著者
中村 豊 佐藤 勉 齋田 淳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00260, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
13

構造物などのヘルスモニタリング手法として,波動伝播速度や減衰定数を観測波形から直接リアルタイム計測できるCERS法がある.これをダム堤体の一部であるスラストブロックの物性値計測に適用した.対象は仙台市青葉区の大倉ダム(1961年に建設された日本唯一のダブルアーチダム)であり,竣工後50年の2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)の際にも特に被害は報告されていない.公開されたアーチ間のスラストブロック頂部および点検坑道内の強震記録により,観測点間の波動伝播速度をCERS法により直接測定し,物性の変化を検討した. その結果,Mw9.0の強震動でスラストブロックの剛性が約6割まで低下し,記録終了時には約7割に回復したことが確認されるなど,物性値の変動や減衰に及ぼす貯水位の影響等が把握できた.
著者
佐藤 文平 船渡 和男
出版者
一般社団法人 日本運動・スポーツ科学学会
雑誌
運動とスポーツの科学 (ISSN:13421026)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.85-92, 2020-03-20 (Released:2022-12-15)
参考文献数
13

A skilled service is important for an effective tennis match. There are primarily three types of tennis service styles: a flat service, a slice service, and a kick service. There is a trade-off between the speed at which a tennis ball is served and its RPM. Studies indicate that a high-quality kick service or slice service requires hitting the ball at a high speed with a rapid spin. Japanese top tennis players including Kei Nishikori have ascended to the top of the rankings at the ATP World Tour tournaments, but no study has quantified the speed and spin rate of tennis balls served by Japanese top-ranked professional male tennis players (Pro group), top university male tennis players (UT group), and top junior male tennis players (JrT group). This study compared and quantified the correlation in ball speed and RPM within the top tier of each competition level in japan (Pro group, UT group, JrT group) to determine the relationship between the level of competition and the service success rate.The following were revealed. 1) A significant negative correlation between the speed at which a ball is served and its spin rate (trade-off relationship) was observed in all groups, as measured using TRACKMAN. 2) The higher the competition level, the greater the tendency of the values to be at the upper right of the graph (X axis speed, Y axis RPM). 3) The performance of the serve can be evaluated from ball speed, RPM and the number of attempts to achieve the task.
著者
施 光恒 柴山 桂太 佐藤 慶治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、ポスト・グローバル化時代の日本の国づくりの指針となる「新しい日本型」の社会構想を、政治学や経済学、文化研究の観点から描き出すことを目指す。その際、各国で1990年代以降に本格化し現在まで続く新自由主義に基づくグローバル化の推進の結果として構築されてきた国際政治経済秩序の変革を行う必要がある。そうしなければ各国の政策的自律性が発揮できないからである。それゆえ、本研究では、各国型の国づくりを許容するポスト・グローバル化の多元的国際秩序のあり方を検討し、そこにおける新しい日本型システムをどう描き出すか考察していく。
著者
佐藤 光雄 高橋 正嗣
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-6, 1968-11-29 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9

1. ひげを先端から約1/2のところで切断すると, 18時間後には傷口は表皮によって完全におおわれ, 中心血管の切り口も血塊栓によってふさがれてしまう。2. 切断後5日目になると, 切断端付近の表皮下間隙の大半を領していた血塊と, 上記の血塊栓は次第に吸収され, これらの部分は結合組織由来の細胞によって占められる.この細胞群が再生芽とみなされる。3. 平滑筋層の再生は主として再生芽細胞の平滑筋細胞への分化によって起り, これに既存の平滑筋細胞の分裂が一部あずかっている.4. 中心血管の再生は, 既存の内皮細胞の分裂増加によらず, 再生芽細胞の内皮細胞への分化にもとづくものと考えられるが, 今後なお検討の要がある.5. 再生部の表皮に終末球が出現する時期は切断の10日目以後であり, 25日目には再生部の組織構造が正常部のそれとほぼ等しくなる.再生部の伸長速度は1日あたり平均0.06mmであった.6. 本種では, 再生部付近の表皮はもちろん, 結合組織にも分裂像が明らかに認められる.
著者
佐藤 元泰 中谷 伸
出版者
特定非営利活動法人 日本電磁波エネルギー応用学会
雑誌
日本電磁波エネルギー応用学会機関誌 (ISSN:24341495)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.9-12, 2023 (Released:2023-08-15)

中谷伸君と私は、核融合中性子によって、定常運転する核融合と核分裂のハイブリッド原子炉の実現を目指しています。
著者
佐藤 秀樹
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.32(第32回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.323-328, 2018 (Released:2018-12-07)
参考文献数
2

筆者は,バングラデシュ・クルナ市において,ウエイスト・ピッカーによる有価廃棄物の分別・回収を通じた資源循環や環境保全へ貢献する役割の認識および彼らの社会的差別・偏見の緩和,並びに地域住民の適切なごみ管理をテーマとした環境教育教材(フリップカード,カルタ,ボードゲーム,アクションプランシート)を開発した。今回の研究では,次世代を担う小中学校40校の生徒(小学生1,690人, 中学生828人)に対して開発した教材の学習理解度を把握することを目的とした環境教育プログラムを実施した。その結果,8割以上の小中学生から理解を得ることができ,参加した教師,保護者からだされた意見集約では教材の有用性・必要性が明らかとなった。
著者
佐藤 秀樹
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.30(第30回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.151-156, 2016-11-28 (Released:2016-11-28)
参考文献数
5

バングラデシュ・クルナ市では,「ウエイスト・ピッカー」と呼ばれるインフォーマルセクターの労働者が街のごみ集積場や最終処分場で有価廃棄物を収集し生計を立てている。手袋や長靴を身につけない人が多いため, 彼らの約70%は皮膚そう痒の疾患を患っている。彼らの労働衛生の環境改善に関する必要性は指摘されてきたが,能力向上を図るための衛生教育は十分でない。そこで,本研究では彼らの衛生教育の必要性と教材開発の内容に関する方向性を考察した。その結果,視覚教材開発や体験学習を通じて,「ごみ」,「安全管理」,「健康」の視点から,彼らの生活環境やメンタルケアを含めた教育の重要性が認識された。
著者
佐藤 豪 武田 憲昭
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、振動覚を用いた感覚代行技術により、視覚依存性と体性感覚依存性の重み付けを変化させることにより、安定した姿勢制御を獲得できる新しい前庭リハビリテーションを開発することである。本研究により、頭部の傾斜情報を下顎の振動覚としてフィードバックできるウェアラブルデバイスを開発し、失われた前庭情報を振動覚として感覚代行することが可能となった。健常人に対しては、装用により視覚依存性と体性感覚依存性の低下し、一側前庭障害患者に対しては、視覚依存性と体性感覚依存性が変化することで歩行機能が改善し、めまいのQOLも改善した。両側前庭障害患者に対しては、歩行に対する装用効果を認めた。
著者
佐藤 徳子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.153-158, 1958 (Released:2010-10-29)
参考文献数
7

Similarly the part 1, comparative studies are made on the girth of the chest ratio, the sitting height ratio, Rohrer's index, Kaup's index and the girth of the upper arm of blind and normal school-children (6-19 year) in four prefectures of Tohoku district, and the following characteristics are found.(1) In the weight and the girth of the chest, blinds are not so inferior to normals as in the height, therefore the girth of the chest ratio and Rohrer's index of blinds are somewhat greater than normals'.(2) The sitting height ratio of blinds are greater than normals' in spite of the height of blinds are inferior to normals' so it seems that blinds have shorter legs than normals.(3) Kaup's index of blinds are inferior to normals'.(4) The girth of the upper arm of blinds are greater than normals' at the young ages, but the elder ages in school-life are inferior to normals.
著者
佐藤一一著
出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
2003
著者
山本 峻平 佐藤 弘隆 髙橋 彰 河角 直美 井上 学 矢野 桂司
雑誌
じんもんこん2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.199-206, 2017-12-02

本研究では,1978(昭和53)年に全面廃止となった京都市電の写真資料に撮影位置の情報を付加させたデータベースを構築し,それを活用した過去の記憶のアーカイブの可能性について検討する.過去の京都市電の写真の撮影位置を特定するには,過去の大縮尺の地図などを用いることが有効である.しかし,都市景観の急速な変化から,撮影場所を特定することが難しい場合も多い.そこで,本研究では,クラウドソーシングを用いた撮影場所の特定方法を提案した.また,一般市民を対象とした京都市電の写真の展示会を実施し,過去の写真と大縮尺の地図を用いて,人々の過去の記憶のアーカイブの作成を行った.その結果,写真や史資料に残らない,当時の生活や体験などに関する記憶を蓄積することが可能となった.
著者
佐藤 岩夫
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.5_12-5_18, 2021-05-01 (Released:2021-09-24)

科学技術基本法が2020年6月に改正され、法律の名称も「科学技術・イノベーション基本法」に改められた。同法の改正は、1995年の法制定以来四半世紀ぶりのことである。この間、日本の科学者の代表機関である日本学術会議は、折に触れて従来の科学技術基本法には看過できない問題があることを指摘し、その改正を提言してきた。日本学術会議の主張の骨子は、①人文・社会科学を含む総合的な学術政策の実現、②基礎科学・基礎研究の推進、③政府の科学・技術政策への科学者コミュニティの意見の反映の3点である。本稿は、これまで日本学術会議が発出してきた提言等を振り返り、今回の科学技術基本法改正に至る日本学術会議の取り組みと基本的な問題意識を改めて整理するものである。今回の基本法改正に合わせて内閣府設置法が改正され、科学技術・イノベーション政策に関する司令塔機能の強化が図られることとなった。科学技術・イノベーション政策や基本計画の策定に科学者コミュニティの意見を反映させる日本学術会議の役割は益々重要となると思われる。
著者
真部 正敏 猶原 順 佐藤 禎 岡田 純也
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.497-501, 1988-07-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
10
被引用文献数
2 8

温州ミカンとリンゴのパルプに0.05N塩酸液など3種の抽出液を加え, Mw (2450MHz, 1030w)を1回につき5分間照射してペクチンを抽出し,抽出の効果,抽出されたペクチンの性状を調べた. (1) Mw加熱による抽出では,湯浴による加熱抽出に比べて,抽出に要する時間は著しく短縮された.また,抽出されるペクチン量は, Mw加熱法の方が高かった. (2) Mw加熱による抽出液をエタノール沈殿して調製したペクチンのガラクツロン酸量,エステル化度および相対粘度は, Mwの照射回数が増すに従って減少した.
著者
尾関 麻衣子 仲澤 裕次郎 田中 公美 佐藤 志穂 駒形 悠佳 宮下 大志 戸原 雄 高橋 賢晃 田村 文誉 菊谷 武
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.11-17, 2023-06-30 (Released:2023-07-28)
参考文献数
25

回復期において経口摂取が困難となり胃瘻造設された患者が,入院中から退院後の継続した摂食嚥下リハビリテーションと栄養介入により,経口摂取が可能となった症例を経験したので報告する。 患者は70代後半男性。腸閉塞から脱水状態となったことで脳梗塞を発症して入院し,その際の嘔吐により誤嚥性肺炎を発症した。入院中は中心静脈栄養による栄養管理が行われた。経口摂取の再開に向けて,病院主治医からの依頼で病院に訪問した歯科医師が摂食嚥下機能評価を行い,病院の言語聴覚士に対して摂食嚥下リハビリテーションを指示した。患者には胃瘻が造設され,初診から4カ月後に一部経口摂取が可能となった状態で自宅に退院した。退院に合わせて,病院へ訪問していた歯科医療機関が継続して訪問し,管理栄養士が同行した。摂食嚥下リハビリテーションを継続し,摂食機能の改善に合わせて,経口摂取量の調整や適した食形態の指導,調理方法や栄養指導を段階的に行い,嚥下調整食から常食への変換を図った。初診から11カ月後に完全経口摂取が可能となり胃瘻が抜去された。 本症例より,胃瘻患者の完全経口摂取には,入院中から退院後まで一貫した摂食嚥下リハビリテーションと栄養介入が重要であることが明らかとなった。同時に,退院後の生活期における栄養管理方法については,QOLの改善,家族に対する支援,患者や家族の栄養状態維持の必要性に対する理解について課題が示された。
著者
斑目 広郎 広瀬 学 広瀬 みさき 佐藤 加奈子 森 恵 山田 一孝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.e183-e186, 2023 (Released:2023-08-05)
参考文献数
9

16歳齢,避妊雌猫が肛門左側にできた潰瘍化した皮膚腫瘤を主訴に個人動物病院に来院した.切除腫瘤の病理組織学的検査を実施し,肛門囊腺癌と診断後,第82病日に死亡した.死後CT後に病理解剖を実施し,局所再発と全身多発転移を伴う両側性肛門囊腺癌と診断した.
著者
西藤 聖二 佐藤 政宏 舞野 大輔 田中 正吾
出版者
The Society of Life Support Engineering
雑誌
ライフサポート (ISSN:13419455)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.96-104, 2010 (Released:2012-10-16)
参考文献数
16
被引用文献数
3 3

本論文では,精神作業と音環境が脳電気活動に与える影響を評価するために,不快音/快音を聴きながら精神作業課題を遂行したときの脳波の振幅変化を調べた.α波の振幅は音刺激(5KHz 単音とパッヘルベルのカノン)を聴いたり,精神作業課題(暗算と記憶)遂行したり,あるいは両方を行ったときに,安静時のα波の振幅に比べて約15∼20%減少した.そのような振幅抑制は,α波の時間的位相揺らぎの15∼30%の増加と対応していた.特に,低域周波数のα波の振幅の低減割合は,組合せストレス,すなわち暗算と不快な5KHz音の条件下で25%に達するが,暗算単独で行ったときや5KHz単音単独で聴取した場合には15.20%の低減率に留まる.一方,β波とγ波の振幅はほとんどのストレス条件下で有意な変化を示さなかった.この結果は,音と精神ストレスが低域α波を抑制しており,ストレス計測において考慮されるべき点であることを示している.