著者
北村 謙典 武村 紀子 岩井 儀雄 佐藤 宏介
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.134, no.2, pp.218-224, 2014-02-01 (Released:2014-02-01)
参考文献数
13

In this study, we investigated expressive facial reactions in response to changes in the visual environment and their automatic extraction from sensors, in order to construct a comfortable level of illumination in personal living spaces. We conducted an experiment that showed that expressive facial reactions occur when illumination in the visual environment changes. We captured facial images and manually classified them as expressing or not expressing discomfort. We then conducted a second experiment that showed that automatic image processing can be used to extract and identify these expressive facial reactions. We extracted facial features and used a support vector machine to learn the classification in this experiment.
著者
阿江 竜介 中村 好一 坪井 聡 古城 隆雄 吉田 穂波 北村 邦夫
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.665-674, 2012-09-15

<b>目的</b> 全国的な疫学調査である「第 5 回 男女の生活と意識に関する調査」のデータをもとに,わが国の自傷行為についての統計解析を行い,自傷経験に関連する要因を明らかにする。<br/><b>方法</b> 全国から層化二段無作為抽出法を用いて選出された2,693人に調査票を配布し,自傷経験に対する回答の解析を行った。自傷経験があると答えた群(以下,自傷群)とないと答えた群(以下,非自傷群)の 2 群間で比較を行った。<br/><b>結果</b> 1,540人(回収率57.2%)の対象者が回答した。全体の7.1%(男の3.9%,女の9.5%)に少なくとも 1 回以上の自傷経験があり,男女ともに自傷経験者の約半数が反復自傷経験者であった。16–29歳における自傷経験率が9.9%と最も高く,30–39歳,40–49歳はそれぞれ5.6%,5.7%とほぼ同等であった。男女別では,年齢階級別(16–29歳,30–39歳,40–49歳)で,女はそれぞれ15.7%, 7.5%, 5.8%と若年ほど自傷経験率が高く,男は3.0%, 3.4%, 5.5%と若年ほど低かった。群間比較では,喫煙者(自傷群47.5%,非自傷群28.2%,調整オッズ比[95%信頼区間]:2.18[1.32–3.58]),虐待経験者(23.6%, 3.7%, 4.24[2.18–8.25]),人工妊娠中絶経験者(30.3%, 12.7%, 1.93[1.13–3.30])の割合が自傷群で有意に高く,中学生時代の生活が楽しかったと答えた者(41.1%, 78.6%, 0.45[0.25–0.79])は有意に低かった。調整後有意差は認めなかったが自傷群では,すべての性•年齢階級において,両親の離婚を経験した者,中学生時代の親とのコミュニケーションが良好ではなかったと答えた者,親への敬意•感謝の気持ちがないと答えた者の割合が高い傾向を認めた。<br/><b>結論</b> 多くの先行研究と同様に,自傷経験率は16–29歳の女で高く,また,喫煙者や虐待経験者で自傷経験率が高いことが示された。自傷行為の予防には,これらに該当する者に対して重点的にケアを提供する必要がある。また,社会的な観点から言えば,これらの要因を持つ家庭環境についても,今後明らかにしていく必要があろう。
著者
北村 秀教 米山 忠克
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.660-669, 1994-12-05
被引用文献数
3 2

作物の生体液の養分濃度の変化から栄養生理や栄養診断の情報を得ることを目的とした.ここでは培地の Ca 濃度を 2 mM と 7mM に変えてコマツナと節木キュウリを水耕栽培し,両作物の導管液や作物下位と上位の葉柄と葉身の汁液の pH, EC, カオチン (Ca^<2+>, Mg^<2+>, K^+)とアニオン (NO_3^-, H_2PO_4^-, SO_4^<2->, Cl^-) の濃度の変化を分析した.pH は,導管液でやや低下したが,葉柄と葉身汁液では培地とほぼ同じ (コマツナ) か,やや上昇 (キュウリ) した.EC は導管液,葉身汁液,葉柄汁液と上昇した.培地の Ca 濃度が 2 mM から 7 mM になると,両作物で生体液の Ca 濃度が上昇, Mg 濃度が低下したが,キュウリはさらに K 濃度が低下した.コマツナ葉身では全 Ca の 60〜88%, 全 Mg の76〜103% が汁液に分布していたが,キュウリ葉身では全 Ca の 5〜11%, 全 Mg の 15〜34% が汁液に分布していた.K は葉柄と葉身の汁液で 100〜150 mM と変わらず葉身 K の約 60〜80% が汁液に分布していた.キュウリの葉身汁液の NO_3^- の濃度はコマツナより低く,またコマツナ葉身では全 N の 11〜25%, キュウリでは 2〜10% が NO_3-N であり,キュウリの活発な NO_3^- 還元能が示唆された.H_2PO_4^- は,導管液で 2〜4 mM, 葉柄汁液で 4〜9 mM, 葉身汁液で 10〜15 mM となり,培地 Ca 濃度の上昇はキュウリの葉柄や葉身の汁液の H_2PO_4^- 濃度を低下させたが,導管液や葉身の全 P への影響はなかった.全アニオン/全カチオンの当量比は,両作物の導管液でほぼ1, コマツナの葉柄汁液でもほぼ1であった.しかし,キュウリの葉柄汁液および両作物の葉身汁液で 0.2〜0.8 となり,他のアニオン (CO_3^<2-> やリンゴ酸) の存在が示唆された.キュウリの台木がクロダネとスーパー雲竜では,養分の吸収,移動,代謝には差がほとんどないので,ハウスで認められたスーパー雲竜台木キュウリ葉の黄白化症は台木根の生理的特性ではなく,養分が富化した上位土層に根が分布したためと考えられた.
著者
武田 維倫 糟谷 浩一 福冨 則夫 土居 隆秀 室井 克己 加藤 公久 室根 昭弘 佐藤 達朗 花坂 泰治 長尾 桂#北村 章二
出版者
[栃木県水産試験場]
雑誌
栃木県水産試験場研究報告 (ISSN:13408585)
巻号頁・発行日
no.45, pp.3-12, 2002-03 (Released:2013-10-08)

栃木県中禅寺湖では、平成7年に密放流によると思われるコクチバス(Micropterus dolomieu) が県内で初めて確認された。本種は北米原産の肉食魚であり繁殖力が強く、さらには冷水域や河川にも生息可能であることから我が国の内水面漁業や在来種に悪影響を与える事が懸念されている。そこで本種の効果的な駆除方法を確立することを目的として、平成7年から平成12年の間、毎年4月から9月にかけて本種の生態調査と駆除方法の検討を行った。期間中に捕獲したコクチバスは96尾、確認した産卵床は46個であった。捕獲方法の内訳は水中銃で33尾、地曳網で31尾、巻網で22尾、釣りで9尾、刺網で1尾であった。また、実際に産卵が行われた産卵床は10個であった。年度毎にみると、捕獲尾数、産卵床確認数ともに平成8年が最も多かった(42尾、18個)が、平成12年には捕獲尾数1尾、確認された産卵床数1個のみとなり駆除の効果が表れているものと思われた。捕獲魚の胃内容物のうち最も多く確認されたのはヨシノボリ(Rhinogobius sp. )とスジエビ(Palaemon paucidens)であったが、漁業対象種であるヒメマス(Oncorhynchus nerka)及びホンマス(Oncorhynchus sp. )の稚魚も発見された。コクチバス及びその産卵床は水温が12℃以上になる5月下旬から確認され始め、産卵床は水深1.3~4mの範囲で付近に障害物のある遠浅の砂礫地につくられる例が多かった。以上の結果から、中禅寺湖では水温12℃以上になる期間中に地曳網、巻網、水中銃を地形に合わせて使い分けて駆除を行うのが効果的であると考えられた。
著者
北村 晃寿 坂口 佳孝
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 = The Quaternary research (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.63-68, 2004-02-01
被引用文献数
2

函館湾で採取した堆積物コア試料から,小球状ガラス物質(直径0.5~2.0mm)と石炭粒子を含む級化層理の発達した細礫~砂層を見つけた.函館湾周辺には石炭層が露出していないことと,形態的特徴から小球状ガラス物質は熔融した物質が急冷固結したものと推定されることから,我々は小球状ガラス物質と石炭粒子を1945年の函館空襲による大型船舶の被弾・大破炎上時に放出されたものと考えた.そして級化層は,それらが1954年の洞爺丸台風時の暴浪によって再移動と淘汰を受け,類似した水理特性を持つほかの砂粒子とともに再堆積したものと解釈した.このストーム堆積物は,函館湾の堆積物から過去数百年間の気候・環境変動を解読するために重要な年代マーカーとなりうる.
著者
北村 勝朗
出版者
東北大学
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.77-87, 2003-03

ひとの学びに関わる教育情報は、明示的なシグナルとして扱われる情報とは異なり、情報のもつ意味性、作用力を含めた解釈が必要となる。本稿では、教育情報を「教え学ぶ過程で作用する、意味を帯びた知」と定義づけ、スポーツ・音楽・芸術領域における熟達化過程で教育情報がどのように作用しているのかについて定性的分析によるモデル化を試みた。調査はエキスパート指導者9名を対象とし、半構造的・自由回答的調査面接により実施した。その分析枠組みとして、生田(1987)による「わざ」の概念を用いた。考察の結果、スポーツ・音楽・芸術領域における熟達化に及ぼす教育情報の作用は、「スキル」、「意味形成」、「志向性」、及び「身体性」の4つのproperty(特性)によって構成されることが明らかにされ、それぞれのpropertyに注目した教育情報の位置づけが検討された。
著者
北村 隆行 屋代 如月 大谷 隆一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.62, no.600, pp.1813-1819, 1996-08-25
被引用文献数
5

In order to elucidate the mechanism of deformation and fracture of microcomponents, numerical simulations are conducted for nanoscopic wire and film of nickel without lattice defects using molecular dynamics on the basis of the EAM (embedded atom method) potential. Applying a periodic boundary, large as well as small materials are subjected to a tensile strain along the [001] direction of the FCC (face-centered cubic) lattice. Here, the traverse stresses, σ_<xx> and σ_<yy>, in the former are kept at zero during the tension. The yield is brought about by the crystallographic slips on the (111) planes and there is little difference in the yield stresses among the wire, film and bulk. The slips continue to take place on multiple (111) planes and the plastic deformation leads to ductile fracture. Then, the displacement in the traverse direction on the cell boundaries of bulk is fixed in order to investigate the effect of constraint. It shows brittle fracture due to cleavage cracking. this implies that the constraint, which may be introduced by local inhomogeneity of the material, brings about early crack nucleation and reduces the ductility of matcrials without lattice imperfection.
著者
北村 太一 小川 祐樹 諏訪 博彦 太田 敏澄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本研究は,コミュニケーションに着目したTwitterフォローユーザ推薦手法を提案し,その有効性を検証することを目的としている.既存研究では,フォロー情報に基づく推薦手法を用いており,各ユーザ間のコミュニケーションを考慮していない.そこで本研究では,コミュニケーションに基づくフォローユーザ推薦手法を3つ提案する.評価実験の結果,関与・フォロー型推薦の有効性を確認している.
著者
王 娜 下川 敏雄 大山 勲 北村 眞一
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.207-214, 2015 (Released:2015-02-27)
参考文献数
8

The purpose of this study is to clarify the sensitive elements which affects sustainability of NPO Corporation management. We analyzed the data of hearing survey using the text-mining methods, extracted the main elements about “troubles in operation,” “actions for solution,” and “achievements,” and searched for the relevance between the sustainability and the elements. We found that, In addition to the economic challenges, the efforts of training staffs, the scheme of raising name values, and the achievement in improving motivation also have influence on the sustainable development. And we finally got a conclusion that when facing difficulties in management, identifying the problem clearly and trying various measures leads to the improvement of staff motivation. And this process was also the characteristic of sustainable development of NPO Corporation.
著者
北村 愼治 藤永 卓治 大川 順正 三軒 久義 吉田 利彦 山口 眞司 高田 実 高尾 哲人
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.1324-1332, 1982-10-20
被引用文献数
44

転移性副腎腫瘍の1例を報告した。患者は55歳男性で,約1年半前,肺扁平上皮癌の為,右肺上葉切除術を受けた。その後,微熱と貧血が続き,又,コンピューター断層撮影により左腎上部に腫瘤像がみられた為,当科へ入院した。超音波断層撮影工血管撮影等により,左副腎腫瘍と診断され,左腎・副腎摘出術が施行された。その組織像は,肺原発の転移性副腎腫瘍であつた。転移性副腎腫瘍は,臨床的には見逃される事が多いが,剖検的には比較的高頻度に認められている。そこで著者らは,昭和49年から53年迄の5年間の日本病理剖検輯報に基いて,125,581剖検例中の転移性副腎腫瘍の統計的検討を行ない,特にその原発巣に関して検討を加えた。転移性副腎腫瘍の診断には,画像イメージ診断法が有効である事を強調した。
著者
鈴木 覚 後藤 義明 北村 兼三 高梨 聡 岡野 通明 野口 宏典 大谷 義一 坂本 知己
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.32-36, 2013

平成24年5月6日に茨城県常総市からつくば市にかけて竜巻が発生した。つくば市山木地区と平沢地区の森林被害を調査した。平沢地区の標高50∼130 mの斜面に, 直径250∼300 mの円形の被害発生領域がみられ, この円形領域で竜巻が消滅したと考えられた。この竜巻が消滅した地点を除き, 次の特徴がみられた。 (1) 壊滅的な被害は100 m前後の幅で発生し, これは竜巻のスケールを反映していると考えられた。 (2) 広葉樹を主体とした森林や強風被害を受けにくい条件を備えた森林とも壊滅的な被害を受けたことから, ひとたび竜巻の経路にあたれば, 林況にかかわらず壊滅的な被害が生じると考えられた。 (3) 倒木は竜巻経路の中心に向かって倒れる傾向がみられた。これは竜巻による強風の特徴である風の収束を反映していると考えられた。
著者
山下 直樹 北村 嘉恵 新田 和幸 前田 賢次
出版者
北海道大学大学院教育学研究科教育史・比較教育研究室
巻号頁・発行日
2007-03-22

北海道の近現代教育史に関する資料の整理・保存を目的として、2005年3月~2006年3月に後志支庁管内の岩内東小学校、岩内西小学校、岩内町郷土館にて所蔵資料の調査を行った。本目録は、その成果報告である。
著者
寺下 正道 庄野 庸雄 陳 克恭 北村 知昭 農蘇 千絵 諸冨 孝彦 矢野 淳也 河野 直博
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.236-242, 2002
参考文献数
10

ハイドロキシアパタイト(HAP)を種々のフッ素濃度の溶液と反応させると, より耐酸性のフルオロアパタイト(FAP)やフッ化カルシウム(CaF_2)が生成される.CaF_2よりFAPの方がより安定した結晶構造を有し, 耐酸性を獲得するにはより有効である.HAPからFAPを生成させる至適フッ素濃度を求めるためにHAPから生成したFAPの量を測定することが必要である.この方法として現在用いられている電子スピン共鳴により測定する方法(ESR法)と1M KOHによりCaF_2を溶出させる方法(KOH法)とを比較した.ESR法ではフッ素濃度100 ppm以下の時にFAPの生成が最大を示し, 浸漬した溶液のフッ素濃度を増大させるにつれてCaF_2の生成が多くなり, FAP生成が抑制された.これは, X線回折による定性結果と一致していた.一方, KOH法では, フッ素濃度の増大とともにFAPの生成も増大するという結果が得られ, X線回折による定性結果とは異なっていた.以上の結果から, HAPから生成するFAPを定量する方法としてESR法の方がKOH法より有効であることが明らかとなった.
著者
寺下 正道 庄野 庸雄 陳 克恭 北村 知昭 農蘇 千絵 諸冨 孝彦 矢野 淳也 河野 直博
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州齒科學會雜誌 : Kyushu-Shika-Gakkai-zasshi (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.236-242, 2002-12-25

ハイドロキシアパタイト(HAP)を種々のフッ素濃度の溶液と反応させると, より耐酸性のフルオロアパタイト(FAP)やフッ化カルシウム(CaF_2)が生成される.CaF_2よりFAPの方がより安定した結晶構造を有し, 耐酸性を獲得するにはより有効である.HAPからFAPを生成させる至適フッ素濃度を求めるためにHAPから生成したFAPの量を測定することが必要である.この方法として現在用いられている電子スピン共鳴により測定する方法(ESR法)と1M KOHによりCaF_2を溶出させる方法(KOH法)とを比較した.ESR法ではフッ素濃度100 ppm以下の時にFAPの生成が最大を示し, 浸漬した溶液のフッ素濃度を増大させるにつれてCaF_2の生成が多くなり, FAP生成が抑制された.これは, X線回折による定性結果と一致していた.一方, KOH法では, フッ素濃度の増大とともにFAPの生成も増大するという結果が得られ, X線回折による定性結果とは異なっていた.以上の結果から, HAPから生成するFAPを定量する方法としてESR法の方がKOH法より有効であることが明らかとなった.
著者
中井 未生 北村 勝朗
出版者
東北大学
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.105-108, 2003-03

Sloboda等の研究により、音楽表現能力は獲得可能な能力であることが明らかにされている(Sloboda,1996)。本研究の目的は、指導者の表現指導観と指導行動の分析を通じて、表現指導構造を解明することである。2人のフィギュアスケートコーチと、3人のヴァイオリン指導者を対象とし、インタビューと指導場面の観察を行った。彼らの選定基準は次の通りである。1)指導者経験が10年以上、2)専門家集団によって優秀な指導者であると評価されていること、3)優秀な演奏家や選手を育てていること、および4)ヴァイオリンの場合、指導者自身も演奏家であること。深層的インタビューは各指導者がスポーツや音楽の表現についてどのように考えているかを探るために行った。また、組織的行動観察は指導行動を明らかにすることを目的として行われた。その結果、表現指導はFormling(生徒のイメージを形成する段階)、Performing(そのイメージを技術によって表現する段階)、そしてDeveloping(フィードバックによってさらに発展させる段階)の3要素から構成されていることが明らかになった。指導者は特にFormingで生徒が自ら具体的なイメージを持つために、単に自分のイメージを教えるのではなく、自分のイメージに基づいたアドバイスをすることを目指していた。そのために指導者は、比ゆ的な言葉と身振りを多く用いていた。
著者
近藤 謙介 池田 奈美枝 樫原 千枝 北村 義信 岩崎 正美 恒川 篤史 松添 直隆
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.15-21, 2010-03-01

高温期における再生紙マルチの利用がミズナ2品種'京みぞれ'と'晩生白茎千筋京水菜'(以下, '白茎')の生育, アスコルビン酸含量および硝酸イオン濃度に及ぼす影響を検討した. 処理区は白色と黒色の再生紙マルチを用いた紙(白)区と紙(黒)区, シルバーポリマルチを用いたシルバー区, さらに裸地区を設け, 計4処理区とし, 露地および雨よけハウス内でそれぞれ栽培した. 栽培期間中で最も気温の高かった日の地温および平均最高地温が最も低かった区は露地とハウス内ともに紙(白)区だった. 再生紙マルチの昇温抑制効果はハウス内よりも露地で大きかった. 欠株率はマルチ処理区間に差は認められなかった. 生育は紙(白)区が最大で, その要因としては処理区間の土壌含水比に差がなかったことから, 再生紙マルチの地温上昇抑制効果が大きく関与したと考えられる. また, 品種間を比べると'白茎'は'京みぞれ'に比べ欠株率が低く, 生育が良好だった. アスコルビン酸含量は'白茎'の紙(白)区が裸地区に比べ有意に多かった.一方,硝酸イオン濃度は処理区間に差はなかった.以上の結果から, 高温期における再生紙マルチの利用は, ミズナの生育を促進できることが明らかとなった. また, 欠株率, 生育およびアスコルビン酸含量に品種間差が認められたことから, 高温期栽培に適したミズナの品種の選定・育成も必要と考えられた.
著者
大平 哲也 磯 博康 谷川 武 今野 弘規 北村 明彦 佐藤 眞一 内藤 義彦 嶋本 喬
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.335-341, 2004-05-01
被引用文献数
1

うつ症状が脳卒中や心筋梗塞の発症と関連することや,不安,怒りが高血圧発症と関連することは欧米を中心に報告されているが,わが国における前向き研究はほとんどない本研究は,不安,怒り,うつ症状とその後の循環器系疾患発症との関連について前向き研究で明らかにすることを目的とした地域住民男女901名にZungの抑うつスケール(SDS)を実施し,その後103年間の追跡調査を行った結果,SDSの得点が高い人は低い人に比べて全脳卒中発症の相対危険度が約2倍,脳梗塞発症の相対危険度が約3倍,虚血性心疾患の相対危険度が約7倍であったまた,4地域(秋田,茨城,大阪,高知)住民のうち,正常血圧者4,970名を対象として不安,怒りの表現方法を質問紙にて調査し,その後4年間の追跡調査を行った結果,男性では怒りを内にためることが高血圧発症と関連していたが,女性では関連がみられなかった不安と高血圧との関連は男女ともにみられなかった