著者
伊藤 裕夫
出版者
富山大学
雑誌
Geibun : 富山大学芸術文化学部紀要 (ISSN:18816649)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.18-21, 2007-12

これからの大学は、単に教育・研究の場としてだけでなく、様々な形で地域社会と連携し、貢献することが求められてきている。富山大学芸術文化学部では、平成18年12月から、北日本新聞社と共催で「夕塾(せきじゅく)」をスタートさせたが、これもこうした試みの一つである。 夕塾は、基本的には学生たちが高岡市や富山県の文化や産業について、実際に関わってこられた方々のお話を通して学ぶ場を、広く市民の方々にも公開し、学生も市民も一緒になって皆でこれからの地域社会のあり方について考えていこうという特別授業である。学生には、普段の授業では受けられない、現実の社会や地域の課題に触れる機会を設け、芸術文化学部で学ぶことの意義をつかんでもらうとともに、これらを通して、大学を地域の文化拠点として、地域づくりに貢献していくための「出会いの場」を形成していくことを目指している。 以下、平成18年度に開催された6回の夕塾の概要を報告する。
著者
伊藤 康江 塩見 一雄 三枝 静江 細井 知弘 三枝 弘育
出版者
東京都農林水産振興財団東京都農林総合研究センター
雑誌
東京都農林総合研究センター研究報告 (ISSN:18811744)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-13, 2015-03

食物アレルギーの原因食物は多岐にわたり,成人では,小麦,甲殻類,果物類に次いで,魚類が原因食物の第4位となっている。本研究では,東京都の島しょ地域において漁獲・利用されている3魚種-ゴマサバ,ハマトビウオ,ムロアジ-に含まれるアレルゲンタンパク質パルブアルブミンについて,enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)による定量系を新たに確立するために,分取した各魚種のパルブアルブミン異性体と抗体3種との結合活性を検討し,定量に適する抗体として抗コイパルブアルブミンモノクローナル抗体を選定した。次に,確立したELISA法により,複数のムロアジの生魚およびくさやの背肉に含まれるパルブアルブミンを定量した。その結果,くさやのパルブアルブミン量は,生魚と比べて明らかな減少は認められず,微生物を含むくさや液を用いてムロアジをくさやに加工しても,パルブアルブミンは顕著に分解されないことが判明した。一方,ゴマサバ,ハマトビウオ,ムロアジそれぞれを原料魚とし,Aspergillus oryzaeを使用した麦麹と醤油製造用酵母Zygosaccharomyces rouxiiを用いて,常温で6ヵ月間発酵後に圧搾および火入れを行い,4℃,1年間保存した魚醤油においては,パルブアルブミンが1μg/g未満に減少した。また,麦麹より分離したA. oryzaeおよび食品や酵素の生産等に利用されている糸状菌株A. oryzae,A. brasiliensis,Penicillium pinophilum,P. chrysogenum,P. biforme,Rhizopus microsporusは,マサバパルブアルブミンの分解活性を有していたが,魚加工品を分離源とする乳酸菌株Pediococcus pentosaceusおよびLactobacillus plantarumのマサバパルブアルブミンの分解活性は低かった。以上の結果は,抗体を用いたパルブアルブミンの定量には魚種ごとに適した抗体を用いる必要があること,および特定の微生物を利用した発酵によりパルブアルブミン量を低減させた魚加工品が製造可能なことを示唆している。
著者
柴崎 幸次 伊藤 美穂 日比野 洋二
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.14-17, 2009

言万葉の絵樹(ことのよろずはのえじゅ)は、平成20年4月に竣工した学校法人奈良学園登美ヶ丘キャンパス新築事業において、学園の教育方針と精神的象徴として計画されたサイエンスホールの一連の壁画計画である。特注和紙に、様々な生き物や人影が隠れた大樹の絵図をプリントし、その葉の部分に"科学者が残した言葉"をフォログラムシートとシルバー色のシルクスクリーン印刷により施し、人の発見や感動、自らの失敗等の経験の言葉が絵図の中に構成されている。素材、表現、コンテンツ等のすべてが、その壁画の精神性を象徴するデザインとなっている。
著者
大盛 善啓 伊藤 嘉邦 中内 靖 安西 祐一郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.65-66, 1992-02-24

今までロボットは、産業用などある特定の分野に限って用いられ発展してきた。しかし、近年におけるロボット技術の進歩には目を見張るものがあり、産業用ロボットだけにとどまらず、オフィスや一般家庭でのロボット使用の要求が高まりつつある。ロボットは、商品を運ぶといった、従来の計算機では扱えなかった物理世界を直接操作することができる。そして、複数台のロボットを利用することにより、1台のロボットでは時間やコストのかかるであろうタスクを他のロボットに効率良く実行することができるようになる。ところが、自律移動ロボットにおける物理世界を直接扱うタスクの割り当てでは、物体の受渡しなど、従来考慮されていた要素だけでなく、物理的なタスクに固有な要素をも考慮したアルゴリズムが必要である。そこで本研究では、複数台の移動ロボットが存在する環境において、物理的な要素を考慮したタスク割り当てアルゴリズムを提案する。また、シミュレーションによる評価結果を報告する。
著者
伊藤 雅之
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.127, no.2, pp.42-70, 2018 (Released:2019-02-20)

本稿は、紀元前三世紀から同二世紀にかけてのローマにおける外国使節への贈与を取り上げ、こうした行為が同国の地中海世界全域における覇権の獲得に及ぼした影響と、またそこからうかがえる前三世紀末頃からのローマ人たちの外交手法の変容を論じる。第一節ではまず、前一七〇年頃、ローマを訪れた数か国の使節たち個々人に対して行われた、元老院による公式交渉の中での金銭贈与を一つのモデル・ケースとして取り上げる。そしてこの検討から、ローマ側が巧みにそれぞれの国のエリートたる使節たちに贈物を受領させ、地中海世界各地で広く見られる互酬の通念を活かし、彼らをローマに対し恩義があり、それ故、以後、親ローマ的に振舞わざるを得ず、またそう振舞うであろうと周囲からも認識されるという状況を作り出したということを示す。第二節では、多数の類似の事例を取り上げ、こうした外国使節個人への贈与が、史料の示す限り、ローマにおいては前二〇五年に始まり、かつ少なくとも同国のギリシア世界への急速な進出の時期に継続的・意識的に行われたことを明らかにする。そして第三節では、今度は、前三世紀前半に確認されている、外部勢力の側がローマ人たちに金銭贈与を試みた事例に注目する。この中で、同世紀末からの相手側に贈物を受け取らせる中で見せるようになっていく巧妙さとは対照的に、ローマの人々がそれ以前にはこうした行為への対応に不慣れであったことを示し、そこから、ローマが前二〇〇年代より以前には外交の文脈での贈物のメカニズムを理解しておらず、また当然これを対外関係の中で利用もしていなかったということを論じる。そしてこれらの結果から本稿は、ローマは前三世紀末にこうした正規のものとは異なるチャンネルからの外部へのアプローチの有用性を認識・活用し始め、それがこの時期から始まる同国の急速な対外進出を実現させた重要な要素の一つになっていったという結論を導く。
著者
吉田 葵 伊藤 一成
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.342-345, 2019-03-15

プログラミング教育への関心の高まりを受け,情報処理学会では,ジュニア会員を対象とした「Exciting Coding! Junior」を2016年度より開催している.本稿では,2018年9月15日に開催された「Exciting Coding! Junior 2018」のワークショップ設計方針及び内容について報告する.
著者
馬場 崇豪 和田 幸洋 伊藤 章
出版者
Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.186-200, 2000-03-10 (Released:2017-09-27)
被引用文献数
12 7

The muscular activity pattern, function and maximal contraction velocity during the starting dash and sprint running at maximal velocity were studied. The subjects were five adult male sprinters, whose sprint running movements in the sagittal plain were analyzed (100 fps) from videotape recordings made with a high-speed catera. The ground reaction forces and EMGs of eight leg muscles were also recorded. Changes in length from the origin to the insertion (muscle-tendon complex : MTC) of the eight leg muscles were calculated using several methods reported by Grieve et al. (1978), Hawkins and Hull (1990), Visser et al. (1990) and Jacobs and Van Ingen Schenau (1993). The muscular activity pattern and the maximal contraction velocity were investigate from the change in length of the MTC when the EMG activity was observed. The turnover velocity of the muscular activity pattern in the stretch-shortening cycle (SSC) was calculated from the acceleration of the contraction. Also the hip, knee and ankle joint torques were calculated, and the following results were obtained.1. Changes in muscular activity pattern and maximal contraction velocity during the starting dash During the first half of the swing period, the m.gluteus maximus exhibited shortening activity, the m.rectus femoris exhibited stretching activity and the m.iliopsoas exhibited SSC muscular activity. The m.vastus lateralis exhibited shortening activity during the last half of the swing period and stretching activity during the first half of the foot contact period. The m.biceps femoris exhibited SSC muscular activity from the middle of the swing period to the middle of the foot contact period. The m.gastrocnemius and m.soleus exhibited SSC muscular activity during the foot contact period. Above all, the maximal shortening stretching velocity, and the turnover velocity increased with increasing sprint running velocity after the start, except for the shortening velocity of the m.gastrocnemius and m.soleus, and the stretching velocity of the m.vastus lateralis, whose contraction velocity stayed almost constant. 2. Muscular activity and function during sprint running at maximal velocity During the first half of the swing period, the m.rectus femoris produced knee extension troque by stretching activity which functioned to reduce the knee flexion force which occurred through the joint force related to hip flexion torque. During the latter half of the swing period, knee flexion torque developed as a by-product from the m.biceps femoris, which serves as a hip extensor. On the other hand, the knee extension force which occurred through the joint force related to hip extension torque, the momentum required to extend the knee joint, and the knee extension torque which was produced by the shortening activity of the m.vastus lateralis were observed during the same period. Therefore, the knee extension movement observed from the outside occurred as a result of the total of these forces. The m.tibialis anterior acted to offset the ankle extension force which occurred through the joint force related to knee extension torque during the first half of the swing period, and the ankle extension torque developed during the latter half of the swing period preparation for foot contact by the m.gastrocnemius an m.soleus.
著者
坂輪 宣敬 伊藤 瑞叡 三友 健容 久留宮 圓秀 佐々木 孝憲
出版者
立正大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

敦煌莫高窟の壁画、出土文書は、発見以来多くの学問領域から注目され研究が為されてきたが、なお未解決の問題も多く残っている。本研究は対象を法華経にしぼり、壁画、彫刻、出土古写本類を素材に法華経鑚仰の様子の一端を解明した。美術の分野では法華経変を考察対象とし、その規模別分類を試み、大規模な経変画が時代を経て形式面、内容面ともに変化が生じたことを明し、更に描かれる品に注目して、その出現頻度を図示した。描かれる頻度によって製作年代における鑚仰の様相が推定されるが、見宝塔品、普門品の両品は特に盛んに造られた。これらの品に就ては単独に描かれる例も多く、前者は盛唐期に多く、西壁に描かれる例が大部分であった。後者はそれ程の傾向は窺知できなかったが、宋代まで、盛んに製作された。古写本ではスタイン本・ペリオ本を総合的に研究し、調巻・奥書に就て考察した。調巻では現行の七巻本、八巻本の他に十巻本という敦煌独自の遺例があり、その製作にあたり、竺法護訳「正法華経」の影響が看取された。また奥書の検討によって、近親者等の供養のために写経を行った例が極めて多いこと、長安で大規模な書写が行われ、それが多数敦煌に送られていたことなどを指摘した。北京本に就ては、未だ殆ど研究されていなかったが、「妙法蓮華経」を抽出し、写本点数が諸経典中第一であることを明し、また遺例の品数、長さ等を調査し、七巻本、八巻本、十巻本混在の様相を発見した。最後に、派生的テ-マである敦煌菩薩竺法護の訳経に就ての考察を試み、訳経の年代、訳経地、没年等の未解決の諸問題にスポットをあてた。特に訳経地に就ては、筆受などの訳経補助者の名を手掛りに「須真天子経」「正法華経」等が長安訳出であることを示した。また竺法護の訳経の特徴として校勘の不十分さなどに論及し、その原因として戦乱の時代であったこと、国家の保護がなかったことなどを指摘した。
著者
佐藤 尊文 森本 真理 伊藤 桂一 野々村 和晃
出版者
秋田工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、(1)カメラで数式を読み取り3次元グラフを表示するソフトの開発、(2)空間図形認識能力を評価するような指標の構築、(3)3次元グラフに関連する授業コンテンツの開発と社会への発信、という3つの内容からなる。3次元グラフの板書は難しく、導入時の授業で図形をイメージすることができずに、苦手意識のまま克服できない学生が多い。3次元グラフ表示ソフトはいろいろあるが、それぞれ数式の入力方法が異なり、授業などに導入する際には、使い方の説明に多くの時間が取られる。本研究は、(1)~(3)によって、空間図形に対する学生の苦手意識を減らし、能動的学修を推進する教育コンテンツの研究開発を目的とするものである。(1)について、平成29年度は、前年度に引き続きWindowsをOSとする端末でのソフト開発を進めた。カメラで撮った画像からの数式抽出、取得した数式が表すグラフのAR(拡張現実感)技術による特定のマーカ―への表示、タップやドラッグでグラフをいろいろと変化させる機能などについて、改良作業を行なった。また、カメラで読取ができない場合に対応し、手書き入力機能の開発を行ない、十分な精度で手書き入力ができるようになった。(2)について、平成29年度は、前年度に構築した評価指標に基づくCBT(Computer-Based Testing)を作成し、(1)のソフトを未利用の学生に対してこのCBTを実施し、指標の再検討を行った。(3)について、平成29年度は、高専シンポジウムにおいて(1)のソフトのデモを行い、実際に使ってもらって好評を得た。最終年度には、(1)のソフトを用いた授業設計シートの作成およびe-learningなどの自主学習のために利用できるコンテンツの開発を予定している。
著者
伊藤 邦博 木戸 俊哉 高阪 裕二 清野 俊 小無 健司
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

高速炉用制御材として期待されるハフニウム水素化物を被覆管に密封したキャプセルをロシアの高速実験炉BOR-60で照射し、照射後試験を実施した。その結果、目標とした照射条件(被覆管温度が500℃、600℃)が達成されたことが確認され、中性子照射量約14dpaにおいてもペッレト中に水素が保持され、キャプセルが健全であることが確かめられた。
著者
伊藤 セツ
出版者
北海道大学
巻号頁・発行日
1984

博士論文
著者
草野 晴美 伊藤 富子
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.193-201, 2004-12-20 (Released:2009-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

北海道千歳川水系における淡水性ヨコエビの分布を調べたところ,本流にはトゲオヨコエビEogammarus kygi (Derzhavin),支流にはオオエゾヨコエビJesogammarus jesoensis(Schellenberg),湧水源流付近にはエゾヨコエビSternomoera yezoensis(Uéno)が生息していることがわかった。また千歳川支流のひとつ,内別川におけるオオエゾヨコエビとトゲオヨコエビの調査から,(1)2種の分布は,隣接するにも関わらず重複が少なく,分布境界が明瞭であること,(2)その分布境界の上流と下流で河川の物理的な環境に差異は見られないが,産卵後サケ死体の現存量に有意な差が認められること,(3)2種とも消化管に植物質,動物質の餌を含むが,トゲオヨコエビの方がオオエゾヨコエビより動物質の餌,特にヨコエビ破片を含んでいる頻度が高いこと,が明らかになった。これらの結果から,オオエゾヨコエビとトゲオヨコエビの分布を決めている要因について,(1)トゲオヨコエビが千歳川下流から遡上することによってオオエゾヨコエビよりあとから上流域へ分布を広げた,(2)トゲオヨコエビは動物性の餌資源をより多く必要とするためサケ遡上区域(産卵後サケ死体の分布)と重複するように分布し,オオエゾヨコエビは貧栄養的な支流に追いやられている,(3)2種間に捕食などの直接的な関係があることによって分布が排他的になっている,という3つの可能性を考察した。
著者
湯浅 秀男 伊藤 正美
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1447-1453, 1999-11-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
11
被引用文献数
3 4

Some kinds of spatiotemporal pattern generator systems are expressed by evolution equations. Such evolution equations are composed of many dynamic units which behave from only its local information. This is one example to coordinate many subsystems which observe the system from inside and to generate a global order. This paper shows how to treat these evolution equations and how to apply it to network systems. First, a continuous media system which is expressed by a gradient system in function space is considered. One of the simplest potential functional derives a reaction diffusion equation which decreases the value of potential functional monotonously. The similar result is found in graph space. That is, a reaction diffusion equation on a graph decreases the value of a potential functional monotonously. This means that a network of dynamic units which observe only their connecting units' states can generate a global order in the same way of continuous media. This theory can treat some internal dynamic network system which should coordinate without some kinds of central controllers.