査した.地震発生から1週間の間,両施設では大きな混乱が生じた.その要因は被災によって出勤できる職員が少なかったことと多くの一般避難者を受け入れたことであった.このような混乱を避けるためには,BCPの中に福祉避難所の開設手順を加えることが必要である.
著者
藤井 英司 中村 竜太 大久保 義真 久住 孝幸 落合 剛 濱田 健吾 小林 慶一 石黒 斉 波多野 諒 中野 万敬 山中 基資 松井 則男
出版者
公益社団法人 日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
雑誌
Colloid & Interface Communications (ISSN:27585379)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.2-19, 2023-03-10 (Released:2023-04-05)

国内には国立研究開発法人等の国立の研究機関だけでなく都道府県ならびに市立の研究所・センター(地方公設試験研究機関等)などが数多くあります。特に地方の研究所・センターは各地域の特色を生かした・地域の発展を支える研究・開発をされてきておられます。また、これらの研究所・センターにおいてコロイド・界面化学関連の研究についても数多くなされております。その一端をご紹介いたします。このご紹介を通して、各センター・研究所で研究をしている研究者の皆様方と本部会との交流の足掛かりともなればとも考えております。今回、岡山、秋田、神奈川、名古屋の各地域において、地域の産業・学術を担う研究組織である、岡山県工業試験センター、秋田県産業技術センター、神奈川県立産業技術研究所(KISTEC)ならびに名古屋市工業研究所におけるコロイド・界面化学分野の研究を紹介いたします。 〔1〕セルロースナノファイバー素材の界面制御技術を利用した金属ナノ粒子との複合化に関する研究 岡山県工業技術センター 応用技術部 食品・繊維科 藤井 英司岡山県工業技術センターの業務とナノ材料の複合化に関する研究事例を紹介する。「高圧湿式ジェットミル」を用い、マイクロ空間内での高剪断力およびキャビテーション効果を利用した複合化手法を開発した。セルロースナノファイバー素材の界面を制御し、金属ナノ粒子を複合化させたナノ複合体を作製し、特性評価をおこなった。〔2〕微小液滴撹拌を可能とする電界撹拌技術の開発とその応用 秋田県産業技術センター 中村 竜太・大久保 義真・久住 孝幸 〔3〕抗菌・抗ウイルス効果から空気清浄機まで ~光触媒評価総合サポート 地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC) 溝の口支所 川崎技術支援部 落合 剛・濱田 健吾 地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC) 殿町支所 研究開発部 小林 慶一・石黒 斉(地独)神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)は、神奈川県内中小企業を中心とする産業界から信頼される公設試験研究機関として、県内産業と科学技術の振興を図ることにより、豊かで質の高い県民生活の実現と地域経済の発展に貢献しています。本稿では、KISTECの溝の口支所と殿町支所が連携し、中心となって展開している「光触媒評価総合サポート」の概要と、主な研究成果を紹介します。 〔4〕液面プラズマを活用した金ナノ粒子担持複合粉体の調製 名古屋市工業研究所 システム技術部 製品技術研究室 波多野 諒気中電極と液面との間でプラズマを発生させる液面プラズマ処理技術を用いて、水溶液中で金イオンを還元し、アルミナ等の粉体上に粒径10~20nm程度の金ナノ粒子を均一分散担持させる手法を見出した。得られた金ナノ粒子担持複合粉体は、金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴に由来する鮮やかな赤色の色調と抗菌性を示した。 〔5〕ゲル化と結晶化を利用した超撥水表面の形成 名古屋市工業研究所 材料技術部 中野 万敬・山中 基資接触角が150°以上である超撥水表面を植物由来原料から作製する手法を開発した。この表面は、低分子ゲル化剤が形成する一次元の自己組織体と脂肪酸が形成する微結晶とで構成された階層的な凹凸構造により超撥水性を発現している。本稿では、超撥水表面形成のメカニズムとこの表面が摩耗した後の接触角の自己復元性について述べる。 〔6〕名古屋市工業研究所 表面技術研究室 名古屋市工業研究所 松井 則男
著者
堤 親範 阿部 俊也 岡山 卓史 空閑 啓高 下川 雄三 植田 圭二郎 西原 一善 中野 徹
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.1063-1069, 2021 (Released:2021-12-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1

自己免疫性膵炎(AIP)は限局性病変を形成し,膵癌と鑑別困難な症例が存在する.本検討は当院で経験したAIP 34例を対象とし,その臨床学的因子,手術症例の周術期因子を解析した.AIPの5例(14.7%)で膵癌を疑い,手術を施行した.AIPにおいて,多変量解析でCA19-9高値(>37U/mL)(P=0.01),膵外病変なし(P=0.01),EUS-FNA未施行(P<0.01)が手術施行に関わる独立した因子であった.また,単変量解析で 血管浸潤所見(P=0.03)を認めるAIPで有意に手術が施行され,限局性膵腫大(P=0.06)を認めるAIPで手術が施行される傾向にあった.AIPと膵癌の特徴を同時に認める症例ではそれらの鑑別が困難になりやすく,AIPに対する手術を回避するためにはAIPに特徴的な所見を含め,EUS-FNA/FNBの重要性を再認識する必要があると考えられた.
著者
畑江 芳郎 中野 育子 飯塚 進 武田 武夫
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.429-433, 1998-12-31 (Released:2011-03-09)
参考文献数
17

全身性エリテマトーデス (SLE) の21歳の女性に併発した急性骨髄性白血病 (AML) の報告である.患者はSLEの治療としてコルチコステロイドおよびアザチオプリンなどの投与を受けていた.治療開始約11年してAMLを発症した.抗白血病剤による強力な寛解導入療法を行ったが, 完全寛解を得ることができなかった.剖検では骨髄はもとより肝, 脾, 腎, 大腸およびリンパ節などほとんどすべての臓器に白血病細胞の浸潤が著明であった.自己免疫性疾患にリンパ系増殖性疾患の合併はいわれているが, SLEの治療経過中にみられるAMLの併発は稀と思われる.本例においてはAML発症の原因はあるいは偶然の一致かもしれないし他の要因によるのかもしれないが, 免疫抑制剤であるアザチオプリンの投与による可能性も否定できない.SLEの治療にさいしてこのような薬剤選択に当たっては慎重であらねばならない.
著者
佐藤 俊秀 岡元 和文 久木田 一朗 菊田 浩一 濱口 正道 生田 義浩 中野 幸治
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.8, pp.347-350, 1997-08-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5

We present a case of pharyngeal foreign body in an infant. A 6-month-old girl whose oropharyngeal space was occupied by a cuttlefish hook, was sent to our intensive care unit. The double-banked, radial needles were stuck in the base of the tongue as well as the middle pharynx and were seen on a roentgenogram. Neither a laryngoscope nor even a small bronchofiberscope could be inserted into the oral space occupied by the foreign body. Prior to transoral removal of the foreign body, tracheostomy was performed. Intravenous anesthesia using ketamine and diazepam combined with the local anesthesia was chosen for the tracheostomy. A small dose of atropine was effective in reducing secretions and maintaining the patency of the upper airway. Induction of anesthesia was followed by isoflurane, nitrous oxide, and oxygen after tracheostomy, then surgery was performed successfully within 90 minutes. Tracheostomy is indicated for a patient in whom endotracheal intubation is difficult to perform. Upper airway management during tracheostomy is the main issue in such a case, especially in an infant with a large pharyngeal foreign body.
著者
石川 幹人 中野 剛
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第38回, no.人工知能及び認知科学, pp.275-276, 1989-03-15

MES上で計画問題向きの機能を開発した。この機能は、MESに備わっている推論制御機能、ルールシステム、スキーマシステムなどの諸機能によって実現されている。このようにMESの汎用シェル機能を組み合わせて利用する方法で、MES上にドメイン固有の機能を実現し、ドメインシェルを構築できる。 本稿では、ドメインシェルの考え方を示したのち、今回MES上で開発した1つの計画問題向き機能の概要と、そのMES上での実現方法を述べる。そして、最後にドメインシェルのインタフェースについて触れる。
著者
中野 由章
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.412-415, 2022-07-15

本会は第81回全国大会より,全国大会併催イベントとして「中高生情報学研究コンテスト」を実施している.中高生が情報学に関して探究的に学んだ内容を1枚のポスターにまとめ,それを発表するこのコンテストは,本会の重要なイベントとして定着しつつある.そこで,このようなコンテストを本会が実施することの意義について述べる.また,実際の審査の様子を紹介するとともに,どのような課題があるかも紹介する.
著者
中野 和典
出版者
長崎大学
雑誌
国語と教育
巻号頁・発行日
vol.34, pp.40-53, 2009-12-05
著者
隈元 泰輔 國徳 裕二 入江 知恵子 平岡 知江子 中野 伸彦 村上 幸太郎 藤田 ミキ 加藤 清彦 原武 義和
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.85-88, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
8

Femoral arterial and venous cannulation during cardiopulmonary bypass (CPB) can cause restriction of blood flow to the lower limb. To avoid complications, monitoring tissue oxygen saturation (StO2) of the lower limb and ensuring adequate blood flow by distal perfusion (DP) are essential. A 78-year-old man underwent mitral valve replacement via a mini-right thoracotomy. During CPB, the StO2 of the ipsilateral cannulated lower limb was decreased. Although the DP catheter was inserted into the ipsilateral femoral artery, the effect on the lower limb StO2 was transient. Because the StO2 of the ipsilateral lower limb improved by replacing the catheter, it was thought that the DP catheter had migrated into the deep femoral artery where collateral circulation was not developed. Among cases in which the StO2 does not improve, even with the use of DP, it is important to confirm whether the DP is sufficiently effective.
著者
中野 淳 稲福 繁 呉 孟達 中山 明峰 石神 寛通
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.Supplement104, pp.37-41, 2000-10-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
11

We report a patient with traumatic perilymphatic fistula caused by an earpick. Exploratory tympanotomy was performed via endoaural incision. The patient was found to have a dislocated stapes in the vestibule. The stapes was removed, and no perilymphatic leakage from the oval window was seen. Jugular pressure was also performed with no lymphatic leakage. We then injected physiological salt solution at 37°C into the oval window. Lastly, stapes surgery was perfomed and a piece of fascia was placed over the perforation in the tympanic membrane using fibrin glue. The patient's operation was performed 3 days after trauma and improvement of vertigo and hearing (sensory and air-bone gap) was obtained after surgery.
著者
金澤 将史 竹本 正明 中野 貴明 若山 功 田井 誠悟 杉村 真美子 大野 孝則 朝比奈 謙吾 井上 幸久 伊藤 敏孝
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.51-54, 2023-02-28 (Released:2023-02-28)
参考文献数
5

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波では,高齢者施設で多くのクラスターが発生した。高齢のCOVID-19患者に対してその使いやすさもあってモルヌピラビル(ラゲブリオ®)が投与された。今回われわれは,COVID-19罹患後にモルヌピラビルを投与され症状が改善して療養解除となった後に,呼吸困難を発症し入院した症例を2例経験した。同じ抗ウイルス薬に分類されるニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド®)使用例では,COVID-19から回復して2〜8日後の症状再燃または検査での陰転化後の再陽性で定義されるリバウンドの報告があり,モルヌピラビルでもリバウンドが認められた。リバウンドは療養解除後の時期に起こり得るが,その際の救急診療における感染対策や隔離解除などの対応に注意が必要である。今後の対応のため疫学調査ならびに病態解明の必要性が示唆された。