著者
朝井 政治 俵 祐一 佐々木 綾子 岡田 芳郎 夏井 一生 中野 豊 神津 玲
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.D0484, 2006 (Released:2006-04-29)

【はじめに】 間質性肺炎における治療はステロイド薬を中心とした薬物療法が主体で、理学療法の適応は少ないとされてきた。しかし近年、病態の安定した本疾患患者において、運動療法により運動能、QOLが改善するという報告がみられている。今回、間質性肺炎の増悪でステロイド薬投与開始となった症例の運動機能を6分間歩行距離テスト(6MD)にて評価し、理学療法の効果を検討したので報告する。【対象】 当院呼吸器センター内科にて入院治療を行った間質性肺炎患者7名(男性4例、女性3例、平均年齢69.0歳)を対象とした。全例とも間質性肺炎の増悪にて入院となった。全例でステロイド薬が投与され、うち5名で短期間大量投与による治療(パルス療法)が行われた。【方法】 入院中に実施した6MDによる歩行距離、酸素飽和度(SpO2)の変化、呼吸困難感の変化(Borg Scale)を指標とし、ステロイド薬投与前(1回目)とパルス療法後または投与開始から2週もしくは4週間後(2回目)で比較(薬物療法効果)するとともに、2回目の結果とステロイド薬減量中に並行して一定期間運動療法を実施した後を比較(理学療法効果)し、その効果の相違を検討した。理学療法は上下肢の筋力増強、歩行・自転車エルゴメータによる運動耐容能向上を目的とした運動療法を中心に実施した。運動の負荷量は、SpO2やHRをモニタリングしながら、Borg Scaleにて3-4を目安とした。運動時間は30-40分とし、1日1回、週6日の頻度で実施した。【結果】1)薬物療法効果:1例で入院直後にパルス療法が行なわれたため、6例で検討した。1回目と2回目の比較では、2回目の6MDは全例で増加を認め、平均91.7m(25-260m)増加した。SpO2は、平均で1回目7%の低下、2回目5.6%の低下、呼吸困難感は1回目0.5-6、2回目0-3であった。2)理学療法効果:理学療法の実施期間は平均50.0日(平均実施回数30回)で、実施期間中に原疾患の悪化あるいは感染等で再増悪した症例はなかった。3回目の歩行距離は、2回目の結果からさらに平均34.3mの増加を認めた。SpO2は平均7.2%低下したが、最低値は87-92%と著明な低酸素血症は認めなかった。呼吸困難感は0-4であった。【考察】 2回目の歩行距離の著しい増加は、薬物療法による呼吸機能の改善が運動能力の向上につながったと考えられた。3回目では、さらに平均で34.3mの増加を認め,理学療法を行うことにより、薬物療法による改善に加え、さらなる運動機能の向上を期待できると思われた。 今回の結果はあくまで理学療法と薬物療法との相乗効果であるが、ステロイド長期投与の副作用による運動機能の低下予防の点からも早期からの理学療法導入により、運動機能を維持・向上していくことが重要であると思われた。
著者
近藤 紀章 松本 邦彦 石原 凌河 笹尾 和宏 竹岡 寛文 中野 優
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.448-455, 2022-03-03 (Released:2022-06-08)
参考文献数
95

本論では、文献から「散歩」に関する研究の拡がりを明らかにするために、都市空間や都市デザインとの関係性の観点から95編の文献を整理した。散歩の定義や目的として、実社会の要請に応えるために「都市活動」が定着した時期が転換期といえる。また、研究の拡がりとしては、人を対象とした研究は蓄積されているものの、空間や文献を対象とした研究、時系列比較や国際比較の研究の蓄積が少ない。目的を持って歩くことが実際の都市空間に適用されることで、「いかに人を(より)歩かせるか」という計画の視点が組み込まれている。しかし、「人はなぜ無目的に歩くのか」という原論が求められた初期の方が、自由で大胆な発想が、散見された傾向がある。
著者
寺村 浩徳 松田 俊郎 酒井 佑樹 中野 克哉
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.1317-1322, 2021 (Released:2021-11-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

横浜市内の多数の路線バス運行データを用いて、高出力モーターシステムの性能評価や電費シミュレーションなど、安価なEVバスの性能設計を実現し、さらに2020年度にはEVの性能を確認するための実証実験を完了し、良好な結果が得られた。
著者
中野 良信 向井 竜也
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.123-129, 2001-12-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19

This study examined alexithymia using the Minnesota Multiphasic Personality Inventory-Alexithymia Scale (MMPI-AS) in patients with various oral disorders.The subjects consisted of 581 patients (134 males: mean age 42.7±19.5, 447 females: mean age 46.5±18.9), including 321 with physical disorders [temporomandibular disorders (TMD), recurrent aphtha (RA) and etc.], 19 with vague complaint-complicated physical disorders, 177 with a single vague complaint (oral paresthesias, glossodynias etc.) and 64 with vague multiple complaints.The results were as follows:(1) patients with vague oral complaints scored significantly higher than patients with physical disorders.(2) Patients with glossodynia scored significantly higher than patients with oral paresthsia, TMD, or RA.(3) Female patients scored significantly higher than male patients.(4) Elderly patients scored significantly higher than younger or middle-aged patients, while the difference between the latter two groups was not significant.It is considered that dentists should also understand alexithymia as patients with some oral disorders are alexithymic.
著者
中野 俊二
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.435-439, 2017-01-29 (Released:2017-10-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

2012 年より使用可能となった刺青治療用のピコ秒レーザー機は現在,3 社より販売されている.パルス幅にはそれぞれに特徴があるが,使用される波長が532, 755, 1064 nm であることから従来ナノ秒レーザーの対象疾患である良性色素性疾患に対しても使用可能と考えられる.本稿では波長532 nm,パルス幅750 psec を用いた日光黒子や後天性真皮メラノーシスに対するピコ秒レーザー効果について検討した.
著者
中野 義照
出版者
密教研究会
雑誌
密教文化 (ISSN:02869837)
巻号頁・発行日
vol.1956, no.32, pp.4-19, 1956-02-20 (Released:2010-03-12)
著者
渡邉 研斗 松林 優一郎 深山 覚 中野 倫靖 後藤 真孝 乾 健太郎
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2017-SLP-116, no.16, pp.1-12, 2017-05-08

本研究では楽曲のメロディを考慮した歌詞の自動生成手法を提案する.人間の作詞現場においては,予め作曲されたメロディに対して歌いやすい歌詞を創作する 「曲先」 と呼ばれる方法が広く行われている.しかしながら,自動歌詞生成の既存手法の多くは,韻やシラブルに基づく生成手法を提案しているものの,メロディと歌詞の関係を考慮しておらず,メロディの区切りと単語の区切りが一致しないような不自然な歌詞を生成してしまう問題がある.本研究では,メロディの音符と歌詞の読みが対応づいたデータを用いて,メロディの音の長さ ・ 休符の位置 ・ 繰り返し構造などの特徴と歌詞の相関を詳しく分析し,その結果をもとにした自動歌詞生成モデルを構築する.結果として作成されたモデルにより,休符や長い音符付近で行や段落 (連) が区切れている自然な歌詞が自動生成された.
著者
中野 博昭
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.374-380, 2019-08-01 (Released:2020-02-01)
参考文献数
41
著者
中野 沙織 岩佐 幸恵 岸田 佐智
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.2_283-2_296, 2022-07-20 (Released:2022-07-20)
参考文献数
26

目的:ベテラン看護師が獲得した働き続ける上での「心の強さ」の構造を明らかにする。方法:勤続年数20年以上の看護師9名に半構造化面接を行い,データを木下のM-GTAで分析した。結果:「心の強さ」には,周りに追いつくための努力ができる力,失敗を繰り返さないように努力ができる力,ポジティブな思考ができる力,自分の気持ちを調整する力,自分に合った方法で心身の健康管理ができる力,良い人間関係を構築する力,看護師としての責任を果たそうとする力,より良い看護を目指し自分ができる看護を探求する力,自分に合う働き方を選択する力があった。彼らは就業前より周りに追いつくための努力ができる力を獲得しており,その力は他の全ての「心の強さ」の獲得に影響し,職業を継続する中で維持・強化されていた。結論:看護師の職業継続には,周りに追いつくための努力ができる力を維持・強化する支援的な職場環境が重要であると示唆された。
著者
野々村 豪二 西幸 大斗 中野 顕洋 岡部 繭子
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.45-48, 2017 (Released:2017-11-27)
参考文献数
12
被引用文献数
1

ベニバナインゲンの受粉様式について,虫による受粉を遮断した花房,風および昆虫による受粉を遮断した花房,無処理の花房からそれぞれ得られた収量を比較検討すると共に,受粉に関わる訪花昆虫相の調査を行った.その結果,ベニバナインゲンは主に訪花昆虫によって受粉を行なっている可能性が高いことが明らかとなった.訪花昆虫相の調査では,トンネルの入り口からの距離によって目撃個体数が異なった.また,訪花が最も多く確認されたのはセイヨウミツバチだった.
著者
中野 卓 木内 望
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.324-329, 2020-12-04 (Released:2022-06-08)
参考文献数
15

我が国では昨今、集中豪雨等の影響で河川水害が頻発しており、水害に強いまちづくりのあり方が模索されている。こうした検討の参考情報として、本稿では、本邦の水害事例が網羅的に整理された唯一の統計資料である水害統計調査のうち、26年間分の基本表データを用いて、過去の河川水害による家屋・市街地等被害の傾向を分析し、その特徴を明らかにした。分析の結果、大都市では内水被害が中心で、地方都市では外水被害が中心であること、さらに建物被害の約8割が床上50cm未満の浸水被害であり、建築的工夫で水害に対応可能な被害程度であることが明らかになった。
著者
中野 理恵 武藤 八恵子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.31-36, 1995-08-20 (Released:2017-11-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1

This study is based on a questionnaire for pupils who had completed elementary school education to examine the relation between their participation in housework and their ability in planning the menu learned in homemaking classes. The relations were found between their domestic chores and their nutrition assessment, color assessment and combination of chores assessment. And we found that the domestic chores engaged voluntarily by the pupils were related to their menu planning ability.
著者
中野 有紀子 大山 真央 二瓶 芙巳雄 東中 竜一郎 石井 亮
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.153-164, 2021-05-25 (Released:2021-05-25)
参考文献数
40

In this study, first, we analyze the relationship between personality traits and the expressivity of hand gestures in dyad interaction. Second, based on the analysis results, we propose a method for agents’ gesture generation that can express their personality traits. Our user study reveals that expected personality traits can be perceived from the agent’s animation generated by our proposed method. Especially for extroversion and emotional instability, agent gestures generated based on our method successfully gave the expected impression to the human subjects.
著者
榎本 知郎 中野 まゆみ 花本 秀子 松林 清明 楠 比呂志
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第20回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.119, 2004 (Released:2005-06-30)

ゴリラの繁殖が難しいことはよく知られているが、その原因の詳細は不明である。そこでわれわれは、ゴリラの精子形成の特性を組織学的に分析してきた。今回は、その続報である。飼育下で死亡したゴリラ10頭から精巣を採取し、通常の組織標本を作製した。これを光学顕微鏡で観察した。前回、10頭のうち4頭でのみ精子形成が認められること、精上皮が薄いこと、退縮した精細管が存在すること、異常巨大細胞が存在すること、の4点で精子形成が不活発であることを報告した。今回は、以下の3点について報告したい。 (1) ゴリラの精上皮サイクルは、6ステージにわけることができた。 (2) 精細胞表面に形成されるアクロゾーム(先体)が非常に小さかった。 (3) チンパンジーやオランウータンに比べて、精上皮からの精子放出の直前のステージ(ステージII)における成熟精子の密度が小さかった。精上皮サイクルは、オナガザル上科のサルでは、12~14ステージに分けられる。これに対し、ヒト、ゴリラ、チンパンジーでは、6ステージにしか分けられない。このステージ分けは、精上皮の細胞構築をていねいに分析することによって得られるもので、オナガザル科のサルの場合、減数分裂直後の精細胞が、アクロゾームシステムの形によって数ステージに分けられるため、ステージ分けも詳細になる。これに対し、ゴリラの場合、アクロゾームがきわめて貧弱で小さいうえに、各細胞におけるその変容が完全に同期しておらず、ステージ分けを難しいものにしている。アクロゾームは、受精の際、卵を取り巻く放線冠を溶かす酵素など、数種の成分を含んでいる。これの少ないことが、ゴリラの繁殖を難しいものにするひとつの要因なのかもしれない。
著者
中野 幸人 富田 直 瀬木 真琴 西村 拓也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.88, no.911, pp.21-00395, 2022 (Released:2022-07-25)
参考文献数
24

Electric vehicles (EVs) generate different cabin noise from internal combustion engine vehicles (ICE) during low-speed driving. In order to identify the cause of the interior noise of EVs at low-speed (30km/h) and to reduce the noise, a Helmholtz resonator made of pulp molds was fabricated and its noise reduction effect was evaluated. First, a Helmholtz resonator to reduce the cavity resonance of the tire is investigated by numerical calculation. Through numerical calculations, it was demonstrated that a stable noise reduction effect could be achieved by installing multiple Helmholtz resonators. Next, we fabricated a Helmholtz resonator using pulp molds as the material and installed multiple resonators in the tire. In the experiment, the resonators were able to reduce the tire cavity resonance by 13.8 dB to 9.7 dB. When driving tests were conducted with these tires installed, the noise at the ear position of the front seats in the cabin was reduced by 11.3 dB. From these results, we were able to identify that tire cavity resonance is the cause of the cabin noise when the EV is running at low-speeds. In addition, a driving test in which the same number of Helmholtz resonators as installed in the tires were installed on the cabin ceiling resulted in an 8.1 dB reduction in cabin noise. This demonstrated that it is possible to reduce the noise caused by tire cavity resonance even with parts inside the vehicle.
著者
熊谷 博之 中野 優
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.61, no.Supplement, pp.379-390, 2009-07-31 (Released:2013-11-21)
参考文献数
85
被引用文献数
1

We review recent advances in quantification of the sources of volcano-seismic signals. Since the 1990s, there have been remarkable advances in quantitative understanding of the sources of volcano-seismic signals. These were made by integrated contributions from observation, analysis, and modeling studies in volcano seismology. We focus on the following topics in this review paper: Broadband seismic observations on active volcanoes, waveform inversions of volcano-seismic signals, and source models based on resonances of a fluid-filled crack, bubble dynamics, and repeated fracture and healing of magma. Broadband seismic observations revealed the general existence of very-long-period seismic signals with oscillation periods longer than a few seconds beneath active volcanoes. Development of waveform inversion methods enabled us to estimate source mechanisms of volcano-seismic signals, which indicate that crack geometry is the most common in volcano-seismic sources. Source models have been successfully used to interpret dynamic interactions between volcanic fluids and the surrounding solid rock. Quantitative studies of volcano seismology are now reaching a mature stage, and links with geological and geochemical studies will be important future directions to achieve a better understanding of magmatic and hydrothermal processes beneath active volcanoes.