著者
荒井 弘和 樋口 匡貴 伊藤 拓 中村 菜々子
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.3_261-3_266, 2021 (Released:2021-07-24)
参考文献数
3

This study examines the perceptions of citizens living in Tokyo, which is hosting the 2020 Olympic and Paralympic Games, in the immediate aftermath of the decision to postpone the event. The study is a cross-sectional online survey involving 2,011 respondents (975 males, 1,026 females, 1 other, and 9 non-respondents; mean age ± SD = 44.19 ± 14.08 years; 1 missing). The respondents were asked to choose from the following six options with regard to the postponement of the Tokyo 2020 Games: (1) the Games should be held as planned and on the same schedule (implementation group), (2) the Games should be held as planned but with no spectators and with measures to prevent infection (no-spectator implementation group), (3) the Games should be held as planned and postponed (postponement group), (4) the Games should be postponed, with no spectators and with measures to prevent infection (no-spectator postponement group), (5) should be cancelled (cancel group), and (6) other. The study examined residents' perceptions of the Tokyo 2020 Games following the decision to postpone the event, and made the following conclusions: (1) more than 40% of respondents believed that the Games should be cancelled, (2) perceptions may differ slightly by gender and age, and (3) many respondents believed that the Games should be held without spectators, with other arrangements. The findings can be used as a basis for building
著者
樋口 匡貴 荒井 弘和 伊藤 拓 中村 菜々子 甲斐 裕子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
2021

<p><b>目的</b> 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2020年前半に世界規模に広がった。日本においても同年4月7日に緊急事態宣言が発出され,国民生活に大きな影響を与えた。本研究では,COVID-19の感染予防および感染拡大予防行動として個人が行う外出・対人接触の回避行動および手洗い行動を取り上げ,東京都在住者を対象に緊急事態宣言中のこれらの行動の関連要因について検討した。</p><p><b>方法</b> 2020年4月26~29日に,東京都在住の20~69歳の男女を対象としたインターネット調査を行った。検討の枠組みとして,リスク低減行動を説明する防護動機理論と,他者による行動が自身の行動実施へ与える影響を説明する規範焦点理論を組み合わせて用いた。最近1週間での外出・対人接触の回避行動および手洗い行動の頻度,COVID-19へのリスク認知に加え,各行動の評価として,どの程度効果があるのか(反応効果性認知),どの程度実行できるのか(実行可能性認知),必要なコスト(反応コスト),どの程度すべきかの認識(命令的規範),他者がどの程度実行しているかの認識(記述的規範)について測定した。各行動を目的変数とする階層的回帰分析を行った。</p><p><b>結果</b> 分析対象は1,034人(男性520人,女性514人,平均年齢44.82歳,標準偏差14.00歳)であった。外出・対人接触回避行動については,命令的規範が高いほど行動をとる傾向にある(標準化偏回帰係数(β)=0.343, <i>P</i><0.001)一方で,記述的規範が高いほど行動をとらない傾向にある(β=−0.074, <i>P</i>=0.010)ことが示された。さらにリスク認知・反応効果性認知・実行可能性認知の交互作用が有意であり(β=0.129, <i>P</i><0.001),反応効果性認知および実行可能性認知のいずれかが低い場合にのみリスク認知と外出・対人接触回避行動に正の関連が見られた。また手洗い行動については,命令的規範(β=0.256, <i>P</i><0.001)および実行可能性認知(β=0.132, <i>P</i><0.001)が高いほど行動をとる傾向にあり,一方で反応コスト(β=−0.193, <i>P</i><0.001)が高いほど行動をとらない傾向にあることが示された。</p><p><b>結論</b> 防護動機理論および規範焦点理論の変数がCOVID-19の予防行動と関連していた。予防行動の関連要因を検討する上で,これらの理論の適用が有用であることが示唆された。</p>
著者
伊藤 拓 竹中 晃二 上里 一郎
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.162-171, 2005-06
被引用文献数
1

多くの抑うつの心理的要因が提唱される中, 抑うつの心理的要因の共通点や抑うつを引き起こす共通要素についての検討はほとんどなされていない。本研究では, この点に着目し, 従来の代表的な抑うつの心理的要因である完全主義, 執着性格, 非機能的態度とネガティブな反すうの関連を明らかにするとともに, 完全主義, 執着性格, 非機能的態度からうつ状態が引き起こされる上で, ネガティブな反すうが重要な共通要素として機能しているかを検討した。大学生(N=191)を対象とした8ヶ月間の予測的研究を行った。その結果, (1)完全主義, 執着性格, 非機能的態度という異なる抑うつの心理的要因は, 共通してネガティブな反すう傾向と正の相関があること, (2)これらの心理的要因が高くても, うつ状態が直接的に引き起こされるわけではなく, ネガティブな反すう傾向が高い場合にうつ状態が引き起こされることなどが示された。以上のことから, 完全主義, 執着性格, 非機能的態度という異なる抑うつの心理的要因からうつ状態が引き起こされるメカニズムには, ネガティブな反すう傾向が共通要素として介在していることが示唆された。
著者
田中 美月 伊藤 拓 葛西 真記子 Mizuki TANAKA Taku ITO Makiko KASAI
出版者
鳴門教育大学地域連携センター
雑誌
鳴門教育大学学校教育研究紀要 = Bulletin of Center for Collaboration in Community Naruto University of Education (ISSN:18806864)
巻号頁・発行日
no.33, pp.121-129, 2019-02

同性愛者であるレズビアン・ゲイ(以下LGとする)に対する理解は深まっているが,差別・偏見等否定的態度は未だ存在している。LGへの否定的態度は当事者の心理的健康を低減させうるといわれており,偏見を強める要因を検討する必要があると考える。中学生頃に見られるチャムグループという関係性では,同質性を重視して維持され,自分と異質な存在を拒否する心性が生じる。本研究では,異質性拒否の心性である被異質視不安及び異質拒否傾向と,LGに対する態度の関連を検討することと、特に異質であるものに否定的な中学生の方が大学生より否定的であるかどうかを検討することを目的とした。その結果,被異質視不安・異質拒否傾向が高い場合,LGへの態度は否定的であった。異質拒否傾向がネガティブイメージに影響したことは,同性愛に対する知識の無さが外集団に対する偏見を増したためと考えられる。
著者
小方 孝 福田 和維 小野 淳平 伊藤 拓哉
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.3P5OS16b02, 2020

<p>「綯い交ぜ」は歌舞伎の物語を作り出すための単なる一手法ではなく,最重要な構成原理である.綯い交ぜに関しては様々な説明があるが,ここでは凡そ,既存のある物語―神話・伝説・民話・語り物・歴史等―の「世界」―人物・事件・時代背景等―をベースに,その他の物語の世界との様々な仕方での合成や関連付けを通じて,一つの新しい物語作品を作り出すという,物語創出原理のことを綯い交ぜと考える.それはその中に多様な手法や技法を含む総体的な用語である.なお歌舞伎の用語法では,ある世界に基づく物語の綯い交ぜによる再組織化の工夫のことを「趣向」と呼ぶ.また綯い交ぜという言葉自体は特に鶴屋南北の特異な作劇法のことを狭くは意味するが,ここではより広く一般的に捉えている.本研究では,綯い交ぜとは何かについて,従来の歌舞伎研究の調査・分析と筆者らの物語生成システム研究との綯い交ぜを通じて考察し,様々なアプローチの可能性を体系的に整理すると共に,その一例として,筆者らが実装した,関啓吾らの『日本民話大系』に記述された民話の型の概念表現化を用いて,複数のストーリーの合成による綯い交ぜのコンピュータシミュレーションを示す.</p>
著者
稲月 辰矢 伊藤 拓緯
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】頚髄損傷は交感神経系の遮断により相対的に副交感神経が優位となり徐脈をきたす場合がある。また,迷走神経過反射が誘発されることで徐脈がさらに助長されて心停止を生じる可能性もあるとされる。今回頚髄損傷に対して後方固定術を施行し,亜急性期の理学療法実施中に洞停止を来した症例を経験した。その詳細と今後の当科での予防的対応策について検討したので報告する。【方法】性別:男性 年齢:80歳代 診断名:第6頸椎脱臼骨折,第6頚髄損傷,神経原性ショック 現病歴:2014年9月,本人が自動車運転中に山道を車ごと7m下に転落。1時間後通行人が発見し,救急搬送。来院時意識レベルGCS E1V1M1,収縮期血圧88mmHg,脈拍67,肛門反射は認めず,C7以下の完全運動麻痺,知覚障害あり,Frankel A。【結果】2病日目意識レベルGCS E4V-M6まで改善するも,低血圧と洞性徐脈が出現したためドパミンを開始。4病日目より理学療法開始し,ドパミンが中止となったが,脈拍40台の洞性徐脈は残存。10病日目C6-7後方固定術を施行し,11病日目に理学療法を再開,21病日目より車椅子乗車してリハビリ室での座位,起立台練習を開始した。起立台練習では40°起立で収縮期血100mmHgから70mmHgまで低下あり,対応策として下腿に対する弾性ストッキングを利用した。28病日目も起立台練習実施したが,30°起立で収縮期血圧100mmHgから70mmHgまで低下したため水平に戻した。その直後に声かけに対する反応が乏しくなり,検脈・血圧測定不可,呼吸停止,洞停止し,院内の急変対応チームに応援要請。担当理学療法士が胸骨圧迫を開始し,1分後救急医到着した際に心拍再開し,ICU入室。翌日より理学療法再開したが37病日目病棟看護師による尿道カテーテル交換中に再度洞停止あり,胸骨圧迫にて20秒程度で心拍再開した。その後,ベッドサイドでの理学療法介入となり,59病日目回復期病院へ転院となった。【結論】先行報告では頚髄損傷患者において徐脈から洞停止に至るケースは超急性期を脱しても生じる可能性があるとし,徐脈発生率は高位頚髄損傷で45%,下位頚髄損傷で17%,頚髄損傷全体の心停止発生率は2%としているが,重度頚髄損傷に限定すると心停止発生率は16%だった。このことから,頚髄損傷が重度で,かつ高位損傷なほど徐脈,心停止発生率が高いと考えられる。本症例の場合,亜急性期で下位頚髄損傷であったが重度麻痺を呈し,徐脈が遷延していた。今回の洞停止は理学療法場面での起立台練習による起立性低血圧や,尿道カテーテル交換に伴う迷走神経過反射が,副交感神経系優位とし徐脈から洞停止を惹起した可能性が考えられる。今回の症例を経験し,当科では重度頚髄損傷で徐脈(脈拍60以下)を呈する場合については理学療法実施中の心電図を含むモニタリングを徹底し,また起立性低血圧の予防として下腿のみでなく,腹部までを加圧するパンティストッキングの導入を検討している。
著者
伊藤 拓哉 五十嵐 広太 小方 孝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.3B1OS22a04, 2018 (Released:2018-07-30)

筆者らはコンピュータによる俳句生成を研究している.俳句は基本的に十七音で,断片的な単語から構成されており,コンピュータによる俳句生成は興味深い研究テーマである.これまでいくつかの俳句生成の取り組みを行ってきたが,本論文では,以下の二種類の俳句生成のアプローチを含む,これまでの筆者らの俳句生成の研究に基づき,主に記号処理の手法を用いたトップダウンの生成と,深層学習のようなニューラル処理によるボトムアップの生成を統合したアプローチの可能性を示す.
著者
伊藤 拓
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.438-452, 2004
被引用文献数
1
著者
伊藤 拓
出版者
日本ブリーフサイコセラピー学会
雑誌
ブリーフサイコセラピー研究 (ISSN:18805132)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.15-26, 2011-10-31

ミラクル・クエスチョンはソリューション・フォーカスト・アプローチで用いられる有益な技法である.しかし,この技法に好反応を示さないクライエントがいる.本研究ではミラクル・クエスチョンの用い方に関する研究を展望し,ミラクル・クエスチョンを効果的に用いるための要点について考察した.ミラクル・クエスチョンを効果的に用いるためには,SFAの哲学の十分な理解と高度な面接スキルに基づいて,面接の過程において様々な取り組みを総合的に行わなければならないことが,本展望で示唆された.行うべきことには,特に,ミラクル・クエスチョンを尋ねる前に,それがクライエントに受け入れられやすくなるように慎重に準備することや,ミラクル・クエスチョンに対するクライエントの全ての応答をコンプリメントすることが含まれる.
著者
松村 千鶴 雨宮 加奈 雨宮 さよ子 雨宮 昌子 雨宮 良樹 板垣 智之 市野沢 功 伊藤 拓馬 植原 彰 内野 陽一 大川 清人 大谷 雅人 角谷 拓 掃部 康宏 神戸 裕哉 北本 尚子 國武 陽子 久保川 恵里 小林 直樹 小林 美珠 斎藤 博 佐藤 友香 佐野 耕太 佐野 正昭 柴山 裕子 鈴木 としえ 辻沢 央 中 裕介 西口 有紀 服巻 洋介 吉屋 利雄 古屋 ナミ子 本城 正憲 牧野 崇司 松田 喬 松本 雅道 三村 直子 山田 修 山田 知佳 山田 三貴 山田 祥弘 山田 玲子 柚木 秀雄 若月 和道 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.175-180, 2003-12-30
被引用文献数
2

Flower visitations by both native and exotic bumblebee species were investigated at 21 monitoring sites in various regions of Japan in the spring and summer of 2002. The investigation was part of a long-term program that has been in progress since 1997 to monitor the invasion of an alien bumblebee, Bombus terrestris L. (Hymenoptera: Apidae). Flower visitation by B. terrestris was ascertained at two monitoring sites, one in Shizuoka and one in Hokkaido, where a large number of colonies of this species have been commercially introduced for agricultural pollination.
著者
伊藤 拓水
出版者
東京医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究で研究代表者は、催奇性を有する抗がん剤サリドマイドがいかなるメカニズムで標的タンパク質セレブロンの機能を阻害するのかを検証した。セレブロンはユビキチンリガーゼとして機能する。研究結果として、サリドマイドはセレブロンの酵素活性を下げるというよりも、認識する基質を変化させることが示唆された。薬剤結合後はサリドマイドがもはや元の基質を認識できなくなることが、結果として機能阻害として検出されていたと考えられる。