著者
佐藤 慶季 中島 裕輔
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.83, no.753, pp.901-911, 2018 (Released:2018-11-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

Recent years have seen the wide adoption of floor insulated houses. Floor insulated houses is Many studies in the past have reported the high humidity of crawl spaces in the summer season. In this research, we propose a humidity control method for crawl spaces in floor insulated houses based on actual measurement data. The effects of that proposal on crawl spaces were clarified through experimentation and simulation. The result is shown as follows. 1) In the actual measurement, crawl space of target house is average relative humidity 80% or more in summer season. It was guessed that high humidity of crawl spaces can be suppressed by supplying indoor air to crawl space. 2) In the experimentation, it was confirmed that the relative humidity decreased due to the air supply effect. But the cumulative percentage at a relative humidity of over 80% didn't fall below 80 percent. Therefore, this result shows that the risk of fungal contamination is high. 3) In the simulation, calculations were performed to supply indoor air to the crawl space as in the actual measurement. it was confirmed that the relative humidity decreased due to the air supply effect in all areas. And it was shown that the risk of fungal contamination is relatively low where the cumulative percentage of relative humidity of 80% or more is 50% or less. Increase rate of heating load in the house was about 10% at maximum. As above, characteristics of hygrothermal behavior in the crawl space were clarify. And it was shown that supplying indoor air to the crawl space is effective for reduction of high humidity in the crawl space. The proposed method is effective only when indoor air is low humidity by air conditioner etc. But it is guessed that there are many people who use air conditioning in summer season. Therefore, it is believed that the method proposed in this research is important.
著者
佐藤 慶幸
出版者
国際ボランティア学会
雑誌
ボランティア学研究 (ISSN:13459511)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.5-23, 2002

公共性とは、各個人が各自の社会生活を営む過程で、<私>のものとして蓄えたものを、一定のルールにもとづく他者との相互作用関係のなかで、言説と行為として表出するところの、公開的な社会空間である、と定義する。公共性の類型として、市民的公共性、公的公共性、そして共同体的公共性を提示し、これら三つの公共性の関係について論及する。市民的公共性は、多様なアソシエーション個体群から形成され、「市民社会」の基本的構成要素をなす。この市民社会は、非市場経済的(非営利的)、かつ非政府的なアソシエーションからなるという点で、それは労働・資本・商品などの市場によって方向づけられる資本主義社会としての「市民社会」とは異なる。本論で用いる市民社会概念は、資本主義社会における非資本主義的構造としての市民社会である。民主的国家においては、国家は言論の府としての国会をとおして公的公共性を形成し、官僚制機構をとおして公的公共政策を遂行し、国民生活に大きな影響を与える。しかし、日本の場合、この公的公共性と市民的公共性との関係に対して、共同体的公共性が介入し公的公共性のあり方に大きな影響を与えている。しかし、歴史の大きな流れは、公権力と結びついた共同体的公共性が、市民革命や市民運動をとおして、個人の人権と生命の尊重を基盤とする、自由で平等主義的な市民的公共性へと転換していく方向にある。この転換を可能にするのが、アソシエーション革命であり、ボランティア活動である。
著者
佐藤 慶治
出版者
精華女子短期大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

研究2年目においては、「みんなのうた」初代チーフ・プロデューサーであった故後藤田純生氏に更に焦点を当て、国会図書館、後藤田氏遺族自宅での資料調査や論文執筆・学会発表を行った。また、申請書に記載していた六つの研究課題のうち、以下の二つの課題について掘り下げることができた。⑤「ゼッキーノ・ドーロ」の調査「みんなのうた」の楽曲には、1959年に始まったイタリアの児童音楽祭「ゼッキーノ・ドーロ」の入賞歌曲を原曲とするものが複数存在する。後藤田氏の資料より、後藤田氏が「ゼッキーノ・ドーロ」の楽曲を「みんなのうた」に輸入した経緯を検討し、また商業主義の強かった「ゼッキーノ・ドーロ」の楽曲が「みんなのうた」に入ることにより、その後のポピュラー路線につながる契機となったことを導き出した。⑥学校教育における楽曲使用の調査この課題については、まず保育現場や小学校で使用されている楽曲の実態を検討した。また「NHK番組アーカイブス学術利用トライアル」にも参加し、「ポピュラー性」をキーワードとして、特集番組等における「みんなのうた」各楽曲の使用頻度について調査を行い、各楽曲の認知度について分析を行った。また、5月3日に東京・晴海区民館で初期「みんなのうた」の関係者(当時のディレクター、演奏者、ファン会会員等)を招いての研究座談会を行った。これによって、1960年代の「みんなのうた」の制作背景や、当時の番組の受容についての情報を得ることができた。更に、9月17日に国際シンポジウム「近代の音と声のアーカイブズ」を熊本大学音楽学講座と共同開催した。そこで報告「戦後のNHK児童番組の資料保存についての現状と『みんなのうた』写真資料の発見」を行い、映像が失われてしまった1962年度版「大きな古時計」について、後藤田氏の資料よりセル画の写真資料を発掘したことと、再現映像を作成していることについての発表を行った。
著者
櫻井 史紀 岩島 覚 早野 聡 佐藤 慶介 芳本 潤
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.181-187, 2020-02-15 (Released:2021-04-22)
参考文献数
23

成人先天性心疾患に神経性食指不振症を合併し経過中に心房粗動(atrial flutter;AFL)を発症した19歳女性を経験した.症例は生後に心雑音に気づかれventricular septal defect(VSD perimenbranous type),pulmonic stenosis(PS, valvular and subvalvular stenosis)と診断.3歳3カ月時に人工心肺管理下にVSD閉鎖術,右室流出路形成術施行.術後経過は良好であったが,16歳頃より神経性食思不振症(anorexia nervosa;AN)と診断され,その頃より動悸を自覚,入浴後に突然動悸が持続し救急外来受診,AFLが疑われたが,不整脈治療準備中に自然頓挫し動悸の症状も消失した.不整脈発症前の心臓MRI検査で右房右心系の拡大とpulmonary regurgitation fraction 39.8%を認め,ANの治療が長期に及ぶ可能性があったため心臓電気生理学検査を施行,三尖弁輪を反時計方向に旋回する頻拍が誘発されAFLと診断,アブレーション療法施行.その後の経過は良好であった.成人先天性心疾患症例では経年的に不整脈を合併するリスクがあるがAN等,不整脈を合併しやすい病態を合併した場合,さらに不整脈発症のリスクが高まる可能性があるため注意深い観察が必要と思われた.
著者
松岡 森 佐藤 慶彦 本田 憲胤
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.488-492, 2015-12-31 (Released:2016-01-26)
参考文献数
13

肺癌に対する異なる術式(胸腔鏡下手術と開胸手術)におけるインセンティブスパイロメトリーを含む呼吸リハビリテーションの効果を,術後呼吸機能回復率を指標に検討した.入院診療録より患者背景・手術記録を調査し,呼吸機能評価として1秒量・肺活量を測定した.胸腔鏡下手術11名,開胸手術13名の患者を対象とした.平均年齢は胸腔鏡下手術群70.6歳,開胸手術群64.4歳と差があり,呼吸機能・手術関係要因などにも差を認めたことから,両群の単純比較はできなかった.術前呼吸機能実測値から切除部位損失率を引いたものを予測値(100%)とし,実測値/予測値を術後呼吸機能回復率とした.回復率は,両群ともに術後予測呼吸機能回復率の80%前後であり,先行研究と比較して,インセンティブスパイロメトリーを含む周術期理学療法が呼吸機能の回復を早めた可能性が考えられた.
著者
佐藤 慶幸
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.588-589, 2012-03-31 (Released:2013-11-22)

1 0 0 0 脊髄梗塞

著者
佐藤 慶史郎 内山 剛
出版者
三輪書店
雑誌
脊椎脊髄ジャーナル (ISSN:09144412)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.103-106, 2016-02-25

はじめに 脊髄梗塞は,脊髄を支配する血管の血流障害により引き起こされる急性脊髄障害,脊髄実質の壊死である.急性脊髄障害の5〜8%,全脳卒中の1〜2%とまれな疾患である12).広い年齢層にみられるが,平均年齢は50〜60代とする報告が多い3,6,8〜11). 日常診療において出会う機会は多くはないが,その診断,治療には難渋することがあり,重篤な後遺症を残す場合もあるため,その病態,診断,治療に関して述べる.
著者
佐藤 慶幸 景山 陽一 西田 眞
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp._7-4-1_-_7-4-2_, 2009

In this paper, we propose a method to identify commands by analyzing three kinds of lip motion features: lip width, length, and ratio of width and length. Our experimental results for twenty kinds of commands, spoken by nine persons, suggest that the proposed method is suitable for identifying various commands.
著者
佐藤 慶明
出版者
THE CARBON SOCIETY OF JAPAN
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.261, pp.29-31, 2014

<i>sp</i><sup>2</sup>炭素の2次元ハニカムネットワーク構造をもつグラフェンは,その特異的な π 電子物性が注目されるとともに,現在のナノ物性科学の重要な一端を担っている。特に,原子1層の厚さしかないグラフェンでは,表面に吸着した分子がグラフェンの π 電子状態を大きく変調させるゲスト種として働き,電子輸送特性など様々な電子物性の変化が顕れる。したがって,表面分子・グラフェン間に働くホスト–ゲスト相互作用のメカニズムを理解し制御することが重要となる。本学位論文では,ゲスト種として弱い電子アクセプターとしての性質と,三重項(<i>S</i>=1)磁性を併せ持つ酸素分子に着目した。グラフェンFET (Field-Effect Transistor)デバイスにおける電子輸送特性の測定実験を通して酸素吸着効果を系統的に検証し,圧力・温度条件による酸素吸着構造の変化に応じた,様々な電子的・磁気的変調効果がグラフェン電子物性に顕れることを明らかにした。また,吸着現象もグラフェンの電子状態の影響を強く受けており,外部電場等によりグラフェンの電子密度を変調させることで,酸素吸着の挙動を制御可能であることを示した。<br>本学位論文は全6章から構成されている。第1章で本研究の背景,目的,意義を述べた後,第2章で電子輸送ならびに電荷移動反応過程の考察に必要な理論的枠組みを提供した。第3章ではグラフェン電子輸送特性に対する室温下酸素吸着効果を電子散乱・電荷移動の2点に着目して議論した。電荷移動活性のフェルミ準位依存性を反映した酸素吸着挙動変化が観測されたことを踏まえ,電気化学反応機構の知見をベースとしたグラフェン上吸着キネティクスの理論的モデル構築を行い,グラフェン等の低次元物質に対する吸着の特殊性について指摘した。第4章では第3章の結果を発展させ,グラフェンをデバイス化したときに問題となる電荷分布の空間的不均一性が室温化学吸着に与える影響について実験・理論両側面から議論し,吸着分子の空間分布制御の可能性を示唆した。第5章では,液体窒素温度以下での低温における酸素吸着(物理吸着)効果について述べ,観測された異常な磁気抵抗振動と,グラフェン伝導電子–吸着固体酸素2次元スピン格子構造間の磁気的相互作用の関連について記述した。第6章では本研究における成果をまとめ,今後の展望について述べた。本稿では,学位論文の主要部である第3章から第5章にかけて説明する。
著者
佐藤 慶 山本 信次 広田 純一 Kei Sato Shinji Yamamoto Jun-ichi Hirota 岩手大学大学院農学研究科 岩手大学農学部 岩手大学農学部 Graduate School of Agriculture Iwate Univ. Faculty of Agriculture Iwate Univ. Faculty of Agriculture Iwate Univ
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画論文集 = Transactions of rural planning (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.241-246, 2001-12-07
参考文献数
5
被引用文献数
3

本研究では、地域づくりの優良事例の内容をミクロに分析し「住民主導」の内実を明らかにすることを目的とした。本事例からは、地区住民から出された要望を地域リーダーが具体化し、それを自治会役員会が承認し、地区全体の活動として実施するという、活動における地域リーダー層の役割を明らかにすることができた。こうした地域リーダー層以外の一般住民の意識と活動に対する関与の実態を明らかにすることを目的としたアンケート調査を行った。その結果、地区住民の中には「地域づくりを支持はするが、自ら積極的にかかわりたいとまでは思わない」といういわば「消極的支持層」が存在することが明らかになった。In J area in Murone village, Iwate Prefecture, several community activities have been found to contribute to revitalization of the rural community and people's exchange with visitors. This study is to analyze the involvement of local people in the development process of those activities, to discuss how the activities became possible and to analyze the consciousness of local people about those activities. The result of the questionnaire are summarized as follows : 1) a half or more local people agreed to do those activities, 2) though some of them had intention of leaving up those activities to someone else.
著者
住 昌彦 渡辺 正秀 佐藤 慶二郎 清水 郁夫 植木 俊充 赤羽 大悟 上野 真由美 市川 直明 浅野 直子 小林 光
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1782-1787, 2011 (Released:2011-12-17)
参考文献数
14

75歳男性。2年前より間欠的な好中球減少を認め,貧血も伴うようになり紹介,高度な好中球減少,網状赤血球著減を伴う貧血,軽度の血小板減少を認めた。骨髄穿刺検査では高度な低形成であったが巨核球は保たれ,顆粒リンパ球が45.2%を占めていた。表面マーカー解析,T細胞受容体遺伝子再構成の結果からT細胞性顆粒リンパ球性白血病に合併した骨髄不全と診断した。抗胸腺細胞グロブリン,cyclosporine併用療法を開始し,16日目には血球は回復したが,29日目より発熱・リンパ節腫脹を認め,異型リンパ球が出現し,血中でEpstein-Barr virus (EBV) DNAが検出された。その後急激な肝機能障害・肝腫大が出現し多臓器不全で42日目に死亡した。剖検で肝,腎などにEBV陽性の大型異型Bリンパ球の浸潤を認めEBV関連リンパ増殖性疾患が死亡原因と考えられた。
著者
佐藤 慶明
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学人間環境論集 (ISSN:13472135)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.109-117, 2011-02

サッカーでは,インプレーの際にゴールキーパーをのぞくフィールド選手は手の使用を禁じられている。脚部を中心として行われるサッカーではあるが,実際のゲームでは空中でのボールを処理する事が〓繁にある。そのため,ボールをコントロールする技術としてはキック以外に「ヘディング」という技術の習得も必要となってくる。ヘディングは,腰部よりも高い位置にあるボールをコントロールするために必要な技術である。ヘディングを行う場面は,空中を飛んできたボールに対して,脚を地面と接地したまま行う「スタンディングヘッド」とジャンプして行う「ジャンピングヘッド」がある。また低いライナー性のボールに対して飛び込んでいく「ダイビングヘッド」も〓度は高くはないが行われる。ヘディングはサッカー未経験者には恐怖心が伴うので技術習得が困難である。本稿では初心者にも対応できる指導法を紹介する。
著者
佐藤 慶太
出版者
上智大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本年度は、カントの概念論の固有性を明らかにするために、「概念」の取り扱いに関してカントがカント以前の哲学者とどのように対決し、どのようにそれを乗り越えていったのかを検証した。研究は、『純粋理性批判』の「純粋理性の誤謬推理について」、および「純粋悟性概念の図式論について」に焦点を絞って行った。「誤謬推理」章を取り上げた研究に関しては、『哲学』第60号掲載の論文と、11月に行われた日本カント協会第34回学会のワークショップでの発表において、その成果をまとめている。この研究において明らかとなったのは、カントの概念論における「徴表(Merkmal)」の重要性である。上記の論文および研究発表において示されたのは、「徴表」という概念に着目して「誤謬推理」章を読解すると、カントの「概念論」の固有性のみならず、カントの形而上学構想の変遷の意味を理解する手掛かりも得られる、ということである。そのほか、カントの論理学講義の内容と、『純粋理性批判』との関連の明確化も併せて行ったが、この点でも意義があったといえる。「図式論」を取り上げた研究の成果は、9月に行われた実存思想協会・ドイツ観念論研究会共催シンポジウムにおいて発表することができた。この発表においては、カントの「図式」がデカルト以来の近世哲学における「観念」をめぐる論争の系譜に位置づけられること、またこのような系譜への位置づけおこなうことではじめて、「図式論」章の役割が明確になることを示した。また上記の二つの研究を含む課程博士論文「カント『純粋理性批判』における概念の問題」を京都大学に提出し、11月24日付で学位を取得した。