著者
仲田 翔太 石川 亮太 佐藤 靖徳 高橋 勉
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.88, no.906, pp.21-00369, 2022 (Released:2022-02-25)
参考文献数
17

A prediction model of the fluid force on a cylindrical blade driven by the Necklace vortex is developed and verified by experiments when the yaw angle is given. Based on the measurement results of the velocity ratio of blade and wind velocity and the fluid force coefficient at zero yaw angle, a prediction model for the relationship between the rotation angle of the cylindrical blade and the fluid force coefficient considering the yaw angle was derived from the analysis of the two-dimensional velocity components acting on the cylindrical blade. The validity of the predictive model was demonstrated by experimental verification. From the comparison, it was found that there was a time delay in the formation and disappearance of the Necklace vortex. Based on the experimental results, the characteristics of the fluid force acting on the cylindrical blade were classified into five angular regions and based on the characteristics of the effective velocity ratio considering the yaw angle, the classification was made into 12 angular regions. Depending on the yaw angle, wind speed, and rotational speed of the blade, all of these regions may appear or only some of them may appear. Therefore, the yaw angle characteristics of the cylindrical blade wind turbine driven by the Necklace vortex are very complicated.
著者
仲田 翔太 佐藤 靖徳 高橋 勉
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.88, no.907, pp.21-00349, 2022 (Released:2022-03-25)
参考文献数
21

In a circular cylinder blade wind turbine driven by a longitudinal vortex, the torque characteristics of the turbine are greatly affected by the flow field at the blade tip. In general, wind turbines reduce drag by making the blade tips thinner. However, because this wind turbine uses a cylinder as a blade, it is important to control the flow field at the blade tip. From the experiments, it was found that the torque coefficient can be increased by attaching the endplate to the blade tips, and the rotational force can be obtained stably up to very low rotation speeds. The installation of fairing or endplates in circular cylinder blade wind turbines enables stable rotation at low speeds even under high loads, and also reduces drag at high speeds and increases the maximum speed. In the case of a disk-shaped endplate, the torque coefficient can be increased by up to 20 % by attaching an endplate with a diameter 2.5 to 3 times the diameter of the cylinder to the outer blade tip only. The L-type endplate has the effect of shifting the characteristics to the higher rotation side than the disk-type, and increases the torque coefficient at the same tip speed ratio. However, the lower limit of stable rotation becomes higher, and as a result, the value of the maximum torque coefficient obtained at high load decreases. If the endplate attached inside has a negative effect on the stable formation of the necklace vortex, it will inhibit the rotation at a low speed due to high load, making it difficult to obtain high torque.
著者
原野 和芳 甘蔗 眞純 佐藤 道子 高松 純 高橋 成輔
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.293-299, 2002-09-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
10

患者が麻酔とその危険性を理解するための支援について調査・検討した.情報提供の方法として麻酔前回診,「麻酔に関する説明書(以下同意書)」,麻酔・手術室全般をイラストで説明したパンフレットという3種類を用いた.結果は,麻酔および手術室手順の理解では同意書やパンフレット配付の有無で差はなかった.同意書は危険性への認識を高めた反面,不安を感じたという評価の割合が高く,前向きな気持ちに負の影響を与える可能性が示唆された.パンフレットは不安を軽減する可能性を認めた.以上のことから麻酔に関する危険性の理解を促進し,かつ不安を軽減するためには,同意書とパンフレット両方を麻酔前回診に配付することが有用であると考えた.
著者
羽部 浩 新保 外志夫 山本 拓司 佐藤 俊 島田 広道 榊 啓二
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.414-422, 2013 (Released:2014-01-01)
参考文献数
12
被引用文献数
19 24

近年,バイオエタノールが化学品製造における重要な原料となっている。バイオエタノール中の不純物が,下流の化学品製造プロセスで使用する触媒の性能に影響を及ぼす可能性があるため,17種のバイオエタノールサンプルについて不純物の分析を行った。リグノセルロース系バイオエタノールは,糖・デンプン系バイオエタノールと比較して,高濃度かつ多種類の有機不純物を含んでいた。特に,リグノセルロース系バイオエタノールは,高濃度の酢酸,アセトアルデヒド,メタノールおよびフルフラールのようなフラン系化合物を含んでいた。また,リグノセルロース系バイオエタノールは,有機硫黄系不純物としてジメチルジスルフィドおよびチアゾールを含んでいたのに対し,糖・デンプン系バイオエタノールからは,ジメチルスルフィドおよびジメチルスルフォキシドが検出された。加えて,リグノセルロース系バイオエタノールからは,0.1 μg/mL以上のSiが検出された。
著者
磯部 美良 佐藤 正二 佐藤 容子 岡安 孝弘
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.105-115, 2006-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
4

本研究の目的は、児童の社会的スキルと問題行動を測定するための教師評定尺度を作成することであった。公立小学校65学級の担任教師に対して、担任する学級の全児童(小学校1〜6年生、計1,991名)の行動評定を依頼した。その結果、社会的スキル領域では5因子25項目(働きかけ・学業・自己コントロール・仲間強化・規律性)、問題行動領域では2因子12項目(外面化行動問題・内面化行動問題)が見いだされた。また、良好な内的整合性と構成概念妥当性が確認された。最後に、社会的スキルの性差や学年差、社会的スキル訓練の効果査定の測度としての有用性が論じられた。
著者
佐藤 正彦
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.235, pp.103-110, 1975-09-30 (Released:2017-08-22)

The three Kumano shirines are Kumano-niimatsu Shrine (also called Hongu), Kumano-hayatama Shrine (also called Shingu) and Kumano-Nachi Shrine (also called Nachi). Of these shrines, "Hongu" contains the god, Ketsumiko, Hayatamashin is the god of Shingu and the Nachi waterfall is the god of the Nachi Shrine. The existence of the Hongu and Shingu Shrines is described in the records of the Nara Period. However, there is no mention of the Nachi Shrine. In my opinion there was probably a shrine at the foot of the waterfall. Ketsumiko was certainly the god of Hongu untill the middle of the tenth century, but it was not until the latter half of eleventh century that the god, Hayatamashin and the goddess, Musubishin were also enshrined in the Hongu. By the early half of the twelfth century the Shrines, "Goshogu", "Yonshogu", along with corridors, pagodas, the hall of the Buddha etc. were added within the sacred precincts. Hayatamashin was the god of "Shingu" untill the middle of the tenth century, but since then it seems that this shrine added the goddess, Musubishin, and the god, Ketsumiko along with others. As a result of this, this shrine was sacred to eight gods and a goddess by the early half of the twelfth century. In the early twelfth century "Nachi" Shrine was situated on the slopes of Mt. Nachi. This shrine also became as sacred a precinct as "Hong" and "Shingu". The two shrines, "Hongu" and "Shingu" acted in union until the middle of the eleventh century, but "Hongu", "Shingu" and "Nachi" had united their administrations by the latter of the twelfth century. Contents of this thesis are as follows : I. The Condition of the Three Kumano Shrines as Described in the Records of the Nara And the Early Half of the Heian Periods. II. The Condition of the Three Kumano Shrines as Described in the Records of the Middle And Latter Half of the Heian Period. II-1. The Condition of the Kumano-niimasu Shrine (Hongu). II-2. The Condition of the Kumano-hayatama Shrine (Shingu). II-3. The Condition of the Kumano-nachi Shrine (Nachi). III. Conclusion.
著者
佐藤 永欣
出版者
東洋大学
巻号頁・発行日
2004-03-25

2003
著者
佐藤 亮太 増原 陽人
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.528-536, 2021-10-10 (Released:2021-10-10)
参考文献数
25

ペロブスカイト量子ドットは,高い発光量子収率や狭線発光等の優れた光学特性のほか,構成元素のハロゲン種を変えるだけで,視認できる99.9%の色が再現可能な半導体ナノ結晶であり,次世代ディスプレイへの応用が期待されている.現在では,赤・緑・青色の三原色に焦点を当てた研究が展開され,カドミウム/セレン系,インジウム/リン系等の競合する量子ドットの光学特性を上回るペロブスカイト量子ドットが開発されてきた.その一方で,現行のペロブスカイト量子ドットは,その作製条件が煩雑であり,工業展開に即した大量合成手法が未確立である.本稿では,当方の研究グループが保有するペロブスカイト量子ドットの作製法やその高性能化に関する技術シーズについて概説する.
著者
佐藤 誠子
出版者
日本教授学習心理学会
雑誌
教授学習心理学研究 (ISSN:18800718)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.29-39, 2008 (Released:2017-10-10)

底辺を固定したまま長方形枠を平行四辺形に変形させたときの面積の変化を問う「等周長変形課題」は,求積公式を適用することで解決可能であるにも関わらず,「面積同じ」と判断する誤りが多くみられる。このことに関して,等周長変形課題では求積公式に関する知識よりも保存概念の方が活性化されやすく,それが面積判断に不適切に適用されるためであると想定した。そうした場合,公式を適用した問題解決が可能になるには,概念の不適切な適用を抑制させる必要があると思われる。そこで,本研究では,面積学習後の小学6年生を対象に,等周長変形課題の3次元化による面積変化の提示が,保存概念の不適切な適用を抑制し,結果的に公式に依拠した正しい判断へと導くかどうかを検証した。その結果,面積変化を提示された群では等周長変形課題の正答率が上昇し,事前から事後にかけて誤答から正答に変容した者が多いことが示された。しかし一方,正答率が低下した問題もみられた。等周長変形の面積変化の提示の際,学習者は高さの変化よりも形の変化に着目し,「長方形から平行四辺形に変わったら面積は小さくなる」という知識を形成している可能性があることが示唆された。
著者
髙江洲 雄 谷口 祐介 平川 智裕 一志 恒太 城戸 寛史 佐藤 博信 松浦 尚志
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.230-236, 2021 (Released:2021-07-30)
参考文献数
22

目的:コンポジットレジンブロックによる小臼歯CAD/CAM冠(以下,CAD/CAM冠)の短期間の臨床報告はあるものの,接着処理などの条件が統一されていないため永続性には不明確な部分が多い.本研究では,接着処理を一定の条件下で装着した小臼歯CAD/CAM冠の予後評価を行う事を目的とした.方法:2014年4月1日から2020年3月31日までの6年間に福岡歯科大学医科歯科総合病院補綴科・インプラント科の歯科医師16名が装着した小臼歯CAD/CAM冠の装着数,性別,装着時年齢,支台歯および対合歯の状態,残存歯数,歯種,アルミナサンドブラスト処理,リン酸処理,シラン処理の接着処理をすべて行った群(ガイドライン順守群)と接着処理のいずれか一つを行わなかった群(ガイドライン不順守群)に分け調査した.また.生存期間とそれに関連する因子をKaplan-Meier法とCox比例ハザード分析を用いて検討した.結果:6年累積生存率は93.6%,成功率は88.8%であった.ガイドライン順守群とガイドライン不順守群の6年累積成功率はガイドライン順守群が92.7%,ガイドライン不順守群が79.5%であり,統計学的な有意差を認めた.Cox比例ハザード分析を用いた結果,接着処理の有無で生存期間と有意な関連を認めた.結論:接着処理の手順を遵守することが,長期予後を得るために重要である可能性が示唆された.
著者
中村 豊 佐藤 勉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1341-1344, 2001 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

1999年8月17日のコジャエリ地震 (Mw7.6、イスタンブール市基盤で最大加速度41Gal) の発生前と後において、イスタンブール市内にあるスレイマニエ寺院、アヤソフイア博物館、シェザーデ寺院、および完成直後の14階建オフィスビルの常時微動調査が実施された。地震前後の測定を比較した結果、最大9%(HS) の固有振動数の変化が検出された。地震前の常時微動測定結果から推定される建物の地震被災危険度avKb値は固有振動数の変化とよく対応しており、建物の危険度をavKb値やKb値により事前に的確に把握できるものと期待される。
著者
小林 義昭 長谷川 隆志 佐藤 誠 鈴木 栄一 荒川 正昭
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.810-815, 1996-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
17

症例は47歳の女性. 平成2 (1990) 年から慢性肝疾患の診断で某院に通院していた. 平成5年4月に肝硬変と診断され, 中国産漢方薬「片仔廣」の内服を開始したところ, 5月頃より湿性咳嗽が出現, 増悪したため, 7月当科に入院した. 両背下部に fine crackle を聴取し, 胸部X線写真で両下肺野に網状影を認めた. 血液ガス分析ではA-aDO2の軽度開大がみられ, 呼吸機能検査では拘束性障害と拡散能の低下を認めた. 薬剤性肺炎を疑って, 片仔廣を中止して無治療で経過観察したところ, 自覚症状, 画像所見, 呼吸機能のいずれも改善した. また, 白血球遊走阻止試験では, 片仔廣による遅延型過敏反応が認められた. 以上の結果から, 片仔廣による薬剤性肺炎と診断した. 本症例は, 本邦における片仔廣による薬剤性肺炎の第1例と思われる.
著者
佐藤 知己
出版者
北海道大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

調査の結果、北海道大学が所蔵しているものだけでも、江戸時代のアイヌ語文献は膨大な量にのぼることがわかった。中でも、「加賀屋文書」は約千ページ分にも相当し、資料の少ない道東地方のアイヌ語を復元する上で貴重な資料となるものであることが明らかとなった。特に、根室、別海等の地方が明らかな資料を多数含んでおり、これらの地方のアイヌ語を知る上で非常に役立つものとおもわれる。なお、この資料は、寛政頃から明治初期まで、約70年にわたる記録であり、その間のアイヌ語の変遷、翻訳技術の変遷などを探る上でも非常に貴重なものであることが判明した。また、北海道立図書館等に所蔵されている文献の中にもこれまで研究されていない貴重な文献がみられ、中にはこれまでほとんど知られていない日本海沿岸地方のアイヌ語に関する情報を含むものも新たに見いだされた。また、旅行記のような、直接アイヌ語を記したのではない文献の中にも相当多数のアイヌ語が記録されていることが改めて確かめられた。これらはアイヌ語が文献の中に散在しているために調査に膨大な時間がかかり、組織的な調査は今後にまたなければならないが、アイヌ語の全体像を知る上で重要な手がかりを与えるものである見通しが得られた。なお、副次的な成果として、江戸時代に出版された世界最初のアイヌ語辞書である上原熊治郎「藻汐草」について調べたところ、道内に存在するものを調査しただけでも極論すれば一冊一冊が異なる状態を示し、特に印刷の精度に差があるために、文字の脱落の箇所や程度が一冊一冊異なっており、この辞書の正確な理解や評価は従来の一部の版本によるものでは極めて不十分であり、現存の版本を多数比較し、校訂版を作成しなければ下せないものであることが明らかとなった。資料数が膨大に上るため、未調査な文献がまだ多量にあり、今後も調査を継続する必要がある。また、既に収集した資料も膨大に上り、さらなる組織的な整理、分析が必要である。
著者
金澤 慧 野里 洵子 佐藤 信吾 髙橋 萌々子 入山 哲次 三宅 智
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.119-122, 2022-06-25 (Released:2022-06-25)
参考文献数
13

II型呼吸不全を合併した下咽頭がんの患者に,ヒドロモルフォンを投与したところ重大な呼吸抑制を認めた症例を経験したため報告する.症例は,下咽頭がんによる左頚部リンパ節転移,左肩甲骨転移,肺転移,肝転移を認める77歳男性.痛みと呼吸困難の症状緩和目的で緩和ケア病棟へ入棟した.ヒドロモルフォン経口徐放性製剤4 mg/日導入後,重大な呼吸抑制が生じた.ナロキソン投与にて呼吸状態は改善し,以降オピオイドの使用を控えることで呼吸抑制は認めなかった.呼吸不全や肝腎機能等の臓器障害の合併症のある終末期の患者では,全身状態をより慎重に評価し,薬物代謝能力の低下による生体内利用率の増加等を考慮して,投与量や投与方法を注意深く検討する必要があると考える.
著者
佐藤 浩一郎 松岡 由幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.13, 2008 (Released:2008-06-16)

デザイン過程を,概念デザインや基本デザインが含まれるデザイン上流過程と,詳細デザインなどを含むデザイン下流過程の2つに大別すると,それらは以下の異なる特徴を有している.まず,上流過程においては不明確なデザイン目標や制約条件のもと,デザイナーの経験に基づく知識や直観を用いて,試行錯誤的に広い解空間から多様なデザイン解の探索が行われる.そして,下流過程においては明確化されたデザイン目標や制約条件のもと,合目的に狭い解空間から唯一のデザイン解の探索が行われる.この下流過程は,デザイナーの直観に依存する部分はあるものの,最適化法やCADなどの活用によりデザイン行為に合理化がもたらされている.一方,上流過程は,いまだその多くをデザイナーの直観に依存しており,大域的な解探索を可能とする数理手法や,それを前提とした逆問題の解法を可能とする設計研究の進展が必要とされている.本報では,このようなデザイン上流過程およびデザイン下流過程に適用可能な人工物デザインである「創発デザイン」と「最適デザイン」の概念を示し,それぞれの適用条件や適用可能なデザイン問題について示した.
著者
小松 文夫 矢野 節子 岡村 経一 佐藤 ヒロミ
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血学会雑誌 (ISSN:05461448)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.170-174, 1983 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

The frequency of anti-E antibody formation has a very important problem especially in Japanese, and it has been studies in our laboratory since 1981. The anti-E positive specimens were found in 10 of 250 (4.0%) Rh(ee) recipients who received more than 10 units of blood. On the other hand, the frequency of anti-E formation was only about 2% in all Rh(ee) recipients in cluding cases received less than 10 units of blood. In the latter series, almost a half recipients were transfused with less than 10 units. And in general, the incidence of Rh(ee) recipients who receive E-positive blood in random transfusion is presumed to be about 25% in Japanese.Consequently it is likely that the frequency of anti-E antibody formation is approximately 0.4-0.5% in all transfused recipients in Japan.
著者
箱崎 友美 鳥越 郁代 佐藤 香代
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.140-152, 2017 (Released:2017-12-22)
参考文献数
49
被引用文献数
1 1

目 的帝王切開(帝切)で出産した女性の出産満足度と産後早期のうつ傾向との関連を明らかすること,ならびにその出産満足度に影響を及ぼす要因について検討する。対象と方法A・B県の22の産科施設にて帝切で出産した褥婦362名を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施し,回収は留め置き法と郵送法を用いた。質問紙は,母親の基本属性・帝切で出産した母親の出産満足度(日本語版SMMS)・産後のうつ傾向(EPDS)・自尊感情(自尊感情尺度日本語版)・母親の愛着(MAQ)より構成された。SMMS得点とEPDS得点ならびに属性との関連は,t検定・一元配置分散分析を用い,出産満足度に影響を及ぼす要因の検討は,重回帰分析を用い分析した。結 果回収率は83.1%(301名)で,そのうち294名(97.7%)を分析対象とした。帝切の分類は,予定帝切が207名(70.4%),緊急帝切87名(29.6%)で,出産満足群(SMMS得点≥147点)が247名(84.0%)を占めた。また出産満足群は,出産不満足群に比して有意にEPDS得点が低かった(p=0.003)。さらにSMMS得点に対する影響要因として,母親の愛着得点が選択された(p=0.001)。結 論出産満足群・不満足群の2群間において,EPDS得点に有意差が認められたことから,帝切での出産満足度と産後早期のうつ傾向には関連があることが示唆された。また,出産満足度に影響を及ぼす要因として母親の愛着が確認された。以上のことから,助産師は,出産の振り返りを通して,帝切による出産に対する女性の認識を確認し,退院後も継続した支援を提供していくことが重要である。また帝切による出産の場合,遅れがちになる産後の早期母子接触・早期授乳を積極的に実施することが,出産満足度の向上につながると考えられる。