著者
福山 正文 上村 知雄 伊藤 武 村田 元秀 光崎 研一 原 元宣 田淵 清
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.565-574, 1989
被引用文献数
2

河川水やその泥土および淡水魚などの自然環境における運動性<I>Aerornonas</I>の分布を明らかにするため, 相模川7ヵ所, 多摩川8ヵ所, 津久井湖5ヵ所を対象に本菌の検索を定量的に実施した.また両河川で捕獲した淡水魚の腸管内容物, 鯉, 体表からの菌検索を行った結果以下の成績を得た.<BR>1.相模川の泥土208件中134件 (64.4%) から運動性<I>Aerornonas</I>が検出された.多摩川の泥土では186件中101件 (54.3%), 津久井湖の泥土120件中68件 (56.7%) が本菌陽性であった.これらの泥土から分離された運動性<I>Aerornonas</I>176株について同定したところ, 21.6%が<I>A. hydrophila</I>, 13.1%が<I>A. sobria</I>, 24.4%が<I>A.caviae</I>であった.なおPopoffの分類で同定出来ない菌株が74株 (42.0%) 認められた.<BR>2.泥土を採取した同一地点について水からの運動性<I>Aerornonas</I>の検索を行ったところ, 相模川河川水48件, 多摩川河川水44件および津久井湖の湖水40件全例から本菌が検出された.分離菌株120株の内14.2%がA. hydrophila, 27.5%がA. sobria, 29.2%がA. oaviaeであり, 末同定株が29.2%みられた.<BR>3.河川泥土や湖泥土中の運動性Aerormnas菌数は前者平均が2.5×105個/g, 後者が平均8.8×105個/gであった.河川泥土の一部の定点において菌数が大きくばらついたが全体的には4月に減少し, 7月と10月に増加する傾向がみられた.津久井湖の泥土では採取地点により菌数の変動が著しかったが, 河川泥土と同様に7月と10月に高くなる傾向がみられた.<BR>河川水と湖水については前者が平均1L当たり1.4×10<SUP>3</SUP>個, 後者が約3.3×10<SUP>2</SUP>個であった.各定点での菌数に一部の例外以外それほどの大きな変動はみられず, 季節により菌数に与える影響もみられなかった.<BR>4.相模川と多摩川で捕獲した淡水魚511件中462件 (90.4%) から運動性Aeronzonasが検出された.分離菌株1,056株の内17.2%がA. hydrophila, 31.4%がA. sobriaおよび19.5%がA. caviaeであった.
著者
伊藤 武 西川 賢 久保 慶一 浅羽 祐樹 成廣 孝 川村 晃一
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、現代の民主主義国における選挙政治で拡がりつつあるプライマリー(予備選挙)について、基本的なデータを収集することを目的とする海外調査研究である。アメリカ、ヨーロッパ(英・伊・クロアチアなど)、アジア(韓国・インドネシア)を対象地域として、通常の選挙と比較してデータが少ないプライマリーについて、選挙制度、投票データの収集を行い、後続する共同研究の基盤とした。収集されたデータは一部先行して公開している。
著者
木股 文昭 伊藤 武男 田部井 隆雄 小川 康雄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

2007年から頻繁に、インドネシアのスマトラ北部のアチェ州において、GPS観測とMT観測を実施し、2004年スマトラ超巨大地震の地震時の地殻変動と地震後の地殻変動、およびスマトラ断層周辺における地殻変動と比抵抗構造を検出・推定した。地震時の変動としてインド洋沿岸部で3mの南西方向への水平変動を、地震後の変動として同様に南西方向へ最大80cmに及ぶ水平変動と50cmに達する隆起を観測した。これらの変動から、2004年スマトラ地震の滑り分布を推定すると、主たる滑りが浅部ではプレート境界から上部に分岐した上部スラスト断層で発生していると推定された。これはニアス島において観測された1mに達する大きな隆起運動とよく一致する。また、地震後に観測された余効変動、とりわけアチェ州のインド洋沿岸で観測される隆起から、沿岸近くのプレート境界深部でafter slipが地震後に進行していると推定される。年間10cmを超える地殻変動のなかに、スマトラ断層の滑りに起因すると考える変動が見つかった。余効変動を簡単にモデル化で除去し断層での滑りを推定すると、アチェ州北部で深さ13kmあたりが固着し、浅部でクリープ運動が推定された。また断層周辺では低非抵抗域がMT観測から推定され、断層周辺で破壊が進行していることが明らかになった。
著者
水島 治郎 土倉 莞爾 野田 昌吾 中山 洋平 伊藤 武 津田 由美子 田口 晃
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

第二次世界大戦後、西欧諸国の多くで政権を掌握していたキリスト教民主主義政党は、1990年代に入ると各国で凋落し、政権を離れるに至ったが、国によってはその後、党改革を進め、一定の「革新」を可能とした例もある。本研究ではこのキリスト教民主主義政党の危機と革新という現代的展開の動態を明らかにすることで、西欧保守政治における構造的変容の実態の解明を試みた。成果は学会セッション企画、著書、論文などで幅広く公表された。
著者
建林 正彦 村松 岐夫 森本 哲郎 品田 裕 網谷 龍介 曽我 謙悟 浅羽 祐樹 大西 裕 伊藤 武 西澤 由隆 野中 尚人 砂原 庸介 堤 英敬 森 道哉 藤村 直史 待鳥 聡史
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、現代の民主主義における政党組織の共通性と各国固有の特徴とその規定要員を明らかにするために、日本の民主党、自由民主党の政党本部、各地の地方組織(都道府県連合会)に対する聞き取り調査と、都道府県議会議員に対するアンケート調査を行い、これらの情報・データをもとに国内比較、国際比較の観点を加えつつ、研究会を積み重ねながら様々な分析を行った。
著者
白髭 克彦 広田 亨 須谷 尚史 伊藤 武彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

出芽酵母、分裂酵母を用いた解析により、基本的な染色体情報解析システムのパイプラインは構築され、染色体の基本的な構造、染色体機能の制御、そしてその連携機構についていくつもの新しい発見があった。特に、本研究が契機となりひと染色体構造の解析技術を構築できた意義は大きい。興味深い発見につながったものとして、1)ヒトに於いて、ChIP-chip解析が可能となったこと、および、2)ヒトコヒーシンのChIP-chip解析から明らかとなったコヒーシンの転写に於ける機能の発見、があげられる。当初、本研究を開始した時点では、ヒト染色体でChIP-chip解析を行うことは、ゲノムの5割を超える繰り返し配列がPCRで増幅する際のバイアスとなるため不可能であった。そこで、この増幅法の検討を重ね、DNAをin vitro transcriptionにより、RNAとして直線的に増幅し、リピート配列によるバイアスを抑制することで、ヒト染色体構造もChIP-chip解析可能な系を構築することが出来た。さらに、この技術を用いて、コヒーシンについて、効率の良い染色体免疫沈降が可能な抗体を取得し、ヒト染色体上における局在解析を行った。その結果、染色体分配に必須の役割を持つコヒーシンがヒトではその機能とは独立にインシュレーターとして転写制御に機能していることが明らかとなった。
著者
伊藤 武雄
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
アジア經濟旬報
巻号頁・発行日
no.956, pp.1-3, 1974-12-11
著者
平子 友長 赤間 道夫 浅川 雅巳 竹永 進 森下 宏美 窪 俊一 鳥居 伸好 内田 博 大谷 禎之介 伊藤 武 出雲 雅志 天野 光則 出雲 雅志 伊藤 武 内田 博 大谷 禎之介 小黒 正夫 神山 義治 窪 俊一 高畑 明尚 竹永 進 鳥居 伸好 森下 宏美 吉田 傑俊 ANNELIESE Griese ROLF Hecker JURGEN Herres NEUHAUS Manfred ROJAHN Jurgen RICHARD Sperl VASINA Ljudmila
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、マルクスの抜萃ノートを活用した世界で初めての本格的なマルクス研究である。これによって、(1)『資本論』第1巻成立過程において「草稿」と「抜萃ノート」がどのように利用されたのかが初めて詳細に解明された。(2)マルクスの農芸化学、地質学、鉱物学に関する抜萃ノートを検討し、それを同時代の自然科学史の中に位置づけた。(3)『資本論』第1版刊行直後から開始される古ゲルマン史研究者マウラーの抜萃ノートを検討し、それがマルクス最晩年の世界史把握の形成に決定的役割を果たしたことを文献的に証明した。本研究は、ドイツ語版マルクス・エンゲルス全集の編集に日本人研究者が参加するという意味でも、その国際的意義はきわめて大きい。
著者
汪 達紘 筒井 研 佐野 訓明 益岡 典芳 伊藤 武彦 荻野 景規
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、酸化的ストレス誘発有害物質の評価法の開発とその実用化を目指している。平成17〜19年度にわたってマウス由来のカタラーゼ変異遺伝子導入大腸菌(Cs^a:正常カタラーゼ活性菌、Cs^b:低カタラーゼ活性菌)を用い、CAT Assayにより化学物質の細胞毒性等について検討し、以下の成績を得た。市販の染料であるヘンナ製品(タトゥーや髪染め等)及びその抽出物であるローソンを各菌株に曝露させると濃度依存的な細胞障害を示され、その障害が各菌株のカタラーゼの活性とは負の相関であった。また、ローソンの曝露濃度依存性にH_2O_2の生成上昇を確認した。更に抗酸化物質catalase、 capsaicin、 ascorbic acid等で前処理された菌株にヘンナ製品及びローソンの投与により細胞毒性は減少した。金属キレート剤であるジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)をローソンと一緒に各菌株に曝露するとDTPAの曝露濃度が高ければ高いほど各菌株の生存率が上がり、量-反応関係が見られた。ジチオトレイトール(DTT)は、チオール性抗酸化物質として広く使用されているが、活性酸素種を産生し酸化促進剤として作用することも報告されている。CAT Assayでは、Cs^a、 Cs^bともDTT濃度依存性の細胞毒性が見られ、両者の間には有意な差異が認められた。Catalaseの添加により、DTTの細胞毒性を完全に抑制され、ascorbic acid、 catechin及びresveratrolもDTT毒性の予防に有効であった。CAT Assayの実用性について、医療廃棄物の処理残渣及び一般廃棄物の焼却灰を用いて検討した。3種類の有機溶媒及び滅菌水を用いて試料の抽出方法について比較した。水及びメタノールの抽出物による各菌株の増殖抑制はカタラーゼ活性と負の相関があり、検体の曝露量が高ければ高いほど各菌株の生存率が下がり、カタラーゼ活性に依存していることが示唆された。アセトン及びヘキサンの抽出物は各菌株に影響を示さなかった。本研究で確立したCAT Assayは、酸化的ストレス誘発有害物質の評価法として応用が可能であると考えられる。
著者
宮崎 樹夫 伊藤 武廣 岩永 恭雄 両角 達男 小口 祐一 茅野 公穂
出版者
信州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

I 教師・子供用ホームページの作成教師用ホームページで,教師がディジタルコンテンツを,3次元動的幾何ソフトを利用したカリキュラムに基づく授業用として閲覧できるとともに,単元「空間図形」の授業に応じダウンロードできる。また,子供用ページでは,3次元動的幾何ソフトのファイルと,ソフトの利用の仕方が示された動画が教師用のページとは別の構成で位置づけられている。これは,子供が授業や家庭などで空間図形を自ら学習することを支援するとともに,学校の授業では扱いきれない発展的な内容にふれる機会を提供し,空間図形に関する興味・関心を一層高めるためでもある。なお,ディジタルコンテンツは次の4種類である:単元『空間図形』(全14時間)の展開(HTMLファイル),3次元動的幾何ソフトを利用する授業(計6時間)の指導展開(HTMLファイル),授業で利用される3次元動的幾何ソフトのファイル,3次元動的幾何ソフトの利用の仕方が示されたフラッシュムービーホームページのアドレス:www.schoolmath3d.org/index.htmII 小・中学校・高等学校における"授業レシピ"の作成3次元動的幾何ソフトは,空間図形が関わる学習内容に広く利用できるものである。そこで,小・中学校及び高等学校において,このソフトをいかすことができる学習内容を特定し,その内容に関して,授業をどのように展開すればよいのか,また,その授業のなかで3次元動的幾何ソフトをどのようにいかしていけばよいのかを"授業レシピ"のホームページとして提供している。このページでは,授業のアイデアや具体的な進め方とともに,教師が利用するとよい3次元動的幾何ソフトのファイルや,そのファイルの使い方を示した動画なども配置されている。
著者
伊藤 武廣 宮崎 樹夫
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の成果は,直観幾何の学習と論証幾何の学習の間にある不整合の特定と,直観幾何の学習と論証幾何の学習を接続するためのカリキュラムの開発である。前者については,命題の全称性の認識における不整合と,中学校数学の論証幾何カリキュラムにおける「証明」の定義における不整合を特定した。後者については,内容知での接続のために,中学第1学年図形領域「空間図形」カリキュラムを開発するとともに,方法知「証明・説明」での接続のために,証明の学習の諸相を整理するための枠組みを開発した。