著者
矢澤 浩治 川村 正隆 伊藤 拓也 松山 聡子 松井 太 松本 富美 島田 憲次
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.285-289, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
8

【目的】われわれの施設ではこれまでに男子小子宮/男性膣に対して様々な方法で手術を行ってきた.最近では腹腔鏡下摘除術を行うようになってきており,その症例につき臨床的検討を加えた. 【対象・方法】1992年より2014年10月までに大阪府立母子保健総合医療センターで男子小子宮/男性膣に対して腹腔鏡下摘除術を行った5例を対象とした.手術時間,出血量,術後の合併症について検討を行った. 【結果】手術時間は,159±19.4分,出血量は,6.6±3.1mlであった.術後,Clavien-Dindo分類でGradeⅠの合併症も認めなかった. 【結論】男子小子宮/男性膣に対する腹腔鏡下摘除術は,開腹手術よりも良好な視野で手術が可能であり非常に有用な手術方法と思われる.
著者
樋口 匡貴 荒井 弘和 伊藤 拓 中村 菜々子 甲斐 裕子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.20-112, (Released:2021-06-11)
参考文献数
21

目的 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2020年前半に世界規模に広がった。日本においても同年4月7日に緊急事態宣言が発出され,国民生活に大きな影響を与えた。本研究では,COVID-19の感染予防および感染拡大予防行動として個人が行う外出・対人接触の回避行動および手洗い行動を取り上げ,東京都在住者を対象に緊急事態宣言中のこれらの行動の関連要因について検討した。方法 2020年4月26~29日に,東京都在住の20~69歳の男女を対象としたインターネット調査を行った。検討の枠組みとして,リスク低減行動を説明する防護動機理論と,他者による行動が自身の行動実施へ与える影響を説明する規範焦点理論を組み合わせて用いた。最近1週間での外出・対人接触の回避行動および手洗い行動の頻度,COVID-19へのリスク認知に加え,各行動の評価として,どの程度効果があるのか(反応効果性認知),どの程度実行できるのか(実行可能性認知),必要なコスト(反応コスト),どの程度すべきかの認識(命令的規範),他者がどの程度実行しているかの認識(記述的規範)について測定した。各行動を目的変数とする階層的回帰分析を行った。結果 分析対象は1,034人(男性520人,女性514人,平均年齢44.82歳,標準偏差14.00歳)であった。外出・対人接触回避行動については,命令的規範が高いほど行動をとる傾向にある(標準化偏回帰係数(β)=0.343, P<0.001)一方で,記述的規範が高いほど行動をとらない傾向にある(β=−0.074, P=0.010)ことが示された。さらにリスク認知・反応効果性認知・実行可能性認知の交互作用が有意であり(β=0.129, P<0.001),反応効果性認知および実行可能性認知のいずれかが低い場合にのみリスク認知と外出・対人接触回避行動に正の関連が見られた。また手洗い行動については,命令的規範(β=0.256, P<0.001)および実行可能性認知(β=0.132, P<0.001)が高いほど行動をとる傾向にあり,一方で反応コスト(β=−0.193, P<0.001)が高いほど行動をとらない傾向にあることが示された。結論 防護動機理論および規範焦点理論の変数がCOVID-19の予防行動と関連していた。予防行動の関連要因を検討する上で,これらの理論の適用が有用であることが示唆された。
著者
織田 信男 山口 浩 伊藤 拓 山本 眞利子
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成29年度は、スーパーヴァイジー(Svee)2名に対して平成28年10月より開始した第2期1年目のスーパーヴィジョン(SV)を2年目の平成29年4月から11月まで継続して実施した。その後、第3期のSveeを募集したが応募者は1人であり、12月から3月までは1人のSveeに対してマッチングを考慮の上でスーパーヴァイザー(Svor)を選定し、SVを実施した。研究の手続きは、平成27年度を踏襲し、SVを対面・電子メール・スカイプの3つのコミュニケーションメディア(CM)を用いて順番に実施した。3人の異なるオリエンテーションを持つSvorと同一のSveeへのアンケートデータをもとに、メールSVによる事例困難度の得点について3(Svor A・Svor B・Svor C)×2(事前・事後)の分散分析を行った。結果は時間の主効果のみが認められた(F(1,10)=5.65, p<.05)。メールSVは対面SVやSkype SVに比べてSveeによるSVの評価が低くなる傾向があるが、Svorによる評価を上げるための工夫がアンケート結果から確認された。具体的には、Sveeのニーズに応えるためにSveeにフィードバックを求めるといったメールのやりとり回数の増加、複数の視点をまとめて返す形式からSveeのケース報告資料にSvorのコメントを書き込む形式への変更、平均8つのケース(全てのケース)に短いコメントを返す形式から一つのケースに絞って返事をまとめて返す形式への変更等が認められた。これらの研究知見を第28回日本ブリーフサイコセラピー学会京都大会で発表する予定(投稿済み)。
著者
伊藤 拓哉 五十嵐 広太 小方 孝
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

筆者らはコンピュータによる俳句生成を研究している.俳句は基本的に十七音で,断片的な単語から構成されており,コンピュータによる俳句生成は興味深い研究テーマである.これまでいくつかの俳句生成の取り組みを行ってきたが,本論文では,以下の二種類の俳句生成のアプローチを含む,これまでの筆者らの俳句生成の研究に基づき,主に記号処理の手法を用いたトップダウンの生成と,深層学習のようなニューラル処理によるボトムアップの生成を統合したアプローチの可能性を示す.
著者
伊藤 拓馬
出版者
沖縄地理学会
雑誌
沖縄地理 (ISSN:09166084)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.35-43, 2023-07-31 (Released:2023-08-04)

2021年11月上旬~中旬にかけて沖縄島から採取された福徳岡ノ場起源の漂着軽石の粒度組成と海岸地形の閉鎖度との関係を検討した.試料採取地点は,沖縄島の外洋に面した海岸から11地点,閉鎖的な海岸から6地点が選定された.前者の漂着軽石は,主に大礫サイズ以上からなり,淘汰良好であった.粒度分布は,直径8 mm(-3.0 φ)に最頻値をもつ単峰性であった.一方,後者の漂着軽石は,中礫・細礫サイズ以下の割合が増加し,前者よりも淘汰不良であった.粒度分布は,直径2 mm(-1.0 φ)と8 mm(-3.0 φ)に最頻値をもつ双峰性であった.外洋に面した海岸の漂着軽石は,強い波浪営力により沖合への再運搬と再堆積を繰り返す過程で,細粒分が選択的に沈降除去されたと考えられた.本研究により漂着軽石の粒度組成は,波浪営力の強弱に影響を与える海岸地形と関係があることが示された.
著者
迯目 英正 八木田 浩史 角田 晋也 伊藤 拓哉 鈴木 誠一 小島 紀徳
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-39, 2021 (Released:2021-04-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

スターリングエンジンはカルノー効率に近い発電効率を発揮できる「夢のエンジン」と言われてきたが、200年間、実用化・普及に遅れていた。2015年、Jürgen Kleinwächter(ユルゲン・クラインヴェヒター)教授は長年の研究を経て低温スターリングエンジンSunpulse500(高温側熱源温度200℃・低温側熱源温度25℃で、出力500W、発電効率12%)を発表した。 筆者らはSunpulse500を参考に、低摩擦係数素材や高性能断熱材などの最先端技術を採用し、新たな低温スターリングエンジンを開発した(実験機の実施設計レベル)。著者らの試算では、高温側熱源温度95℃・低温側熱源温度5℃で、出力308W、発電効率11.4%を達成できる。 低温スターリングエンジンは、エクセルギーが小さい低品位の熱源を利用でき、太陽熱湯沸装置を用いることでエネルギーロスや装置・運用・熱源コストを下げ、発電効率に優れるので発電コストを下げ、他の発電装置・発電方式に対し価格競争力をもつ。
著者
荒井 弘和 樋口 匡貴 伊藤 拓 中村 菜々子
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_251-3_255, 2022-07-01 (Released:2022-07-23)
参考文献数
6

This study examined perceptions of the Tokyo 2020 Games among ordinary citizens living in Tokyo, the host city of the Tokyo 2020 Games, in the immediate aftermath of the Tokyo 2020 Games. This study was a cross-sectional survey study conducted via the Internet. Participants were asked to choose from six options that best corresponded to their views on the postponement of the Tokyo 2020 Games. The results were as follows: “It should have been carried out as planned and on the same schedule” (implementation group), “It should have been carried out as planned without spectators or other measures to prevent infection” (no-spectators implementation group), “It should have been carried out as planned and postponed” (postponement group), “It should have been carried out without spectators or other measures to prevent infection and postponed” (no-spectators postponement group), “It should have been canceled” (canceled group), and “Others.” In conclusion, compared to April-June 2020, (1) the percentage of postponement group decreased by approximately one-third; (2) the percentage of no-spectators postponement group increased approximately tenfold. The significance of this study is that the data was collected immediately after the Tokyo 2020 Games, which was an unprecedented event.
著者
伊藤 拓也
雑誌
横浜商大論集 = YOKOHAMA SHODAI RONSHU (ISSN:2434155X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.81-89, 2020-03-14
著者
樋口 匡貴 荒井 弘和 伊藤 拓 中村 菜々子
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
Journal of Health Psychology Research (ISSN:21898790)
巻号頁・発行日
pp.210917144, (Released:2022-07-05)
参考文献数
28

This study examined changes in COVID-19 preventive behaviors, including social distancing and hand washing behaviors and related cognitive variables derived from the protection motivation theory and the focus theory of normative conduct. We examined the relationships between preventive behaviors and cognitive variables. We conducted eight panel surveys among Tokyo residents via the internet, each targeting approximately 1,000 people between April-May 2020 and January 2021. The panel survey data indicated that social distancing behaviors decreased immediately after the first state of emergency has been lifted compared to during the emergency period. Moreover, there was no increase in social distancing behaviors during the second emergency period. Hierarchical multiple regression analyses showed that injunctive norms were associated with the social distancing behaviors at all assessment time points. Furthermore, the effect of risk perception was not large. We have discussed the relationship between emergency declarations and behavioral changes.
著者
伊藤 拓 及川 恵 西河 正行
出版者
明治学院大学心理学会
雑誌
明治学院大学心理学紀要 = Meiji Gakuin University bulletin of psychology (ISSN:18802494)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.123-136, 2013-03-30

本研究では,英国,米国の学生相談機関が行っている集団形式のプログラムの概要を展望し,日本の学生相談機関で精神的不適応の予防を目指した集団形式のプログラムを導入する際の要点を検討した。英国と米国の5つの大学の学生相談機関で行われている集団形式のプログラムの概要をインターネットを通じて収集した。それらの概要を展望したところ,英国と米国の学生相談機関では,不安の解消,コーピングスキルの獲得,抑うつに対処するためのスキルの学習,自信の獲得など,様々な課題を取り扱う集団形式のプログラムを実施しており,プログラムの実施期間も様々であった。展望に基づいて,日本の学生相談機関に精神的不適応の予防を目指した集団形式のプログラムを導入する際の要点として,(1)内容は認知行動療法に基づくこと,(2)ターゲットは抑うつまたは不安の予防であること,(3)集団形式のプログラムや学生相談機関に対する学生の偏見を軽減するなどして,プログラムへの学生の参加を促進する方法を組み込むことが推奨された。
著者
半田 宏 伊藤 拓水 安藤 秀樹
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.134-140, 2014-07-10 (Released:2014-11-10)
参考文献数
9

Half a century ago, the sedative thalidomide caused one of the worst notorious drug disasters in history, with more than 10,000 babies born with deformities. The drug is now used in the treatment of multiple myeloma. Recently new thalidomide derivatives called immunomodulatory drugs (IMiDs) have been developed. Among them, lenalidomide and pomalidomide have excellent anti-cancer activity. However, the use of them is limited due to its potent teratogenic activity. The mechanism by which IMiDs including thalidomide induce birth defects and therapeutic effects was a long-standing question. Using an affinity beads technology we originally developed, we have identified cereblon(CRBN)as a primary target of IMiDs. CRBN forms an E3 ubiquitin ligase complex. IMiDs alter the activity and induce various biological effects such as teratogenicity, anti-cancer and immunomodulation.Understanding IMiDs and CRBN may lead to uncover new therapeutic pathways for overcoming refractory cancer diseases.
著者
樋口 匡貴 荒井 弘和 伊藤 拓 中村 菜々子
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
Journal of Health Psychology Research (ISSN:21898790)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.71-81, 2022-08-17 (Released:2022-08-19)
参考文献数
28

This study examined changes in COVID-19 preventive behaviors, including social distancing and hand washing behaviors and related cognitive variables derived from the protection motivation theory and the focus theory of normative conduct. We examined the relationships between preventive behaviors and cognitive variables. We conducted eight panel surveys among Tokyo residents via the internet, each targeting approximately 1,000 people between April-May 2020 and January 2021. The panel survey data indicated that social distancing behaviors decreased immediately after the first state of emergency has been lifted compared to during the emergency period. Moreover, there was no increase in social distancing behaviors during the second emergency period. Hierarchical multiple regression analyses showed that injunctive norms were associated with the social distancing behaviors at all assessment time points. Furthermore, the effect of risk perception was not large. We have discussed the relationship between emergency declarations and behavioral changes.
著者
伊藤 拓水 安藤 秀樹 半田 宏
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.819-824, 2011-12-01 (Released:2012-12-01)
参考文献数
31

およそ半世紀前に鎮静剤として開発されたサリドマイドは,1960年代始めに催奇性が発覚し,一度,市場からの撤退を余儀なくされた.しかし,ハンセン病や血液癌の一種である多発性骨髄腫といった難病に対して著しい効果を有することから再び脚光を浴び,現在は厳しい統制を受けながらも,その処方が認可されている.このようにサリドマイドは,半世紀以上の歴史を有するきわめてよく知られた薬剤であるが,その催奇性メカニズムは長い間不明であった.最近になり,磁性ナノ微粒子(半田ビーズ)を用いたアフィニティ精製により,サリドマイド催奇性における主要な標的因子であるセレブロン(cereblon,CRBN)が単離・同定され,その分子機構が解明された.
著者
伊藤 拓也 高岡 正憲
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学理工学研究報告 (ISSN:00368172)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-8, 2009-04

アーチェリーにおいてフィンガーリリースを行う場合、弦が指から離れることで左右方向にも押す力が生じる。アーチェリー競技者はこの逸脱を,的を真に狙わないことで埋め合わせをしなければならず、これらはアーチェリーパラドックスと呼ばれている。さらに引き込まれた弦が放されると、矢のポイントによる慣性力によって圧縮荷重が生じ、グリップとの相互作用を複雑にする.矢は弓の回りを曲がることで接触を避けるために正確な周期で振動させるべく,調整されなければならない。弓矢のパラメータとフィンガーリリースにおける矢の動きの依存性を知ることは重要である。我々は先にあるアーチェリーパラドックスの動力学モデルをアーチェリー競技者にとってより適合させるために改善した。我々のモデルには題名にもあるようにフィンガーリリースだけでなく弦の二次元運動も考慮に入れている。最良の状態に調整された値を得るために,我々は弓矢のパラメータとフィンガーリリースにおける矢の動きの依存性について調べた。In archery, when using a finger release, there is a force pushing the bowstring to the lateral direction away from the fingers. An archer must compensate this deviation by not really aiming at a target, which is called "The Archers Paradox". Furthermore, when the drawn bowstring is released, a compression force is applied due to the inertia of the point of an arrow, which makes the interaction with a grip complex. An arrow must be coordinated correctly to oscillate at just the right frequency to avoid the interaction by bending around the bow. It is important to know the dependence of arrow motion on bow-arrow parameters and finger release.We propose a dynamical model for the archery paradox, improving previous models to be more suitable for archers. The tilted motions in the finger release as well as the two-dimensional motions of the bowstring are considered in our model. To obtain tuned values, we have investigated the dependence of arrow's motion on the bow-arrow parameters and the finger release.
著者
伊藤 拓
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2003-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1686号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2003/3/15 ; 早大学位記番号:新3362
著者
伊藤 拓弥 榮澤 純二 矢野 宣和 松英 恵吾 内藤 健司
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.221-225, 2010
被引用文献数
4

本研究では, iPhoneにて樹高測定を行うためのソフトウェアを開発した。iPhoneをはじめとするスマートフォンは加速度センサを搭載した機種があり, デバイスの傾きを測定することができる。この加速度センサを使い三角法の原理を応用することで, iPhoneにて樹高測定が可能である。またiPhoneは優れたユーザインタフェースを有するため, 測定データの保存管理, 編集, 集計, 表示ができる。この機能を利用することで, 内業を行うことなく測定データを測定直後の現場にて即座に集計, 表示させることが可能である。またiPhoneは携帯電話回線や無線LANによって測定データを転送することができる。これらの機能によって森林調査の作業効率を大幅に向上させることができると考えられる。
著者
伊藤 拓 竹中 晃二 上里 一郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.162-171, 2005-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
47
被引用文献数
11 2

多くの抑うつの心理的要因が提唱される中, 抑うつの心理的要因の共通点や抑うつを引き起こす共通要素についての検討はほとんどなされていない。本研究では, この点に着目し, 従来の代表的な抑うっの心理的要因である完全主義, 執着性格, 非機能的態度とネガティブな反すうの関連を明らかにするとともに, 完全主義, 執着性格, 非機能的態度からうつ状態が引き起こされる上で, ネガティブな反すうが重要な共通要素として機能しているかを検討した。大学生 (N=191) を対象とした8ヶ月間の予測的研究を行った。その結果,(1) 完全主義, 執着性格, 非機能的態度という異なる抑うつの心理的要因は, 共通してネガティブな反すう傾向と正の相関があること,(2) これらの心理的要因が高くても, うつ状態が直接的に引き起こされるわけではなく, ネガティブな反すう傾向が高い場合にうつ状態が引き起こされることなどが示された。以上のことから, 完全主義, 執着性格, 非機能的態度という異なる抑うつの心理的要因からうつ状態が引き起こされるメカニズムには, ネガティブな反すう傾向が共通要素として介在していることが示唆された。
著者
伊藤 拓 樋口 匡貴 荒井 弘和 中村 菜々子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.129-138, 2023 (Released:2023-06-25)
参考文献数
22

Cross-sectional research has indicated that the psychological variables of the protective motive theory and normative focus theory are related to avoidance behaviors around going out or contacting others during the COVID-19 pandemic. However, there has been no longitudinal research investigating whether these psychological variables predict similar behaviors. The aim of this longitudinal study was to examine whether these psychological variables predicted such behaviors immediately after the termination of the COVID-19 pandemic state of emergency. A total of 781 participants completed a web-based survey immediately before and after the termination of the state of emergency in Tokyo. A cross-lagged effects model was used to analyze psychological predictors. The results indicated that the perceived self-efficacy of avoidance behaviors (β = .099), injunctive norms (β = .135), and descriptive norms (β = -.061) immediately before the state of emergency termination predicted avoidance behaviors around going out or contacting others immediately after the termination. These results suggested causal relationships between perceived self-efficacy, descriptive norms, and injunctive norms and avoidance behaviors around going out or contacting others.
著者
伊藤 拓
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.18-31, 2022-05-20 (Released:2022-05-20)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本研究では,人が後悔を経験した後,適応的な変容に至るまでのプロセスを検討することを目的とした。大学生430名に対し,質問紙調査を行った。後悔の調整方略を規定する要因として「制御焦点」,後悔の調整方略として「認知的感情制御」,後悔の機能として「準備機能」に着目し,制御焦点が認知的感情制御に影響を与え,認知的感情制御が後悔を介して準備機能に影響を与えるというモデルを検討した。結果から,後悔の準備機能に至るいくつかのプロセスの存在が示唆された。例えば,促進焦点によって促された「肯定的再評価」が,後悔を低減するとともに,準備機能を促進するというプロセスや,予防焦点によって促進された幾つかの不適応的方略が,後悔を増大し,後悔が準備機能を促進するというプロセスなどが存在するようであった。また,不適応的方略の中でも促進焦点と結びつくものや,適応的方略の中でも,予防焦点と結びつき,後悔を増大するものの存在も示唆された。