著者
原 晋 伊藤 暢人
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.377, pp.15-17, 2016-02

中国電力でのサラリーマン生活を経て、箱根駅伝で連覇を達成した青山学院大学の原晋監督。陸上界には珍しい異色の経歴が、新風を巻き起こしている。一見「チャラい」キャッチレーズを掲げて若者の心をつかみ、確実な結果を出す理由は何か。
著者
堀籠 啓太 伊藤 聖学 大河原 晋 相川 利子 今田 悟 宮澤 晴久 下山 博史 高雄 泰行 下山 博身 渡部 晃久 森下 義幸
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.77-83, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
18

症例は61歳, 男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全により, 週3回の血液透析 (HD) 中であり, 透析後半に頻回の血圧低下を起こしていた. 身体所見や心胸郭比, 循環血液量モニタリングからは適正な体液の状態と判断していた. 本人の同意を得たうえで, 脳内局所酸素飽和度 (rSO2) のモニタリングを行った. HD中のモニタリングでは, HD開始120分後まで緩徐に平均血圧が低下した際, 右前額部において脳内rSO2の低下が観察された. 脳内の虚血性病変を疑い, 核磁気共鳴画像を撮影したところ, 右内頸動脈の高度狭窄が確認された. 単一光子放射断層撮影では安静時の脳血流は保たれていたため, 手術には至らず, 現在も経過観察中である. HD患者の脳内rSO2のモニタリングは脳内虚血性疾患の診断に寄与する可能性がある.
著者
湯田 淳一朗 本間 りこ 深瀬 幸子 大河原 晋 大本 英次郎 後藤 敏和 鈴木 昌幸
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.2247-2249, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

コレステロール塞栓症は動脈内の粥腫状プラークが剥がれ末梢動脈を閉塞して組織および臓器虚血をきたす疾患である.症例は66歳,男性.入院当初,血尿,蛋白尿を伴う進行性の腎機能障害と発熱があり血管炎症候群を考えたが,腎生検によりコレステロール塞栓症と診断した.ステロイド投与後,炎症反応は改善した.本例は,血管炎症候群様の臨床所見を呈した非典型的なコレステロール塞栓症であった.
著者
島崎 拓則 原 晋介 奥畑 宏之 中村 肇 河端 隆志
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.225-235, 2016-10-10 (Released:2017-01-14)
参考文献数
23
被引用文献数
2

Monitoring heart rate (HR) during exercise can be used not only for early detection of a change in physical condition but also as an indication of the exercise training condition. Photoplethysmography (PPG) is a simple and non-invasive method for HR sensing, but its use during exercise is difficult, since the PPG output is contaminated with motion artifact (MA). Especially for vigorous exercise, MA has the same frequency component as that of blood volume pulses (BVPs) in the PPG output, and no linear MA cancellation technique such as band pass filtering (BPF) can work effectively. This paper proposes a PPG-based MA canceling HR sensor. It is equipped with two sensors ; one is a normal PPG sensor with a light emitting diode (LED)/photo detector (PD) that contacts the skin to detect BVPs andMA, andthe other is an MA sensor with a LED/PD that does not contact the skin to detect only MA. Applying the outputs from the two sensors to an adaptive filter, the BVPs can be obtained easily. We evaluated the performance of the proposed HR sensor in ten subjects who performeda series of resting, walking, running andjumping. The results revealedthat the proposedHR sensor, together with an outlier rejection method, achieved root mean square errors (RMSEs) of 7.1 bpm, 6.4 bpm and6.1 bpm for walking, running andjumping, respectively, when using a Holter monitor as the reference. These results imply a reduction of RMSE by a maximum of 83% compared to no MA cancellation.
著者
佐々木 崇博 竹中 幸則 山本 佳史 喜井 正士 中原 晋 西池 季隆 猪原 秀典
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.115-121, 2013 (Released:2013-07-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1

軟骨肉腫は全悪性骨腫瘍の20%を占め,原発性骨悪性腫瘍の中では3番目に多い腫瘍であるが,頭頸部原発のものはまれである。今回,われわれは頭頸部領域に発生した軟骨肉腫を3例経験したので,文献的考察を加え報告する。症例1:67歳男性。右輪状軟骨より発生しており,喉頭摘出を行った。症例2:71歳女性。鼻中隔原発であり内視鏡下に切除を行った。症例3:67歳男性。下顎骨関節突起より発生しており,耳下腺,下顎骨の部分切除を行い摘出した。いずれの症例も安全域をつけた切除を行うことにより,無再発生存中である。
著者
平田 徳恵 川原 晋
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.26, no.63, pp.719-724, 2020-06-20 (Released:2020-06-20)
参考文献数
10

This paper clarifies the followings. (1) What impact do the two destinations that have won the Blue Flag Award in Japan expect from the authentication ? (2) Which standards of the various Blue Flag standards are effective and why? From Internet surveys on the development of Blue Flag authentication, we clarified that Blue Flag is an authentication that emphasizes social issues. In addition, our interview survey on two regions in Japan revealed that there are differences in the motivation for acquiring the Blue Flag Award and in the activities and in the contents the systems of activities by local residents.
著者
原 晋
出版者
日経BP社 ; 2002-
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.14, no.7, pp.82-84, 2015-06

監督就任から11年。青山学院大学を、初の箱根駅伝総合優勝に導いたのは、元カリスマ営業マンだった。そんな異色の陸上競技界の名将に、選手の指導に生かした「走ることが楽しくなるコツ」を聞いた。
著者
竹田 彩夏 川原 晋 野田 満
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.729-736, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
12

本研究の目的は、ケーススタディとして伊勢神宮内宮を用い、口話による観光ガイドツアーとの比較に基づいた手話による観光ガイドツアーの特徴や傾向を明らかにすることである。その上で、ユニバーサルツーリズムの推進を見据え、手話による観光ガイドツアーにおける情報提供の量及び質の向上に向けた考察を行う。本研究では以下の3点が明らかになった。1)手話による観光ガイドツアーを実施する組織には、手話による観光ガイドツアーのみを行う組織と、口話による観光ガイドツアーも実施する組織の2種類が確認されたが、いずれも数は極めて少ない。前者組織内における手話のレベルが一定ではないことや、観光ガイドツアーの実施において、ガイドの説明を視覚的に妨げる障壁の存在が明らかになった。2)口話による観光ガイドツアーに比べて、手話による観光ガイドツアーは話題の数が少なく、そのカテゴリーにも偏りがみられることがわかった。3)同じエリアを対象としていても、手話による観光ガイドツアーと口話によるガイドツアーは経路や停止地点、情報の提供場所等に差異があることが明らかになった。以上より、手話による観光ガイドツアーにおける考察を示した。
著者
清水 哲夫 川原 晋 片桐 由希子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.782-787, 2017

本研究は,高尾山地区の観光地マネジメント構想をサポートする駐車場マネジメントシステムの提案に向けて,事前予約制駐車場を配備した場合の駐車料金に対する支払意思額の特性を,来訪者への意識調査から詳細に分析した.自動車来訪者には,当日利用した駐車場をベースに,それが事前予約制になったり遠隔地になったりする場合に支払ってもよい予約料を,公共交通来訪者には,駐車料金を仮想的に与え,それが事前に予約できる場合に支払ってもよい予約料をそれぞれ尋ねた.分析の結果,平均的には駐車料金の半額相当が予約料として支払意思があると認められ,予約料に対する支払意思が高い層として, リピーター,子供連れ,駐車場確保の確実性を重視する層などを抽出した.
著者
大河原 晋 大牟礼 勝 森谷 太郎
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.64, no.722, pp.65-73, 1956

三石蝋石32%, 同質シャモット40%に, 猿投木節と蛙目粘土をそれぞれ24%および4%ずつ結合剤として加え, 加水, 成形後, これを1400°, 1時間焼成して製作した実験用小型坩堝を用いて, 2種のガラス, すなわちソーダ石灰ガラス (Na<sub>2</sub>O・CaO・3SiO<sub>2</sub>) とソーダ鉛ガラス (Na<sub>2</sub>O・PbO・3SiO<sub>2</sub>) の予めカレットとしたものを, 1200°と1400°に熔融し, この温度に達した直後のもの, 2, 3, 4時間後のものを, 炉内から取出して空冷した際に, 各ガラスがそれぞれの坩堝を侵蝕している状態を鏡検してその機構を考察した.<br>その結果によれば, いずれのガラスでもほぼ同様な侵蝕過程が認められ, 坩堝素地のアルミナ成分の熔解がムライトの熔解にやや先行する結果, 1200°では坩堝素地中の粘土とカオリン質蝋石の各〓焼部分周辺のガラス中に少量のネフェリンを混入したカーネギエイト結晶層が析出しており, 時間の経過と共にこれらの結晶は粘土〓焼部分の周辺から消失し, カオリン質蝋石の〓焼部分周辺に顕著な増加を示す. しかるに, 1400°ではいずれのガラスでも, 最初ダイアスポア仮像周辺のみにカーネギエイトを少量混入したネフェリン結晶の析出が認められ, 時間の経過するにつれて, 結晶は徐々に消失していって, 逆にガラスが坩堝素地内部に浸入し, 外観が白色の極めて薄い侵蝕層を形成するに至る. すなわち, 坩堝素地の表面で若干の成分交換が行われ, それ以後はガラス中への坩堝素地の熔解が, 常に侵蝕層を間にして進んでゆき, 時間が経過するにつれて侵蝕層は少しずつ素地内部に後退してゆく. 全般的に見て, ソーダ石灰ガラスよりもソーダ鉛ガラスの方が侵蝕の度合が強い.
著者
黒田 正博 原 晋介
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1084, pp.83-90, 2012-06-11

近距離無線の標準化を進める米IEEEの802委員会は、2012年2月に「IEEE802.15.6」規格を正式承認した。主に医療・ヘルスケア分野で期待されている、「BAN(body area net??work)」と呼ぶ人体周辺の無線ネットワークに向けた規格である。同規格の標準化作業にも関わったNICTの黒田氏と大阪市立大学の原氏に、規格の概要などについて解説してもらう。
著者
吉原 晋太郎 清野 宏
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.635-642, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
33

広大な面積を有する気道粘膜や消化管粘膜は,微生物を含む無数の有益,および有害な抗原に継続的に曝露されている。多種多様な外来抗原に対して粘膜面では,上皮-間葉系細胞,免疫細胞,および共生微生物叢などから構成される粘膜マルチエコシステムが,互いにコミュニケーションを取りながら,調和のとれた生態系を形成し,「共生と排除」という相反する生体応答を巧みに誘導・制御していることが近年の研究から明らかとなってきている。鼻咽頭および腸管に位置する二次リンパ組織である粘膜関連リンパ組織(MALT)は,抗原特異的免疫応答の開始地点となる重要な構造であり,抗原特異的T細胞およびB細胞の誘導のために必要な管腔側からの抗原補足,処理および提示機能を備えている。抗原提示により活性化されたリンパ球は,各種遠隔粘膜面への選択的な移行のため粘膜指向性分子(CCR9やα4β7など)を獲得し,それぞれの粘膜面で抗原特異的分泌型IgA(SIgA)抗体産生などに携わる。つまり,経鼻および経口免疫により,全身免疫誘導とともに,呼吸器,消化器,生殖器などの粘膜部位での抗原特異的な免疫応答を誘導する。これらの基礎的知見を基盤とし,我々はカチオン化コレステリル基含有プルラン(cCHP)Nanogelを使用した新規経鼻ワクチンシステムを開発している。cCHP Nanogelに組み込まれたワクチン抗原は,嗅球を介した中枢神経への移行がなく,強力な抗原特異的粘膜および全身性免疫応答を誘導することを明らかにしてきた。cCHPベースのNanogelは,安全で効果的な経鼻ワクチンデリバリーシステムと考えられ,呼吸器感染症に対する次世代型粘膜ワクチンとして今後の開発が期待される。
著者
原 豊 酒向 俊明 水原 晋 新美 智秀
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.64, no.619, pp.972-978, 1998

Optical novelty filter based on the two-wave mixing in a photorefractive BaTiO<SUB>3</SUB> crystal is applied to motion detection for the purpose of its application to the robot vision. A simple method is proposed to realize the reflex vision system that a human being possesses. Our method uses a photo detector array to detect the output from the optical novelty filter and the detector element that obtains the highest signal is selected. By simulations using a simple animations, it is showed that the larger or the faster object can be detected in higher probability. Tracking a moving object is demonstrated with a 2&times;2 photo-transistor array and the selective circuit including the exclusive gate circuit.
著者
河上 邦彦 泉 武 宮原 晋一 卜部 行弘 岡林 孝作 名倉 聡
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.7, pp.95-104, 1999

黒塚古墳は奈良盆地の東南部,奈良県天理市柳本町に所在する全長約130mの前方部を西に向けた前方後円墳である。周辺一帯には多数の前期古墳が集中して分布し,大和古墳群と呼ばれる。1997年8月~1998年5月,1998年7月~1999年2月にかけて,奈良県立橿原考古学研究所・天理市教育委員会を主体とする大和古墳群調査委員会によって学術発掘調査が実施された。埋葬施設は後円部中央に南北に設けられた内法長約8.3mにおよぶ大規模な竪穴式石室である。石室石材は川原石と大阪府柏原市に産出する芝山玄武岩・春日山安山岩板石を使用する。石組の排水溝を備えているほか,石室の構築にあたっては前方部に向かってのびる切り通し状の作業道(墓道)を設けていたことが判明した。石室内におさめられていた木棺は,クワ属の巨木を使用した長さ6.2m,最大直径1mを超える割竹形木棺である。中世に大規模な盗掘を受けているが,それ以前に石室が大きく崩壊していたことが幸いし,盗掘は基本的に石室床面付近にはおよんでいない。結果として,副葬品の大半は後世の撹乱を免れ,奇跡的に埋葬当時の状況をとどめていた。副葬品は三角縁神獣鏡33面,画文帯神獣鏡1面のほか,大量の鉄製武器・武具・農工具類など豊富である。三角縁神獣鏡33面はすべて舶載鏡で,鏡式の上では三神三獣鏡を含まず,現在までに知られる最古の組み合わせである。7種15面の同笵鏡を含み,京都府山城町椿井大塚山古墳出土鏡との間に10種の同笵鏡を分有する。棺内副葬品は画文帯神獣鏡1面と若干の刀剣類のみで,それら以外はすべて木棺と石室壁体との隙間に置かれていた。また,三角縁神獣鏡はいずれも木棺側に鏡面を向け,西棺側に17面,東棺側に15面,棺北小口に1面を,棺の北半部をコの字形に取り囲むように配列していた。前期古墳の豊富な副葬品の内容と,副葬時の配列方法が具体的に判明する貴重な資料である。同時に,作業道(墓道)・排水溝の存在や石室壁体の構築状況,副葬品の配列状況などから,古墳祭祀の具体的復元に向けての良好な資料が得られた。築造時期は古墳時代前期前半と考えられる。
著者
岡崎 篤行 野澤 康 井上 年和 今村 洋一 川原 晋 大場 修 澤村 明 岡村 祐 池ノ上 真一 井上 えり子 松井 大輔 西尾 久美子
出版者
新潟大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

元来、料亭は宴席以外にも冠婚葬祭や公式会合、商談など日本人の生活と密着していた。しかし、現在ではその役割が他施設へ移り、都市の料亭街が消滅しつつある。一方で、和食や料亭の価値は見直され、重要な観光資源にもなっている。ひとつの重要な建築類型といえる料亭は、あらゆる日本の伝統文化を包括的に継承する場であり、花柳界や業界団体、支援・連携する行政、民間組織など様々な組織が関わっている。このように、ひとつの地域文化システムといえる料亭について網羅的視点で捉え、関連組織・活動の変遷、料亭の分布とその変遷、料亭建築の規模と保全活用の実態を明らかにする。
著者
河上 邦彦 泉 武 宮原 晋一 卜部 行弘 岡林 孝作 名倉 聡
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.7, pp.95-104, 1999-05-14 (Released:2009-02-16)

黒塚古墳は奈良盆地の東南部,奈良県天理市柳本町に所在する全長約130mの前方部を西に向けた前方後円墳である。周辺一帯には多数の前期古墳が集中して分布し,大和古墳群と呼ばれる。1997年8月~1998年5月,1998年7月~1999年2月にかけて,奈良県立橿原考古学研究所・天理市教育委員会を主体とする大和古墳群調査委員会によって学術発掘調査が実施された。埋葬施設は後円部中央に南北に設けられた内法長約8.3mにおよぶ大規模な竪穴式石室である。石室石材は川原石と大阪府柏原市に産出する芝山玄武岩・春日山安山岩板石を使用する。石組の排水溝を備えているほか,石室の構築にあたっては前方部に向かってのびる切り通し状の作業道(墓道)を設けていたことが判明した。石室内におさめられていた木棺は,クワ属の巨木を使用した長さ6.2m,最大直径1mを超える割竹形木棺である。中世に大規模な盗掘を受けているが,それ以前に石室が大きく崩壊していたことが幸いし,盗掘は基本的に石室床面付近にはおよんでいない。結果として,副葬品の大半は後世の撹乱を免れ,奇跡的に埋葬当時の状況をとどめていた。副葬品は三角縁神獣鏡33面,画文帯神獣鏡1面のほか,大量の鉄製武器・武具・農工具類など豊富である。三角縁神獣鏡33面はすべて舶載鏡で,鏡式の上では三神三獣鏡を含まず,現在までに知られる最古の組み合わせである。7種15面の同笵鏡を含み,京都府山城町椿井大塚山古墳出土鏡との間に10種の同笵鏡を分有する。棺内副葬品は画文帯神獣鏡1面と若干の刀剣類のみで,それら以外はすべて木棺と石室壁体との隙間に置かれていた。また,三角縁神獣鏡はいずれも木棺側に鏡面を向け,西棺側に17面,東棺側に15面,棺北小口に1面を,棺の北半部をコの字形に取り囲むように配列していた。前期古墳の豊富な副葬品の内容と,副葬時の配列方法が具体的に判明する貴重な資料である。同時に,作業道(墓道)・排水溝の存在や石室壁体の構築状況,副葬品の配列状況などから,古墳祭祀の具体的復元に向けての良好な資料が得られた。築造時期は古墳時代前期前半と考えられる。
著者
賀 佳惠 川原 晋 岡村 祐
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The international journal of tourism science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.11, pp.19-25, 2018-03

本研究は、観光地化する歴史的町並み地区において、地域外資本の店舗が過度に入ることにより個性が喪失する問題に注目し、次のことを明らかにした。第一に、観光地化の進行する重要伝統的建造物群保存地区をねらって出店する、伝建チェーンと名付けた企業5社の存在を確認した。第二に、川越一番街商店街を対象とした調査から、地域内の様々な組織の主活動が町並み保全か、商業振興か、観光振興かの違いが、どのような店舗を外部資本店舗と捉えるかに違いがあること、第三に、外部資本店舗に対して、地区の個性を損なわないように誘導し、むしろ支える側の役割を期待する地域側の巻き込みが見られ、これに外部資本店舗も協力する「外部資本店舗の地域化」と考えるべき状況が見られたことである。