著者
森 みゆき 国府 華子 山﨑 浩隆 佐藤 慶治 正源司 有加
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.121-138, 2023-03-31 (Released:2023-08-04)
参考文献数
12

犬童球渓(1879-1943,本名は犬童信蔵)は,1907(明治40)年『中等教育唱歌集』に所収された《旅愁》の作詞で有名だが,音楽教育に従事する教員でもあった。生涯に500曲以上の作詞・作曲作品を残したが,音楽学的見地からの研究は未だ進められていない。犬童は『中等教育唱歌集』での発表を皮切りに,教科書や雑誌,ピース譜に作品を発表し続けた。教科書,雑誌,ピース譜には重複して掲載されている作品も多い。筆者らは最終的には犬童の全作品目録を纏める計画であるが,本稿ではその第一弾としてピース譜に掲載された作品について目録を作成する。
著者
佐藤 泰司 東 昇吾 竹内 隆治 川島 帝都夫 高藤 豊治 戸澤 孝夫 池谷 知格
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.161-169, 1986-06-30 (Released:2017-02-13)

副第5指屈筋はヒトの足底で観察出来る小型の破格筋で, 本筋の起源については古くから多くの論説のある興味深い筋である。著者らは日本人成人遺体10体(男6体, 女4体)を検索し, 4体・6体側例の副第5指屈筋を認めた。体側別出現頻度は両側2体, 左側1体および右側1体で, 性別出現頻度は男3体, 女1体であった。また, 1例は副第5指屈筋, 副第4指屈筋および副第3指屈筋の共存する非常に稀な破格であった。破格筋の支配神経については1例のみ外側足底神経の筋枝を確認することが出来た。
著者
長濱 克徳 大久保 成 一條 俊浩 木村 淳 岡田 啓司 佐藤 繁
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会・九州沖縄産業動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.20-23, 2014-06-30 (Released:2014-07-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

牛第一胃液の温度と体温との関係を明らかにする目的で,第一胃液のpHと温度および体温(直腸温度)の日内変動を検討した.ホルスタイン種去勢牛(5カ月齢,4頭)に乾草あるいは濃厚飼料主体飼料(濃厚飼料)を1日2回給与した.第一胃液のpHと温度は無線伝送式pHセンサーを用い,乾草給与時には給与後7日,濃厚飼料給与時には給与後14日に8時から24時まで10分間隔で連続測定した.直腸温度は直腸式デジタルサーモメーターを用いて1時間間隔で測定した.その結果,朝の給餌後に第一胃液のpHは低下,温度は上昇した.体温は,朝の給餌後に上昇したが,乾草給与時には第一胃液温度に比べて約1.0℃高値で推移し,濃厚飼料給与時には第一胃液温度と近似した値で推移した.第一胃液のpHと体温との間では濃厚飼料給与時に有意(p<0.05)な負の相関,また,第一胃液温度と体温との間では,いずれの飼料給与時でも有意(p<0.01)な正の相関が認められた.体温と第一胃液温度は,乾草および濃厚飼料給与時のいずれも朝の給餌時から夕方の給餌後にかけて上昇する傾向がみられたことから,体温の日内変動は第一胃液温度と密接な関連のあることが示唆された.
著者
佐藤 和紀 板垣 翔大 赤坂 真二 堀田 龍也
出版者
日本学級経営学会
雑誌
日本学級経営学会誌 (ISSN:24347760)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-37, 2023-03-20 (Released:2023-03-21)
参考文献数
17

学級経営の基礎的研究として,人工知能を用いた「下駄箱の靴の揃い方判断支援システム」を試作した。また,小学校教諭8名の協力を得て,本システムを1週間,小学校で試行的に実践した。活用中は毎日,下駄箱の写真を撮影し,判定結果を記録した。その結果,「揃っている」ことの判定結果の確信度は徐々に向上し,「揃っていない」ことの確信度は徐々に低下していった。実践の終盤には,撮影方法の違いによって確信度の割合がどのように変わるかを試みる児童の姿が見られた。このことから,児童は人工知能が示す確信度を意識し,下駄箱を整理したと考えられる。
著者
佐藤 時幸
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.173-181, 2000-05-01 (Released:2008-10-15)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

近年, 時代対比精度が飛躍的に向上した石灰質ナンノ化石と, その生態学的特徴から古環境解析に重要な有孔虫化石に基づいて, 石油鉱床が形成されるまでの構造発達史を検討した。日本海の成立は, 門前階最上部の砂れき層より発見された石灰質ナンノ化石群集から前期中新世末のNN4帯であり, 最も古く見積もって1820万年前までさかのぼる。近年, 積極的に探鉱が行われている新潟地域のグリーンタフ火山岩貯留岩は, この日本海形成前後に形成されたが, 同様に油ガス田の貯留岩となっている秋田地域の玄武岩類は, 含まれる石灰質ナンノ化石に基づくと新潟地域の火山岩貯留岩より若く, 日本列島の中国大陸からの分離と関連した火山活動と結論される。秋田地域の油田構造の完成は海岸線沿いに位置する北由利衝上断層の形成によるもので, その時期は石灰質ナンノ化石から172万年前頃で, それと同時に石油根源岩が熟成レベルへ到達, 油田構造へ石油が移動した。一方, 石油根源岩は一般に女川階, または寺泊階でその能力が高いことが知られていたが, 有孔虫化石から当時の古海洋を復元した結果, 当時の新潟たい積盆地は強い還元環境を示すことが明らかになったほか, 復元された古海洋からすると, 石油根源岩となりうる有機物のたい積は長岡市西方の南北に位置する地域にたい積したと推定される。
著者
佐藤 信
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.276-281, 1979-05-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
7

人間の頭脳では, せいぜい三次元の世界しか直感的に理解できない。ところが, 世の中に起る様々の現象は複雑怪奇で, 発生の事象を数字の羅列でながめていても決して正確な情報を得ることはできない。その点, 多変量解析法によれば, それらの数字の中から最少の情報ロスで, 有効な情報を浮上させることが可能である。そこで, まず今回は, 酒類の官能試験法に統計的手法導入の先鞭をつけられた著者に多変量解析法について平易に解説していただいた。総論以降は各分野での応用例をそれぞれのエキスパートに解説していただく予定である。
著者
佐藤 信
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.377-385, 1979-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5
著者
原田 祥吾 佐藤 布武
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.88, no.810, pp.2312-2323, 2023-08-01 (Released:2023-08-01)
参考文献数
43
被引用文献数
1

The purpose of this study is to clarify the influence of the characteristics of the textile industry on the architectural characteristics of the saw roof factories. In this study, we conducted a field survey of the saw roof factories and the transition of the textile industry in the three regions of Bishu, Mikawa, and Chita in Aichi prefecture, which are representative textile production areas in Japan, and analyzed the relationship between the two. This study reveals that the saw roof factories have different architectural characteristics in terms of factory scale and construction methods due to the management system differences and the textile industry scale.
著者
若月 陸央 南條 優 八木澤 史子 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.202-207, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

本研究の目的は,情報端末を活用した個別最適な学びの実践における教授行動の特徴を検討することが目的である.本調査では,小学校第4学年の国語科の授業(1時間)を対象に教授行動の分析を試行的に行った.その結果,課題の設定,情報の収集,整理・分析の段階では,「個々の学習状況をクラウド上や,直接的に確認し,児童に分かるように,具体的に問いかけるなどの教授行動が確認された.また,まとめ・表現の段階では本時の学習内容と既習事項や既有経験,次時の課題を関連づけるなどの教授行動が確認された.
著者
森本 真弘 浅香 卓哉 鎌口 真由美 山下 映美 坂田 健一郎 大内 学 大賀 則孝 佐藤 淳 佐藤 千晴 北川 善政
出版者
公益社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.447-454, 2019-07-20 (Released:2019-09-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2

Palmoplantar pustulosis (PPP) is a refractory skin disorder exhibiting numerous sterile pustules on the palms and soles of the patients. PPP is related to dental focal infection and metal allergy, and the experts in dermatology and dentistry have worked together to arrive at a consensus regarding the diagnosis and treatment of PPP. However, the obvious cause of PPP remains unknown, and a standard treatment has yet to be established. In this study, we aimed to clarify the relation of PPP to dental focal infection and dental metal allergy. We evaluated 29 patients with PPP who underwent oral examination and patch testing in the Department of Oral Medicine at Hokkaido University Hospital from July 2010 through May 2014. In total, 22 of the 29 patients had positive patch test results, and flare-up was observed in one patient. Metallic component analysis revealed that the oral cavity was metal-positive in 14 of 22 patch test-positive patients. In contrast, odontogenic foci were found in 25 of 29 patients. Among 14 patients who had positive patch-test results for metal in the oral cavity, the course after metal removal could be confirmed in nine patients, and skin symptoms improved in all patients. Among 15 patients who did not have patch-test results for metal in the oral cavity, the course after treatment of odontogenic foci could be confirmed in eight patients, and symptoms improved in only one patient. This study resulted in a higher rate of improvement after removal of dental metals versus treatment of odontogenic foci, suggesting that PPP strongly correlates with dental metal allergy. However, because odontogenic foci may be treated concurrently with metal removal, an association between PPP and dental focal infection cannot be denied. In addition to the time and cost burden of metal removal, symptoms may improve naturally in some cases. Therefore, we suggest that it is necessary to consider the suitability of metal removal on a case-by-case basis.
著者
石黒 雅之 後藤 春彦 佐藤 宏亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.1027-1032, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
6

この研究は、外国人居住地域における大家の役割を明らかにすることを目的とする。外国人居住地域における大家の役割は1)外国人居住者への生活マナーの指導2)アパート内、近隣の居住環境維持3)外国人居住問題に対するノウハウの蓄積4)外国人居住者の問題解決支援、地域情報の提供支援、コミュニケーションによる支援が、本調査を通して結論づけられた。
著者
浪川 大貴 佐藤 直柔 岩瀬 将美 井筒 正義
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第54回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.459, 2011 (Released:2012-03-09)

自転車は,クランクの構造上,踏力トルクが一定ではなく変動するため,電動アシスト自転車で現在主流となっている比例制御による踏力アシストでは,アシスト後の駆動トルクも変動する.本研究では,繰返し制御を電動アシスト自転車に実装することで,駆動トルクの変動を抑え,滑らかな加速の実現を目指す.本稿では,実験環境の構築,電動アシスト自転車のモデリング,繰返し制御を用いたアシスト制御系の設計例を示す.滑らかな加速により,発進時や登坂時のふらつきを軽減し,転倒防止を図る.
著者
佐藤 恭一
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

回転と直動の運動の組み合わせは,工作機械における穴加工,穴の内径研磨など,多くの産業機械に見られる運動である.通常は,回転運動を回転型のモータに,直動運動をリニアモータに,それぞれ独立して負担させ,この二つのアクチュエータを結合することにより,回転・直動の二自由度運動を実現している.本研究では,この二自由度運動の一つのアクチュエータシステムによる実現と,駆動デバイスの小形化・高機能化をはかること目的に,リラクタンス力により回転力を発生するスイッチトリラクタンスモータ(以下SRMと記す)に着目した.従来の回転型SRMに,固定子磁極の回転軸方向の磁束密度分布を制御する機能を付加することにより,リラクタンス力によってトルクと同時に軸方向推力も制御することを可能とした.これにより,出力軸の回転と軸方向のストロークを両立するモータ機構を試作レベルで開発した.その諸元は次のとおりである.構造(突極:回転子4極,固定子6極),定格出力400W,定格回転数2000rpm,軸ストローク40mm,軸方向推力30N.このモータ機構を実用レベルとするために,「回転・直動する出力軸の回転角度と軸方向変位の同時検出法の開発と,回転・変位センサのSRM内への搭載」,「回転速度・トルクと軸速度・推力の制御法の確立」,「二自由度SRMの電磁気的および機械的最適設計」の課題に取り組み,各課題解決の指針を提案した.さらに,制御性能を維持しつつ,モータ駆動電気回路の電流センサの個数を低減する回路を提案し,実機試験によりその有用性を確認した.
著者
小俣 元美 原野 崇 佐藤 啓輔 横山 楓 片山 慎太朗 定金 乾一郎 小池 淳司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00023, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
10

本稿では,道路整備のストック効果把握の一環として,空間的応用一般均衡(SCGE)モデルを用いて,最初の開通から半世紀を経た全国の高規格幹線道路整備が地域経済に与えた長期的な効果とその変遷を検証する.分析の結果からは,これまでに段階的にネットワーク整備がなされた結果として,付加価値額変化では,関東・甲信越から中国地方にかけての本州エリアを中心に大きな効果が帰着している傾向にあることが分かり,このような地域の産業活動の日本経済全体の成長への貢献が確認された.一方,便益をみると,全国に広く正の効果が帰着しており,国土の均衡ある発展に高規格幹線道路が貢献していることが確認できた.
著者
佐藤 格夫
出版者
日本歯科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

咬合様式の違いによる義歯床への影響を検索するため下顎義歯床の歪みを測定するには、床の形態,床の厚さ等の条件を被験義歯間において一定にすることが難しかったため、レデュースドオクルージョン,リンガライズドオクルージョン,フルバランスドオクルージョンの咬合を付与するために用いられるコンデュロフォーム,リンガライズド人工歯,リブデントFB20の各種人工歯における上下右側第一大臼歯を用いて、疑似モデルを作製して応力分析を行った。上顎人工歯は定荷重圧縮試験器に、下顎人工歯はアクリル板にそれぞれ即時重合レジンにて取り付けた。アクリル板の頬舌側相当部には歪みゲージを取り付け、上顎人工歯を2Kgの荷重で高さ3cmから落下させたときのアクリル板に及ぼす応力を繰り返し3回にて測定した。上下人工歯が嵌合した状態を基準として、咬合面に疑似食品としてオクル-ザルインディケ-ティングワックス1枚を介在させ3種類の咬合様式について歪みを測定した。疑似モデルのアクリル板に及ぼす影響は、義歯床にも同様に加わるものと考えられる。また、その違いによって義歯の有用性の評価につながる1要因となる。各種咬合様式における歪み量は、フルバランスドオクルージョンが最も大きく、ついで、リンガライズドオクルージョン、レデュースドオクルージョンの順となった。疑似食品としてワックスのみを用いたため、食品のもつ種々の性質は網羅できていないと思われ、この面から明らかでない部分もあると考えられるが、3種類の咬合様式で義歯床に及ぼす影響はレデュースドオクルージョンが最も小さいと推察される。
著者
佐藤 清貴 加藤 正人
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.352-357, 2009-07-15 (Released:2009-08-10)
参考文献数
48
被引用文献数
1

脳保護を目的とした全身低体温療法は1955年から行われている. 体温30℃以下での脳外科手術が多くの症例で行われたが, 循環合併症が多く, 1970年頃から行われなくなった. 1987年, 軽度低体温の脳保護効果が実験的に示され, 1990年頃から臨床応用された. 脳動脈瘤手術, 頭部外傷, 脳梗塞, 蘇生後脳症などで軽度低体温管理が行われ, 2001年以降大規模臨床試験の結果が発表された. 心停止後の蘇生後脳症, 新生児低酸素脳症では有効性が確認されたが, 脳動脈瘤手術, 頭部外傷ではnegativeの結果であった. 脳温の低下は脳保護的に作用することは明確であるが, 全身の体温低下は感染, 出血など合併症の原因となり, 最終的な予後を必ずしも改善しない. 現在のところ, 短期間の軽度低体温は蘇生後脳症などで適応となる. 脳局所の温度下降が可能となれば, さらに有効な治療手段となる可能性がある.