著者
岡田 啓司 古川 岳大 安田 準 内藤 善久
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.713-718, 2002-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ホルスタイン種乳牛25頭を適正 (N) 群, 高デンプン (S) 群, 高タンパク (P) 群の3群に分け, 血中乳酸 (LA) およびアンモニア (NH3) 濃度とルーメン環境との関連を検討した. S群のルーメン液中総原虫数は採食後に著しく減少し, 活性度も低下した. ルーメン液中LA濃度は光学活性の異なるD-LA, L-LAともに採食後2時間に増加し, ルーメンpHはその後も低下し続けた. ルーメン液中および血中それぞれのD-LAとL-LA濃度との間には正の相関があった. ルーメン液中NH, 濃度はP群で採食後2時間以降に著しい増加を示したが, N群およびS群では採食後4時間に減少した. 採食後4時間のルーメン液中と血中NH3濃度に相関があった. 以上より, 血中NH, 濃度は, 乳牛が摂取した飼料中のタンパク質のルーメン内における消化の状態を反映していると考えられた.
著者
内藤 孝雄
出版者
特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
雑誌
日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学 (ISSN:13468111)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1-2, pp.18-25, 2010-04-26 (Released:2015-12-11)
参考文献数
7

われわれ歯科技工士は,補綴装置を製作するための基本となる解剖学的観点からの歯の形態や歯列,嵌合状態を把握していなければ,歯科医師の指示による臨床での応用が利かなくなる.これは,臨床においては生体によってさまざまな咬合状態が存在するので,個々 の患者に対し適切に調和する機能性を考慮するためである. しかし,いまだ解剖学に沿った理想的な正常咬合という明確に定義づけられた基本模型が存在しないため,何を目標として技術の修練を行えばよいのか困惑している. そこで,解剖学的観点から,さまざまな臨床に対応するための指標となる正常咬合模型を具現化する事を目的として,日本人の全歯種の歯を平均値にて石膏彫刻を行い,もっとも嵌合する位置を探しだしながら排列を試みて検証を行った.その結果,おおよそではあるが,以下のことが確認できた. 1:正面面観から矢状面観にかけて切縁鼓形空隙は,一定の法則で広がりを見せた.2:咬合面観の歯列弓は,上下顎第二大臼歯が外開きになる傾向があった. 3:矢状面観の咬合平面は,隣り合う辺縁隆線が同じ高さでスピーの湾曲を呈していた.4:矢状面観の上顎臼歯部歯軸は,近心傾斜を示す傾向があった. 5:矢状面観の上顎第一大臼歯は,遠心頬側咬頭が挺出していた. 6:矢状面観の上顎第一大臼歯と上顎第二大臼歯の辺縁隆線は,とくに段差がついた. 7:上下顎の対向関係は1 歯対1 歯になったが,cusp to fossa の関係にはなかった. これらの結果の2については,上下顎第二大臼歯の咬合面溝形態と咬頭数の組み合わせによって歯列弓には変化が生じるとともに,7については,下顎が前方位になる1歯対2歯の対向関係になると,歯列弓や咬合接触点の位置に変化が生じると考えられた.
著者
道端 あい 毛利 輝高 内藤 直弘 西川 直樹 宮坂 広夫 高岡 弘光
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.203, 2008 (Released:2008-11-10)

【背景】洗濯後の衣類の香りや臭いに対する消費者意識は高く、近年、衣類の消臭、部屋干し臭抑制、高残香性等の機能を付与した洗剤が発売されている。また、洗濯後に残る気になる臭いとして、皮脂臭・加齢臭をあげる女性が多いことから、Web調査にて、特に“夫の洗濯物の臭い”に対する意識と洗濯行動の実態把握を行った。 【方法】洗濯主体者であり、かつ夫が同居している既婚女性を対象にWeb調査を行った(有効回答数1032人)。 【結果・考察】本調査により、既婚女性の82%が夫の洗濯物の臭いを不快に感じ、26%の人が分け洗いを行っている結果が得られた。年齢や結婚年数を項目とするクロス集計分析を行ったが、特に顕著な差はみられなかった。一方、結婚生活への満足度や二人での外出頻度等の夫婦間コミュニケーションに関連した項目と、夫の洗濯物の臭いに対する感じ方との間には高い相関性がみられた。また、家事参画度にも臭いの感じ方に対し同様な傾向が認められた。 そこで、夫婦間コミュニケーションレベルに関する25項目の質問を因子分析し、精神的充足や愛情表現実行等の4つの因子を抽出した。これらの因子を元に対象者をクラスター分析し、コミュニケーションレベルで夫婦の形態を5階層に分類した。その結果、「結婚生活ネガティブ」層では61%が夫の洗濯物の臭いを不快と感じているのに対し、「夫婦円満」層ではわずか6%であった。実際の行為としての分け洗いの実施率についても同様であった。これらのことから、夫婦間のコミュニケーションと夫の洗濯物の臭いに対する感じ方や洗濯行動とには密接な関係があると推定された。
著者
内藤 優太 橋本 康弘 陳 Yu 大橋 弘忠
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.131, 2007

電力市場における大きな特徴として連係線制約などのネットワーク制約が挙げられる。発電会社と電力システム管理者をエージェントとし,各エージェントはネットワーク制約やノーダルプライスなどを考慮しながら線形計画法を用いて市場への24時間の入札戦略や送電計画を決定する。本研究ではネットワーク制約などを考慮したマルチエージェントによる基礎的な電力市場モデルを提案する。
著者
熊谷 秋三 田中 茂穂 岸本 裕歩 内藤 義彦
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.90-103, 2015-09-30 (Released:2020-04-10)
参考文献数
71
被引用文献数
1

自由生活下における単位時間の身体活動の強度を最も正確に推定できる方法は,加速度センサーを用いた活動量計である。加速度センサーを内蔵する活動量計は,加速度と身体活動強度との間に相関がみられることを利用して,活動強度を推定する。従来は,上下方向だけ(一軸)の加速度センサーであったが,最近は二~三軸の加速度センサーが主流である。歩行を含む日常生活でみられる活動の多くは,±2G(重力加速度;1 G=9.8 m/s2)以内であるが,歩行以外の日常生活の場合は,多くが数十mG かそれ以下,座位行動の場合は20 mG 程度以下であることから,座位行動を含む低強度の活動強度を評価するにあたっては,低強度での分解能が要求される。歩・走行とそれ以外の活動では,加速度と活動強度との関係式が異なるが,それらを判別するために,加速度の大きさを反映するカウントの変動係数,垂直と水平成分の比率,および重力加速度から姿勢の変化をとらえる方法などが提案されている。特に強度が弱い活動において,三軸加速度センサー内蔵活動量計(Active style Pro)の推定誤差が小さい。なお,自転車漕ぎ,坂道の昇り降り,重い物を持っての自立姿勢などにおいては,加速度の大きさは,必ずしもエネルギー消費量と対応しないため,機種やアルゴリズムを確認したうえで使用する必要がある。我々は,Active style Proを用いて久山町住民を対象に身体活動を調査した。活動強度3メッツ以上の活動量は男女ともに加齢に伴い有意に減少し,その身体活動パターンには性差が存在することを明らかになった。すなわち,男性では歩・走行活動が多い一方で座位時間も長く,女性では歩・走行以外の活動によって活動量を維持する傾向にあることが観察された。更に,三軸加速度センサー内蔵活動量計を用いた疫学研究の意義および可能性について要約した。最後に,現在継続中もしくは実施予定の三軸加速度センサー内蔵活動量計を用いた縦断研究(前向きコホート研究含む)を紹介した。これらの継続中の疫学研究は,三軸加速度センサー内蔵活動量計による客観的調査に基づいた軽強度,中高強度の身体活動および座位行動に関連したガイドライン開発に必要である有効な情報をもたらすであろう。
著者
内藤 周弌
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.464-467, 2000-07-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
3

高校生に, 簡潔に「触媒作用の本質」を教えるのは難しいため, 高校の教科書では抽象的に「…は, 触媒を用いて合成される」といった記述が目立つ。しかし, 地球規模での環境問題の解決や石油の枯渇に伴う新しいエネルギー資源の創製のために, 将来, 触媒が果たさねばならない役割は益々大きくなっていくであろう。今こそ, 21世紀を担う高校生に是非「触媒の面白さと重要性」を生きたかたちで教えて頂きたいと思う。本稿はそのような目的の一助になればという趣旨で書かれたものである。
著者
内藤 泰
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.138-143, 2012-04-20
参考文献数
18

補聴(補聴器あるいは人工内耳)を介して符号化された聴覚信号は情報量が少なく,非生理的であり,その認知のために感音難聴者の高次脳機能には再編成が生じる.特に聴覚単独での正確な認知が困難な状況では視覚情報処理の介入が生じ,複数の感覚が統合されて聴覚情報処理を補うようになる.逆に高次脳機能が補聴に影響を及ぼす場合もあり,本稿では脳の外傷や先天性サイトメガロウイルス感染による高次脳機能障害が人工内耳の効果を妨げる例についても述べた.難聴や補聴と高次脳機能の関係を知ることは,その後の診療方針やコミュニケーションモードの選択に重要である.