著者
北村 由美
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.312-324, 2015-01-01

本稿は,アメリカで最も重要な東南アジアコレクションの一つであるコーネル大学図書館ジョン・M.エコルス・東南アジアコレクションの分析を通して,冷戦下におけるアメリカの学問の進展と大学図書館の役割について考察することを目的としている。冷戦下における学問の発展については,冷戦終了以降数多くの批判的検討がなされてきているが,図書館という学術情報基盤を通した考察はほとんど見当たらない。本稿では,第2次世界大戦後からベトナム戦争期にかけて東南アジア研究発展の経緯を俯瞰した後,ジョン・M.エコルス・東南アジアコレクションの設立と発展の経緯を辿る。
著者
森 玲奈 池尻 良平 濱口 麻莉 北村 智
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.3-15, 2016-07

防災教育において、知識の提供のみで十分と言えないことは周知の事実である。例えば、気象庁では警報を始めとする「防災気象情報」により重大な災害への警戒を呼びかけてきたが、住民や地方自治体が災害発生の危険性を十分に理解することに繋げられない事例、十分な避難行動に結びつかない事例もあった。基本的な情報がどこでどのように入るか、それがどのような情報であるのか、知識として人々が持っていなければ、有事、各々の状況に合わせた判断や行動につなげることも難しいと考えられる。そこで、人々の防災情報の知識を高め、その知識を行動に結びつけるために、災害についての考え方の変容を促進する教育プログラムが必要である。本研究では、大雨に対する防災情報の知識や意識の向上を目的としたワークショップを設計し、その実践の結果からワークショップの学習効果の分析を行った。
著者
吉井 昭夫 北村 磨知子 古明地 智 近藤 啓文 柏崎 禎夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.1380-1387, 1981-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

多発性筋炎や皮膚筋炎(PM-DM)における問質性肺病変は,近年注目されてきたが,その病態はほとんど不明である.そこで本症の間質性肺病変の病態を臨床的ならびに免疫学的に解析した.なお,肺の間質性肺病変は厚生省肺線維症研究班・診断の手引きを用いて抽出した. 1)間質性肺病変は29例中15例(52%)にみられ, overlap群を除いた24例については11例(46%)に認められた. 2)間質性肺病変はその出現様式で2群に分けることが出来た,すなわち,肺病変が筋炎とほぼ同時期に発症したもの(5例),遅れて発症したもの(5例)および不明1例であつた.前者ではステロイド療法で肺病変が改善したものは, 4例中3例であつたのに対し,後者では改善例が1例もみられなかつた. 3)肺病変有り群は無し群に比べ, %VCおよびDLco値は低下していたが,肺病変無し群でも半数例以上は異常値を示した. 4)肺病変を有するPM-DMは,関節症状,心症状などの出現頻度が高く,多臓器障害性の性格がみられた.しかし,間質性肺病変と筋炎の程度との間には,相関は得られなかつた. 5)抗核抗体を家兎胸腺抽出物を抗原とし,二重拡散法で検索したところ, Tk抗体(Jo-1抗体)が肺病変群の36%に検出され,無し群では全くみられなかつた.したがつて,本症における間質性肺病変の発症に免疫学的機序の関与が推測された.
著者
北村 優子
出版者
文教大学
雑誌
文教大学国際学部紀要 (ISSN:09173072)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.65-78, 2008-07
被引用文献数
1

1.問題意識 日本経済の課題の一つとして財政再建・健全化が国際的にも指摘されているとは言え、日本の経済力は世界トップレベルにあることは広く認知されていよう。しかし、日本もかつては援助受益国であった。近代化の議論にもしばしば出てくるが日本が直面しているジェンダー問題に目を向けた場合、日本の開発過程は果たして`理想'通りと言えるのであろうか。2.テーマと構成 本論文では、日本が経済成長を遂げる中で置き去りにされているジェンダー平等化のジレンマについて論じたい。まず、経済成長を最優先にした開発では不十分である点と近代化の議論について触れ、次に`traditional ideas'と日本のジェンダー不平等の関連性に注目する。そして、政府の方針がどのような影響を持ってきたかについて述べたい。また、今後の日本の開発過程でジェンダー不平等がもたらすマイナス面、女性と男性それぞれが直面している問題にも目を向ける。最後に、エンパワーメントアプローチが解決策になりうるのかについて論じい。3.結果 女性の労働環境には多くの制限があることが様々なデータからうかがえ、ジェンダー問題の一例として挙げられる。女性は`良き妻として、良き母として'という`traditional ideas'に縛られることが少なからずあるのではないだろうか。また、男性も`男らしさ、一家の大黒柱として'という観念のもとで複雑な状況に置かれていることも理解する必要がある。ジェンダー平等化のジレンマを解決する為に今までに、様々な法律が施行されてはいるがどれも特効薬になっているとは言いがたい。人々の考え方や慣習などを政策にもっと反映させる必要がある。また、「自らの可能性に気付き自ら行動を起す」というエンパワーメントアプローチが一つの解決策になるのではないかと考えられる。
著者
北村 泰佑 後藤 聖司 髙木 勇人 喜友名 扶弥 吉村 壮平 藤井 健一郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000884, (Released:2016-06-30)
参考文献数
25
被引用文献数
4

患者は86歳女性である.入院1年前より認知機能低下を指摘され,入院2週間前より食思不振,幻視が出現し,意識障害をきたしたため入院した.四肢に舞踏病様の不随意運動を生じ,頭部MRI拡散強調画像で両側基底核は左右対称性に高信号を呈していた.血液検査ではビタミンB12値は測定下限(50 pg/ml)以下,総ホモシステイン値は著明に上昇,抗内因子抗体と抗胃壁細胞抗体はともに陽性であった.上部消化管内視鏡検査で萎縮性胃炎を認めたため,吸収障害によるビタミンB12欠乏性脳症と診断した.ビタミンB12欠乏症の成人例で,両側基底核病変をきたし,不随意運動を呈することはまれであり,貴重な症例と考え報告する.
著者
佐藤 達哉 菅原 ますみ 戸田 まり 島 悟 北村 俊則
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.409-416, 1994-02-20 (Released:2010-07-16)
参考文献数
34
被引用文献数
10 10

Mothers' difficulties concerning child-rearing were conceptualized as a rearing-related stress (RRS). Eight hundred and seventeen mothers who had six month-olds infants were asked to rate 28 RRS items and 20 items on the depressive severity scale (Zung, 1956). The main results were summarized as follows: (1) Twenty-two items of RRS were analyzed by Hayashi's quantification (type-III) method, and two hypothesized dimensions were extracted. These are named children-related reaing stress (CRRS) and mothers-related rearing stress (MRRS). (2) RRS was related to mothers depressive severity, (3) Linear relationships of “CRRS-MRRS-depression severity” was examined by partial correlation analysis. (4) Primiparae experienced more RRS than multiparae. These results suggested that RRS could be considered as a process, i.e., CRRS influences MRRS and then MRRS influences depressive severity. The RRS model is in accord with the psychological stress model of Lazarus and Folkman (1986). Lastly, possible preventive strategies for mothers' RRS were disscussed in the light of RRS model.
著者
斉藤 良太 島田 淳一 北村 博顕 遠山 洋一 柳澤 暁 矢永 勝彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.1035-1040, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
16

症例は50歳の男性で,上腹部違和感にて近医受診,腹部USにて膵頭部の膵管拡張を指摘され当院紹介となった.MRCPにて膵頭部に非特異的な走行を示す蛇行した膵管像を認め,一部は嚢胞状に拡張しており分枝型の膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断した.経過観察としていたが初診から2年後のMRCPにて嚢胞径が32mmに増大し,かつ壁在結節を疑う所見を認めたため悪性を否定できず幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した.摘出標本の膵管造影を行ったところ,背側膵管と腹側膵管が各々の下枝を介して癒合する膵管癒合異常を示し,広岡らの分類における分枝癒合型2型に相当すると考えられた.病理組織学的診断では微小浸潤を伴った膵管内乳頭粘液性癌であった.非常に稀な膵管像を呈した膵管内乳頭粘液性腫瘍の1例と考えられるため報告した.
著者
北村 杏子
出版者
青山学院女子短期大学
雑誌
青山學院女子短期大學紀要 (ISSN:03856801)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.29-46, 1985-11-10
著者
北村 四郎
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.41-45, 1957-12-10
被引用文献数
3
著者
吉川 博昭 安藤 富男 渡部 真人 北村 晶
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.172-175, 2016-03-15 (Released:2016-04-20)
参考文献数
4

気管分岐異常を有した患者において分離肺換気を必要とする全身麻酔管理症例を経験した.症例は24歳の男性で左後縦隔腫瘍に対する腫瘍切除が予定された.37Fr左用ブロンコキャスTMを用いた盲目的な2回の気管支挿管では適正な位置への留置ができなかった.3回目に気管支鏡で観察した際,気管分岐部の高さで右上葉気管支(気管気管支)を含む3腔が同時に観察された.気管支鏡ガイド下の誘導により,適正位置への留置および分離肺換気が可能となった.本症例では画像での気管分岐異常の術前評価ができていなかった点,および初回から気管支鏡ガイド下の誘導法による気管支挿管を用いなかった点が反省点であった.