著者
沖津 卓二 草刈 潤 富岡 幸子 伊藤 和也
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.1591-1597, 1979
被引用文献数
1

Auditory brainstem electric response (ABR) is generally recorded as the potential difference between the electrode on the ear lobe and on the vertex [Lobe-Vertex recording]. Among the five waves recorded the latency and the presence or absence or Wave I and V are particularly important factors.<br>The purpose of the present study was to obtain a clear appearance of Waves I and V even at the low intensity of sound by simultaneous performance of Lobe-Vertex and Membrane-Vertex recordings. As the tone stimulus is decreased toward the subjective threshold in Lobe-Vertex recording, each wave becomes smaller, and the waves, except for Wave V are frequently undetectable near the threshold.<br>On the other hand, in the recording of the potential difference between the electrodes on the posterior marginal portion of the tympanic membrane and on the vertex [Membrane-Vertex recording], Wave I is larger and Wave V smaller than that of Lobe-Vertex recording, and the clearly detectable Wave I can be obtained by the tone stimulus near the subjective threshold. Namely, the detectability of Wave I and V depends on the site of the recording electrode and there is no statistical difference between the two recording methods regarding latencies of the two waves.<br>Typical wave patterns recorded from three patients were demonstrated: two of acoustic tumor and the other of a C-P angle tumor.<br>In one patient with an acoustic tumor and the one with an C-P angle tumor, although no waves were detected in Lobe-Vertex recording, Wave I was clearly detected in Membrane-Vertex recording.<br>In the other patient with an acoustic tumor, Waves I and V were not so clearly detected in Love-Vertex recording, but in Membrane-Vertex recording, Waves I and V were clearly detected and the prolongation of the latency interval between Waves I and V could be measured.<br>From these results, it is suggested that the simultaneous Lobe-Vertex and Membrane-Vertex recording technique in ABR is most useful for the detection of cochlear nerve and the brainstem disorders.
著者
石橋 正博 山田 傑 北村 尚男 真島 裕子 一色 賢司 伊藤 誉志男
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.93-96, 1996-03-29 (Released:2017-12-01)
参考文献数
6

縮合リン酸塩のピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸の1日摂取量をマーケットバスケット方式で調査した。加工食品約340品目を(1)調味嗜好飲料、(2)穀類、(3)イモ類・豆類・種実類、(4)魚介類・肉類、(5)油脂類・乳類、(6)佐藤類・菓子類、(7)果実類・野菜類・海草類の7群に分け、それぞれの群の縮合リン酸含有量を測定し、各群ことの喫食量をかけて摂取量とした。(1)縮合リン酸の1日摂取量は、15.8mgでピロリン酸が7.2mg、ポリリン酸が3.8mg、メタリン酸が5.0mgであった。(2)摂取量の多いのは、5群の6.0mgと4群の5.1mgで、主な摂取源は、5群のチーズと4群の魚介類・食肉類であった。特に、チーズの種類と喫食量は摂取量に大きく寄与することが分かった。(3)地区別の比較では、東部地区と西部地区がやや多かった。東部地区の5群が特に多かったのは、チーズの種類による影響と思われる。(4)昭和58年度、昭和62年度、平成3年度、平成6年度の調査結果より、縮合リン酸の摂取量は増加傾向にある。(5)世代別の摂取量の比較では、高齢者、学童が成人に比べ多くなった。4群は各世代に摂取量の違いはあまりなかったが、5群はチーズの種類の影響でかなりばらつきがあった。その他、学童の6群と7群も他の世代に比べやや摂取量が多かった。
著者
伊藤 理史 Ito Takashi イトウ タカシ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1-15, 2016-03-31

2011年11月27日に実施された大阪市長・府知事選挙(2011年ダブル選挙)の結果、大阪市長に橋下徹が、大阪府知事に同じく橋下陣営の松井一郎が当選した。このような橋下陣営の躍進(橋下現象)は、現代日本における新しい政治現象の典型例とみなされている。しかし誰が橋下現象の担い手なのかという点については、必ずしも明らかではない。論壇やマス・メディアでは階層との関連が指摘されているが、いまだ適切な個票データと実証研究の蓄積は乏しい。そこで本稿では、階層政治論に注目して主にその有効性を検討した。自ら実施した「大阪府民の政治・市民参加と選挙に関する社会調査」の個票データを使い、多項ロジスティック回帰分析から2011年ダブル選挙における候補者選択と投票参加の規定要因を検討したところ、階層と投票行動の関連が両選挙でみられなかった。このことは候補者選択における階層間対立と投票参加における階層的不平等の不在を意味する。以上の分析結果より、現代日本における新しい政治現象の典型例としての橋下現象は、階層政治論から説明できないことが示された。橋下陣営の人気は、候補者選択における階層間対立と投票参加における階層的不平等を超えて多数派からの支持を獲得したことによって生じている。つまり本稿は、現代日本における新しい政治現象が生じた有権者側の要因について示唆を与えるものである。Toru Hashimoto was elected mayor of Osaka City and Ichiro Matsui as governor of Osaka Prefecture in the double election held on November 27, 2011. The Hashimoto camp's success in Osaka is considered a typical example of emerging politics in contemporary Japan. However, it is unclear as to what kind of voters support the Hashimoto camp. The media has explained the accomplishments of new political leaders such as those in the Hashimoto camp in Osaka in terms of social stratifi cation, but little empirical research based on reliable social survey data has addressed this question. In this paper, we applied factors of social stratifi cation to analyze voting behavior in the 2011 Osaka double election using data obtained from the "Social Survey on Political Attitudes and Civic Participation in Osaka Prefecture." We used a multinomial logit model that considered both candidate selection and voter turnout. The result clarifi ed the following one point with regard to the 2011 Osaka double election: social stratifi cation is not related to candidate selection or voter turnout. Based on this result, the framework of social stratifi cation cannot be used to analyze the Hashimoto camp as an example of the emerging politics in contemporary Japan. The popularity of the Hashimoto camp is the result of majority support that surpasses any presumed differences related to social stratifi cation in either candidate selection or voter turnout. This result suggests that an alteration in voter attitudes is responsible for the rise of contemporary Japan's emerging politics.
著者
伊藤 浩司 稲永 忍
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.90-96, 1988-03-05
被引用文献数
5

ネピアグラス(品種メルケロン)について, 東京及び宮崎における植え付け当年の乾物生産力及び生長パラメーターを比較する目的で実験を行なった. 東京では1985年5月20日, 宮崎では1984年及び1986年の5月1日に苗を植え付け, 多肥条件下で圃場栽培した材料につき, 初霜直前の時期まで, 生長解析を行なった. 栽培終期は, 東京では11月上旬, 宮崎では11月中旬であった. 植物体全乾物重の栽培終期における値は, 東京では39.3t/ha, 宮崎の1984年度では51.8t/ha, 1986年度では40.1t/haであり, 必ずしも常に宮崎の方が高いという傾向はなく, いずれも南九州以北の耕地における各種作物の生産力の最高位値に匹敵する. 6月下旬以前及び9月上旬以後の期間は, 宮崎に比べて東京の方が, 気温及び日射量が低く生産速度も低い. また, 秋の気温低下に伴って生産が殆ど停止する時期は, 東京の方が早い. しかし, 7月上旬から8月下旬にかけては, 両地域の気温はほぼ等しく, 日射量は東京の方が低いにも拘らず, 宮崎の両年度に比べて東京の方が, 葉面積指数の増大速度が高いとともに吸光係数が小さく, 純同化率は高い. そのため, 葉面積指数の増大に伴う個体群生長速度の増加勾配及び最高値はともに東京の方が高くなる. このことは, 東京における, 生産可能期間が短く栽培期間中の気温及び日射量が概して低いことに伴う生産力の低下を, 補償することとなる.
著者
伊藤 浩司 竹本 真生 向井 靖 Inoue Shujiro Kaji Yoshikazu Chishaki Akiko Sunagawa Kenji
出版者
福岡医学会
雑誌
福岡医学雑誌 (ISSN:0016254X)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.360-366, 2009-12-25

Radio-frequency catheter ablation (RFCA) was introduced for the treatment of reentrant tachyarrhythmias and has proven its usefulness, efficacy, and safety. It has gained the position of an early stage treatment option rather than being a 'last resort' option for certain groups of patients with supraventricular tachycardias including atrioventricular nodal reentrant tachycardia (AVNRT). The RFCA technique for AVNRT seems to have become established throughout these years and the right-side approach is considered to be the conventional method. However, in one percent of the patients with AVNRT it has been reported that they cannot be cured by the conventional method and a left-sided approach has been recommended. We experienced a case which presented with a fast/slow atypical AVNRT. We ultimately successfully treated the case with a left-sided (trans-aortic) RFCA approach. We believe the trans-aortic RFCA approach is a necessary alternative in the case of an unsuccessful RFCA via the right-sided approach even though the frequency of its need is very low.高周波カテーテルアブレーション治療は,様々な頻拍性不整脈の重要な治療オプションとなっている.房室結節回帰性頻拍症に対してもカテーテルアブレーション治療は,近年確立されたものになってきており,通常は右心アプローチにより行われている.しかし,1%の患者においては通常の右心アプローチでは焼灼できず,左心アプローチが有効である症例も報告されている.今回我々は,特に稀有型(fast-slow)房室結節回帰性頻拍症において左心からの通電が有効であった症例を経験した.症例は20歳代男性.頻回の動悸を訴え,Holter心電図で症状と一致して心拍数180 bpm のnarrowQRS tachycardia を認めた.12 誘導心電図は正常で,心エコーも器質的心疾患は認めなかった.電気生理学的検査では通常とおり,高位右房(HRA),ヒス束,右室(RV),冠静脈洞(CS)に電極カテを留置した.またEnSite 電極を右房内に留置した.RV 頻拍刺激にて頻拍刺激.160 ppmではearliest retro A=His(fast pathway;FP),160 ppm.でearliest retro A=CS 開口部(slowpathway;SP)の室房伝導を認めた.ATP 20mg で室房伝導の消失を認めた.RV期外刺激では室房時間は減衰伝導を認め,S1-S1=500ms, S1-S2=430 ms で室房時間のjump up と2 echo を認めた.HRA 期外刺激では,心房ヒス時間は減衰伝導を認めたが,jump up は認めなかった.イソプロテレノール投与下のプログラム刺激でもnarrow QRS tachycardia は誘発されなかったが,上記所見よりfast-slow の稀有型房室結節回帰性頻拍と診断し,SP への通電を行うこととした.先ずABL カテーテル(Fantasista)にてCS 開口部近傍およびCS 内をRV頻拍刺激下でマッピングを行い,最早期A 波興奮部位にて数回通電を行ったが,junctional rhythm は出現するもののSP の焼灼には至らなかった.さらにRV 頻拍刺激下でEnSite にてマッピングを行いSP のRA へのbreakoutpoint の同定を行った後に同部位で数回通電を行ったが,junctional rhythm は出現するもののやはりSP の焼灼には至らなかった.心筋深部あるいは左心側のSPの存在を考え,経大動脈アプローチにて僧帽弁輪上中隔寄りにて通電を行ったところ,SP を介する室房伝導は消失しその後再発を認めなかった.さらに,RV 期外刺激での室房時間のjump up の消失も認めた.SP の走行のvariation は多数報告されているが,本症例は稀有型房室結節回帰性頻拍症において左心からの通電を必要とした非常に稀有な症例と考えられ考察を加えて報告する.
著者
伊藤 創祐 沙川 貴大
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.658-662, 2017-09-05 (Released:2018-07-25)
参考文献数
11

情報は生物にとって欠かせないものである.生物たる我々は日々情報を取得し,様々な状況でそれを利用している.その意味で情報は身近なものである一方,情報が科学的に広く研究され始めるのは物理学の歴史と比較すると最近のことであり,C. E. Shannonの1948年の論文に端を発する情報理論の成立まで待たなければならない.しかしながら,Shannonが情報理論を創始する20年以上前,物理学の文脈で情報について考え,Shannonにも影響を与えた研究があった.熱力学におけるMaxwellのデーモンのパラドックスの本質を描き出したL. Szilardによる1922年の研究である.そして1960年代以降,R. Landauerらによって,情報と熱力学の関係は本格的に研究されるようになった.現在では情報理論と物理学の融合は熱力学に留まらず様々な分野で盛んに行われており,「情報は物理的な実在である(Information is a physical entity)」というLandauerの主張に深く広い意味づけがなされるようになってきている.とくに情報理論と熱力学の融合分野である「情報熱力学」は,この10年で理論実験ともに急速に発展した.その背景の一つは,1990年代後半から盛んに研究が行われてきた「ゆらぎの熱力学(stochastic thermodynamics)」である.Szilardがその萌芽を見出しShannonが創始した情報理論は,ゆらぎの熱力学と深い関係があることが明らかになってきた.また近年の実験技術の進歩により,単一分子のような微小な系の熱ゆらぎを精密に測定できるようになり,実際にMaxwellのデーモンが実現されるようになってきた.たとえば単一コロイド粒子系の電場制御によって,定量的なMaxwellのデーモンが2010年に世界で初めて実現された.その後デーモンは単一電子箱や核磁気共鳴(NMR)など多彩な系で実現されるようになっている.我々は生体システムへの応用を目標の一つとし,情報熱力学の理論を発展させてきた.複雑な確率過程を記述可能なベイジアンネットワークという概念を活用し,ゆらぎの熱力学を拡張することで,情報熱力学の適用範囲を広げることに成功した.その結果として,生体内部における化学反応の熱力学と,生体システムが受容体などのセンサーで感じる「情報」の関係を,定量的に議論することが可能になった.たとえば大腸菌(E. coli)が餌を探すための仕組みである走化性は,生体情報処理の代表例の一つとしてよく研究されている.我々は,この大腸菌の化学反応ネットワークに情報熱力学を適用した.その結果として,生体系の情報伝達のロバストさ(頑健性)を熱力学の観点から定量化し,それと移動エントロピー(transfer entropy)と呼ばれる情報量の関係を明らかにすることに成功した.さらに大腸菌においては,通常の熱力学的な効率は低いが,情報熱力学的な効率は高いことが,現実的な実験パラメータを用いたシミュレーションによって明らかになった.
著者
伊藤 暢人
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1123, pp.46-51, 2002-01-07

南米のチリに10年間住んだ経験があり、ドイツ語、英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語の5カ国語を自由に操る。 長身に銀色の髪と、遠くを見つめるような鋭い視線。言葉を選んで静かに話し、リップサービスはしない。私生活では3人の子供の父親ではあるが、世界中を飛び回り仕事を終えて自宅でゆっくりとくつろげることは1カ月に1週間もない。
著者
伊藤 善隆
出版者
島根大学法文学部山陰研究センター
雑誌
山陰研究 (ISSN:1883468X)
巻号頁・発行日
no.11, pp.19-30, 2018-12-31

出雲市大社町の手錢記念館に伝来する俳諧資料の中から、花叔三回忌追善集『夢路の葉桜』(己千・東廬・楽二・浦安編、文政九年無味庵跋)を翻刻紹介する。本書は、『雲陽人物誌』を編纂したことでも知られる春日花叔の追善集として重要なものである。

1 0 0 0 OA [地錦抄 20巻]

著者
伊藤伊兵衛 撰
出版者
須原屋茂兵衞
巻号頁・発行日
vol.[19], 1733

1 0 0 0 OA 電気訳語集

著者
伊藤潔 編
出版者
電友社
巻号頁・発行日
1893
著者
伊藤 裕子 相良 順子 池田 政子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.62-72, 2006
被引用文献数
1

本研究は,中年期夫婦を対象に,職業生活が夫婦関係満足度および主観的幸福感に及ぼす影響について,妻の就業形態により個人内と夫婦間で影響の仕方に差異がみられるかを検討した。妻フルタイム110組,妻パートタイム170組,妻無職106組の夫婦に,仕事へのコミットメント,夫婦関係満足度,主観的幸福感を質問紙により尋ねた。その結果,自身の仕事へのコミットメントが夫婦関係満足度に影響するのは妻のみで,夫では影響しない。しかし,夫の仕事へのコミットメントは妻の夫婦関係満足度および主観的幸福感にクロスオーバーな影響を及ぼし,夫の仕事へののめり込みの増大は妻の幸福感を低下させ,仕事満足感の増大は妻の夫婦関係満足度を高めていた。反対に,妻の仕事へのコミットメントが夫にクロスオーバーな影響をするのは妻がパートタイムの夫婦のみで,この場合,妻の仕事へののめり込みは夫の夫婦関係満足度を低下させ,仕事満足感の低さが夫の幸福感の低下を招くなど,夫は妻の仕事へのコミットメントの影響を受けやすい。妻の就業形態と収入,夫の分業観によって,職業生活が夫婦関係と心理的健康に及ぼすスピルオーバー/クロスオーバーな影響は異なっていた。
著者
久永 明人 伊藤 隆 新沢 敦 横山 浩一 喜多 敏明 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4-5, pp.501-505, 2002-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9

閉塞性睡眠時無呼吸症候群に半夏厚朴湯が有効であった1例を経験した。症例は32歳の男性で, 21歳頃よりいびきと睡眠時無呼吸を指摘され, 27歳時に口蓋垂軟口蓋咽頭形成術を受けたが改善なく, 日中の過度の眠気を自覚するようになり来院した。「咽中炙臠」と考えられる咽喉部不快感を認めたため半夏厚朴湯エキス (ツムラ, 7.5g/日) を投与し, 2週間後には咽喉部不快感が消失した。1ヵ月後にはいびきが消失し, 日中の過度の眠気が自覚的に改善した。投与前と投与5ヵ月後に終夜睡眠ポリグラフィを施行したところ, 無呼吸指数は19.2から10.3に, 無呼吸低呼吸指数は19.2から12.8に改善していた。本例の経過から, 半夏厚朴湯が上気道抵抗を上気道下部において減弱させた可能性があると推察した。
著者
伊藤 貴之
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.150-153, 2012

「可視化」「見える化」という単語の認知度は,ここ数年で急速に向上した.とくに,警察による捜査や取り調べを透明化する意味での「可視化」や,ビジネスの進捗や収支に関する情報共有のための「見える化」が,新聞の社会面や経済面に数多く登場した.一方で「可視化」という単語を「情報の視覚的提示」という抽象的な行為で定義するなら,その範疇は警察やビジネスに限らず非常に多岐にわたるはずである.本稿では,形や色などの視覚的実体を有さない一般的な情報を視覚的に提示する「情報可視化」という技術を概観し,その応用事例をいくつか紹介する.