著者
中山 浩太郎 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.2917-2928, 2006-10-15
参考文献数
18
被引用文献数
14

シソーラス辞書は,情報検索や自然言語処理,対話エージェントなどの研究領域において幅広くその有用性が実証されてきた.しかし,自然言語処理などによる従来のシソーラス辞書自動構築では,形態素解析や同義語・多義語の処理など,語の関連性を解析する前段階の処理において精度低下を招く要因がいくつかある.また,辞書作成時と利用時のタイムラグにより最新の語や概念への対応が困難であるという問題もある.そこで本論文では,これら2 つの問題を解決するために,ここ数年で急速にコンテンツ量を増加させたWiki ベースの百科辞典である「Wikipedia」に対し,Web マイニングの手法を適用することでシソーラス辞書を自動構築する方法を提案する.Thesauri have been widely used in many applications such as information retrieval, natural language processing (NLP), and interactive agents. However, several problems, such as morphological analysis, treatment of synonymous and multisense words, still remain and degrade accuracy on traditional NLP-based thesaurus construction methods. In addition, adding latest/miner words is also a difficult issue on this research area. In this paper, to solve these problems, we propose a web mining method to automatically construct a thesaurus by extracting relations between words from Wikipedia, a wiki-based huge encyclopedia on WWW.
著者
安原 隆雄 黒住 和彦 亀田 雅博 菱川 朋人 佐々木 達也
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

ヒト間葉系幹細胞由来多能性幹細胞を用いて、凍結保存の状態から溶解し直接移植する群とカプセル化細胞移植する群に分けて治療効果を検討する。対象とするのは一過性中大脳動脈閉塞モデルラットであり、行動学的評価・組織学的評価を中心に行う。うつ様症状に対する治療効果も重要な評価項目とする。虚血の程度をエコーにより確認し、血流遮断時の虚血負荷、運動機能、うつ様症状、組織学的評価(脳梗塞体積、炎症性変化、神経新生の程度等)を個体ごとに確認し解析する。過去に、脳梗塞モデル動物で直接移植とカプセル化移植の比較を行ったことはなく、細胞治療の意義・作用機序の解明に迫る研究である。
著者
矢原 隆行
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.343-356, 2007-12-31 (Released:2010-04-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

近年日本では,伝統的に女性的職業(pink-collar job)とみなされてきたいくつかの職業において,いまだ少数ながら男性の参入が着実に生じている.とりわけ,看護,介護,保育等のケア労働の領域で働く男性たちの姿は,それがさまざまな男性優位の職業領域に進出して活躍する女性たちの姿と対照して観察されるとき,今日の職業領域におけるジェンダー体制の変容を体現するものとして解されうる.しかし,これまでジェンダーに関する大量の成果を生み出している女性学のみならず,「男性性」に焦点をあてる男性学の領域においてさえ,そうした「男性ピンクカラー」に焦点を当てた社会学的研究はきわめて乏しい.本稿では,現代日本における男性ピンクカラーについて,とりわけ「ケア労働の男性化」という視座から観察を試みる.当事者を含む多数の語りから明らかなように,男性ピンクカラーは,ケア労働の領域における少数派であるがゆえ,時に「トークン」として位置づけられる.しかし,その位置づけは,男性が多数派であるような職業領域における少数派としての女性と単純な対称をなすものではない.そこに見出される捩れは,ケア/労働およびそれを取り巻く現代社会における普遍としての《男》というジェンダー秩序を映し込み,かつ映し返すものである.
著者
藤原 和典 福原 隆宏 北野 博也
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.87-90, 2014 (Released:2014-08-07)
参考文献数
13

頭頸部領域におけるロボット支援手術は,ロボット支援下経口的咽喉頭癌とロボット支援下甲状腺切除術があげられ,海外では徐々に普及し,良好な成績が報告されている。しかし,本邦においては,薬事は未承認の状態である。そこで現在,鳥取大学,東京医科大学,京都大学の3施設が共同して,先進医療Bのもとでロボット支援下経口的咽喉頭癌切除術に対する臨床研究の準備を行っており,最終的には,薬事申請を行い,頭頸部癌での適応拡大を目指している。ロボット支援下経口的咽喉頭癌切除術とロボット支援下甲状腺癌切除術では術後の嚥下機能などの機能温存が可能である点や外切開をさけられる点などの利点があり,薬事承認後は,本邦でも積極的に導入される手術であると考えられる。
著者
上原 隆平 寺本 幸生
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.71, pp.59-64, 2006-07-03

折り紙は伝統的な紙工芸であるが,近年,科学としての認知が高まり,数学的な研究が進められている.本論文ではもう一つの伝統的な紙工芸である,飛び出す絵本を取り上げる.飛び出す絵本をデザインする問題を定式化し,その複雑さを議論する.そして本を閉じる問題も,本を開く問題も,ともにNP困難であることを示す.Origami is the centuries-old art of folding paper, and recently, it is investigated as science. In this paper, another hundreds-old art of folding paper, a pop-up book, is studied. A model for the pop-up book design problem is given,and its complexity is investigated. We show that both of the opening book problem and the closing book problem are NP-hard.
著者
矢原 隆行
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.343-356, 2007
被引用文献数
1

近年日本では,伝統的に女性的職業(pink-collar job)とみなされてきたいくつかの職業において,いまだ少数ながら男性の参入が着実に生じている.とりわけ,看護,介護,保育等のケア労働の領域で働く男性たちの姿は,それがさまざまな男性優位の職業領域に進出して活躍する女性たちの姿と対照して観察されるとき,今日の職業領域におけるジェンダー体制の変容を体現するものとして解されうる.しかし,これまでジェンダーに関する大量の成果を生み出している女性学のみならず,「男性性」に焦点をあてる男性学の領域においてさえ,そうした「男性ピンクカラー」に焦点を当てた社会学的研究はきわめて乏しい.本稿では,現代日本における男性ピンクカラーについて,とりわけ「ケア労働の男性化」という視座から観察を試みる.当事者を含む多数の語りから明らかなように,男性ピンクカラーは,ケア労働の領域における少数派であるがゆえ,時に「トークン」として位置づけられる.しかし,その位置づけは,男性が多数派であるような職業領域における少数派としての女性と単純な対称をなすものではない.そこに見出される捩れは,ケア/労働およびそれを取り巻く現代社会における普遍としての《男》というジェンダー秩序を映し込み,かつ映し返すものである.
著者
藤原 隆弘 西 啓
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-72, 2011 (Released:2011-05-01)
参考文献数
1

学術分野で広く利用されている電子ジャーナルは,インターネットやPDFの発展によりビジネス化されたが,一般の電子書籍市場はそれだけでは成功できなかった。Amazon社のKindleなどが電子書籍市場を形成できた要因と,Kindle以降に出現した電子書籍サービスを具体的に紹介し,サービスの構成要素を電子書店や文書フォーマットの特徴とともに解説した。その結果,現在の電子書籍市場がデバイス主導によって進んでいる事実を報告した。最後に,現在の電子書籍ブームによって変化がもたらされた,個人,出版社,製作者等の現在の状況と,電子ジャーナルが今後変化していく方向について論じた。
著者
白川 真澄 中山 浩太郎 荒牧 英治 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.3, pp.525-539, 2011-03-01

固有名詞や専門用語,及びこれら概念間の関係を網羅した大規模オントロジーの構築は,意味中心のWebを実現する上で重要な基盤技術である.最近の研究では,Wikipediaにおける概念の網羅性を活用した大規模オントロジーの自動構築に注目が集まっているが,概念間の関係の網羅性が低いことが課題であった.そこで本研究では,Wikipediaマイニングによって抽出した情報にWeb全体の情報を組み合わせることで,概念及び概念間の関係の種類を網羅した大規模オントロジーの自動構築を目指す.本論文では,大規模オントロジーの自動構築の核となる関係抽出の手法として,Wikipediaから抽出した連想シソーラスを利用して関係の深い概念ペアを取り出し,Web検索によって概念間の関係を抽出する手法を提案する.また,固有名詞間の様々な関係を定義した大規模オントロジー構築への第一歩として,提案手法を用いて実際にオントロジー構築を試みる.
著者
伊藤 雅弘 中山 浩太郎 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.48, no.20, pp.39-49, 2007-12-15
被引用文献数
2

近年,知識処理の有用なコーパスとして,ユーザ同士が協調してコンテンツを編集するWeb事典である「Wikipedia」に多大な注目が集まっている.筆者らはこれまでの研究において,Wikipediaに対してリンク構造を解析することで精度の良いシソーラス辞書が構築できることを示してきた.しかし,膨大な記事数を持つWikipediaを解析するためには,高い精度を保ったままスケーラビリティのさらなる向上が技術的な課題であった.そこで,本研究ではリンクの共起性解析に着目し,スケーラビリティの高いシソーラス辞書構築手法を提案する.提案手法の性能評価のために行った実験の結果,共起性解析を用いた手法は従来手法よりも少ない計算時間で,高精度なシソーラス辞書を構築できることを確認した.さらに,共起性解析とtfidfを融合させることによって,より高い精度が実現できることを確認した.Wikipedia, a huge scale Web based encyclopedia, attracts great attention as a valuable corpus for knowledge extraction. We have already proved how effective it is to construct a Web thesaurus. However, we still need high scalability methods to analyze the huge amount of Web pages and hyper links among articles in the encyclopedias. In this paper, we propose a scalable Web thesaurus construction method from Wikipedia by using link co-occurrence. Experimental results show that the proposed method based on link co-occurrence analysis was better on scalability and accuracy than previous methods. Moreover, the method combining tfidf with link co-occurrence analysis brought higher precision.
著者
澤井 秀次郎 福田 盛介 坂井 真一郎 櫛木 賢一 荒川 哲人 佐藤 英一 冨木 淳史 道上 啓亮 河野 太郎 岡崎 峻 久木田 明夫 宮澤 優 植田 聡史 戸部 裕史 丸 祐介 下地 治彦 清水 康弘 芝崎 裕介 島田 貞則 横井 貴弘 藪下 剛 佐藤 賢一郎 中村 和行 久原 隆博 高見 剛史 田中 伸彦 古川 克己
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.35-43, 2018 (Released:2018-03-02)
参考文献数
35
被引用文献数
8 7

SLIM (Smart Lander for Investigating Moon) is the Lunar Landing Demonstrator which is under development at ISAS/JAXA. SLIM demonstrates not only so-called Pin-Point Landing Technique to the lunar surface, but also demonstrates the design to make the explorer small and lightweight. Realizing the compact explorer is one of the key points to achieve the frequent lunar and planetary explorations. This paper summarizes the preliminary system design of SLIM, especially the way to reduce the size.
著者
桑原 隆 王 麗楊 谷野 彰子 山田 佐知子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.457-463, 2021 (Released:2021-09-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

【目的】血液透析(HD)患者のカルシウム(Ca)濃度評価に適したCa値はイオン化Ca(iCa),総Ca(tCa),アルブミン(Alb)補正Caいずれかを検討する.【方法】HD患者43名に透析前後の総Ca,K/DOQI‒1式からAlb補正Ca(KDOQI‒Ca),tCaに対するpH補正iCa(pH‒iCa)の割合(Caイオン化率:CaIR)からのAlb補正Ca(CaIR‒Ca)とpH‒iCaの関係を求めた.【結果】HD前/後のAlbとCaIRの関係は,-0.011*Alb+0.558(r=0.199,p>0.2)/-0.031*Alb+0.655(r=0.720,p<0.0001)であり,HD前/後のpH‒iCaとtCa,KDOQI‒Ca,CaIR‒Caの相関係数(r)は,0.862,0.846,0.859/0.482,0.460,0.282であった.HD後のpH‒iCaとtCaの関係の減弱はHDによるCa結合Alb濃度の上昇が透析液から血漿へのiCa移動を妨げるため生じたと思われる.【結論】HD前のCa濃度評価は,iCa,tCa,KDOQI‒Ca,CaIR‒Caいずれでも良いが,HD後のCa濃度評価にiCaは適さない.
著者
片岡 英幸 福原 隆宏
出版者
THE JAPAN LARYNGOLOGICAL ASSOCIATION
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.118-123, 2014-12-01 (Released:2015-07-22)
参考文献数
35