著者
朝比奈 良太 千村 直輝 酒井 洋樹 神志那 弘明 前田 貞俊
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.159-163, 2012 (Released:2012-10-13)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

ダプソンおよびグルココルチコイドに対する反応性が低い角層下膿疱症の疑われた症例に対して,シクロスポリンを用いたところ皮疹が早期に改善した。本症例の病変部皮膚におけるサイトカイン遺伝子転写量を解析したところ,IL-8およびTh17サイトカインの転写量が高値であった。これらの結果より,本症例の病態にはTh17サイトカインが関連している可能性が示された。
著者
前田 泰樹
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.13-26, 2003

近年、医療従事者による対人援助技法に関して、「傾聴」の重要性が強調されるが、その議論は、抽象的な理念や表現上の技法に関するものに留まる。本稿では電話相談を行う看護職のロール・プレイにおける相互行為を分析し、医療従事者が「<助言者>であることをする」実践のなかで、<相談者>の示す感情にいかに応じるべきとされているのかについて、詳細な記述を行った。この作業を通じて、傾聴という活動に結びついている概念の連関としての「論理文法」の概略を以下のように提示し、過度に個人に帰責することなく、実践のあり方を再検討していく方向性を示した。(1)情報提供などで助言が可能な場合、「傾聴」活動を行うことが関連性をもたない可能性がある。(2)アセスメントに成功するが、直ちには受け入れられない場合、「傾聴」の重要性は高まる。(3)アセスメントが困難である場合、傾聴的技法の一部は、医療的文脈に引き戻され、トラブルを助長させる可能性がある。
著者
前田 泰樹
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.13-26, 2003

近年、医療従事者による対人援助技法に関して、「傾聴」の重要性が強調されるが、その議論は、抽象的な理念や表現上の技法に関するものに留まる。本稿では電話相談を行う看護職のロール・プレイにおける相互行為を分析し、医療従事者が「<助言者>であることをする」実践のなかで、<相談者>の示す感情にいかに応じるべきとされているのかについて、詳細な記述を行った。この作業を通じて、傾聴という活動に結びついている概念の連関としての「論理文法」の概略を以下のように提示し、過度に個人に帰責することなく、実践のあり方を再検討していく方向性を示した。(1)情報提供などで助言が可能な場合、「傾聴」活動を行うことが関連性をもたない可能性がある。(2)アセスメントに成功するが、直ちには受け入れられない場合、「傾聴」の重要性は高まる。(3)アセスメントが困難である場合、傾聴的技法の一部は、医療的文脈に引き戻され、トラブルを助長させる可能性がある。
著者
植村 俊亮 波多野 賢治 天笠 俊之 吉川 正俊 渡邉 正裕 前田 亮 石川 正敏
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

インターネット時代を迎えて,地球規模の情報資源が現出しつつあると言われる.WWW(World Wide Web)は,その典型的な例である.しかし,WWWは,ばらばらに構築された,言語も文化も異なるホームページが互いに接続されて,利用可能になっているだけであって,そこから真に必要な知識を発掘する方式はまだ確立されていない.本研究では,WWWに代表される知識資源の大海から,必要な知識を発掘する方式を,とくにその多言語処理面から追求する.具体的には,次の多言語機能をもつ知識発掘システムの実現を目指す.1.ある言語で表現された情報資源に対して,それとは別の言語を使って問い合わせることができる.例えば,英語のホームページの集まりに対して,日本語で質問を出すことを可能にする.2.複数の異なる言語で表現された情報資源の集まりに対して,自分の一番使いやすい言語を使って,問合せを出し,必要な情報を発掘することができる、例えば,さまざまの言語を使ったホームページの集まりに対して,だれでも母国語を使って問い合わせ,知識を発掘することを可能にする.多言語知識発掘システムのため本研究では以下の項目について研究を実践した.1)対訳辞書を用いた検索語の翻訳手法,および並列コーパスによる統計的手法などを用いた効果的な多義性の除去手法,2)フォント埋め込み型HTML/XML文書による多言語文書のブラウジングシステムの実現,3)大量の多言語HTML/XML文書格納のためのHTML/XML文書データベースの開発.
著者
原田 和則 三隅 厚信 三隅 克毅 馬場 憲一郎 跡部 安則 近藤 浩幸 前野 正伸 本明 宜彦 金光 徹二 赤木 正信
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.965-969, 1987-04-01
被引用文献数
11 13

胃上部癌の外科的治療における噴門側胃切除 (噴切) か胃全摘 (全摘) かの術式の選択について, 両術式間の術後機能障害の比較検討を目的として, 術後の満足度, 術後愁訴, 脂肪消化吸収試験, 消化管ホルモンの成績などから考察を加えた. 脂肪消化吸収試験, 術後の栄養障害, 消化管ホルモンの面からは噴切が全摘に比べ, また全摘では間置術が Roux-Y 術に比べて良好であった. 胃上部癌の外科治療においては, 十分に根治性が得られる範囲内で切除線を決定することが前提条件であり, 根治性を第一義的に考えて術式の選択をすべきである. その際, 根治性が保たれ残胃を大きく残すことが出来る場合には噴切適応の意義があると考えられた.
著者
石島 博 前田 章 谷山 智彦
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MPS-80, no.1, pp.1-13, 2010-09-21

本論文では, 不動産が立地する,Google Earth(GE) などの地球儀・地図上の座標にピンを打ち,金融工学の理論に基づいて評価した不動産の価格とリスクを表示させるシステム 「不動産バリュエーション・マップ」 を提案する. 本システムは,金融工学を地理情報システム (GIS; Geographic Information System) 上に,融合・展開する新しいモデルである.不動産は,個人や企業等にとって最も大きな資産であるにも関わらず,株式などの金融資産とは異なり,その売買の意思決定において,手軽に利用・活用できるデータや分析ツールが圧倒的に少ない.このような状況に 1 つの解決策を提案すべく,クラウド時代の Web 上のデータや GE などの高度な地球儀・地図アプリケーションを効果的に用いることにより,不動産バリュエーション・マップを構築する.
著者
前川 健二郎 前田 智雄 大島 千周 鈴木 卓 大澤 勝次
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.315-320, 2006-09-15
被引用文献数
8 8

数種アブラナ科野菜の高機能性スプラウト生産技術を確立するため,抗酸化活性成分含量および抗酸化活性に及ぼす照射光強度の影響について検討した.その結果,栽培中の光強度を高めることで,スプラウトの胚軸長は短くなるものの,フラボノール,アントシアニンおよび総ポリフェノール含量の増加が認められ,抗酸化能(DPPHラジカル補足活性,スーパーオキシド消去活性)も高まった.これらのことから,光を強めた環境で栽培することにより抗酸化活性が高いスプラウトの生産が可能であることが分かった.
著者
飯田 浩平 前橋 栄一 西山 幸夫 葛田 理仁 田中 雄大
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
鉄道技術連合シンポジウム(J-Rail)講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, no.16, pp.737-740, 2009-12-02

We have developed a instrument for measuring coefficient of friction on wheels, moving on wheel tread with small creepage, which is called "Mobile u-tester." The instrument is constructed with support system and measuring unit, which is driven by flexible rack, pinion and a pulse motor. The measuring unit carries a measuring roller, which is driven by timing belt and pulse motor. Controlling above two motors then it is able to obtain small creepage condition. Meanwhile, coefficient of friction is calculated from normal force, which is supplied by a spring, and friction force measured by load cells. At first, we have measured coefficient of friction on real wheels under non-dismantling condition. Then, we have obtained rough characteristics of creep force. Finally, we have captured the effect of lubricant on coefficient of friction.
著者
坂本 望 大谷 拓哉 新小田 幸一 前島 洋 吉村 理 飛松 好子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.45-51, 2007-04-20
被引用文献数
1

認知症高齢者の易転倒が認知機能の低下によるものか,運動機能低下によるものか明らかにするために,認知症高齢者の外乱に対する反応を調べた。対象は認知症を有する高齢者(認知症群)10名と認知症を有さない高齢者(対照群)7名であった。外乱は移動速度100mm/s,移動距離50mmの床面の前方向への水平移動とした。この外乱を予告なしに5回加えた時の,足圧中心と前脛骨筋,大腿直筋の筋電図のアナログ信号を2000Hzでサンプリングし,A/D変換を行った。足圧中心データから足圧中心移動距離,足圧中心応答時間,筋電図データから各筋の潜時,潜時から500ms間(O-500ms間),及びその後の500ms間(500-1000ms間)における各筋の%筋電図積分値を算出した。足圧中心移動距離,500-1000ms間の前脛骨筋%筋電図積分値において,認知症群は対照群と比較し,有意に小さい値を示した。一方,足圧中心応答時間,各筋の潜時,0-500ms間における前脛骨筋,大腿直筋,500-1000ms間における大腿直筋の%筋電図積分値において2群間に有意差は認められなかった。これらの結果から,認知症群は対照群と比較し,外乱に対する反応への遅延を引き起こしていないことが明らかとなった。しかし,足圧中心を移動させず,少ない前脛骨筋の活動量で立位保持を行っていた。
著者
並木 祐子 林 孝彰 奥出 祥代 竹内 智一 北川 貴明 月花 環 神前 賢一 久保 朗子 常岡 寛
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.123-128, 2010-12-29

<B> 目的:</B>小口病は常染色体劣性の遺伝形式をもつ先天停在性夜盲の一つで、視力、視野、色覚に異常はないと考えられている。以前、我々が報告した錐体機能低下および進行性の視野障害をきたし、<I>SAG</I>(アレスチン)遺伝子変異(1147delA)を認めた高齢者小口病の1例(臨床眼科 63:315-21, 2009)について、今回は、黄斑部機能、色覚について検討したので報告する。<BR><B> 症例:</B>70歳、男性。矯正視力は右(1.2)、左(1.5)、Humphrey視野(中心10-2全点閾値)の中心窩閾値は良好であった。スペクトラルドメイン光干渉断層計所見として、中心窩付近の視細胞内節外節接合部ラインは明瞭であったが、それ以外の部位では不明瞭であった。錐体機能を反映する黄斑部局所網膜電図で、a波およびb波とも著しい振幅低下を認めた。片眼ずつ色覚検査を行い、石原色覚検査表国際版38表では誤読数が右4/21、左3/21と成績は良好であった。Panel D-15では両眼ともpass(no error)であったが、Farnsworth-Munsell 100 hueテストにおいては、青黄色覚異常の極性に一致し、総偏差点は右268左292と年齢によるスコアを超える異常値を示した。<BR><B> 結論:</B><I>SAG</I>遺伝子変異(1147delA)陽性小口病の中には、黄斑部錐体機能が低下し、経過中に典型的な後天青黄色覚異常を呈するものがある。