著者
佐藤 忠司 山村 由華 古賀 広幸 宮崎 澄雄
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.29-32, 1999-04-30 (Released:2008-11-05)
参考文献数
6

TLS (Tumor lysis syndrome) は化学療法により,またはまれに自然に悪性腫瘍が急速崩壊し,高UA (尿酸) 血症などの代謝障害に引き続きARF (急性腎不全) に至る症候群である。私たちはALL (急性リンパ性白血病) の8歳女児例に抗腫瘍剤VCR (Vincristine),DNR (Daunorubicin),MTX (Methotrexate) の投与を開始したところ翌日までに麻痺性イレウス (腸閉塞) を発症した。その後3日間で高UA血症,高りん血症などが進行し,急性腎不全となった。低Ca血症,低Na血症,肺水腫などを合併したが腹膜透析療法を含む集中治療を行い救命した。
著者
佐々木 晶世 佐久間 夕美子 叶谷 由佳 佐藤 千史
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.24-30, 2009-04-30 (Released:2017-12-28)
参考文献数
18
被引用文献数
1

ガム咀嚼による脳や認知機能にり与える影響については調査されているものの,ガム咀嚼をしながらの単純作業上,その後の疲労にどのような影響があるのかについては明らかになっていない。そこで,ガム咀嚼が作業効率と疲労に与える影響に関して研究を行った。14名の健康な男女を2:1となるよう2群に割り付け,介人群(9名)にはガム咀嚼をしながら,対照群(5名)にはガム咀嚼はしない状態で内田クレペリンテスト(以下,クレペリン)を行ってもらった。また,クレペリン前後の身体・精神疲労度をVisual Analog Scaleを用いて測定した。その結果,作業後の精神疲労度とクレペリン作業量とに負の相関関係がみられ(p<0.05),精神疲労が高いほど作業量が少ない結果となった。クレペリン作業量には2群間で有意差はみられなかった。クレペリン前後での疲労度の変化では,対照群において身体疲労度が作業後に有意に増加し(p<0.05),介人群では有意な変化はみられなかったものの精神疲労度が低下した。以上より,クレペリン作業中のガム咀嚼により,作業後の疲労が軽減される効果のあることが明らかとなった。
著者
横光 健吾 金井 嘉宏 佐藤 健二 杣取 恵太 坂野 雄二
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.87-90, 2019-07-01 (Released:2019-07-06)
参考文献数
20

The purpose of this cross-sectional study was to examine the relationship between happiness, satisfaction, and the psychological effects of consuming “shikohin” at social events on psychological health. Five hundred and thirty-two participants (270 men, 262 women; mean age=44.91 years, SD=13.81 years) from a community sample in Tokyo, Kanagawa, Saitama, and Chiba completed a set of questionnaires and the data were analyzed. The results of partial correlation analyses showed that when people experienced positive and negative social life events, the psychological effects of consuming “shikohin” showed a weak but positive correlation with happiness and satisfaction.
著者
佐藤 れえ子 御領 政信 小林 沙織
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

猫多発性嚢胞腎の嚢胞形成機序を明らかにするために、腎嚢胞細胞PKD1遺伝子変異によるツーヒット変異を証明し、嚢胞細胞増殖シグナル伝達経路をブロックする分子標的薬を決定して、猫における至適投与量を模索した。その結果、嚢胞ネットワークを通じて全国より血液検体と死亡症例の腎臓を収集でき、PKD1遺伝子のPCR-RFLP法とダイレクトシークエンスによる遺伝子検査の結果、腎嚢胞細胞PKD1遺伝子にホモ型変異を検出し(エクソン29、c.9891)ツーヒット変異が生じていることを明らかにした。治療薬にはcAMP pathwayを抑制するトルバプタンを選択し、短期投与と長期投与を実施して投与量を決定した。
著者
豊田 隆謙 佐藤 信一郎 工藤 幹彦 後藤 由夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.133-138, 1974-03-31 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11

アルギニンによるインスリン分泌にはグルコースの存在が必要である. しかしアルギニンによるグルカゴン分泌にたいしてグルコースがどのように作用しているかは明らかではない. ラット膵灌流実験を行ない, グルコース, 0, 50,150,300mg/dlの存在下でアルギニン作用を検討した.アルギニン注入後2分のグルカゴン値はそれぞれ745±46, 2062±106, 3433±127,510±21pg/nlと増加し, その分泌パターンはグルコース濃度0, 50mg/dlでは1相性であり, 150,300mg/dlの条件下では2相性を示した. アルギニン注入によるインスリン分泌はそれぞれ10.7±1.6, 32.4±3.2, 39.0±3.3, 43.2±3.5ng/dlと増加し, 分泌パターンはグルコース濃度0, 50mg/dlでは1相性, 150,300mg/dlでは2相性を示した. この成績はアルギニンによるグルカゴン分泌にはインスリン分泌にたいするのと同様にグルコースの存在が必要であることを示唆している. 特に興味ある事実はグルコース濃度300mg/dlによってグルカゴン分泌が完全に抑制されるようにみえるが, この条件下でもアルギニンがグルカゴンを分泌させることである. このことから次の三つの可能性が考えられる. (1) グルコースはグルカゴン分泌を抑制するがグルカゴン合成にグルコースは必要ではないか,(2) グルコースによって分泌されるインスリンがα 細胞に影響していないだろうか,(3) アルギニンの膜透過にグルコースが必要なのではないかと云うことである.
著者
青木 義郎 佐藤 誠晃 市川 靖洋 阪井 健 田中 博
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1141-1146, 2016 (Released:2018-01-29)
参考文献数
4

ヘッドランプへの泥や雪などの汚れは,ドライバーの前方視認性を低下させるとともに,対向車にグレアを増加させる危険性がある.この研究では,ヘッドランプが汚れた場合,対向車へのグレアや歩行者視認性にどのように影響するかを調べるとともに,その改善方法であるヘッドランプクリーナーの効果について検証を行った.
著者
宮本 裟也 佐藤 仁 栗原 祐史 田中 元博 稲田 大佳暢 堅田 凌悟 守谷 崇 安田 有沙 代田 達夫
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.197-203, 2021 (Released:2021-12-22)
参考文献数
23

Acromegaly is an endocrine disease caused by excessive secretion of growth hormone (GH) after the end of the growth period, due to a pituitary adenoma. Mandibular prognathism, tongue hypertrophy, and bulging of the eyebrow arch are observed in the maxillofacial region. We describe a case with acromegaly for which surgical orthodontic treatment was performed after excision of the pituitary adenoma. A 47-year-old woman who became aware of enlargement of the size of the hands and feet from 35 years old was diagnosed with acromegaly by the Department of Neurosurgery because of a high GH level and a pituitary tumor on MRI. In September 2014, chemotherapy was performed after tumor resection via the nasal cavity. In March 2016, she was referred to the Department of Orthodontics of our hospital for further examination and treatment of malocclusion. Overjet and overbite were −5.0mm and +2.5mm, respectively. The occlusal relationship of the molars was Angle class Ⅲ. Angular analysis of lateral cephalometric analysis showed SNA: 80.0°, SNB: 77.0°, ANB: 3.0°, and FMA: 37.9°. Mandibular prognathism was diagnosed based on a Wits appraisal of −7.1. Since there was no clinical activity of acromegaly and hypertrophy of the hard and soft tissues due to acromegaly had stopped, and serum insulin-like growth factor-1 was well controlled by chemotherapy, orthognathic treatment was started in April 2016 and bimaxillary surgery was performed in January 2019. The occlusal relationship was stable and there was no recurrence at 2 years after the surgery. Since acromegaly has various complications, it is necessary to create a treatment plan considering the complications, and to perform extended follow-up due to the potential for recurrence of the disease.
著者
田澤 沙也香 山本 亮 佐藤 昌弘 矢﨑 純子
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 2022年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.5, 2022 (Released:2022-07-08)

蛍光観察では、アコヤ真珠の浜揚げ珠は黄色、漂白珠は青白色などの特徴があり、鑑別でも用いられている。しかし真珠は生体生成物であるため個々のばらつきがある。また、一般的な紫外線ライトは、点滅がわかるように青色等の可視波長の色が加えられているため、観察真珠の蛍光色に青が加わり、本来の色とやや異なって見えている場合も考えられる。本発表では、まず目視で可視波長カットのフィルターを用いた長波紫外線(365nm 付近)照射時の試料真珠の蛍光を観察した。次に、観察した試料真珠の 3 次元蛍光分光測定を行い、目視観察との比較検討を行い鑑別への応用を検討した。1.アコヤ真珠浜揚げ珠と漂白珠浜揚げ、漂白試料真珠を長波紫外線照射下で観察すると、浜揚げ珠は黄色味を帯び、漂白珠は青白色である。紫外線カットフィルターを通して照射したところ、漂白珠にもやや黄色味は確認できたが、浜揚げ珠に比べ青みが強い。次に、試料真珠の 3 次元蛍光分光測定を行ったところ、漂白前後で明らかなピークの変化が見られた。浜揚げ珠は、励起波長 290nm付近で 345nm 付近の蛍光ピークが現れ、漂白を行うことでこの蛍光は減少し、励起波長380nm 付近で 450nm 付近の蛍光が強くなり、漂白後に蛍光の青みが強くなる現象が測定された。アコヤ真珠の浜揚げ珠は、いわゆるアコヤ吸収と呼ばれる 3 つの小さな吸収があるが、年月で消失するとも言われ、蛍光測定の併用で、より正確に浜揚げ珠(未処理珠)の判別ができるようになると考えられる。2.その他の試料真珠放射線照射によって蛍光が弱くなることが報告されているが、処理真珠と未処理ブルー珠についても同様に観察測定した。
著者
佐藤 嘉明
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.718, pp.2915-2922, 2015 (Released:2015-12-25)

The Kanagawa Prefectural Office Building was designed by the local government official engineers and completed in 1928. And this design was based on the plan which Karo Obi got the first prize of design competition held in 1926. 1 So far, this building has been often mentioned as the first Imperial Crown Style (TEIKAN-YOSHIKI) which expresses Japanese nationalism. 2 By the comparative study between Obi's application plan to the competition and the great architect Frank Lloyd Wright's works, there exist several undeniable commons. 3 Karo Obi graduated architecture course of the Nagoya Technical College in 1921, and his graduate qualifying design obviously imitated one of Wright's masterpieces, the Midway Gardens in Chicago. 4 Owing to my study about design of the Kanagawa Prefectural Office Building, composition, shape of tower roof, statue of Buddha on the tower, decorative cantilevers, and other decorations, they show a strong influence of Frank Lloyd Wright's works, especially the Midway Gardens and the Imperial Hotel. 5 As a result, the Kanagawa Prefectural Office Building never stands for any ideologies such as nationalism, but simple homage architecture for Frank Lloyd Wright.
著者
西岡 千文 佐藤 翔
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.31-50, 2021-02-28 (Released:2021-03-26)
参考文献数
64
被引用文献数
3 1

本稿は Unpaywall を利用して日本と世界のオープンアクセス(OA)状況を調査した.日本の調査では Unpaywall と Scopus に収録されている日本の著者による雑誌論文約 200 万件,世界の調査では Unpaywall に収録されている雑誌論文約 8,000 万件を対象とした.結果,日本と世界の OA の割合はそれぞれ 41.83%, 29.77%であることがわかった.日本の割合の高さの要因は,過去に出版された論文の多くがブロンズであ ることである.近年の傾向としてゴールドの割合の上昇が観察された.機関リポジトリで公開されている論 文の割合は 2000 年から 2010 年にかけて増加しているものの,2010 年以降は横ばいで約 5%である.2010 年以降の機関リポジトリのみで OA である論文の割合は約 1.5%である.グリーン OA を効率よく推進するためにも,各機関がそれぞれの OA の状況を継続的に把握できるような仕組みが必要である.
著者
萩原 廣 佐藤 剛 齊藤 初雄
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.43, pp.57-58, 1996-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
4

コムギから黒穂病の自然汚染圃場において8月末に熱水土壌消毒を実施したところ, 対照として実施したクロルピクリンくん蒸剤と同様に, 本病の土壌伝染に対して高い防除効果が得られた。
著者
西 和文 佐藤 剛 福田 徳治
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.39, pp.37-38, 1992-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9

夏作ダイズの黒根腐病防除対策として熱水土壌消毒を実施したところ, その効果は次作コムギにも持続し, 立枯病の発生が抑制された。これは, 熱水土壌消毒の防除効果が, 目的とする病原菌だけでなく, 同一圃場内に混在している他の病原菌などにも及び, かつその効果が次作にも持続したためと考えられた。
著者
佐藤 荘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.158, no.4, pp.298-303, 2023-07-01 (Released:2023-07-01)
参考文献数
9

マクロファージはその発見以来100年以上もの間,一種類の細胞しかないと考えられており,サブタイプが複数ある他の免疫細胞と比較すると日陰の存在であった.しかし近年,徐々に再度スポットライトが当てられ始めている.その中でも,最近のトピックの1つとして,M1・M2マクロファージが挙げられる.しかし,私たちはマクロファージはM1・M2ではなく更に詳細なサブタイプに分かれると仮定して研究を行った.その結果,アレルギーに関わるサブタイプはJmjd3により分化すること,またメタボリックシンドロームに関与するサブタイプはTrib1より分化することを突き止めた.これらの研究から,現在私たちは病気ごとの“疾患特異的マクロファージ”が存在している可能性を考えている.新たな疾患特異的マクロファージを探索するために,線維症に着目した.線維化初期に患部で増えるマクロファージについて解析を行ったところ,一部の細胞が線維症の発症に必須であることを突き止め,segregated nucleus atypical monocyte(SatM)と名付けた.さらに,この細胞に影響を与える非免疫系の解析,またその非免疫系の制御因子の研究を行ってきた.このように,私たちの体には未だ見つかっていない“疾患特異的マクロファージ”が存在しており,各々が対応する疾患が存在していると考えられる.これらの疾患特異的な細胞を標的とした創薬は,その疾患特異性の高さから,副作用の少ない創薬応用につながることが期待される.
著者
高橋 政行 中村 慎策 佐藤 光太郎 横田 和彦
出版者
一般社団法人 ターボ機械協会
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.336-347, 2015 (Released:2018-01-11)
参考文献数
8

The system environments of the axial flow fan are various. The axial flow fans are often used under unsuitable operating condition. Especially, the cases where the obstacles are distributed in upstream of the fan to downsize are increasing, in recent high density design of equipment. An attempt is made to clarify the influence of the obstacle on the flow characteristics of axial-flow fans. In this study, a blockage disk is installed upstream of a test fan which is a typical cooling axial-flow fan. Blockage disks with various diameters are set up. The performance curves of axial-flow fan with blockage disks are measured. In addition, flow instabilities with a cell structure are demonstrated on typical condition. The main objects of the present study are : to evaluate the performance degradation when obstacles are installed in upstream of the test fan, to elucidate causes of positive slope for the performance characteristics curves and reverse flow, to clarify the generation mechanism of flow instabilities when the blockage disks which are larger than diameter of the test fan are installed.
著者
佐藤 亮太朗 熊谷 恵子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
pp.22A008, (Released:2023-08-23)

本研究は、学校欠席リスク群のスクリーニングと欠席のリスク評価を目標とする学校欠席リスク・スクリーニングテスト(STAR)の作成(研究1)と、欠席日数に関連する要因並びに学校欠席リスク群の臨床傾向(研究2)から構成されている)。対象は小学4~ 6年の児童225名であった。研究1では、STARの信頼性並びに収束的妥当性、判別的妥当性、並存的妥当性が示された。研究2では、遅刻日数や〈同級生との会話〉、〈援助要請〉、〈眠気〉、〈国語〉、〈宿題〉と欠席日数との関連が示された。さらに、登校状態にある児童において、学校欠席リスク群は他の児童よりも欠席日数及び遅刻日数が多く、STAR得点も高い傾向があることが示された。以上により、欠席の予防的取り組みにおける対象児や介入の優先順位が示唆され、STARのスクリーニングテストとしての活用が期待された。課題として、主観的な容態の評価方略の検討を挙げた。