著者
佐々木 一泰 山形 政昭
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.21, no.49, pp.1285-1290, 2015-10-20 (Released:2015-10-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

In this study, we analyze drawing documents from the Rietveld Schröder Archif, in order to clarify the characteristics of the construction method of G. Th. Rietveld. The Schröder House is basically a brick structure, however the second floor is constructed of wood reinforced with steel, and has a balcony construction of reinforced concrete slab. The roof of the second floor also uses steel, which allows for the creation of a large open space. This combination of different construction materials is considered to be one of the significant architectural features of Schröder House.
著者
佐々木 香織
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.170, pp.1-16, 2018 (Released:2020-08-26)
参考文献数
20

本稿では,外国人散在地域である新潟県において外国につながる子どもの学習支援がどのような状況であるかを記述した。自治体が支援を行ってはいるが,外国につながる子どもが抱える問題は深刻で,十分とは言い難い。外国につながる子どもは,日本語の問題があるだけではなく,学校や家庭に居場所がないことがある。文化の違いから学校生活への適応が難しく,家庭でも教育に関する認識の違いから親と衝突することも多い。「りてらこや新潟」は,そのような子どもたちを支援するため,日本語指導に加え,教科補習を行う勉強会や入試対策の個人指導を行っている。勉強会は,子どもたち同士の交流の場ともなり,子どもたちの学習面だけではなく精神面を支える場ともなっている。しかし,外国人散在地域であるという点からも,新潟ではボランティアによる地域日本語教室だけでは担いきれない課題が山積している。行政からの支援等,さまざまなサポートが必要である。
著者
住友 典子 石山 昭彦 竹下 絵里 本橋 裕子 齊藤 祐子 小牧 宏文 佐々木 征行
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.303-308, 2019 (Released:2019-10-26)
参考文献数
15

【目的】慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー (chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy; CIDP) の臨床的特徴を後方視的に再考し, 診断の要点を探る. 【方法・対象】2か月以上進行する末梢神経障害で, 電気生理学的もしくは神経病理所見から脱髄を認め, CIDPと確定診断しえた8小児例を対象とした. 診療録より調査し, 障害部位から典型例, 遠位型 (distal acquired demyelinating symmetric; DADS) と非対称型 (multifocal acquired demyelinating sensory and motor; MADSAM) に分け臨床症状, 検査所見, 治療反応性を検討した. 【結果】典型例4例, 非典型例4例 (DADS 3例, MADSAM 1例). 全例で電気生理学的に脱髄所見が確認され, 3例では節性脱髄を認めた. 非典型例2例は髄液蛋白細胞解離と神経根腫大を共に認めなかった. 非典型例では, 典型例に比べ診断に時間がかかり (p=0.029), 遺伝性ニューロパチーとの鑑別に病理検査が有用であった. 治療反応性は全典型例, 非典型2例において免疫修飾治療により症状寛解を認めた. 【結論】小児の緩徐進行性の末梢神経障害ではCIDPの非典型例も鑑別に挙げ, その診断には電気生理学的な節性脱髄所見や病理所見が有用である.
著者
近藤 万里子 佐々木 沙和子 星山 麻木
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3-4, pp.111-123, 2022-09-26 (Released:2022-10-07)
参考文献数
24

In this study, we used the Rashomon method to interview 8 supporters about the specificities of the language development of the child with ASD and their relationships. The subject child did not produce significant words even during the language acquisition period, but he rapidly acquired language between the ages of 4and 5 years. Interview results reported that the age at which he was able to read varied among interviewees. It was also found that this was influenced by environmental factors. Not only that, the timing of acquisition of “reading” and “speaking” was also seen to be different from that of children with typical development, indicating the uniqueness of language development in children with ASD.
著者
吉岡 美佐子 沖田 学 佐々木 克尚 森垣 浩一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Bf0848, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに】 顔面神経麻痺後遺症のなかで病的共同運動は頻度が多く,難治性である.病的共同運動は,顔面神経の過誤あるいは迷入再生に伴って,同じ側の顔面神経支配筋が同期して収縮する顔面筋の運動である.顔面神経麻痺の治療法として,従来から顔面筋の粗大筋力訓練,低周波治療などが用いられてきた.しかし,H.Diels(1998)によれば,それらの運動が病的共同運動を増悪させることから用いないとされている.今回,脳梗塞により中枢性顔面神経麻痺を呈した症例に対し,顔面筋の病的共同運動の抑制を目的に,口角部の求心情報に着目して認知運動療法を行った結果,改善が認められたため報告する.【症例紹介】 症例は,右脳梗塞により左下肢の脱力感,左口角の麻痺を訴え当院に入院となった90歳代の男性である.発症から2日後の初期評価では,Br. stageは全てstage6,額のしわ寄せは可能であったが患側口角の低下がみられ,中枢性顔面神経麻痺が認められた.顔面神経麻痺の評価として,Sunnybrook Facial Grading System(SFGS)が72/100点,Yanagihara40点法(Y法)が26/40点であり,いずれも上歯を見せる,口笛を吹くといった口の運動時に口角部の部分麻痺がみられた.ADL面では食事の際,患側口角部から水分の流涎があり,それを防ごうと頚部伸展位で嚥下を行い,その結果むせ込みが認められた.主訴として口が動きにくいと訴えがあり,安静時に左右口角の位置の違いや,患側の口輪筋部の触圧覚が「わかりづらい」と述べていた.また,安静時,運動時ともに左右の口角,口輪筋へ注意を向けることが可能だが促さないと自ら注意を向けることが困難であった.【説明と同意】 対象者及び家族には,本研究の主旨を口頭で説明し書面にて同意を得た。【経過】 本症例は患側口角部の感覚が不明瞭で,顔面を動かした際の口角部の感覚フィードバックが不十分なため,過剰努力によって粗大な運動になる可能性が考えられた.この病態に対し,2週間後の目標を患側口角部に自ら注意を向けることが出来る,6週間後の目標を患側口角部の求心情報を正確に判断し,安静時,開口時ともに左右口角部の対称性を獲得することを目標に,二つの課題を40日間実施した.一つ目の課題は,求心情報を正確に判断するとともに口角部への注意を促すことを目的に,閉眼下にて左右口角部への硬度識別課題と,素材の識別課題を行った.方法として,硬度が異なる4種類のスポンジと,柔らかい素材,キメが粗いザラザラとした素材,キメが細かいザラザラとした素材の3種類を用いて,閉眼にて硬度の識別と,素材の識別を行った.経過に応じて段階的に(1)健側での触覚,圧覚のイメージを患側へ移すこと,(2)左右口角部へ触覚・圧覚刺激を加え,左右の触覚・圧覚の違いを識別すること,(3)患側での2種類の触覚・圧覚の違いを意識するように教示を行った.二つ目の課題では,実際の運動と運動感覚の一致を目的に,小さくゆっくりとした運動を行い,鏡を用いてのフィードバック課題を治療介入当初から実施した.その結果,発症から約40日後の最終評価では,SFGSが91/100点,Y法が32/40点と,特に口輪筋部の麻痺の改善が認められ,安静時や開口時の口角部が左右対称となった.また,最終評価では患側口角部の感覚が「やわらかくて沈み込んでくる感じ」などと述べており,内省の変化もみられた.さらに,初期評価では安静時,運動時ともに促しがなければ左右の口角,口輪筋へ注意を向けることが困難であったが,最終評価では促しがなくても,自ら注意を向けることが可能となった.さらに食事場面においては,ゆっくりとした口角部の運動であれば患側口角部からの流涎もなく,むせ込みも認められなかった.【考察】 今回,病的共同運動を軽減させるために求心情報に注意を向け運動プログラムの再構築を図った.患側の口輪筋部の求心情報を正しく判断し,努力性収縮を制限した結果,異常な病的共同運動の抑制が可能となり,顔面の対称性の獲得へと繋がったと考えられた.【理学療法学研究としての意義】 四肢に対するリハビリテーションは既に,運動学習の原理に沿ったかたちで求心情報に注意を向け,運動プログラムの再構築を図っていくことが臨床展開されている.顔面神経麻痺の回復過程も構造的特殊性はあるものの,それらを含えたアプローチが重要と考えた.
著者
佐々木 隆文 佐々木 寿記 胥 鵬 花枝 英樹
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.19-48, 2016-03-31 (Released:2018-12-07)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本研究では日本企業を対象に流動性保有の動機,目的をアンケートにより調査し,(1)日本企業においても米国を含めた外国企業と同様,予備的動機が余剰資金保有の最も重要な動機となっていること,(2)日本企業における余剰資金保有では,消極的な予備的動機(将来のキャッシュフロー不足への備え)のみでなく,積極的な予備的動機(将来,予想外の投資機会が生じた場合への備え)も同じぐらい重要な動機となっていること,(3)当座貸越の利用やメインバンクへの信頼感がコミットメントライン未設定の要因になっていること,(4)余剰資金保有の背景に直接金融へのアクセスが限定されているとの認識があること,(5)銀行への信頼感は積極的な予備的動機による余剰資金保有のみを代替し,消極的な予備的動機による余剰資金保有を代替しないこと,(6)ガバナンスのあり方が流動性手段の選択に影響を及ぼすなどの知見を得た.
著者
飯島 茂子 沼田 充 佐々木 和実
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.669-677, 2020 (Released:2020-09-18)
参考文献数
13
被引用文献数
1

【背景】ニトリルゴム手袋によるアレルギー性接触皮膚炎の抗原決定基については,いまだ完全には明らかにされていない.【対象】ニトリルゴム手袋によるアレルギー性接触皮膚炎と診断した36 歳女性.【方法】使用していたゴム手袋,ジャパニーズスタンダードアレルゲンおよびその成分,および手袋の化学分析にて検出された物質を用いてパッチテストを行った.【結果】ニトリルゴム手袋,チウラムミックス,ジチオカルバメートミックス,テトラメチルチウラムジスルフィド,ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛が陽性,テトラメチルチウラムモノスルフィド,ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛が疑陽性であった.手袋の化学分析でエチルイソチオシアネートおよびブチルイソチオシアネートが検出され,これらのパッチテストもともに陽性であった.【結語】自験例をエチルイソチオシアネートおよびブチルイソチオシアネートによって感作された接触皮膚炎と診断し,これらアルカリイソチアネートが原因抗原となりうると考えた.加硫促進剤不使用のニトリル手袋は,代替として推奨できる.
著者
佐々木 昌夫
出版者
日本美術教育学会
雑誌
美術教育 (ISSN:13434918)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.292, pp.34-41, 2009-03-31 (Released:2010-12-16)
参考文献数
6

In this article, establishing oneself and expanding one's view of the world as a result of encountering the “foreigner” is characterized as a two-way communication. Based on my previous article entitled “Consideration of the Exterior World-“Stranger” in M. Duchamp and the Scribbling of a Child”, this article investigates it with specific reference to woodcarving class in high school art education. Subsequently, attention is focused on drawing class for kindergarten children aged 4 in order to provide further insight into the positional superiority of the “learner”, as the “foreigner”, over the “teacher” and art education as the dialogue between the “learner” and the “teacher”. In addition, the article suggests that art education, fostering creativity derived from a two-way communication, can serve as a basis of all human activities.
著者
鈴木 啓悟 吉田 翔太 佐々木 栄一 竹谷 晃一 前田 健児 近藤 泰光
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_731-I_737, 2016 (Released:2017-01-29)
参考文献数
14

橋梁の腐食損傷は主として水分と塩化物の存在に影響を受ける.これらの腐食因子は風向,風速,気温,湿度,降雨,波浪などの気象外乱の複合作用により橋梁に来着する.本研究は,ACM センサで計測される腐食応答電流値を主とした1年間のモニタリングデータを基に,まず外乱となる気象データから重回帰式を求めた.次に重回帰式から過去5年分の気象データをもとにしたACM電流応答の推定値を算出し,その季節変動に伴う応答傾向の再現性を検証したうえで,最後に重回帰式の各係数のt値を評価することで,腐食応答に及ぼす原因について検証した.検証の結果,本研究の事例においては降雨と風の相互作用により,腐食応答が促進される可能性が示唆された.
著者
田島 勇二 栗山 七重 志水 佑后 佐々木 淳
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.230-239, 2023 (Released:2023-08-25)
参考文献数
28

Scenario-based emotional stimuli can deal with environmental restrictions, psychological shocks, and difficulties in evoking complex emotions. This study aimed to translate the emotion vignettes by Wingenbach et al. (2019) into Japanese and validate them. In the translation process based on the ISPOR guidelines, two forward translators translated the vignettes into Japanese, and then one back-translator translated them into English. After receiving confirmation and correction from the original author, 40 vignettes to elicit emotions (anger, disgust, fear, sadness, happiness, gratitude, guilt, and neutral) were developed. Next, a survey was conducted on 70 Japanese college students. As a result of the analysis without the vignettes with the lowest hit rate in each emotional category, the vignettes in each emotional category were separated by hierarchical cluster analysis, and the vignettes had acceptable hit rates and intensity rates. These results confirmed the validity of the emotion vignettes, and 32 vignettes are included in the final stimulus set. These stimuli can be used for emotion research (e.g., emotion elicitation or emotion recognition).
著者
佐々木 健人 小檜山 雅之
出版者
JAPAN ASSOCIATION FOR EARTHQUAKE ENGINEERING
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.31-47, 2007 (Released:2010-08-12)
参考文献数
34
被引用文献数
3 1

住宅購入時の意思決定を支援する耐震等級の説明に関し, 被害発生確率を用いた説明方法が有効であることをアンケート調査により検証した。調査対象は横浜市・川崎市・東京都23 区在住の持ち家志向を持つ30代・40 代の市民とし, 759 人の有効回答を得た。調査項目は地震発生リスク認知と耐震性能の選好性に関する項目等とした。集計結果から, 回答者が地震発生リスクを過大に認知していること, 求める耐震性能にばらつきがあることなどが明らかになった。また, 耐震性能の説明として震度の大きさに対する被害発生確率の提示が有効であること, 耐震等級ごとの地震被害リスクとコストの情報を提供しリスクを過大視するバイアスを除去したのちも高い耐震性能を要望する傾向などが確認された。
著者
新井 典子 小林 麻衣子 杉浦 裕太 佐々木 恭志郎
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究は赤ちゃんロボットを活用し,当事者だけではなく社会全体の子育て力の底上げを目的とする.まず,赤ちゃんの「泣き」に関する振る舞いを模したロボットの開発を目指す.さらに,開発したロボットを利用した子育てトレーニングプログラムの策定を行い,乳幼児に対するストレス緩和をはかり,適切なあやし行動を習得させる.このようなロボットを利用したトレーニングプログラムを様々な社会集団や虐待経験のある親や里親希望者に展開し,より効果的なものにブラッシュアップする.本研究は, 心理学とロボティックスを融合させた新しいトレーニングプログラムを提案するものである.
著者
佐々木 順二
出版者
筑波大学心身障害学系
雑誌
心身障害学研究 (ISSN:02851318)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-16, 2005-03

大正期の和歌山県立盲唖学校において和歌山聾唖興業界が設立される経緯と理由を、学校支援組織が果たした役割、卒業後問題、初代校長辻本與次郎の教育理念との関係の観点から解明した。和歌山県立盲唖学校は、小学校教育の目的・内容を準用した教育と、障害に応じた職業教育を提供することで、生徒には、精神面での自発性、身体面での健康、そして社会生活を営むための常識と職業的技能の装備を期待した。しかし、学校の財政的基盤は脆弱であり、教育力不足、教員への過重負担、自校校舎の不在という教育的課題に直面していた。これらの教育的課題には、和歌山市周辺の有志による人的・財政的支援を受けた学校後援会及び新築期成同盟会が対処していった。この過程で、和歌山聾唖興業界が比較的裕福な家族を中心に設立されたが、同会は卒業生の就労困難と社会的孤立への対処を目指しており、聾唖者の自活と国民としての人格の向上という辻本の教育理念を反映するものであった。